航空法規等全187問中 8問を掲載
問1航空法第1条に定める同法の目的として、正しいものはどれか。
- ✔国際民間航空条約の規定等に準拠して航空機の航行の安全と障害の防止を図り、航空運送事業の秩序を確立して輸送の安全と利用者の利便の増進を図ること
- 2航空機乗組員の労働条件、乗務時間および賃金体系について統一的な基準を定めること
- 3航空保険の加入義務と補償額の上限を定め、被害者の救済を図ること
- 4空港の建設および維持管理に関する技術基準を定め、その整備を計画的に推進すること
- 5航空機の輸出振興と国内航空産業の保護を図り、あわせて雇用の確保に資すること
解説:【正解】1「国際民間航空条約の規定等に準拠して航空機の航行の安全と障害の防止を図り、航空運送事業の秩序を確立して輸送の安全と利用者の利便の増進を図ること」
航空法第1条は、シカゴ条約(国際民間航空条約)に準拠し、①航行の安全確保、②航空機の航行に起因する障害の防止、③航空運送事業の秩序確立と輸送の安全確保、④利用者の利便増進、⑤航空の発達を目的として掲げている。輸出振興や労働条件、保険は本法の目的ではない。
問2自家用操縦士の技能証明を受けることができる最低年齢はどれか。
解説:【正解】2「17歳」
航空法第25条および施行規則により、技能証明の最低年齢は、自家用操縦士17歳、事業用操縦士18歳、准定期運送用操縦士21歳、定期運送用操縦士21歳と定められている。なお自家用操縦士(滑空機・気球)は16歳。
問3事業用操縦士の技能証明を受けることができる最低年齢はどれか。
解説:【正解】3「18歳」
事業用操縦士は18歳以上。自家用操縦士は17歳以上、定期運送用操縦士は21歳以上である。年齢は技能証明の申請時ではなく、技能証明を受ける時点の要件である。
問4技能証明の限定について、正しい記述はどれか。
- 1限定を受けた場合でも同乗者がいれば範囲外の機体を操縦できる
- 2限定は本人の申告のみで自由に追加できる
- 3技能証明には航空機の種類の限定のみが付される
- ✔技能証明には航空機の種類・等級または型式の限定が付され、限定された範囲外の航空機は操縦できない
- 5限定は事業用操縦士にのみ付される
解説:【正解】4「技能証明には航空機の種類・等級または型式の限定が付され、限定された範囲外の航空機は操縦できない」
航空法第25条により、技能証明には航空機の種類(飛行機、回転翼航空機等)、等級(陸上単発ピストン等)または型式の限定が付される。限定の変更には所定の実地試験等が必要で、限定外の機体を操縦することはできない。
問5事業用操縦士(飛行機)の技能証明の申請に必要な総飛行時間は、原則としてどれか。
- 1150時間
- 2250時間
- 3300時間
- 4100時間
- ✔200時間
解説:【正解】5「200時間」
航空法施行規則別表により、事業用操縦士(飛行機)は総飛行時間200時間以上が原則である(指定航空従事者養成施設の課程を修了した者は150時間に軽減される場合がある)。自家用操縦士(飛行機)は40時間以上。
問6自家用操縦士(飛行機)の技能証明の申請に必要な総飛行時間は、原則としてどれか。
- ✔40時間
- 220時間
- 330時間
- 450時間
- 560時間
解説:【正解】1「40時間」
自家用操縦士(飛行機)は総飛行時間40時間以上が必要で、うち単独飛行10時間以上、野外飛行5時間以上(うち出発地から270km以上の飛行で2箇所以上の生地着陸を伴うもの1回以上)等の内訳要件がある。
問7航空身体検査証明について、正しい記述はどれか。
- 1身体検査証明の有効期間は種類にかかわらず5年である
- ✔航空業務を行うには有効な航空身体検査証明が必要で、自家用操縦士は第2種の基準による
- 3技能証明を有していれば身体検査証明は不要である
- 4身体検査証明は民間の一般病院であればどこでも発行できる
- 5身体検査証明は一度取得すれば生涯有効である
解説:【正解】2「航空業務を行うには有効な航空身体検査証明が必要で、自家用操縦士は第2種の基準による」
航空法第31条により、航空業務に従事するには技能証明のほか有効な航空身体検査証明が必要。定期運送用・事業用操縦士は第1種、自家用操縦士は第2種の基準が適用される。指定航空身体検査医のみが証明を行える。
