分野別問題(解説つき)

精神保健福祉士国家試験|分野別 問題インデックス

最終更新:2026年8月11日

精神保健福祉士国家試験は18科目から出題されます。分野別に代表問題を掲載しています。全1000問をまとめて解くならトレーナーへ進んでください。

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精神医学と精神医療全81問中 8問を掲載

問1
統合失調症の症状に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1感情鈍麻や意欲減退は陽性症状に分類される。
  • ✔陽性症状は抗精神病薬による改善が比較的得られやすい。
  • 3陰性症状は急性期にのみ出現し、慢性期には消失する。
  • 4統合失調症では認知機能の障害はみられない。
  • 5幻聴や妄想は陰性症状に分類される。
解説:陽性症状(幻覚・妄想・思考障害・興奮)はドパミン系の過活動が関与するとされ、抗精神病薬による反応が比較的良好です。1と5は分類が逆で、幻聴・妄想は陽性症状、感情鈍麻・意欲減退・社会的引きこもりは陰性症状です。3は誤りで、陰性症状はむしろ慢性期に前景化しやすい。4も誤りで、注意・記憶・遂行機能などの認知機能障害は生活障害の中核をなし、就労や地域生活の支援を考えるうえで重要です。
問2
抗精神病薬の副作用である悪性症候群に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
  • ✔血清クレアチンキナーゼ(CK)の上昇がみられる。
  • 2発症時には直ちに原因薬剤を増量する。
  • 3筋肉の弛緩が主要な症状である。
  • 4抗精神病薬服用者の約半数に発症する。
  • 5低体温が特徴的な症状である。
解説:悪性症候群は高熱・筋強剛・意識障害・自律神経症状を呈し、横紋筋融解に伴い血清CKが著明に上昇します。頻度は0.1〜1%程度と低いものの致死率が高く、疑われた場合は直ちに原因薬剤を中止し、全身管理とダントロレン投与などを行います。したがって5(低体温ではなく高熱)、2(増量ではなく中止)、3(弛緩ではなく強剛)、4(半数ではなく1%未満)はいずれも誤りです。
問3
炭酸リチウムに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1副作用として腎機能障害が生じることはない。
  • 2妊娠中でも安全性が高く第一選択薬とされる。
  • 3効果は服用後数分以内に発現する。
  • 4主として統合失調症の陰性症状に用いられる。
  • ✔治療域と中毒域が近接しており、血中濃度のモニタリングが必要である。
解説:炭酸リチウムは双極症の気分安定薬の代表で、有効血中濃度域が狭く中毒域と近いため定期的な血中濃度測定(TDM)が必須です。中毒時には振戦・嘔吐・運動失調・意識障害を呈します。長期使用で腎機能障害や甲状腺機能低下が生じうるため1は誤り。催奇形性(心奇形)が知られており妊娠中は慎重投与のため2も誤り。効果発現には日〜週単位を要し、適応は双極症であるため3・4も誤りです。
問4
アルツハイマー型認知症の特徴として、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • ✔初期から近時記憶の障害が目立つ。
  • 2具体的な内容の幻視とパーキンソニズムを特徴とする。
  • 3急激に発症し、症状に著しい日内変動がみられる。
  • 4症状が階段状に悪化する経過をたどる。
  • 5初期から人格変化や脱抑制が前景に立つ。
解説:アルツハイマー型認知症は緩徐に進行し、初期から近時記憶(新しい出来事を覚える力)の障害が目立ち、病識の低下を伴うことが多いのが特徴です。4は血管性認知症、5は前頭側頭型認知症、2はレビー小体型認知症の特徴です。3は認知症ではなくせん妄の特徴で、両者の鑑別は支援の方向性を大きく変えるため重要です。
問5
せん妄に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1高齢者では発症頻度が低い。
  • 2意識障害を伴わない。
  • 3数か月をかけて緩徐に発症する。
  • ✔身体疾患や薬剤が誘因となることが多い。
  • 5症状は一日を通じて一定である。
解説:せん妄は軽度の意識混濁を基盤とした急性の脳機能不全で、感染症・脱水・電解質異常・手術侵襲などの身体的要因や、ベンゾジアゼピン系薬・抗コリン薬などの薬剤が誘因となります。急性発症し、夜間に増悪する日内変動が特徴で、高齢者ではリスクが高い。原因の除去と環境調整が対応の基本であり、認知症との鑑別が重要です。
問6
選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1抗うつ効果は服用直後から発現する。
  • 2セロトニン症候群を生じることはない。
  • 3主に不眠症の治療薬として承認されている。
  • ✔投与初期に悪心などの消化器症状が出現しやすい。
  • 5抗コリン作用は三環系抗うつ薬より強い。
解説:SSRIは投与初期に悪心・嘔吐・下痢などの消化器症状が出やすく、多くは数日〜2週間で軽減します。三環系抗うつ薬に比べ抗コリン作用(口渇・便秘・尿閉)や心毒性は弱いため5は誤り。抗うつ効果の発現には通常2〜4週を要するため1も誤り。他のセロトニン作動薬との併用でセロトニン症候群を生じうるため2も誤り。適応はうつ病や不安症群であり3も誤りです。
問7
アルコール依存症に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1コルサコフ症候群では見当識は保たれる。
  • ✔離脱症状として振戦せん妄が出現することがある。
  • 3ウェルニッケ脳症はビタミンC欠乏によって生じる。
  • 4抗酒薬は飲酒欲求を直接抑制する薬剤である。
  • 5治療目標は断酒以外に設定されることはない。
解説:断酒後おおむね48〜72時間に発症する振戦せん妄は、意識変容・幻視・自律神経症状を伴う重篤な離脱症状で、身体管理を要します。ウェルニッケ脳症はビタミンB1(チアミン)欠乏によるため3は誤り。抗酒薬(ジスルフィラム等)はアルデヒド脱水素酵素を阻害して飲酒時の不快反応を起こす薬で、飲酒欲求そのものを抑えるのは飲酒量低減薬などであるため4も誤り。近年は減酒(ハームリダクション)も治療目標となりうるため5も誤り。コルサコフ症候群では見当識障害や作話がみられ1も誤りです。
問8
心的外傷後ストレス障害(PTSD)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1子どもには発症しない。
  • 2症状は外傷体験の直後にのみ出現し、遅れて発症することはない。
  • ✔侵入症状、回避、認知と気分の陰性の変化、覚醒度と反応性の著しい変化が主症状である。
  • 4治療では外傷体験に一切触れないことが推奨される。
  • 5診断には症状が6か月以上持続することが必要である。
解説:DSM-5-TRのPTSDは、侵入症状(フラッシュバック・悪夢)、回避、認知と気分の陰性の変化、覚醒度と反応性の著しい変化という4症状群で構成されます。数か月〜数年後に発症する遅発性の例もあり2は誤り。持続曝露療法など外傷記憶を扱う治療に有効性が確認されており4も誤り。症状の持続期間は1か月以上で5も誤り。6歳以下の子どもには別基準が設けられており1も誤りです。

現代の精神保健の課題と支援全81問中 8問を掲載

問1
自殺対策基本法に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
  • ✔2006年(平成18年)に制定された。
  • 2自殺は個人の問題であると法に明記されている。
  • 3都道府県による自殺対策計画の策定は任意である。
  • 4所管は文部科学省である。
  • 5対象は成人に限定されている。
解説:自殺対策基本法は2006年(平成18年)に制定され、自殺を「その多くが追い込まれた末の死」と位置づけ、社会的な取組として対策を進めることを基本理念としています。2016年(平成28年)の改正で、都道府県・市町村に自殺対策計画の策定が義務づけられ(3は誤り)、学校におけるSOSの出し方教育など若年層対策も強化されました(5は誤り)。所管は厚生労働省です。
問2
精神保健福祉センターに関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
  • 1すべての市町村に設置が義務づけられている。
  • 2業務は入院医療の提供に限られる。
  • 3精神医療審査会の事務は行わない。
  • 4デイケアを実施することはできない。
  • ✔精神保健福祉法に基づき、都道府県及び指定都市に設置される。
解説:精神保健福祉センターは精神保健福祉法第6条に基づき都道府県及び指定都市に設置される、地域精神保健福祉活動の技術的中核機関です。主な業務は、企画立案、普及啓発、調査研究、複雑困難な相談指導、精神医療審査会の事務、精神障害者保健福祉手帳および自立支援医療(精神通院医療)の 判定、組織育成などで、デイケアを実施している施設もあります。入院医療の提供機関ではありません。
問3
労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1派遣労働者は制度の対象外である。
  • ✔常時50人以上の労働者を使用する事業場に実施義務がある。
  • 3検査結果は本人ではなく事業者に直接通知される。
  • 4高ストレス者と判定された者は必ず就業制限の対象となる。
  • 5実施者は事業主本人が務めることとされている。
解説:ストレスチェック制度は2015年12月施行で、常時50人以上の労働者を使用する事業場に年1回の実施義務があります(50人未満は当面努力義務。2025年の法改正により将来的に全事業場へ拡大される方向です)。結果は実施者から本人に直接通知され、本人の同意なく事業者へ提供できません(3は誤り)。高ストレス者は本人の申出により医師の面接指導につなげる仕組みで、自動的な就業制限ではありません(4は誤り)。実施者は医師・保健師等の有資格者に限られます(5は誤り)。
問4
いじめ防止対策推進法に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
  • 1学校にいじめ防止基本方針を策定する義務はない。
  • 2重大事態が発生しても調査組織の設置は不要である。
  • 3適用対象は小学校のみである。
  • ✔2013年(平成25年)に制定された。
  • 5インターネットを通じて行われるものはいじめの定義に含まれない。
解説:いじめ防止対策推進法は2013年(平成25年)に制定されました。いじめは「当該児童等が心身の苦痛を感じているもの」と被害者の主観を基準に定義され、インターネットを通じて行われるものも含まれます(5は誤り)。学校にはいじめ防止基本方針の策定と組織の設置が義務づけられ(1は誤り)、生命・心身・財産に重大な被害が生じた疑い等の重大事態では調査組織による事実関係の調査が求められます(2は誤り)。対象は小・中・高・特別支援学校です。
問5
ギャンブル等依存症対策基本法に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
  • 1都道府県による推進計画の策定は法的義務である。
  • 2対象は公営競技のみで、ぱちんこ等は含まれない。
  • 3医療提供体制の整備は法の対象に含まれない。
  • 4本人以外の家族に対する支援は法の対象外である。
  • ✔2018年(平成30年)に成立した。
解説:ギャンブル等依存症対策基本法は2018年(平成30年)に成立しました。都道府県の推進計画策定は努力義務とされており(1は誤り)、対象となる「ギャンブル等」には公営競技のほかぱちんこ等も含まれます(2は誤り)。基本的施策として予防教育、相談支援、医療提供体制の整備、社会復帰支援、民間団体の活動支援などが定められ、本人だけでなく家族への支援も明記されています(3・4は誤り)。
問6
ひきこもり地域支援センターに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1生活困窮者自立支援法に基づく必須事業である。
  • ✔都道府県、指定都市等に設置され、市町村への設置も推進されている。
  • 3支援対象は18歳未満に限定されている。
  • 4医師の配置が必置とされている。
  • 5本人以外の家族からの相談は受け付けない。
解説:ひきこもり地域支援センターは、都道府県・指定都市に整備されてきましたが、2022年度からの「ひきこもり支援推進事業」により市町村への設置も推進されています。ひきこもり支援コーディネーター(社会福祉士、精神保健福祉士、公認心理師等)を配置し、本人・家族からの相談に応じ、適切な支援へつなぎます。年齢の上限はなく(3は誤り)、家族支援は中核的な機能です(5は誤り)。根拠は生活困窮者自立支援法ではなく厚生労働省の予算事業です(1は誤り)。
問7
災害派遣精神医療チーム(DPAT)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1発災から1か月以上経過した後に活動を開始する。
  • 2身体救急医療の提供を主たる任務とする。
  • 3被災地域の精神科医療機関の支援は業務に含まれない。
  • 4構成員に精神保健福祉士が含まれることはない。
  • ✔精神科医師、看護師、業務調整員等で構成される。
解説:DPATは、精神科医師・看護師・業務調整員(ロジスティクス担当)を基本構成とし、必要に応じ精神保健福祉士、公認心理師、薬剤師等が加わります(4は誤り)。発災後おおむね48時間以内に活動を開始する先遣隊が置かれ(1は誤り)、被災地域の精神科医療機関の機能停止に伴う患者の移送支援、避難所での精神保健活動、支援者支援などを担います(2・3は誤り)。
問8
産後うつに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1産婦健康診査は公費助成の対象外である。
  • ✔エジンバラ産後うつ病質問票(EPDS)がスクリーニングに用いられる。
  • 3マタニティブルーズと同一の概念である。
  • 4発症頻度は1%未満である。
  • 5児童虐待のリスク要因とはならない。
解説:産後うつのスクリーニングにはEPDSが広く用いられ、産婦健康診査(産後2週・1か月)で実施され公費助成の対象となっています(1は誤り)。マタニティブルーズは産後数日以内に生じ2週間程度で自然軽快する一過性の状態で、産後うつとは区別されます(3は誤り)。発症頻度はおおむね10%前後とされ(4は誤り)、養育困難や虐待のリスク要因となるため、母子保健と児童福祉の連携(こども家庭センター等)が重要です(5は誤り)。