問8耐空証明の有効期間について、原則として正しいものはどれか。
解説:【正解】3「1年」
航空法第14条により耐空証明の有効期間は原則1年である。ただし、国土交通大臣が定める整備規程を有する使用者の航空機等については、その期間を別に指定することができる。
航空気象全170問中 8問を掲載
問9国際標準大気(ISA)の海面上における気温および気圧として、正しい組合せはどれか。
- ✔15℃・1013.25hPa
- 215℃・1000hPa
- 30℃・1000hPa
- 410℃・1013.25hPa
- 520℃・1020hPa
解説:【正解】1「15℃・1013.25hPa」
国際標準大気は海面上で気温15℃、気圧1013.25hPa(29.92inHg)、密度1.225kg/m³と定義される。気温減率は対流圏内で1,000ftあたり約2℃(100mあたり0.65℃)。
問10国際標準大気における気温減率として、最も近いものはどれか。
- 11,000ftにつき約4℃
- ✔1,000ftにつき約2℃
- 31,000ftにつき約6℃
- 41,000ftにつき約10℃
- 51,000ftにつき約1℃
解説:【正解】2「1,000ftにつき約2℃」
ISAの対流圏における気温減率は100mあたり0.65℃、すなわち1,000ftあたり約2℃(正確には1.98℃)である。この値は高度と気温の概算に広く用いられる。
問11標準大気において高度10,000ftの気温は、およそ何℃か。
解説:【正解】3「−5℃」
海面上15℃から1,000ftあたり2℃で減率するため、10,000ftでは15−(2×10)=−5℃となる。実際の大気はこれから偏差(ISA偏差)を持つ。
問12気圧が1hPa変化したときの高度変化量として、海面付近で最も近いものはどれか。
- 1約100ft
- 2約15ft
- 3約50ft
- ✔約27ft
- 5約8ft
解説:【正解】4「約27ft」
海面付近では1hPaがおよそ27ft(約8m)に相当する。高度計規正値を1hPa変えると指示高度が約27ft変化することを意味し、QNH設定の誤りは高度誤差に直結する。
問13QNHの定義として、正しいものはどれか。
- 1上空の気温から算出した仮想気圧
- 2標準大気圧1013.2hPaのこと
- 3飛行場の標高における実測気圧
- 4滑走路面上で高度計が0を示す設定値
- ✔海面更正気圧であり、これを設定すると高度計は標高(平均海面からの高度)を指示する
解説:【正解】5「海面更正気圧であり、これを設定すると高度計は標高(平均海面からの高度)を指示する」
QNHは海面更正気圧で、これを設定すると地上で高度計は飛行場標高を、飛行中は平均海面上の高度を指示する。QFEは飛行場面で0を示す設定、QNEは1013.2hPa設定(フライトレベル)である。
問14実際の気圧が設定したQNHより低い地域へ飛行した場合、高度計の指示について正しいものはどれか。
- ✔実際の高度より高く指示するため、実高度は指示より低くなり危険である
- 2自動的に補正されるため問題ない
- 3実際の高度より低く指示するため危険はない
- 4気温にのみ依存し気圧の影響はない
- 5指示に変化はない
解説:【正解】1「実際の高度より高く指示するため、実高度は指示より低くなり危険である」
「高圧域から低圧域へ、高温域から低温域へ飛ぶときは要注意(High to Low, Look Out Below)」。設定値より実際の気圧が低い場所では、高度計は実際より高い値を指示し、真の高度は指示高度より低くなる。
問15密度高度(Density Altitude)について、正しい記述はどれか。
- 1低温時に高くなる
- ✔気圧高度を実際の気温で補正した高度で、高温・高標高・高湿度で高くなり航空機性能が低下する
- 3湿度の影響を受けない
- 4気圧高度に等しい
- 5常に真高度より低い
解説:【正解】2「気圧高度を実際の気温で補正した高度で、高温・高標高・高湿度で高くなり航空機性能が低下する」
密度高度は気圧高度を気温(および湿度)で補正した高度。高温・低気圧・高湿度で密度高度が上昇し、揚力・エンジン出力・プロペラ効率が低下して離陸滑走距離が伸び、上昇率が低下する。
問16上層雲に分類される雲の組合せとして、正しいものはどれか。
- 1層雲・層積雲・積雲
- 2積乱雲・層積雲・巻雲
- ✔巻雲・巻積雲・巻層雲
- 4乱層雲・層雲・巻層雲
- 5高積雲・高層雲・乱層雲
解説:【正解】3「巻雲・巻積雲・巻層雲」
上層雲は巻雲(Ci)・巻積雲(Cc)・巻層雲(Cs)で、主に氷晶からなる。中層雲は高積雲(Ac)・高層雲(As)・乱層雲(Ns)、下層雲は層積雲(Sc)・層雲(St)・積雲(Cu)・積乱雲(Cb)である。
空中航法全196問中 8問を掲載
問17真方位と磁方位の差を何と呼ぶか。
- ✔偏差(変差・バリエーション)
- 2自差(デビエーション)
- 3収束角
- 4偏流角
- 5コンパスエラー
解説:【正解】1「偏差(変差・バリエーション)」
偏差(Variation)は真北と磁北のなす角で、場所により東偏・西偏がある。一方、自差(Deviation)は機体の磁気の影響でコンパスが磁北からずれる誤差で、機体ごとの自差修正表で補正する。
問18真針路090度、偏差7度W、自差2度Eの場合、コンパス針路はいくらか。
- 1103度
- ✔095度
- 3099度
- 4085度
- 5081度
解説:【正解】2「095度」
真針路→磁針路は西偏を加算:090+7=097度(磁針路)。磁針路→コンパス針路は東偏の自差を減算:097−2=095度。覚え方は「East is least, West is best(東は引く、西は足す)」。
問19「East is least, West is best」の原則の意味として正しいものはどれか。
- 1偏差は無視してよい
- 2東偏の場合は真方位に加え、西偏の場合は減じる
- ✔真方位から磁方位を求めるとき、東偏は減じ、西偏は加える
- 4常に東偏を加える
- 5風向のみに適用される
解説:【正解】3「真方位から磁方位を求めるとき、東偏は減じ、西偏は加える」
真方位から磁方位を求める場合、東偏(E)は減算、西偏(W)は加算する。逆に磁方位から真方位を求めるときは東偏を加算、西偏を減算する。順序を逆にしないことが重要。
問20北半球において磁気コンパスの加速誤差が現れるのは、どの針路で加速したときか。
- 1南を向いて加速したとき
- 2どの針路でも同じ
- 3北を向いて加速したとき
- ✔東または西を向いて加速したとき
- 5加速誤差は存在しない
解説:【正解】4「東または西を向いて加速したとき」
加速誤差は東西針路で最大となる。北半球では加速すると北へ振れ、減速すると南へ振れる(ANDS:Accelerate North, Decelerate South)。南北針路では加速誤差は生じない。
問21北半球において磁気コンパスの旋回誤差が最も大きく現れるのは、どの針路か。
- 1西針路
- 2旋回誤差は生じない
- 3東針路
- 4北または南針路
- ✔北または南で、特に北針路で旋回開始時に逆方向に振れる
解説:【正解】5「北または南で、特に北針路で旋回開始時に逆方向に振れる」
旋回誤差は南北針路で最大。北半球では北針路から旋回を開始するとコンパスは一時的に逆方向に振れ(遅れ)、南針路から旋回すると実際より先行して振れる(UNOS:Undershoot North, Overshoot South)。東西針路では誤差はほぼない。
問22対気速度の種類のうち、指示対気速度に計器誤差および位置誤差の修正を加えたものはどれか。
- ✔CAS(較正対気速度)
- 2IAS(指示対気速度)
- 3TAS(真対気速度)
- 4EAS(等価対気速度)
- 5GS(対地速度)
解説:【正解】1「CAS(較正対気速度)」
IASに計器誤差・位置誤差を補正したものがCAS。CASに圧縮性の補正を加えるとEAS、EASに密度(高度・気温)の補正を加えるとTASとなる。TASに風の影響を加えるとGS(対地速度)。
問23一般に高度が上昇するにつれ、同じ指示対気速度に対する真対気速度はどうなるか。
- 1減少する
- ✔増加する
- 3変化しない
- 4気温のみで決まり高度には無関係