精神保健福祉の原理全81問中 8問を掲載

問1
精神保健福祉士法に規定された精神保健福祉士の義務等に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
  • 1義務違反に対する罰則規定は設けられていない。
  • ✔誠実義務、信用失墜行為の禁止、秘密保持義務、連携等、資質向上の責務が規定されている。
  • 3精神保健福祉士は業務独占の資格である。
  • 4秘密保持義務は精神保健福祉士でなくなった後には及ばない。
  • 5主治の医師の指導を受ける義務は規定されていない。
解説:精神保健福祉士法には、誠実義務(第38条の2)、信用失墜行為の禁止(第39条)、秘密保持義務(第40条)、連携等および主治の医師の指導を受ける義務(第41条)、資質向上の責務(第41条の2)、名称の使用制限(第42条)が定められています。名称独占資格であり(3は誤り)、秘密保持義務は資格喪失後も継続します(4は誤り)。秘密保持義務違反には1年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が科されます(1は誤り)。
問2
宇都宮病院事件に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
  • 11950年(昭和25年)の精神衛生法制定の直接の契機となった。
  • 2ライシャワー事件の別称である。
  • 3この事件を機に任意入院制度が廃止された。
  • 4この事件を受けて優生保護法が制定された。
  • ✔1984年(昭和59年)に発覚し、精神衛生法から精神保健法への改正の契機となった。
解説:宇都宮病院事件は1984年(昭和59年)、看護職員の暴行により患者が死亡した事件が報道され、無資格診療や不当な処遇の実態が明らかになったものです。国際的な批判を受け、1987年(昭和62年)の精神保健法改正につながり、任意入院制度の創設(3は誤り)、精神医療審査会の設置、告知義務、社会復帰施設の法定化など、人権擁護と社会復帰促進が法の目的に位置づけられました。1964年のライシャワー事件は1965年の精神衛生法改正の契機です。
問3
ノーマライゼーションの理念に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1日本では1960年代に法制化された理念である。
  • 2身体障害者を対象として提唱された理念である。
  • ✔バンク-ミケルセンの提唱を受け、1959年のデンマークの法律に反映された。
  • 4アメリカのヴォルフェンスベルガーが最初に提唱した理念である。
  • 5障害のある人を一般社会から分離して保護することを目的とする。
解説:ノーマライゼーションは、知的障害のある子をもつ親の会の運動を背景に、デンマークのバンク-ミケルセンが提唱し、1959年法に反映されました(2は誤り)。その後スウェーデンのニィリエが「8つの原理」として体系化し、ヴォルフェンスベルガーが北米で「ソーシャルロール・バロリゼーション(社会的役割の価値付け)」へと発展させました(4は誤り)。障害のある人の生活条件を可能な限り一般社会と同じにすることを目指す理念です(5は誤り)。
問4
リカバリーの概念に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1症状が完全に消失した状態のみを指す。
  • ✔障害があっても希望をもち、主体的に自分らしい人生を再構築していく過程である。
  • 3専門職が主導して当事者に達成させるものである。
  • 4パーソナルリカバリーと臨床的リカバリーは同義である。
  • 5アンソニーはリカバリーを直線的に進む過程と定義した。
解説:アンソニー(Anthony, W.)はリカバリーを、態度・価値・感情・目標・役割の変化を伴う、きわめて個人的で独自な過程であり、疾患による制約があっても満足で希望に満ちた人生を生きる道であると述べました。症状消失(臨床的リカバリー)とは区別されるパーソナルリカバリーの概念であり(1・4は誤り)、当事者自身が主体である点が核心です(3は誤り)。直線的ではなく後退も含む非直線的な過程とされます(5は誤り)。
問5
いわゆるY問題に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1精神保健福祉士法の制定に反対する当事者運動の名称である。
  • 2Y氏が精神科病院内で死亡した事件を指す。
  • 3この問題を契機に日本精神医学ソーシャル・ワーカー協会は解散した。
  • ✔本人不在の相談・入院への関与を問い直し、精神医学ソーシャルワーカーの自己点検を促した。
  • 51990年代に発生した精神科病院における職員の虐待事件である。
解説:Y問題は1973年(昭和48年)の日本精神医学ソーシャル・ワーカー協会全国大会でY氏本人から提起されたもので、本人の意思を確認しないまま相談が進み、精神科への入院に至った経過が問われました。協会はこれを受けて活動を停止し、長期の議論を経て1982年に「札幌宣言」を採択、「精神障害者の社会的復権と福祉のための専門的・社会的活動」を実践の基軸に据えました。当事者の主体性と自己決定を出発点とする、精神保健福祉士の原点となる問題提起です。
問6
社会的入院に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1本人の希望に基づく短期間の入院を指す。
  • 2身体合併症の治療のための入院を指す。
  • 3日本の精神病床の平均在院日数は諸外国と比べて短い。
  • 4国の施策上、社会的入院の解消は目標とされていない。
  • ✔医学的には入院の必要性が乏しいが、退院後の生活基盤が整わないために入院が継続している状態をいう。
解説:社会的入院とは、医学的には入院治療の必要性が低いにもかかわらず、住まい・所得・支援体制など地域生活の基盤が整わないために入院が継続している状態です。日本の精神病床の平均在院日数は国際的に見て著しく長く(3は誤り)、2004年の「精神保健医療福祉の改革ビジョン」で「入院医療中心から地域生活中心へ」が掲げられ、受入条件が整えば退院可能な者の解消が目標とされました(4は誤り)。
問7
障害者の権利に関する条約(障害者権利条約)に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
  • 1合理的配慮の否定は差別に含まれないとされている。
  • 2日本は批准に先立つ国内法の整備を行わなかった。
  • 3第19条は労働及び雇用の権利について定めている。
  • ✔日本は2014年(平成26年)に批准した。
  • 5日本が2006年に批准し、2008年に国連総会で採択された。
解説:障害者権利条約は2006年に国連総会で採択され、日本は障害者基本法の改正(2011年)、障害者総合支援法の成立(2012年)、障害者差別解消法の制定(2013年)など国内法整備を進めたうえで、2014年(平成26年)1月に批准しました(2・5は誤り)。第2条で「合理的配慮の否定」を含む障害に基づく差別を定義し(1は誤り)、第19条は「自立した生活及び地域社会への包容」を定めています(3は誤り)。
問8
精神保健福祉士の援助における基本的視点として、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1社会資源の活用よりも本人の努力を重視する。
  • ✔疾病と障害が併存する特性をふまえ、生活者としての視点から支援する。
  • 3医学モデルに基づき症状の除去を最優先とする。
  • 4本人の意向よりも家族の意向を優先する。
  • 5生じている問題の原因を本人の性格傾向に求める。
解説:精神障害は疾病と障害が併存し、症状の変動が生活のしづらさに直結する特性があります。精神保健福祉士は、症状の除去のみを目的とする医学モデルではなく、人と環境の相互作用に着目し、生活者としての本人の主体性と自己決定を尊重する視点に立ちます。問題を個人に帰属させず(5は誤り)、社会資源の活用や環境への働きかけを含む支援を行います(1は誤り)。

ソーシャルワークの理論と方法(専門)全72問中 8問を掲載

問1
包括型地域生活支援プログラム(ACT)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1スタッフ1人あたりの担当利用者数は50人程度を標準とする。
  • 2主として症状の軽い利用者を対象とする。
  • 3支援は事業所内での面接に限定される。
  • 4当事者スタッフがチームに加わることはない。
  • ✔多職種チームが24時間365日の体制でアウトリーチを行う。
解説:ACT(Assertive Community Treatment)は、重い精神障害をもつ人が地域で生活し続けられるよう、精神科医・看護師・精神保健福祉士・作業療法士・就労支援専門職などの多職種チームが、24時間365日の体制で生活の場に出向いて(アウトリーチ)包括的に支援するプログラムです。スタッフ1人あたりの担当は10人程度と少数に設定され(1は誤り)、重度の利用者を主な対象とし(2は誤り)、ピアスタッフの参加も重視されます(4は誤り)。
問2
ストレングスモデルに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1サービスは事業所内で完結させることを原則とする。
  • 2ソロモンによって提唱された。
  • ✔病理や欠陥ではなく、個人の強みと地域の資源に着目する。
  • 4問題の原因を明確化することを支援の最優先事項とする。
  • 5支援関係は専門職が主導すべきものとされる。
解説:ストレングスモデルはラップ(Rapp, C.)とゴスチャ(Goscha, R.)により体系化され(2は誤り)、①焦点は病理でなくストレングス、②地域は障壁ではなく資源のオアシス、③支援は本人が望むことを出発点とする、④支援関係が根本で不可欠、⑤援助の場は地域である、⑥精神障害者は回復・変化できる、といった原則をもちます。ソロモンはエンパワメント理論で知られます。
問3
危機介入アプローチに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1介入期間は数年に及ぶことを前提とする。
  • 2危機状態にある人は援助を受け入れにくいため、介入は回復後に行う。
  • 3パールマンによって提唱された問題解決アプローチと同義である。
  • ✔キャプランの危機理論を基盤とし、短期集中的に介入する。
  • 5幼少期の体験の洞察を通じて人格の再構成を目指す。
解説:危機介入アプローチは、リンデマンの悲嘆研究とキャプランの危機理論を基礎に、ラポポートらによって体系化されました。人が危機状態にあるときは通常の対処機制が機能せず心理的均衡が崩れる一方、援助を受け入れやすい状態にあるとされ(2は誤り)、おおむね6〜8週間の短期集中的介入により、危機以前かそれ以上の適応水準への回復を目指します(1は誤り)。自殺の危険や災害後の支援などで用いられます。
問4
動機づけ面接に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1抵抗が生じた場合はより強い直面化で対応する。
  • 2統合失調症の陽性症状の除去を主たる目的とする。
  • 3開かれた質問は用いない。
  • ✔クライエントの両価性を扱い、内発的な変化への動機を引き出す。
  • 5説得と助言によって行動変容を促す指示的な技法である。
解説:動機づけ面接はミラーとロルニックにより開発された、協働的で目標志向的な会話スタイルです。「変わりたい/変わりたくない」という両価性(アンビバレンス)を尊重しながら、クライエント自身の言葉(チェンジトーク)を引き出し強化します。中核技法はOARS(開かれた質問、是認、聞き返し、要約)で(3は誤り)、直面化や説得は「間違い指摘反射」として避けるべきものとされます(1・5は誤り)。依存症支援で広く用いられます。
問5
社会生活技能訓練(SST)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • ✔学習理論に基づき、教示、モデリング、ロールプレイ、正のフィードバック、宿題という手順で進める。
  • 2誤った行動を指摘し修正することを中心に進める。
  • 3個別形式では実施できない。
  • 4参加者の希望する場面ではなく、支援者が設定した課題を扱う。
  • 5精神分析理論を理論的基盤とする。
解説:SSTは学習理論・社会的学習理論を基盤とする認知行動療法的アプローチで(5は誤り)、参加者が「できるようになりたい」と希望する具体的場面を課題に設定し(4は誤り)、教示→モデリング→ロールプレイ(行動リハーサル)→正のフィードバック→修正のためのフィードバック→再練習→宿題という流れで進めます。できている点を具体的にほめる正のフィードバックが原則で(2は誤り)、集団・個別いずれの形式でも実施可能です(3は誤り)。
問6
統合失調症をもつ人の家族心理教育に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1本人が同席しなければ実施できない。
  • 2効果を示す研究上の根拠は乏しい。
  • ✔家族の感情表出(EE)を低減させることで、再発率の低下に寄与するとされる。
  • 4家族が発症の原因であることを自覚してもらうことを目的とする。
  • 5情報提供のみで構成され、家族同士の交流は行わない。
解説:家族心理教育は、疾患や対応方法についての情報提供と、グループでの問題解決技法の練習を組み合わせたプログラムです。批判的コメント・敵意・情緒的巻き込まれすぎといった高EEが再発リスクと関連するという知見をふまえ、家族の負担軽減とコミュニケーションの改善を図ります。無作為化比較試験で再発率低下の効果が確認された、エビデンスに基づく実践(EBP)の代表例です(2は誤り)。家族を原因視しない立場に立ちます(4は誤り)。
問7
グループワークの展開過程のうち、準備期に行うこととして最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1メンバーとグループの目標について契約を結ぶ。
  • 2プログラム活動を通じてメンバー間の相互作用を促進する。
  • 3グループ活動全体の評価を行う。
  • 4メンバーの分離に伴う感情を取り扱う。
  • ✔援助者がメンバーの状況や感情を予測して受け止める波長合わせを行う。
解説:グループワークは準備期・開始期・作業期・終結期の4段階で展開します。準備期には、メンバーの選定、グループの計画、そして援助者があらかじめメンバーの感情や状況を予測して自らを準備する「波長合わせ(tuning-in)」を行います。1は開始期、2は作業期、3・4は終結期に該当します。
問8
スーパービジョンに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • ✔管理的機能、教育的機能、支持的機能の三つの機能をもつ。
  • 2バイジーの人事評価を行うことを主たる目的とする。
  • 3個人スーパービジョンの形式のみが認められている。
  • 4同僚同士で行うピアスーパービジョンという形式は存在しない。
  • 5コンサルテーションと同義である。
解説:カデューシン(Kadushin, A.)はスーパービジョンの機能を、管理的機能(業務の適切な遂行と組織的責任)、教育的機能(知識・技術の向上)、支持的機能(バーンアウトの予防と情緒的支え)の三つに整理しました。形式には個人・グループ・ピア・ライブ・セルフスーパービジョンがあります(3・4は誤り)。コンサルテーションは他分野の専門家から助言を得るもので、指導・管理責任を伴わない点が異なります(5は誤り)。

精神障害リハビリテーション論全45問中 8問を掲載

問1
IPS(個別就労支援プログラム)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1医療チームとは連携せず、就労支援機関が単独で行う。
  • 2対象は症状の軽い利用者に限定される。
  • ✔訓練を前提とせず、迅速に一般就労を目指し、就職後も期間を限定せず支援を継続する。
  • 4就労前に十分な職業訓練を段階的に積むことを原則とする。
  • 5本人の希望よりも職場側の条件を優先して職種を決定する。
解説:IPSは「place-then-train(就職してから訓練)」の考え方に立つ援助付き雇用モデルで、①希望する人は誰でも対象(症状の重さで排除しない)、②一般就労が目標、③迅速な求職活動、④本人の好みを重視、⑤医療チームとの統合、⑥期間を限定しない継続支援、⑦経済的な相談支援、という原則をもちます。段階的訓練を前提とする従来のtrain-then-placeモデルと対比されます。
問2
リハビリテーションの四つの領域に含まれないものを1つ選びなさい。
  • 1職業的リハビリテーション
  • 2社会的リハビリテーション
  • 3教育的リハビリテーション
  • ✔経済的リハビリテーション
  • 5医学的リハビリテーション
解説:リハビリテーションは一般に、医学的・職業的・社会的・教育的の四つの領域から構成されるとされます。近年はこれらを統合する「全人間的復権」の理念のもと、地域リハビリテーションという枠組みも重視されています。精神障害リハビリテーションでは、医療(治療・服薬管理)、職業(就労支援)、社会(生活技能・社会参加)、教育(本人・家族への心理教育)の各領域が相互に関連しながら展開されます。
問3
元気回復行動プラン(WRAP)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1作成には精神保健福祉士の同席が法律上義務づけられている。
  • 2作成後の見直しは行わないことが原則である。
  • ✔当事者自身が、自らの元気を保ち回復するための行動計画を作成する。
  • 4医師が作成し当事者に遵守を求める治療計画である。
  • 5薬物療法の用量調整を目的とするツールである。
解説:WRAP(Wellness Recovery Action Plan)はコープラン(Copeland, M. E.)らが当事者の経験に基づき開発したセルフヘルプのツールです。「元気に役立つ道具箱」を土台に、日常生活管理プラン、引き金、注意サイン、調子が悪くなってきているとき、クライシスプラン、クライシスを脱したときのプランで構成されます。作成・見直しの主体は当事者自身であり、リカバリー志向の実践を象徴するツールです。
問4
障害者総合支援法に基づく就労継続支援A型に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
  • 1雇用契約を締結せずに就労の機会を提供する。
  • 2利用対象は原則として65歳以上の者である。
  • 3一般就労への移行を目的とする原則2年間の有期のサービスである。
  • 4利用者への賃金の支払いは不要である。
  • ✔利用者と雇用契約を締結して就労の機会を提供する。
解説:就労継続支援A型は、雇用契約に基づく就労機会を提供する事業で、最低賃金が適用され賃金が支払われます(4は誤り)。雇用契約を結ばず工賃を支払うのはB型です(1は誤り)。原則として利用開始時に65歳未満であることが要件で(2は誤り)、標準利用期間の定めはありません。一般就労への移行を目的とする原則2年の有期サービスは就労移行支援です(3は誤り)。2025年10月からは就労選択支援も本格実施されています。
問5
国際生活機能分類(ICF)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1環境因子は分類の対象に含まれない。
  • 21980年にWHOにより採択された。
  • ✔生活機能を心身機能・身体構造、活動、参加の3要素で捉え、背景因子として環境因子と個人因子を位置づける。
  • 4機能障害、能力障害、社会的不利の3レベルで障害を捉える。
  • 5医学モデルのみに基づく分類である。
解説:ICFは2001年にWHO総会で採択され(2は誤り)、それ以前のICIDH(1980年)が機能障害・能力障害・社会的不利という一方向のマイナス面の捉え方であったのに対し(4は誤り)、生活機能(心身機能・身体構造/活動/参加)と背景因子(環境因子・個人因子)が相互に作用する統合モデルを採用しました(1・5は誤り)。精神障害では「活動」と「参加」に環境因子が大きく影響するため、環境への働きかけが支援の要点となります。
問6
リハビリテーションの理念に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1専門職による訓練の実施のみを指す。
  • 2社会や環境への働きかけは含まれない。
  • ✔身体機能の回復にとどまらず、人間らしく生きる権利の回復(全人間的復権)を意味する。
  • 4語源は「再び訓練すること」である。
  • 5対象は身体障害者に限られる。
解説:リハビリテーション(rehabilitation)は、re(再び)+habilis(適した、ふさわしい)に由来し、「再びふさわしい状態にすること」、すなわち人間としての尊厳や権利、名誉の回復を意味します(4は誤り)。単なる機能訓練ではなく、上田敏が示した「全人間的復権」の理念として理解され、本人への働きかけと同時に、社会的障壁の除去など環境への働きかけを含む包括的な営みです(1・2は誤り)。
問7
精神科作業療法に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1作業の完成度を高めることを主目的とする。
  • 2入院患者は対象とならない。
  • 3医師の指示は不要である。
  • 4対象者の意欲や興味を考慮する必要はない。
  • ✔医師の指示のもとで作業療法士が行い、診療報酬上の精神科専門療法に位置づけられる。
解説:精神科作業療法は、医師の指示のもと作業療法士が実施する診療報酬上の精神科専門療法で、入院・外来いずれの患者も対象となります(2・3は誤り)。手工芸、園芸、スポーツ、調理などの作業活動を媒介として、生活リズムの回復、対人交流、集中力や達成感の獲得を図るもので、目的は作品の完成度ではなく本人の生活機能と主体性の回復にあります(1は誤り)。本人の興味・関心に沿った活動選択が重要です(4は誤り)。
問8
地域活動支援センターに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1実施主体は都道府県である。
  • ✔障害者総合支援法の地域生活支援事業に位置づけられる市町村の事業である。
  • 3自立支援給付の訓練等給付に含まれる。
  • 4利用にあたり障害支援区分の認定が必要である。
  • 5対象は身体障害者に限られる。
解説:地域活動支援センターは、障害者総合支援法の地域生活支援事業(市町村事業)に位置づけられ、創作的活動や生産活動の機会の提供、社会との交流の促進などを行います(1・3は誤り)。機能強化事業の類型としてⅠ型(相談支援や普及啓発、専門職員配置)、Ⅱ型(機能訓練・入浴等)、Ⅲ型(小規模作業所からの移行等)があります。自立支援給付ではないため障害支援区分の認定は不要で(4は誤り)、精神障害者を含む障害者全般が対象です(5は誤り)。

精神保健福祉制度論全45問中 8問を掲載

問1
精神保健福祉法に規定する医療保護入院に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1入院期間について法律上の定めはない。
  • 2市町村長が同意者となることはできない。
  • ✔精神保健指定医1名の診察と家族等の同意により行うことができる。
  • 4本人の同意を得たうえで行う入院形態である。
  • 52名以上の精神保健指定医の診察の一致が必要である。
解説:医療保護入院は、精神保健指定医1名が入院の必要があると判定し、家族等のうちいずれかの者の同意があるときに行われます。家族等がいない場合や意思表示ができない場合には市町村長の同意によることができます(2は誤り)。2022年改正(2024年4月施行)により、家族等が同意・不同意の意思表示を行わない場合も市町村長同意が可能となり、入院期間(原則6か月以内、以後更新)と定期的な要件確認、入院者訪問支援事業が新設されました(1は誤り)。2名以上の指定医の診察が必要なのは措置入院です。
問2
措置入院に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
  • 172時間を限度とする入院形態である。
  • ✔2名以上の精神保健指定医の診察結果が一致した場合に、都道府県知事等が入院させる。
  • 3指定医1名の診察により市町村長が入院させる。
  • 4自傷他害のおそれの有無は要件とされていない。
  • 5入院費用は全額本人負担である。
解説:措置入院は、精神障害のために自傷他害のおそれがあると認められる者について、2名以上の精神保健指定医の診察結果が一致した場合に、都道府県知事(指定都市市長)が国等の設置した病院または指定病院に入院させる制度です(2が正しく3・4は誤り)。費用は原則として公費負担(所得に応じた費用徴収あり)で5は誤り。72時間を限度とするのは緊急措置入院・応急入院で1は誤りです。
問3
精神障害者保健福祉手帳に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
  • 1交付の決定は市町村長が行う。
  • ✔障害等級は1級から3級まであり、有効期間は2年である。
  • 3有効期間は5年である。
  • 4申請は市町村を経由せず直接都道府県知事に行う。
  • 5申請にあたり医師の診断書等は不要である。
解説:精神障害者保健福祉手帳は1級から3級まであり、有効期間は交付日から2年です。申請は居住地の市町村を経由して都道府県知事(指定都市市長)に行い、医師の診断書または精神障害を支給事由とする年金証書等の写しを添えます。判定は精神保健福祉センターが行い、交付決定は都道府県知事等が行います(1は誤り)。所得税・住民税の控除、公共料金の割引などの支援が受けられます。
問4
自立支援医療(精神通院医療)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1入院医療も給付の対象となる。
  • 2支給認定の有効期間は3年である。
  • 3申請の窓口は保健所に限られる。
  • 4所得にかかわらず自己負担上限額は設定されない。
  • ✔原則1割負担とされ、世帯の所得に応じた月額の自己負担上限額が設定される。
解説:自立支援医療(精神通院医療)は、精神疾患により継続的な通院医療を要する者の医療費自己負担を原則1割に軽減する制度で、世帯の所得区分と「重度かつ継続」に該当するか否かに応じて月額自己負担上限額が設定されます(4は誤り)。対象は通院医療(デイケア、訪問看護を含む)で入院は対象外(1は誤り)、有効期間は1年で更新が必要です(2は誤り)。申請窓口は市町村です(3は誤り)。
問5
精神医療審査会に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1退院請求を行うことができるのは家族等に限られる。
  • 2措置入院者の定期病状報告は審査の対象外である。
  • 3国に設置される機関である。
  • ✔医療保護入院の届出や退院請求・処遇改善請求の審査を行い、事務は精神保健福祉センターが担う。
  • 5委員はすべて精神科医で構成される。
解説:精神医療審査会は都道府県・指定都市に設置され(3は誤り)、事務は精神保健福祉センターが担います。委員は精神障害者の医療に関し学識経験を有する者(精神保健指定医)、精神障害者の保健又は福祉に関し学識経験を有する者、法律に関し学識経験を有する者で構成されます(5は誤り)。医療保護入院の届出や措置入院者・医療保護入院者の定期病状報告の審査(2は誤り)に加え、入院者本人または家族等からの退院請求・処遇改善請求の審査を行います(1は誤り)。
問6
任意入院に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1精神保健指定医の診察が必ず必要である。
  • 2退院の申出があった場合の退院制限は一切認められていない。
  • 3開放処遇を原則とする考え方はとられていない。
  • 4精神保健福祉法上の入院形態には含まれない。
  • ✔本人の同意に基づく入院であり、書面により入院の意思を確認する。
解説:任意入院は精神保健福祉法第20条に定める本人の同意に基づく入院形態で、入院時に権利等を書面で告知し、本人の同意を書面で確認します。入院の判断に指定医の診察は必須ではありません(1は誤り)。原則として本人からの退院の申出があれば退院させなければなりませんが、指定医の診察により必要と認められる場合は72時間を限度に退院を制限できます(2は誤り)。開放処遇が原則とされ(3は誤り)、精神科入院の中で最も多い形態です。
問7
退院後生活環境相談員に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1措置入院者のみを対象とする。
  • 2地域援助事業者を紹介することは業務に含まれない。
  • ✔医療保護入院者について、入院後7日以内に選任され、退院に向けた相談支援等を行う。
  • 4選任は病院の任意である。
  • 5医師のみが担うことができる。
解説:退院後生活環境相談員は2013年改正(2014年施行)で創設され、医療保護入院者について入院後7日以内に選任することが精神科病院の管理者に義務づけられています(4は誤り)。精神保健福祉士等が担い(5は誤り)、退院に向けた相談支援、地域援助事業者(相談支援事業者等)の紹介(2は誤り)、医療保護入院者退院支援委員会の開催に係る調整、退院調整などを行います。2024年施行の改正により、対象は措置入院者にも拡大されました(1は誤り)。
問8
応急入院に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1精神保健指定医の診察は不要である。
  • ✔急速を要し家族等の同意が得られない場合に、応急入院指定病院において72時間を限度に行う。
  • 3本人の同意に基づいて行う入院である。
  • 4入院期間の上限は定められていない。
  • 5すべての精神科病院で実施することができる。
解説:応急入院は、直ちに入院させなければ医療および保護を図るうえで著しく支障があり、かつ家族等の同意を得ることができない場合に、精神保健指定医の診察により(1は誤り)、都道府県知事が指定する応急入院指定病院において(5は誤り)72時間(特定医師による場合は12時間)を限度に行われる入院形態です(4は誤り)。本人の同意は要件ではありません(3は誤り)。自傷他害のおそれを要件とする緊急措置入院とは区別されます。