- 5一旦増加した後減少する
解説:【正解】2「増加する」
高度が上がると空気密度が減少するため、同じ動圧(=同じIAS)を得るのに必要な実際の速度が増える。目安として1,000ftあたり約2%、あるいは標準大気で高度1,000ftごとにIASの約1.5〜2%増加する。
問24真対気速度120kt、風が真方位270度から30ktのとき、真針路090度で飛行した場合の対地速度はおよそいくらか。
- 190kt
- 2120kt
- ✔150kt
- 4135kt
- 5105kt
解説:【正解】3「150kt」
風向270度は西風で、針路090度(東向き)に対して真後ろからの追い風となる。したがって対地速度=TAS+追い風成分=120+30=150kt。偏流角は0度である。
航空通信全119問中 8問を掲載
問25航空移動業務の管制通信に用いられるVHF帯の周波数範囲として、正しいものはどれか。
- ✔118.000〜136.975MHz
- 2225〜400MHz
- 3108.000〜117.975MHz
- 42〜30MHz
- 5137.000〜150.000MHz
解説:【正解】1「118.000〜136.975MHz」
航空管制通信のVHF帯は118.000〜136.975MHz。108.000〜117.975MHzはVOR/ILSローカライザー等の航法用、2〜30MHzのHFは洋上等の長距離通信、UHF(225〜400MHz)は主に軍用である。
問26国際航空緊急周波数(VHF)はどれか。
- 1126.2MHz
- ✔121.5MHz
- 3123.45MHz
- 4118.1MHz
- 5243.0MHz
解説:【正解】2「121.5MHz」
VHFの国際航空緊急周波数は121.5MHz。UHFでは243.0MHzが対応する。ELT(非常用位置指示無線標識)も121.5MHzで送信し、現在は406MHzの衛星対応型が主流である。
問27遭難通信(Distress)を開始する際の呼びかけとして、正しいものはどれか。
- 1HELP を3回
- 2SECURITE を3回
- ✔MAYDAY を3回
- 4PAN PAN を3回
- 5EMERGENCY を1回
解説:【正解】3「MAYDAY を3回」
遭難通信(重大かつ差し迫った危険があり即時の救助を要する場合)はMAYDAYを3回繰り返す。緊急通信(安全に関わるが即時の救助までは要しない場合)はPAN PANを3回繰り返す。
問28PAN PAN の使用が適切な状況はどれか。
- 1機内で火災が発生し制御不能な状況
- 2通常の位置通報を行う状況
- 3エンジンが停止し不時着が不可避な状況
- ✔航行に支障はあるが直ちに生命の危険はなく、優先的な取扱いを求めたい状況
- 5管制指示に対する了解を伝える状況
解説:【正解】4「航行に支障はあるが直ちに生命の危険はなく、優先的な取扱いを求めたい状況」
PAN PANは緊急通信で、航空機や搭乗者の安全に関わるが直ちに救助を要しない状況(軽度の機体不具合、病人発生、燃料残量の懸念等)で用いる。差し迫った危険にはMAYDAYを用いる。
問29フォネティックコードで文字「J」を表す語はどれか。
- 1Jupiter
- 2Jolly
- 3Junior
- 4Japan
- ✔Juliett
解説:【正解】5「Juliett」
ICAOフォネティックコードでJはJuliett(tを2つ重ねる綴りが正式)。他にA=Alfa、B=Bravo、C=Charlie、E=Echo、G=Golf、I=India、Q=Quebec、V=Victor、X=X-ray等。
問30フォネティックコードで文字「Q」を表す語はどれか。
- ✔Quebec
- 2Quick
- 3Quiet
- 4Quantum
- 5Queen
解説:【正解】1「Quebec」
QはQuebec(ケベック)。似た誤答としてQueenが挙げられやすいので注意。K=Kilo、L=Lima、M=Mike、N=November、O=Oscar、P=Papa、R=Romeoとあわせて覚える。
問31航空無線において数字「9」を通話する際の標準的な発音はどれか。
- 1ナインティ
- ✔ナイナー