医学概論全36問中 8問を掲載

問1
世界保健機関(WHO)憲章における健康の定義として、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • ✔身体的、精神的及び社会的に完全に良好な状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない。
  • 2疾病や病弱が存在しない状態をいう。
  • 3医療機関を受診する必要がない状態をいう。
  • 4労働能力が保たれている状態をいう。
  • 5平均寿命まで生存できる状態をいう。
解説:WHO憲章(1948年発効)前文は、健康を「身体的、精神的及び社会的に完全に良好な状態(well-being)であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない」と定義しました。疾病の不在に還元しない包括的な定義であり、社会的側面を含む点が、生活支援を担うソーシャルワークの基盤となります。近年はこれに加え、スピリチュアルな側面や、疾病や障害があっても適応し自己管理する能力を重視する考え方も提起されています。
問2
糖尿病に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1日本の糖尿病患者の大半は1型である。
  • 2糖尿病では合併症は生じない。
  • ✔1型糖尿病は主として自己免疫機序による膵β細胞の破壊で生じる。
  • 41型糖尿病は生活習慣が主な原因である。
  • 52型糖尿病では必ずインスリン注射が必要である。
解説:1型糖尿病は自己免疫等により膵β細胞が破壊されインスリンが絶対的に欠乏するもので、小児・若年発症が多く、インスリン療法が必須です。2型は遺伝的素因に過食・運動不足・肥満などが加わって発症し、日本の糖尿病の約95%を占め、食事・運動療法や経口薬で管理されることが多い(1・5は誤り)。三大合併症(網膜症・腎症・神経障害)に加え、うつ病の併存率が高いことも精神保健福祉の実践上重要です(2は誤り)。
問3
標準予防策(スタンダードプリコーション)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1汗も感染性のあるものとして扱う。
  • 2医療機関以外の福祉施設では適用されない。
  • ✔すべての人の血液、体液、分泌物、排泄物、粘膜、損傷した皮膚を感染性があるものとして扱う。
  • 4感染症と診断された患者に対してのみ実施する。
  • 5手指衛生よりも手袋の着用を優先する。
解説:標準予防策は、感染症の有無にかかわらずすべての人に適用する基本的な予防策で、血液・体液・分泌物・排泄物(汗を除く)・粘膜・損傷皮膚を感染性がありうるものとして扱います(1・4は誤り)。中核は手指衛生であり、手袋を外した後も手指衛生を行います(5は誤り)。医療機関だけでなく福祉施設や在宅の場面でも適用される考え方です(2は誤り)。
問4
大脳の機能に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1海馬は運動の協調を司る。
  • ✔前頭葉は遂行機能や意欲、社会的行動の制御に関与する。
  • 3後頭葉は聴覚の中枢である。
  • 4側頭葉は視覚の一次中枢である。
  • 5頭頂葉は言語の産出を担うブローカ野が存在する。
解説:前頭葉(特に前頭前野)は、計画・判断・抑制などの遂行機能、意欲、社会的行動の制御を担い、損傷により脱抑制や意欲低下が生じます。後頭葉は視覚、側頭葉は聴覚と記憶・言語理解(ウェルニッケ野)に関与し、ブローカ野は前頭葉にあります(3・4・5は誤り)。海馬は記憶の固定に関与し、運動の協調は小脳が担います(1は誤り)。
問5
脳血管障害に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1くも膜下出血の主な原因は動脈硬化による血管の閉塞である。
  • 2脳血管障害の後遺症に高次脳機能障害が生じることはない。
  • 3一過性脳虚血発作は脳梗塞の危険因子とはならない。
  • 4左半球の損傷では左半側空間無視が生じやすい。
  • ✔脳梗塞は脳血管の閉塞により、脳出血は脳血管の破綻により生じる。
解説:脳梗塞は血栓・塞栓による血管の閉塞、脳出血は高血圧等による血管の破綻で生じます。くも膜下出血の主因は脳動脈瘤の破裂です(1は誤り)。後遺症として運動麻痺だけでなく、失語、記憶障害、注意障害、社会的行動障害などの高次脳機能障害が生じます(2は誤り)。一過性脳虚血発作は脳梗塞の前触れとして重要な危険因子であり(3は誤り)、半側空間無視は主に右半球損傷により左側に生じます(4は誤り)。
問6
難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1医療費助成に所得に応じた自己負担上限額は設けられていない。
  • ✔2014年(平成26年)に成立し、指定難病の患者に対する医療費助成等を定めている。
  • 3医療費助成の対象疾病は法律の別表に固定されており追加されない。
  • 4難病の患者は障害者総合支援法のサービスを利用できない。
  • 5難病相談支援センターに関する規定は置かれていない。
解説:難病法は2014年成立、2015年1月施行で、発病の機構が明らかでなく治療方法が確立していない希少な疾病であって長期の療養を必要とするものを「難病」と定義し、そのうち一定の要件を満たす指定難病について医療費助成を行います。対象疾病は順次拡大されており(3は誤り)、2021年の改正では登録者証の発行や助成開始時期の前倒しが行われました。難病等の者は障害者総合支援法のサービス対象であり(4は誤り)、難病相談支援センターの規定もあります(5は誤り)。自己負担には所得に応じた月額上限が設けられています(1は誤り)。
問7
廃用症候群に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1予防のためには安静を保つことが最も重要である。
  • ✔長期の臥床や活動性の低下により、筋萎縮、関節拘縮、起立性低血圧などが生じる。
  • 3高齢者にのみ生じるものである。
  • 4精神機能には影響を及ぼさない。
  • 5いったん生じると回復は望めない。
解説:廃用症候群は、安静や不活動の持続により全身の機能が低下する状態で、筋萎縮・筋力低下、関節拘縮、骨萎縮、起立性低血圧、心肺機能の低下、褥瘡などが生じます。年齢を問わず生じ(3は誤り)、意欲低下や見当識障害、抑うつなど精神機能にも及びます(4は誤り)。早期離床と適切な活動により予防・改善が可能であり(1・5は誤り)、精神科の長期入院においても、活動性の維持は重要な支援課題となります。
問8
緩和ケアに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1家族は支援の対象に含まれない。
  • 2身体的苦痛のみを対象とする。
  • ✔生命を脅かす疾患に伴う問題に直面する患者と家族のQOLを改善するアプローチである。
  • 4対象はがんの終末期の患者に限られる。
  • 5疾患の診断初期から導入することは推奨されていない。
解説:WHOの定義(2002年)では、緩和ケアは生命を脅かす疾患に関連する問題に直面する患者と家族に対し、痛みその他の身体的・心理社会的・スピリチュアルな問題を早期に把握・評価し対応することでQOLを改善するアプローチとされます(1・2は誤り)。対象はがんに限らず心不全等にも広がっており(4は誤り)、終末期に限定せず診断初期からの導入が推奨されています(5は誤り)。全人的苦痛(トータルペイン)の視点は、ソーシャルワークの生活支援と重なります。

心理学と心理的支援全40問中 8問を掲載

問1
マズローの欲求階層説に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • ✔生理的欲求、安全の欲求、所属と愛の欲求、承認の欲求、自己実現の欲求の順に階層をなす。
  • 2自己実現の欲求が最も基礎的な欲求とされる。
  • 3欲求は階層をなさず並列的であるとされる。
  • 4承認の欲求は生理的欲求より下位に位置づけられる。
  • 5欠乏欲求と成長欲求の区別は行われていない。
解説:マズロー(Maslow, A.)は人間の欲求を、生理的欲求→安全の欲求→所属と愛の欲求→承認(自尊)の欲求→自己実現の欲求という5段階の階層として示し、下位の欲求が一定程度満たされると上位の欲求が生じるとしました。下位4つを欠乏欲求、自己実現を成長欲求と区別しています(5は誤り)。生活基盤の安定が社会参加や自己実現の前提となるという、生活支援の考え方とも重なります。
問2
「自分の中の受け入れがたい感情を、他者がもっているものとして知覚する」防衛機制として、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • ✔投影
  • 2合理化
  • 3昇華
  • 4反動形成
  • 5退行
解説:投影(projection)は、自らの受け入れがたい欲求や感情を他者に帰属させる防衛機制です。合理化はもっともらしい理由づけで正当化すること、昇華は 社会的に受け入れられる形へ置き換えること、反動形成は本来の欲求と正反対の態度をとること、退行はより未熟な発達段階の行動に戻ることを指します。防衛機制の理解は、面接場面での言動の背景を読み解く助けになります。
問3
記憶に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1意味記憶は個人が経験した出来事の記憶である。
  • 2ワーキングメモリは長期記憶の一種である。
  • ✔手続き記憶は、自転車の乗り方のように言語化しにくい技能の記憶である。
  • 4エピソード記憶は言葉の意味に関する一般的知識の記憶である。
  • 5短期記憶の保持時間は数時間程度である。
解説:長期記憶は、言語化できる陳述記憶(エピソード記憶=個人が経験した出来事、意味記憶=一般的知識)と、言語化しにくい非陳述記憶(手続き記憶=技能)に大別されます。1と4は説明が入れ替わっています。短期記憶の保持は数十秒程度で(5は誤り)、情報を一時的に保持しながら処理するワーキングメモリは短期記憶を発展させた概念です(2は誤り)。統合失調症ではワーキングメモリの低下がしばしばみられます。
問4
認知行動療法に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1うつ病や不安症への有効性は確認されていない。
  • 2構造化された枠組みを用いず自由連想により進める。
  • ✔出来事の受け取り方(認知)と行動に働きかけ、ホームワークや行動実験を用いる。
  • 4幼少期の無意識的葛藤の洞察を主たる目的とする。
  • 5治療者が一方的に指示を与え、協働的な関係は重視されない。
解説:認知行動療法は、ベック(Beck, A.)の認知療法とスキナーらの行動理論を統合した心理療法で、自動思考や認知の偏りに気づき検証すること、行動活性化や曝露などの行動的技法を組み合わせることを特徴とします。アジェンダ設定やホームワークを含む構造化された枠組みと、治療者とクライエントの協働的経験主義を重視します(2・5は誤り)。うつ病・不安症・強迫症等で高いエビデンスがあります(1は誤り)。4は精神分析的心理療法の説明です。
問5
心理検査に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1MMPIは投影法の検査である。
  • 2WISCは成人を対象とする。
  • 3長谷川式認知症スケール(HDS-R)は知能指数を算出する検査である。
  • ✔WAIS-IVは成人を対象とした知能検査である。
  • 5ロールシャッハ・テストは質問紙法の性格検査である。
解説:WAIS(Wechsler Adult Intelligence Scale)は16歳以上の成人を対象とする知能検査で、児童用はWISC、幼児用はWPPSIです(2は誤り)。ロールシャッハ・テストはインクのしみへの反応をみる投影法(5は誤り)、MMPIは550項目余りからなる質問紙法の性格検査です(1は誤り)。HDS-Rは認知機能のスクリーニング検査であり、知能指数を算出するものではありません(3は誤り)。
問6
エリクソンの心理社会的発達理論に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • ✔青年期の発達課題はアイデンティティ(同一性)の確立である。
  • 2発達段階は5段階から構成される。
  • 3乳児期の発達課題は自律性の獲得である。
  • 4老年期の発達課題は勤勉性の獲得である。
  • 5発達課題は成人期で完結し、以降は設定されていない。
解説:エリクソン(Erikson, E.)は生涯を8段階に分け(2は誤り)、各段階に心理社会的危機を設定しました。乳児期は基本的信頼対不信(3は誤り)、幼児前期は自律性対恥・疑惑、幼児後期は自主性対罪悪感、学童期は勤勉性対劣等感(4は誤り)、青年期は同一性対同一性拡散、成人前期は親密性対孤立、成人期は生殖性対停滞、老年期は統合性対絶望です(5は誤り)。青年期のモラトリアムの概念も重要です。
問7
オペラント条件づけに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1負の強化は罰と同義である。
  • 2消去とは強化の一種である。
  • 3ワトソンによって体系化された。
  • ✔行動の後に生じる結果によって、その行動の生起頻度が変化する。
  • 5パブロフの犬の実験が代表例である。
解説:オペラント条件づけはスキナー(Skinner, B.)が体系化したもので(3は誤り)、自発的な行動の後に与えられる結果(強化子)によって行動頻度が変化する学習です。パブロフの犬は刺激と刺激を対提示する古典的(レスポンデント)条件づけの例です(5は誤り)。負の強化は嫌悪刺激の除去によって行動が増加することを指し、行動を減少させる罰とは異なります(1は誤り)。消去は強化をやめることで行動が減少する手続きです(2は誤り)。SSTやトークンエコノミーの理論的基礎となります。
問8
ラザルスのストレス理論に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1ソーシャルサポートはストレス反応と関連しないとされる。
  • ✔出来事に対する認知的評価とコーピング(対処)を重視する。
  • 3ストレッサーの強度のみによってストレス反応が決まるとする。
  • 4セリエによって提唱された理論である。
  • 5コーピングは問題焦点型のみに分類される。
解説:ラザルス(Lazarus, R.)とフォルクマンは、出来事が脅威かどうかを判断する一次評価と、対処可能性を判断する二次評価という認知的評価を経てストレス反応が生じるとし、同じ出来事でも受け止め方により反応が異なることを説明しました(3は誤り)。コーピングは問題焦点型と情動焦点型に大別されます(5は誤り)。汎適応症候群(警告反応期・抵抗期・疲憊期)を示したのはセリエです(4は誤り)。ソーシャルサポートは緩衝要因として働きます(1は誤り)。

社会学と社会システム全36問中 8問を掲載

問1
クーリーが提唱した第一次集団に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1企業や官僚制組織のような目的合理的に組織された集団である。
  • 2テンニースがゲゼルシャフトと呼んだ集団と同一である。
  • 3成員間の関係が形式的・間接的である点を特徴とする。
  • 4マッキーヴァーがアソシエーションと呼んだ集団を指す。
  • ✔家族や遊び仲間のような、対面的で親密な結びつきをもつ集団である。
解説:クーリー(Cooley, C.)の第一次集団は、家族・近隣・遊び仲間のように対面的で親密な相互作用をもち、人格形成の基盤となる集団です。これに対し、特定目的のために形式的・間接的関係で結ばれる集団は第二次集団と呼ばれます(1・3は第二次集団)。テンニースのゲマインシャフト/ゲゼルシャフト、マッキーヴァーのコミュニティ/アソシエーションと概念的に対応関係がありますが同一ではありません。
問2
ラベリング理論に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1社会の絆が弱まることで逸脱が生じるとする理論である。
  • ✔逸脱は行為そのものの性質ではなく、周囲が与えるレッテルによって生み出されるとする。
  • 3逸脱は社会的規範の緊張状態から生じるとする理論である。
  • 4デュルケームが提唱した理論である。
  • 5逸脱行動は逸脱的な集団との接触・学習によって習得されるとする。
解説:ベッカー(Becker, H.)に代表されるラベリング理論は、逸脱を行為の内在的性質ではなく、他者が規則を適用しラベルを貼る過程の産物と捉えます。3はマートンのアノミー(緊張)理論、5はサザーランドの分化的接触理論、1はハーシの社会的絆理論の説明です。精神障害に対するスティグマや偏見の形成過程を理解する視点として重要です。
問3
社会的役割に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1役割期待とは、本人が自分に対して抱く願望をいう。
  • 2パーソンズは病人役割を否定した。
  • ✔一人の人が同時に担う複数の役割の間で相反する期待が生じることを役割葛藤という。
  • 4役割取得とは、他者が自分の役割を引き受けることをいう。
  • 5役割距離とは、期待された役割に完全に同一化することをいう。
解説:役割葛藤には、複数の役割間で生じる役割間葛藤(例:働きながら介護する)と、一つの役割内で異なる期待が生じる役割内葛藤があります。役割取得は他者の視点に立って自らの役割を形成する過程(4は誤り)、役割距離は期待された役割からあえて距離をとる振る舞い(5は誤り、ゴフマン)、役割期待は周囲が本人に抱く期待(1は誤り)です。パーソンズは病人役割(sick role)の概念を提示しました(2は誤り)。
問4
日本の世帯構造の動向に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • ✔単独世帯の割合は増加傾向にあり、世帯類型のなかで最も多い。
  • 2三世代世帯の割合は増加傾向にある。
  • 3平均世帯人員は増加傾向にある。
  • 4核家族世帯は消滅した。
  • 5高齢者のいる世帯のうち、三世代世帯が最も多い。
解説:国民生活基礎調査によれば、単独世帯の割合は一貫して増加し、近年は全世帯の3分の1超を占めて世帯類型のなかで最も多くなっています。三世代世帯は減少を続け(2・5は誤り)、平均世帯人員も低下傾向にあります(3は誤り)。高齢者のいる世帯では「夫婦のみの世帯」と「単独世帯」が多数を占めます。単身化・小規模化は、地域における孤立や見守りの課題と直結します。
問5
ウェーバーの官僚制論に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1官僚制は伝統的支配の典型とされる。
  • 2マートンは官僚制を無条件に効率的な組織であると評価した。
  • 3官僚制の逆機能という概念は存在しない。
  • 4官僚制は近代以前の組織に特有の形態である。
  • ✔規則による権限の明確化、階層構造、専門分化、文書主義を特徴とする。
解説:ウェーバー(Weber, M.)は、規則による権限の明確化、階層的な指揮命令系統、職務の専門分化、文書による事務処理、没主観性(非人格性)を特徴とする官僚制を、合法的支配に基づく最も合理的な組織形態と位置づけました(1・4は誤り)。一方マートン(Merton, R.)は、規則の遵守が自己目的化する「目的の転移」や訓練された無能力などを官僚制の逆機能として指摘しました(2・3は誤り)。福祉組織における硬直的な対応を考える視点にもなります。
問6
地域社会に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • ✔限界集落とは、65歳以上の高齢者が集落人口の半数以上を占める集落をいう。
  • 2限界集落とは人口が100人未満の集落をいう。
  • 3過疎地域では高齢化率が全国平均を下回る。
  • 4都市化により第一次的な人間関係が強まるとされる。
  • 5コミュニティ概念は行政区域と一致するものとされている。
解説:限界集落は大野晃が提起した概念で、65歳以上の高齢者が人口の半数以上を占め、冠婚葬祭や道普請など社会的共同生活の維持が困難になりつつある集落を指します(2は誤り)。過疎地域では高齢化率が全国平均を上回ります(3は誤り)。ワース(Wirth, L.)のアーバニズム論が示すように、都市化は人間関係の非人格化・表面化をもたらすとされ(4は誤り)、コミュニティは人々の帰属意識に基づく概念で行政区域とは必ずしも一致しません(5は誤り)。
問7
社会移動に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1世代内移動とは、親子間の職業的地位の移動をいう。
  • 2垂直移動とは同一階層内での移動をいう。
  • 3社会移動の分析にSSM調査は用いられない。
  • 4属性主義とは、業績によって地位が配分される原理をいう。
  • ✔親子間の地位の移動を世代間移動、個人の生涯における移動を世代内移動という。
解説:社会移動は、親子など世代をまたぐ世代間移動と、一個人の職業経歴内での世代内移動に分けられます(1は説明が逆)。また、階層を上下に移る垂直移動と、同一階層内での水平移動に分けられます(2は誤り)。日本では社会階層と社会移動全国調査(SSM調査)が1955年以降継続的に実施されています(3は誤り)。属性主義は生まれや性別など本人の努力によらない属性で地位が決まる原理で、業績主義と対比されます(4は誤り)。
問8
社会的排除に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1フランスではなくアメリカで政策概念として用いられ始めた。
  • 2社会的包摂(ソーシャルインクルージョン)と同義である。
  • 3精神障害者は社会的排除の対象とはならない。
  • ✔所得の不足にとどまらず、社会関係や制度から締め出されていく過程に着目する概念である。
  • 5一時点の所得水準のみによって測定される概念である。
解説:社会的排除は1980年代以降フランスを中心に用いられ始めた概念で(1は誤り)、所得の不足という静態的な状態だけでなく、雇用・住宅・教育・保健医療・社会関係など多次元にわたり社会の中心から締め出されていく動態的な過程に着目します(5は誤り)。これに対抗する理念が社会的包摂であり、両者は対概念です(2は誤り)。精神障害者は、就労、住宅の確保、地域生活のあらゆる場面で排除を経験しやすい典型的な層です(3は誤り)。