- 3ノイン
- 4ヌメラルナイン
- 5ナイン
解説:【正解】2「ナイナー」
無線電話では聞き取り誤りを防ぐため、3はTREE、4はFOWER、5はFIFE、9はNINER、1000はTOUSAND等と発音する。9をNINERとするのはドイツ語のnein(いいえ)との混同を避けるためでもある。
問32航空無線用語「ROGER」の意味として、正しいものはどれか。
- 1繰り返してほしい
- 2了解し、そのとおり実行する
- ✔最後の送信を受信した
- 4訂正する
- 5要求を許可する
解説:【正解】3「最後の送信を受信した」
ROGERは「あなたの最後の送信を受信した」を意味するだけで、指示への同意や実行を意味しない。指示に従う場合はWILCO(Will Comply)を用いる。管制許可の復唱が必要な場合はROGERでは不十分である。
航空工学全215問中 8問を掲載
問33揚力の大きさに影響しない要素はどれか。
- ✔操縦席の座席位置
- 2空気密度
- 3揚力係数(迎角・翼型)
- 4対気速度
- 5翼面積
解説:【正解】1「操縦席の座席位置」
揚力L=1/2・ρ・V²・S・CL で表される。ρ(空気密度)、V(対気速度)、S(翼面積)、CL(揚力係数=迎角と翼型で決まる)が要素。座席位置は重心には影響するが揚力の式には現れない。
問34対気速度が2倍になった場合、他の条件が同じであれば揚力はどうなるか。
解説:【正解】2「4倍」
揚力は速度の2乗に比例するため、速度2倍で揚力は2²=4倍になる。同様に抗力も速度の2乗に比例して増加する。この関係が失速速度や運動速度の考え方の基礎となる。
問35失速が発生する原因として、正しいものはどれか。
- 1重量が軽いとき発生する
- 2高度が高いとき発生する
- ✔迎角が臨界迎角(失速迎角)を超えたときに翼上面の流れが剥離して発生する
- 4対気速度が一定値を下回ったとき常に発生する
- 5エンジン出力が低下したとき発生する
解説:【正解】3「迎角が臨界迎角(失速迎角)を超えたときに翼上面の流れが剥離して発生する」
失速は迎角が臨界迎角を超えて翼上面の境界層が剥離することで生じる。したがって速度・姿勢・重量にかかわらず、どの速度・姿勢でも失速し得る(高速失速、旋回中の加速失速など)。
問36失速速度に影響を与えない要素はどれか。
- 1機体重量
- 2荷重倍数(バンク角)
- 3重心位置
- ✔塗装の色
- 5フラップ位置
解説:【正解】4「塗装の色」
失速速度は重量の平方根に比例し、荷重倍数の平方根に比例して増加する。フラップを下げるとCLmaxが増して失速速度は低下し、重心が前方にあるほど失速速度は高くなる。塗装色は無関係。
問37水平定常旋回においてバンク角60度をとった場合の荷重倍数はいくらか。
- 11.4G
- 24.0G
- 31.0G
- 42.8G
- ✔2.0G
解説:【正解】5「2.0G」
水平定常旋回の荷重倍数n=1/cosφ。cos60°=0.5なので n=2.0G。バンク30度で1.15G、45度で1.41G、75度で3.86Gとなる。失速速度はn の平方根倍になるため、60度バンクでは失速速度が約1.41倍になる。
問38失速速度50ktの機体が、バンク角60度で水平旋回する場合の失速速度はおよそいくらか。
- ✔71kt
- 2100kt
- 358kt
- 487kt
- 550kt
解説:【正解】1「71kt」
旋回中の失速速度=水平飛行時の失速速度×√n。バンク60度でn=2.0なので、50×√2≒50×1.414≒70.7kt。急旋回時に失速速度が大きく上昇することを示す重要な関係である。
問39誘導抗力について、正しい記述はどれか。
- 1アスペクト比が小さいほど小さくなる
- ✔揚力の発生に伴う翼端渦によって生じ、低速・高迎角ほど大きくなる
- 3揚力とは無関係に生じる
- 4機体表面の摩擦によって生じる
- 5速度が増すほど大きくなる
解説:【正解】2「揚力の発生に伴う翼端渦によって生じ、低速・高迎角ほど大きくなる」
誘導抗力は揚力発生に伴う翼端渦(吹き下ろし)によって生じ、速度の2乗に反比例するため低速・高迎角で大きい。有害抗力は速度の2乗に比例する。両者の和が最小となる速度が最良滑空速度・最大航続時間に関係する。
問40アスペクト比の大きい翼の特徴として、正しいものはどれか。
- 1有害抗力が必ず大きい
- 2誘導抗力が大きく、滑空性能が低い
- ✔誘導抗力が小さく、滑空性能に優れるが、構造重量が増し高速運動性に劣る
- 4翼端渦が強くなる
- 5失速迎角が著しく小さい
解説:【正解】3「誘導抗力が小さく、滑空性能に優れるが、構造重量が増し高速運動性に劣る」
アスペクト比(翼幅²/翼面積)が大きいほど翼端渦の影響が相対的に小さくなり誘導抗力が減少する。グライダーの細長い翼が典型例。一方で曲げモーメントが大きく構造重量が増し、ロール応答も鈍くなる。
人的要因全60問中 8問を掲載
問41CRM(Crew Resource Management)の目的として、最も適切なものはどれか。
- ✔人的資源・機器・情報等の利用可能なすべての資源を有効に活用し、安全で効率的な運航を実現すること
- 2上下関係を明確にすること
- 3整備コストを削減すること
- 4操縦技量の向上のみを目的とする
- 5訓練時間を短縮すること
解説:【正解】1「人的資源・機器・情報等の利用可能なすべての資源を有効に活用し、安全で効率的な運航を実現すること」
CRMは乗員間のコミュニケーション、状況認識、意思決定、リーダーシップとフォロワーシップ、ワークロード管理等を通じ、利用可能な資源を最大限活用して安全を確保する概念。単独機の運航でもSRM(単独操縦者資源管理)として応用される。
問42操縦者の「5つの危険な態度」に含まれないものはどれか。
- 1不死身感(自分は事故に遭わない)
- ✔慎重性(十分に検討する)
- 3反権威(誰にも指図されない)
- 4衝動性(すぐに行動しなければ)
- 5マッチョ(自分ならできる)
解説:【正解】2「慎重性(十分に検討する)」
危険な態度は反権威、衝動性、不死身感、マッチョ、諦め(自分にはどうにもならない)の5つ。それぞれに対する解毒思考(例:不死身感には「それは自分にも起こり得る」)を意識的に用いることが対策となる。
問43DECIDEモデルの構成要素として、適切でないものはどれか。
- 1Choose(望ましい結果の選択)
- 2Detect(変化の検知)
- ✔Delegate(他者への委任)
- 4Identify(可能な行動の特定)
- 5Estimate(対応の必要性の評価)
解説:【正解】3「Delegate(他者への委任)」
DECIDEはDetect(検知)、Estimate(評価)、Choose(選択)、Identify(行動の特定)、Do(実行)、Evaluate(結果の評価)の頭文字。委任は含まれない。継続的な評価により意思決定を循環させる点が重要。
問44PAVEチェックリストの構成要素として、正しい組合せはどれか。
- 1Position・Altitude・Vector・Endurance
- 2Power・Attitude・Velocity・Energy
- 3Plan・Action・Verify・Execute
- ✔Pilot(操縦者)・Aircraft(航空機)・enVironment(環境)・External pressures(外的圧力)
- 5Preflight・Approach・VFR・Emergency
解説:【正解】4「Pilot(操縦者)・Aircraft(航空機)・enVironment(環境)・External pressures(外的圧力)」
PAVEは飛行前のリスク評価枠組みで、操縦者自身(IMSAFE)、航空機(性能・装備・整備)、環境(気象・地形・空域・昼夜)、外的圧力(時間的制約、期待、目的地への固執)の4領域を点検する。
問45「目的地への固執(Get-there-itis/Plan Continuation Bias)」について、正しい記述はどれか。
- 1訓練生特有の現象である
- 2気象が良好なときにのみ生じる
- 3計画性の高さを示す好ましい傾向である
- 4経験豊富な操縦者には生じない
- ✔当初の計画を完遂しようとする心理的傾向により、悪化する状況の中で引き返し・代替地への転進の判断が遅れる現象である