社会福祉の原理と政策全50問中 8問を掲載

問1
エスピン-アンデルセンの福祉レジーム論に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1分類の指標は国内総生産に占める社会支出の割合のみである。
  • 2自由主義レジームは普遍主義的な給付を特徴とする。
  • 3社会民主主義レジームは家族による扶養を重視する。
  • 4日本は社会民主主義レジームに明確に分類される。
  • ✔自由主義、保守主義(大陸ヨーロッパ)、社会民主主義の三類型に分類した。
解説:エスピン-アンデルセンは、脱商品化(労働市場に依存せず生活を維持できる度合い)と階層化(社会的成層化)を主な指標に、福祉国家を自由主義(アメリカ等・選別主義的で市場重視)、保守主義(ドイツ等・職域別社会保険と家族主義)、社会民主主義(スウェーデン等・普遍主義的で脱商品化度が高い)の3類型に分類しました。2と3は説明が入れ替わっています。日本は保守主義と自由主義の混合型とされることが多く、明確に分類されません(4は誤り)。
問2
貧困に関する研究についての次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1絶対的貧困とは、その社会の標準的な生活水準との比較で捉えた貧困をいう。
  • 2相対的貧困率は、等価可処分所得の平均値の50%未満の者の割合をいう。
  • ✔タウンゼントは相対的剥奪の概念を用いて貧困を捉えた。
  • 4ラウントリーはロンドンで貧困調査を行い、貧困線を用いなかった。
  • 5ブースはヨーク市で貧困調査を行った。
解説:タウンゼント(Townsend, P.)は、その社会で通常とされる生活様式・慣習・活動から排除されている状態を「相対的剥奪」として捉え、相対的貧困概念を確立しました。ブースはロンドン、ラウントリーはヨーク市で調査を行い(4・5は説明が入れ替わり)、ラウントリーは第一次貧困・第二次貧困を区別し貧困線を用いました。絶対的貧困は生存維持水準を基準とする概念(1は誤り)、相対的貧困率は等価可処分所得の中央値の50%(貧困線)未満の者の割合です(2は誤り)。
問3
日本の公的扶助の歴史に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
  • 1恤救規則は国家責任による無差別平等の保護を原則とした。
  • ✔恤救規則(1874年)は、血縁・地縁による相互扶助を前提とし「無告の窮民」を対象とした。
  • 3救護法(1929年)は、労働能力の有無にかかわらず全国民を対象とした。
  • 4旧生活保護法(1946年)は、保護請求権と不服申立ての制度を明記した。
  • 5現行生活保護法は1946年に制定された。
解説:恤救規則(1874年)は「人民相互ノ情誼」すなわち親族・近隣の相互扶助を前提とし、それによりがたい極貧の独身者等(無告の窮民)に限って米代を給付する制限的なものでした(1は誤り)。救護法(1929年)は対象を65歳以上の老衰者、13歳以下の幼者、妊産婦、障害等により労務に支障のある者に限定(3は誤り)。旧生活保護法(1946年)は欠格条項を残し保護請求権・不服申立てを認めておらず(4は誤り)、これらを保障した現行生活保護法は1950年制定です(5は誤り)。
問4
福祉六法に含まれない法律を1つ選びなさい。
  • 1児童福祉法
  • 2身体障害者福祉法
  • 3老人福祉法
  • ✔社会福祉法
  • 5生活保護法
解説:福祉三法は生活保護法(1950年)、児童福祉法(1947年)、身体障害者福祉法(1949年)で、これに知的障害者福祉法(1960年、当時は精神薄弱者福祉法)、老人福祉法(1963年)、母子及び父子並びに寡婦福祉法(1964年、当時は母子福祉法)を加えて福祉六法と呼びます。社会福祉法は1951年制定の社会福祉事業法が2000年に改正・改称されたもので、福祉六法には含まれない社会福祉全体の共通基盤を定める法律です。
問5
社会福祉法に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1社会福祉事業の第一種と第二種の区別は設けていない。
  • 2市町村地域福祉計画の策定は法定されていない。
  • 3苦情解決の仕組みについての規定はない。
  • 4社会福祉協議会に関する規定は含まれない。
  • ✔福祉サービスの利用者の利益の保護および地域福祉の推進を図ることを目的の一つとしている。
解説:社会福祉法は、社会福祉を目的とする事業の全分野における共通的基本事項を定め、福祉サービスの利用者の利益の保護および地域福祉の推進を図ることを目的としています。入所施設等の第一種社会福祉事業と在宅サービス等の第二種社会福祉事業の区別(1は誤り)、市町村・都道府県地域福祉計画(2は誤り)、運営適正化委員会による苦情解決(3は誤り)、社会福祉協議会(4は誤り)などが規定されています。2020年改正では重層的支援体制整備事業が創設されました。
問6
社会福祉基礎構造改革に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 11990年(平成2年)に完了した改革である。
  • 2苦情解決や第三者評価の仕組みは導入されなかった。
  • 3地域福祉の推進は改革の理念に含まれていない。
  • ✔2000年の社会福祉事業法改正等により、措置制度から利用契約制度への転換等が図られた。
  • 5利用者の選択より行政による決定を重視する方向で行われた。
解説:社会福祉基礎構造改革は、1998年の中央社会福祉審議会の中間まとめを経て、2000年に社会福祉事業法が社会福祉法へと改正されて具体化しました。①個人の尊厳を尊重した対等な関係の確立(措置から契約へ)、②利用者の選択の尊重、③サービスの質の向上(第三者評価・苦情解決。2は誤り)、④透明性の確保、⑤地域福祉の推進(3は誤り)が柱です。1990年の福祉八法改正は在宅福祉の推進と権限の市町村への移譲を進めたもので、これとは区別されます(1は誤り)。
問7
ブラッドショーのニードの4類型に含まれないものを1つ選びなさい。
  • 1フェルト・ニード(感得されたニード)
  • 2エクスプレスト・ニード(表明されたニード)
  • 3コンパラティブ・ニード(比較ニード)
  • ✔ポテンシャル・ニード(潜在的ニード)
  • 5ノーマティブ・ニード(規範的ニード)
解説:ブラッドショー(Bradshaw, J.)は、①専門家や行政が基準に照らして判定するノーマティブ・ニード、②本人が自覚しているフェルト・ニード、③実際に要求として表明されたエクスプレスト・ニード、④他と比較して導かれるコンパラティブ・ニードの4類型を示しました。本人が自覚していない、あるいは表明されていないニードをどう把握するかは、アウトリーチや地域におけるニーズ発見の実践課題と直結します。
問8
福祉サービスの給付原理に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1普遍主義に基づく給付ではスティグマが生じやすいとされる。
  • 2選別主義には資源を集中できるという難点がある。
  • 3生活保護は普遍主義に基づく制度の典型である。
  • ✔普遍主義は、資力調査を要件とせず必要とするすべての人を対象とする考え方である。
  • 5選別主義は、対象を限定せず広く給付する考え方である。
解説:普遍主義は資力調査(ミーンズテスト)を課さず、市民としての権利に基づき広く給付する考え方で、スティグマが生じにくい反面、財政負担が大きくなります(1は誤り)。選別主義は資力調査等により対象を限定し、限られた資源を必要度の高い層に集中できる利点がある一方、スティグマや捕捉率の低下という課題を伴います(2・5は誤り)。生活保護は資力調査を伴う選別主義の典型です(3は誤り)。

社会保障全49問中 8問を掲載

問1
日本の社会保険に含まれないものを1つ選びなさい。
  • 1雇用保険
  • 2労働者災害補償保険
  • ✔生活保護
  • 4医療保険
  • 5年金保険
解説:日本の社会保険は、医療保険、年金保険、雇用保険、労働者災害補償保険(労災保険)、介護保険の5種類です。生活保護は保険料の拠出を前提とせず、租税を財源として最低限度の生活を保障する公的扶助であり、社会保険には含まれません。社会保障の体系は、社会保険・公的扶助・社会福祉・公衆衛生(及び医療)の4部門で捉えるのが一般的です。
問2
公的年金制度に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1国民年金の保険料免除期間は年金額に一切反映されない。
  • 220歳前に初診日がある障害についても障害基礎年金は支給されない。
  • 3第3号被保険者は自ら保険料を納付する必要がある。
  • ✔国民年金の第1号被保険者は、日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の自営業者等である。
  • 5障害基礎年金の等級は1級から3級まである。
解説:国民年金の被保険者は、第1号(自営業者・学生等、20歳以上60歳未満で国内居住)、第2号(厚生年金の被保険者)、第3号(第2号に扶養される配偶者で20歳以上60歳未満)に区分され、第3号は個別の保険料負担がありません(3は誤り)。障害基礎年金は1級・2級のみで、3級は障害厚生年金にあります(5は誤り)。法定免除・申請免除期間は減額されたうえで年金額に反映され(1は誤り)、20歳前傷病による障害基礎年金の制度もあります(2は誤り)。
問3
高額療養費制度に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1所得にかかわらず自己負担限度額は一律である。
  • 2差額ベッド代も算定の対象となる。
  • 3事前に限度額適用認定証を申請しても窓口負担は軽減されない。
  • ✔1か月の自己負担額が所得に応じた上限額を超えた場合、超過分が払い戻される。
  • 5入院時の食事療養標準負担額も対象に含まれる。
解説:高額療養費は、同一月の医療費の自己負担額が所得区分ごとの限度額を超えた場合に超過分が支給される制度です(1は誤り)。限度額適用認定証やマイナ保険証の利用により、窓口での支払いを限度額までにとどめることができます(3は誤り)。入院時の食事療養標準負担額、差額ベッド代、先進医療の技術料などの保険外負担は対象外です(2・5は誤り)。多数回該当や世帯合算の仕組みもあります。
問4
生活保護制度に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1自動車の保有は例外なく認められない。
  • ✔扶助は生活、教育、住宅、医療、介護、出産、生業、葬祭の8種類である。
  • 3扶助は現物給付のみで行われる。
  • 4資産や能力の活用より保護を優先する補足性の原理がとられている。
  • 5申請は本人のみが行うことができる。
解説:生活保護の扶助は生活・教育・住宅・医療・介護・出産・生業・葬祭の8種類で、医療扶助と介護扶助は原則現物給付、その他は原則金銭給付です(3は誤り)。補足性の原理は、資産・能力その他あらゆるものを活用してもなお不足する場合に保護を補足的に行うというもので、4は説明が逆です。申請は本人のほか扶養義務者・同居の親族も行えます(5は誤り)。通勤や通院に必要な場合など自動車保有が認められる例外もあります(1は誤り)。
問5
雇用保険に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • ✔失業等給付のほか、育児休業給付や教育訓練給付がある。
  • 2保険料は全額事業主が負担する。
  • 3適用対象は正社員に限られる。
  • 4基本手当の所定給付日数は離職理由にかかわらず一律である。
  • 5傷病手当は雇用保険ではなく労災保険の給付である。
解説:雇用保険には、求職者給付(基本手当等)、就職促進給付、教育訓練給付、雇用継続給付(高年齢雇用継続給付・介護休業給付)があり、育児休業給付は独立した給付として位置づけられています。保険料は労使双方が負担し(2は誤り)、週所定労働時間や雇用見込期間の要件を満たせば非正規雇用も適用されます(3は誤り)。基本手当の所定給付日数は、離職理由(特定受給資格者か否か)・被保険者期間・年齢により異なります(4は誤り)。
問6
介護保険制度に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1第2号被保険者は20歳以上65歳未満の医療保険加入者である。
  • 2第2号被保険者は原因を問わず要介護認定を受けられる。
  • 3要介護認定の一次判定は市町村介護認定審査会が行う。
  • ✔保険者は市町村及び特別区であり、第1号被保険者は65歳以上の者である。
  • 5保険者は都道府県である。
解説:介護保険の保険者は市町村及び特別区で(5は誤り)、被保険者は65歳以上の第1号被保険者と、40歳以上65歳未満の医療保険加入者である第2号被保険者に分かれます(1は誤り)。第2号被保険者は末期がんや初老期における認知症など16の特定疾病に起因する場合に限り給付を受けられます(2は誤り)。要介護認定は、認定調査と主治医意見書に基づくコンピュータによる一次判定の後、介護認定審査会が二次判定を行います(3は誤り)。
問7
わが国の医療保険制度に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1国民健康保険の保険者は健康保険組合である。
  • 2被用者保険の被扶養者は保険料を個別に負担する。
  • 3医療保険の給付に傷病手当金は含まれない。
  • ✔後期高齢者医療制度の運営主体は、都道府県ごとに設置される後期高齢者医療広域連合である。
  • 5後期高齢者医療制度の運営主体は市町村である。
解説:後期高齢者医療制度は、75歳以上(一定の障害がある場合は65歳以上)を対象とし、都道府県ごとの後期高齢者医療広域連合が運営主体、市町村が保険料徴収や窓口業務を担います(5は誤り)。国民健康保険の保険者は都道府県と市町村(および国民健康保険組合)で、健康保険組合は被用者保険の保険者です(1は誤り)。被用者保険の被扶養者に個別の保険料負担はなく(2は誤り)、傷病手当金は被用者保険の代表的な現金給付です(3は誤り)。
問8
わが国の社会保障給付費に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1部門別では「福祉その他」が最も大きな割合を占めている。
  • 2社会保障給付費の総額は約50兆円である。
  • 3財源は全額が公費(租税)で賄われている。
  • 4高齢者関係給付費は全体の1割程度である。
  • ✔部門別では「年金」が最も大きな割合を占めている。
解説:国立社会保障・人口問題研究所の社会保障費用統計によると、社会保障給付費の部門別内訳は「年金」が最も大きく、次いで「医療」、「福祉その他」の順です(1は誤り)。総額は近年130兆円を超える水準で推移しており(2は誤り)、財源は社会保険料が最大で、公費(国庫負担・地方負担)と資産収入等がこれに続きます(3は誤り)。高齢者関係給付費は全体の過半を占め(4は誤り)、給付が高齢者に偏在している点が政策課題として議論されています。