解説:【正解】5「当初の計画を完遂しようとする心理的傾向により、悪化する状況の中で引き返し・代替地への転進の判断が遅れる現象である」
計画継続バイアスは経験の有無を問わず生じ、多くの気象関連事故の背景要因となる。対策として、出発前に「引き返す条件」を数値で具体的に決めておく(パーソナルミニマム)ことが有効である。
問46状況認識(Situational Awareness)の喪失を示す兆候として、適切でないものはどれか。
- ✔乗員間で情報が共有され疑問が随時解消されている
- 2確定していない事項が放置されている
- 3計画に対する不一致(違和感)を無視している
- 4誰も操縦していない・誰も見張っていない状態がある
- 5手順やチェックリストの逸脱がある
解説:【正解】1「乗員間で情報が共有され疑問が随時解消されている」
SA喪失の兆候には、曖昧さの放置、違和感の無視、固定観念、目標への固執、手順逸脱、コミュニケーション不良等がある。情報が共有され疑問が解消されている状態はむしろ良好なSAを示す。
問47ヒューマンエラーの分類において「スリップ(Slip)」の説明として、正しいものはどれか。
- 1意図的な規則違反
- ✔意図は正しいが、行動が意図と異なってしまう(実行の失敗)
- 3やるべきことを忘れる(記憶の失敗)
- 4情報が不足している状態
- 5計画そのものが誤っている(意図の失敗)
解説:【正解】2「意図は正しいが、行動が意図と異なってしまう(実行の失敗)」
スリップは意図は正しいが操作を誤るもの(違うスイッチを操作する等)、ラプスは記憶の失敗(手順の飛ばし)、ミステイクは計画・判断そのものの誤り。バイオレーションは意図的な逸脱で、これらは対策が異なる。
問48スイスチーズモデルが示す考え方として、正しいものはどれか。
- 1人的過誤のみが事故の原因である
- 2防護層は多いほど穴も増える
- ✔複数の防護層に存在する潜在的な穴が偶然一直線に並んだときに事故が発生する
- 4事故は予測不可能である
- 5事故は単一の原因により発生する
解説:【正解】3「複数の防護層に存在する潜在的な穴が偶然一直線に並んだときに事故が発生する」
リーズンのスイスチーズモデルは、組織要因・監督・前提条件・不安全行為といった複数の防護層の穴(潜在的・即発的失敗)が整列したときに事故に至るとする。個人の責任追及より、層の穴を塞ぐ組織的対策を促す。
回転翼航空機全53問中 8問を掲載
問49ヘリコプターのコレクティブ・ピッチ・レバーの機能として、正しいものはどれか。
- ✔メインローター全ブレードのピッチ角を同時に増減させ、揚力の大きさを制御する
- 2エンジンの燃料を遮断する
- 3テールローターのピッチを変える
- 4ローター円板を傾けて進行方向を制御する
- 5降着装置を操作する
解説:【正解】1「メインローター全ブレードのピッチ角を同時に増減させ、揚力の大きさを制御する」
コレクティブは全ブレードのピッチを同時に変化させ揚力(推力)の大きさを制御する。サイクリックはローター円板を傾けて方向を、ペダルはテールローターピッチを変えて機首方位を制御する。
問50ヘリコプターのサイクリック・スティックの機能として、正しいものはどれか。
- 1機首方位を制御する
- ✔ブレードのピッチを回転位置に応じて周期的に変化させ、ローター円板を傾けて機体の進行方向を制御する
- 3回転数を制御する
- 4ブレーキを操作する
- 5揚力の大きさを制御する
解説:【正解】2「ブレードのピッチを回転位置に応じて周期的に変化させ、ローター円板を傾けて機体の進行方向を制御する」
サイクリックはスワッシュプレートを傾け、ブレードピッチを方位角に応じて周期的に変化させることでローター円板(ティップパスプレーン)を傾ける。傾いた方向へ推力成分が生じて機体が移動する。
問51ヘリコプターのアンチトルクペダルの機能として、正しいものはどれか。
- 1高度を制御する
- 2ピッチを制御する
- ✔テールローターのピッチを変化させ、機首方位(ヨー)を制御する
- 4ロールを制御する
- 5速度を制御する
解説:【正解】3「テールローターのピッチを変化させ、機首方位(ヨー)を制御する」