権利擁護を支える法制度全41問中 8問を掲載

問1
成年後見制度に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • ✔法定後見制度は、後見・保佐・補助の3類型からなる。
  • 2成年後見人には必ず親族が選任される。
  • 3補助開始の審判は本人の同意なく行うことができる。
  • 4成年後見人は本人の医療行為に同意する権限を有する。
  • 5任意後見契約は公正証書によらずに締結できる。
解説:法定後見制度は、判断能力の程度に応じて後見・保佐・補助の3類型に分かれます。近年は親族以外の第三者(司法書士・弁護士・社会福祉士等)が選任される割合が過半を占めます(2は誤り)。補助開始の審判および補助人への同意権・代理権の付与には本人の同意が必要です(3は誤り)。医療行為への同意権は成年後見人の権限に含まれません(4は誤り)。任意後見契約は公正証書によることが必要です(5は誤り)。
問2
日常生活自立支援事業に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • ✔都道府県社会福祉協議会等が実施主体となり、福祉サービスの利用援助や日常的金銭管理を行う。
  • 2利用者に契約締結能力がなくても利用できる。
  • 3不動産の売却など重要な法律行為の代理を行う。
  • 4利用料は一律に無料である。
  • 5実施主体は家庭裁判所である。
解説:日常生活自立支援事業は社会福祉法に基づく福祉サービス利用援助事業で、都道府県・指定都市社会福祉協議会が実施主体となり、市区町村社協等が窓口となります。認知症高齢者、知的障害者、精神障害者等で判断能力が不十分な人が対象ですが、事業内容を理解し契約を締結する能力は必要です(2は誤り)。援助内容は福祉サービス利用援助、日常的金銭管理、書類等の預かりで、重要な法律行為の代理は成年後見制度が担います(3は誤り)。相談は無料ですが援助には利用料がかかります(4は誤り)。
問3
障害者虐待防止法に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1虐待を発見した者の通報は任意である。
  • 2経済的虐待は虐待の類型に含まれない。
  • 3通報者は守秘義務違反を問われる。
  • 4病院や学校における虐待も同法の3類型に含まれる。
  • ✔養護者、障害者福祉施設従事者等、使用者による虐待の3類型を対象としている。
解説:障害者虐待防止法(2011年成立、2012年施行)は、①養護者、②障害者福祉施設従事者等、③使用者による虐待の3類型を対象とし、虐待の種類は身体的・性的・心理的虐待、放棄・放置(ネグレクト)、経済的虐待の5類型です(2は誤り)。虐待を受けたと思われる障害者を発見した者には速やかな通報義務があり(1は誤り)、通報したことを理由とする守秘義務違反は問われません(3は誤り)。学校・保育所・医療機関は3類型に含まれず、長への防止措置義務として規定されています(4は誤り)。
問4
日本国憲法第25条に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1法の下の平等を定めた条文である。
  • 2教育を受ける権利を定めた条文である。
  • 3居住・移転及び職業選択の自由を定めた条文である。
  • 4個人の尊重と幸福追求権を定めた条文である。
  • ✔すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有すると定めている。
解説:日本国憲法第25条第1項は生存権を、第2項は国の社会福祉・社会保障・公衆衛生の向上増進義務を定め、生活保護法をはじめとする社会保障制度の憲法上の根拠となっています。1は第14条、2は第26条、3は第22条、4は第13条です。朝日訴訟・堀木訴訟では、第25条の法的性格(プログラム規定説か具体的権利か)が争点となりました。
問5
成年後見制度の利用の促進に関する法律に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • ✔2016年(平成28年)に成立し、市町村は成年後見制度利用促進基本計画を定めるよう努めるものとされている。
  • 2中核機関の整備は法の趣旨に含まれていない。
  • 3市民後見人の育成は施策に含まれていない。
  • 4本人の意思決定支援や身上保護の重視は基本理念に含まれない。
  • 5国による基本計画の策定は規定されていない。
解説:成年後見制度利用促進法は2016年に成立し、国は成年後見制度利用促進基本計画を定め(5は誤り)、市町村は国の計画を勘案して市町村計画を定めるよう努めるものとされています。同法および基本計画では、本人の意思決定支援と身上保護の重視(4は誤り)、地域連携ネットワークと中核機関の整備(2は誤り)、市民後見人や法人後見の育成・活用(3は誤り)が柱として位置づけられています。第二期基本計画(2022〜2026年度)では、必要な人が尊厳ある生活を継続できる体制整備が掲げられています。
問6
権利擁護における意思決定支援に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • ✔本人が自ら意思決定できるよう支援することを最優先し、困難な場合に意思推定、それも困難な場合に最善の利益を検討する。
  • 2判断能力が不十分と判断された時点で、支援者が代行決定を行うことが原則である。
  • 3最善の利益の検討では、本人の価値観や選好を考慮しないこととされている。
  • 4意思決定支援は成年後見人の職務とは無関係である。
  • 5本人の意思確認より家族の意向を優先すべきとされている。
解説:意思決定支援は、障害者権利条約第12条が求める代行決定から支援付き意思決定への転換を背景としています。国のガイドラインは、まず本人が自ら決められるよう情報提供・環境調整を尽くし(2は誤り)、それでも困難な場合に本人をよく知る者による意思推定、なお困難な場合に限り最善の利益を検討するという順序を示します。最善の利益の検討でも本人の価値観・選好の反映が求められ(3は誤り)、成年後見人には身上配慮義務のもとで意思決定支援に努めることが期待されています(4・5は誤り)。
問7
高齢者虐待防止法に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1使用者による虐待も同法の類型に含まれる。
  • 2経済的虐待は虐待の類型に含まれない。
  • 3生命または身体に重大な危険が生じている場合でも通報は任意である。
  • 4市町村長による立入調査の規定は置かれていない。
  • ✔養護者による虐待と、養介護施設従事者等による虐待を対象としている。
解説:高齢者虐待防止法(2005年成立、2006年施行)は、養護者による虐待と養介護施設従事者等による虐待の2類型を対象とします。使用者による虐待を含む3類型を定めるのは障害者虐待防止法です(1は誤り)。虐待の種類は身体的・心理的・性的虐待、ネグレクト、経済的虐待の5つで(2は誤り)、生命・身体に重大な危険が生じている場合の通報は義務、それ以外は努力義務です(3は誤り)。市町村長による立入調査や、警察署長への援助要請の規定も置かれています(4は誤り)。
問8
個人情報の取扱いに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1個人情報保護法は民間事業者には適用されない。
  • ✔本人の生命・身体・財産の保護に必要で、本人の同意を得ることが困難な場合は、第三者提供の例外に当たる。
  • 3いかなる場合も本人の同意なく第三者に提供することはできない。
  • 4病歴に関する情報は要配慮個人情報には該当しない。
  • 5本人からの開示請求に応じる義務はない。
解説:個人情報保護法は第三者提供に原則として本人の同意を求めますが、法令に基づく場合、人の生命・身体・財産の保護に必要で本人の同意取得が困難な場合、公衆衛生の向上や児童の健全育成に特に必要で同意取得が困難な場合などを例外としています(3は誤り)。病歴、障害、犯罪被害の事実などは要配慮個人情報として、取得にも原則本人同意が必要です(4は誤り)。本人には開示・訂正・利用停止の請求権があり(5は誤り)、同法は民間事業者にも適用されます(1は誤り)。

地域福祉と包括的支援体制全49問中 8問を掲載

問1
社会福祉協議会に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1共同募金の配分先とはならない。
  • 2ボランティアセンターの運営は業務に含まれない。
  • ✔社会福祉法に規定され、地域福祉の推進を図ることを目的とする民間組織である。
  • 4行政機関の一部として位置づけられている。
  • 5市町村社会福祉協議会の設置は任意である。
解説:社会福祉協議会は社会福祉法第109条以下に規定され、市町村・都道府県・全国の各段階に組織される、地域福祉の推進を目的とする民間の非営利組織です(4は誤り)。市町村社協は区域内の社会福祉事業経営者の過半数の参加等を要件に法定されており(5は誤り)、事業には社会福祉を目的とする事業の企画・実施、住民活動への援助、日常生活自立支援事業、ボランティアセンター運営(2は誤り)などがあります。共同募金の主要な配分先でもあります(1は誤り)。
問2
民生委員に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1任期は5年である。
  • 2給与が支給される非常勤の地方公務員である。
  • 3児童委員を兼ねることはない。
  • ✔厚生労働大臣から委嘱され、任期は3年で、給与は支給されない。
  • 5市町村長から委嘱される。
解説:民生委員は民生委員法に基づき、都道府県知事の推薦により厚生労働大臣が委嘱します。任期は3年(再任可)で、無給のボランティアですが、職務上は非常勤の地方公務員として扱われ、守秘義務が課されます(2は一部のみ正しく給与の点で誤り)。児童福祉法により民生委員は児童委員を兼ねることとされており(3は誤り)、一部は主任児童委員に指名されます。
問3
重層的支援体制整備事業に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • ✔属性を問わない相談支援、参加支援、地域づくりに向けた支援を一体的に実施する。
  • 2実施は市町村の義務である。
  • 3高齢者分野の相談支援のみを対象とする。
  • 4介護保険法に基づく事業である。
  • 5アウトリーチ等を通じた継続的支援は含まれない。
解説:重層的支援体制整備事業は、2020年の社会福祉法改正(第106条の4)により創設され、2021年度から実施されています。①属性や世代を問わない包括的な相談支援、②社会とのつながりを回復する参加支援、③地域づくりに向けた支援を一体的に行い、加えて多機関協働事業、アウトリーチ等を通じた継続的支援(5は誤り)が組み込まれています。実施は市町村の任意(手あげ方式)で(2は誤り)、根拠は社会福祉法です(4は誤り)。
問4
共同募金に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1災害時の備えとしての準備金の積立ては認められていない。
  • ✔社会福祉法に基づく第一種社会福祉事業であり、都道府県を単位として行われる。
  • 3第二種社会福祉事業に位置づけられる。
  • 4配分は都道府県知事が決定する。
  • 5国が実施主体である。
解説:共同募金は社会福祉法に規定される第一種社会福祉事業で(3は誤り)、都道府県を単位として、その区域内で社会福祉事業等を経営する者を対象に配分を行うことを目的に、毎年厚生労働大臣の定める期間内に募金が行われます。実施主体は都道府県共同募金会(5は誤り)で、配分は配分委員会の承認を得て決定されます(4は誤り)。災害等に備える準備金の積立ても認められています(1は誤り)。
問5
地域包括支援センターに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1権利擁護業務は担当していない。
  • 2対象は要介護認定を受けた者に限られる。
  • ✔保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員の3職種の配置が基本とされる。
  • 4設置主体は都道府県である。
  • 5根拠法は社会福祉法である。
解説:地域包括支援センターは介護保険法に基づき市町村が設置し(4・5は誤り)、市町村から委託を受けた法人が運営することもできます。保健師(または経験ある看護師)、社会福祉士、主任介護支援専門員の3職種を基本に配置し、総合相談支援、権利擁護(虐待対応・成年後見活用支援を含む。1は誤り)、包括的・継続的ケアマネジメント支援、介護予防ケアマネジメントの4業務を担います。地域の高齢者全般が対象です(2は誤り)。
問6
岡村重夫の地域福祉論に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1地域福祉の主体として専門機関のみを位置づけた。
  • ✔地域福祉の構成要素として、コミュニティ・ケア、一般地域組織化活動と福祉組織化活動、予防的社会福祉を挙げた。
  • 3地域福祉を行政による給付活動に限定して捉えた。
  • 4住民主体の原則を否定した。
  • 5『社会福祉学(総論)』において在宅福祉サービスの三本柱を提示した。
解説:岡村重夫は『地域福祉論』(1974年)において、地域福祉の構成要素として①コミュニティ・ケア、②一般地域組織化活動と福祉組織化活動、③予防的社会福祉を挙げ、社会関係の主体的側面に着目する社会福祉固有の視点を示しました。住民主体の原則を重視し(1・4は誤り)、行政による給付に限定しない枠組みを提起しています(3は誤り)。なお、在宅福祉サービスの体系化は全国社会福祉協議会『在宅福祉サービスの戦略』(1979年)が知られます(5は誤り)。
問7
生活困窮者自立支援法に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1就労準備支援事業と家計改善支援事業は必須事業である。
  • 22010年(平成22年)に施行された。
  • ✔自立相談支援事業と住居確保給付金の支給が必須事業とされている。
  • 4すべての事業が任意事業とされている。
  • 5生活保護受給者を主たる対象としている。
解説:生活困窮者自立支援法は2013年成立、2015年4月施行で(2は誤り)、生活保護に至る前の段階にある生活困窮者を対象とします(5は誤り)。必須事業は自立相談支援事業と住居確保給付金の支給、任意事業は就労準備支援事業、家計改善支援事業(この2つは実施の努力義務)、一時生活支援事業、子どもの学習・生活支援事業等です(1・4は誤り)。2024年4月施行の改正では、居住支援の強化などが図られました。ひきこもりや長期無業など精神保健分野と重なる相談が多い点も重要です。
問8
災害時における要配慮者への支援に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1災害救助法に基づく救助の実施主体は市町村である。
  • ✔避難行動要支援者名簿の作成は市町村に義務づけられている。
  • 3個別避難計画の作成は市町村の法的義務である。
  • 4名簿情報は本人同意がなければいかなる場合も外部に提供できない。
  • 5福祉避難所の指定に関する規定は設けられていない。
解説:災害対策基本法により、避難行動要支援者名簿の作成は市町村の義務とされています。2021年改正で創設された個別避難計画の作成は市町村の努力義務です(3は誤り)。名簿情報は平常時は本人同意を得て避難支援等関係者に提供しますが、災害が発生し、または発生するおそれがある場合には本人同意がなくても提供できます(4は誤り)。福祉避難所は指定避難所の一類型として規定されており(5は誤り)、災害救助法に基づく救助の実施主体は都道府県知事です(1は誤り)。