ペダルはテールローターのピッチを変化させて反トルクの大きさを調整し、機首方位を制御する。ホバリング中の方位保持と、出力変化に伴う反トルク変化への対応が主な役割となる。
問52全関節型(フルアーティキュレーテッド)ローターの特徴として、正しいものはどれか。
- 1ブレードが胴体に剛結されている
- 2フラッピングのみが可能である
- 32枚ブレードにのみ用いられる
- ✔ブレードがフラッピング・リードラグ・フェザリングの3つの自由度を持つ
- 5ピッチ変更ができない
解説:【正解】4「ブレードがフラッピング・リードラグ・フェザリングの3つの自由度を持つ」
全関節型はフラッピング(上下)、リードラグ(前後)、フェザリング(ピッチ変更)の3自由度を持ち、3枚以上のブレードに用いられる。シーソー型(2枚)はフラッピングとフェザリング、リジッド型は撓みで吸収する。
問53ブレードのリードラグ運動が必要となる理由として、正しいものはどれか。
- 1各ブレードのピッチ角を独立に変化させ、揚力の非対称を解消するため
- 2回転面に生じる空気抵抗を打ち消し、必要馬力を低減するため
- 3回転により生じる高周波の騒音と振動を機体から遮断するため
- 4ブレード先端の速度を上げ、発生する揚力を増大させるため
- ✔フラッピングにより重心の回転中心からの距離が変化し、角運動量保存(コリオリ効果)によりブレードが加減速するため
解説:【正解】5「フラッピングにより重心の回転中心からの距離が変化し、角運動量保存(コリオリ効果)によりブレードが加減速するため」
ブレードが上方にフラップすると重心が回転軸に近づき、角運動量保存により加速しようとする。この応力を逃がすためリードラグ(ハンチング)の自由度とダンパーが設けられる。
問54ヘリコプターの前進飛行における「後退側ブレード失速」について、正しい記述はどれか。
- ✔前進速度が増すほど後退側ブレードの相対速度が低下し、揚力を保つため迎角が増して失速に至る現象で、最大前進速度を制限する
- 2ホバリング中に左右のブレードの揚力差が拡大して生じる現象である
- 3低速飛行時に後退側の相対速度が過大となって生じる現象である
- 4出力を増加させてローター回転数を上げれば確実に解消できる現象である
- 5相対速度が最も大きい前進側ブレードの翼根付近から発生する現象である
解説:【正解】1「前進速度が増すほど後退側ブレードの相対速度が低下し、揚力を保つため迎角が増して失速に至る現象で、最大前進速度を制限する」
後退側では相対速度が小さいため大きな迎角が必要となり、高速・高重量・高密度高度・急旋回等の条件で失速に至る。兆候は振動、機首上げ、後退側へのロール。対処は速度と出力を下げ、コレクティブを下げること。
問55有効転移揚力(ETL:Effective Translational Lift)について、正しい記述はどれか。
- 1後退飛行でのみ生じる
- ✔概ね対気速度16〜24kt付近でローターが自らの吹き下ろしから抜け出し、効率が向上して揚力が増す現象
- 3ホバリング時に最大となる
- 4テールローターの現象である
- 5高高度でのみ生じる
解説:【正解】2「概ね対気速度16〜24kt付近でローターが自らの吹き下ろしから抜け出し、効率が向上して揚力が増す現象」
対気速度が増すとローターが自身の再循環気流から脱し、より多くの未擾乱空気を得て効率が向上する。概ね16〜24ktで顕著となり、機首上げ傾向と振動の変化として体感される。離陸性能の重要な要素である。
問56オートローテーション中のローター回転数(Nr)の管理として、正しいものはどれか。
- 1ペダルで回転数を制御する
- 2回転数は低いほど良い
- ✔コレクティブの操作により回転数を規定範囲に保ち、低すぎても高すぎても危険である
- 4回転数は高いほど良い
- 5回転数は自然に一定に保たれるため操作は不要である
解説:【正解】3「コレクティブの操作により回転数を規定範囲に保ち、低すぎても高すぎても危険である」
オートローテーション中はコレクティブで回転数を管理する。回転数が低すぎると揚力とエネルギーが不足し回復不能となり、高すぎるとブレードやハブに過大な遠心力が作用する。規定範囲の維持が生存の鍵となる。