障害者福祉全50問中 8問を掲載

問1
障害者総合支援法に基づく自立支援給付に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1対象は身体障害者と知的障害者に限られる。
  • 2訓練等給付の利用には必ず障害支援区分の認定が必要である。
  • ✔介護給付と訓練等給付に大別され、介護給付の利用には障害支援区分の認定が必要である。
  • 4移動支援は自立支援給付に含まれる。
  • 5利用者負担は一律定率1割で上限額の設定はない。
解説:自立支援給付は介護給付(居宅介護、生活介護、施設入所支援等)と訓練等給付(自立訓練、就労移行支援、就労継続支援、共同生活援助等)に大別され、介護給付の利用には障害支援区分の認定が必要です。訓練等給付は原則不要(共同生活援助で介護を伴う場合等は例外)で2は誤り。移動支援・地域活動支援センターは地域生活支援事業に含まれ4は誤り。利用者負担は応能負担で所得に応じた月額上限があり5は誤り。2013年施行の同法では精神障害者と難病等の者も対象です(1は誤り)。
問2
障害支援区分に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • ✔区分1から区分6まであり、区分6が最も支援の必要度が高い。
  • 2区分1から区分5までの5段階である。
  • 3認定は都道府県が行う。
  • 4医師の意見書は用いられない。
  • 5一次判定はコンピュータを用いず市町村審査会が行う。
解説:障害支援区分は、障害の多様な特性その他の心身の状態に応じて必要とされる支援の度合いを示す区分で、非該当および区分1〜6の段階があり、区分6が最も支援の必要度が高くなります。認定は市町村が行い(3は誤り)、認定調査(80項目)に基づくコンピュータによる一次判定の後、医師意見書等を踏まえ市町村審査会が二次判定を行います(4・5は誤り)。2014年に「障害程度区分」から改称され、知的・精神障害の特性がより反映されるよう見直されました。
問3
障害者差別解消法に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • ✔2021年の改正により、事業者による合理的配慮の提供が法的義務となった。
  • 2対象は障害者手帳を所持する者に限られる。
  • 3不当な差別的取扱いの禁止は行政機関等にのみ適用される。
  • 4合理的配慮の提供に過重な負担の考慮は認められていない。
  • 5国や地方公共団体に対する規定は置かれていない。
解説:障害者差別解消法(2013年成立、2016年施行)は、不当な差別的取扱いの禁止と合理的配慮の提供を柱とします。差別的取扱いの禁止は行政機関等・事業者ともに法的義務(3は誤り)、合理的配慮は当初事業者は努力義務でしたが、2021年改正(2024年4月施行)により法的義務化されました。対象は手帳の有無にかかわらず、社会的障壁により継続的に日常生活・社会生活に相当な制限を受ける者です(2は誤り)。実施に伴う負担が過重でないときという条件が付されています(4は誤り)。
問4
障害者雇用促進法に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1精神障害者は法定雇用率の算定対象に含まれない。
  • 2法定雇用率を達成できない企業に対する納付金制度はない。
  • 3民間企業の法定雇用率は達成企業割合が9割を超えている。
  • 4特例子会社制度は廃止された。
  • ✔法定雇用率の算定対象には身体障害者、知的障害者、精神障害者が含まれる。
解説:障害者雇用促進法では、2018年4月から精神障害者(精神障害者保健福祉手帳所持者)が法定雇用率の算定基礎に加えられました(1は誤り)。民間企業の法定雇用率は2024年4月に2.5%、2026年7月に2.7%へ段階的に引き上げられます。未達成の企業(常用労働者100人超)からは障害者雇用納付金が徴収され、達成企業には調整金が支給されます(2は誤り)。法定雇用率達成企業割合は約5割前後で推移しています(3は誤り)。特例子会社制度は現在も存続しています(4は誤り)。
問5
障害者総合支援法における相談支援に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1地域移行支援は入院中の精神障害者を対象としない。
  • 2基幹相談支援センターの設置は市町村の義務である。
  • 3相談支援専門員には資格要件が定められていない。
  • ✔計画相談支援では、相談支援専門員がサービス等利用計画を作成し、定期的にモニタリングを行う。
  • 5サービス等利用計画の作成は本人が行うことができない。
解説:計画相談支援は、指定特定相談支援事業所の相談支援専門員がサービス等利用計画案を作成し、支給決定後に計画を作成、その後継続的にモニタリングを行うものです。本人や家族が作成する「セルフプラン」も認められています(5は誤り)。地域相談支援のうち地域移行支援は、障害者支援施設等の入所者に加え精神科病院の入院患者も対象です(1は誤り)。基幹相談支援センターの設置は努力義務(2024年施行の改正で努力義務化)で(2は誤り)、相談支援専門員には実務経験と研修修了が必要です(3は誤り)。
問6
障害者手帳に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • ✔身体障害者手帳は身体障害者福祉法に基づくが、療育手帳は法律ではなく国の通知に基づく制度である。
  • 2療育手帳は知的障害者福祉法に基づく制度である。
  • 3身体障害者手帳には有効期間が定められている。
  • 4療育手帳の名称は全国で統一されている。
  • 5精神障害者保健福祉手帳の等級は1級から6級まである。
解説:身体障害者手帳は身体障害者福祉法に基づき1級から6級まで、精神障害者保健福祉手帳は精神保健福祉法に基づき1級から3級まで交付されます(5は誤り)。これに対し療育手帳は法律上の根拠をもたず、1973年の厚生事務次官通知に基づく制度で(2は誤り)、「愛の手帳」「みどりの手帳」など自治体により名称や判定区分が異なります(4は誤り)。身体障害者手帳に有効期間の定めは原則ありませんが、再認定の対象となる場合があります(3は誤り)。
問7
自立生活援助に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1介護給付に位置づけられるサービスである。
  • 224時間の常駐支援を行うサービスである。
  • 3利用期間に上限は設けられていない。
  • 42012年(平成24年)に創設された。
  • ✔施設や病院等から一人暮らしに移行した者に対し、定期的な巡回訪問等により相談・助言を行う。
解説:自立生活援助は2018年4月に創設された訓練等給付のサービスで(1・4は誤り)、施設入所支援や共同生活援助、精神科病院等から地域での一人暮らしに移行した障害者に対し、地域生活支援員が定期的な巡回訪問や随時の対応により、食事や公共料金の支払い、体調、地域住民との関係などを確認し必要な助言・関係機関との連絡調整を行います。常駐支援ではなく(2は誤り)、標準利用期間は1年間で更新も可能です(3は誤り)。長期入院者の地域移行を支える重要なサービスです。
問8
障害児を対象とする支援に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • ✔児童発達支援と放課後等デイサービスは、児童福祉法に基づく障害児通所支援である。
  • 2児童発達支援は障害者総合支援法に基づくサービスである。
  • 3放課後等デイサービスの対象は就学前の児童である。
  • 4障害児相談支援は障害者総合支援法に基づく。
  • 5医療型児童発達支援は現在も独立した類型として存続している。
解説:児童発達支援、放課後等デイサービス、居宅訪問型児童発達支援、保育所等訪問支援は、児童福祉法に基づく障害児通所支援です(2は誤り)。放課後等デイサービスは就学中の児童生徒が対象で(3は誤り)、児童発達支援は主に未就学児が対象です。障害児支援利用計画を作成する障害児相談支援も児童福祉法に基づきます(4は誤り)。なお2024年4月の改正で、医療型児童発達支援は児童発達支援に一元化されました(5は誤り)。

刑事司法と福祉全36問中 8問を掲載

問1
心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(医療観察法)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1入院処遇の期間は法律上一律に3年と定められている。
  • ✔裁判官と精神保健審判員(精神科医)の合議体が処遇を決定する。
  • 3対象行為には万引き等の軽微な窃盗も含まれる。
  • 4地域社会における処遇の調整は精神保健福祉センターが行う。
  • 5社会復帰調整官は精神科病院に配置される。
解説:医療観察法(2003年成立、2005年施行)では、地方裁判所において裁判官1名と精神保健審判員(精神科医)1名の合議体が審判を行い、入院・通院・不処遇の決定をします。対象行為は殺人、放火、強盗、不同意性交等、傷害の6罪種にあたる行為に限られます(3は誤り)。地域社会における処遇の調整(生活環境の調査・調整、精神保健観察)は保護観察所に配置された社会復帰調整官が担い(4・5は誤り)、入院期間に一律の法定期間はありません(1は誤り)。
問2
更生保護制度に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • ✔保護観察は、保護観察官と保護司の協働態勢により実施される。
  • 2保護司は国家公務員として給与が支給される。
  • 3仮釈放の許可は保護観察所長が決定する。
  • 4更生保護施設は法務省が直接運営している。
  • 5生活環境の調整は保護観察の対象外である。
解説:保護観察は、専門的知識をもつ常勤の保護観察官と、地域の民間篤志家である保護司の協働態勢で実施されます。保護司は法務大臣から委嘱される非常勤の国家公務員ですが、給与は支給されず実費弁償金のみです(2は誤り)。仮釈放の許可は地方更生保護委員会が決定し(3は誤り)、更生保護施設の多くは更生保護法人等の民間団体が運営しています(4は誤り)。矯正施設収容中からの生活環境の調整も更生保護の重要な業務です(5は誤り)。
問3
地域生活定着支援センターに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • ✔高齢または障害により福祉的支援を必要とする矯正施設退所予定者等について、退所後直ちに福祉サービスにつなげる支援を行う。
  • 2各市町村に1か所ずつ設置されている。
  • 3支援対象は少年に限られる。
  • 4保護観察所とは連携しない。
  • 5被疑者・被告人段階での支援(入口支援)は業務に含まれない。
解説:地域生活定着支援センターは2009年度から整備が始まり、各都道府県に1か所以上設置されています(2は誤り)。保護観察所からの依頼に基づき(4は誤り)、矯正施設に入所中から帰住地調整や福祉サービスの申請支援等を行うコーディネート業務、施設等への定着支援、相談支援を担います(出口支援)。2021年度からは被疑者・被告人段階での「被疑者等支援業務」(入口支援)も加わりました(5は誤り)。
問4
少年法に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1審判は原則として公開で行われる。
  • 218歳・19歳の者は少年法の適用対象から除外された。
  • 3少年鑑別所は矯正教育を行う施設である。
  • ✔家庭裁判所は、非行のある少年について保護処分等を決定する。
  • 5少年事件はすべて刑事裁判で審理される。
解説:少年法では、非行のある少年は原則としてすべて家庭裁判所に送致され(全件送致主義)、調査・審判を経て保護観察、児童自立支援施設等送致、少年院送致などの保護処分が決定されます。審判は非公開が原則です(1は誤り)。2022年施行の改正により、18歳・19歳は「特定少年」として引き続き少年法が適用されつつ、原則逆送対象事件の拡大など特例が設けられました(2は誤り)。少年鑑別所は資質鑑別を行う施設で、矯正教育を行うのは少年院です(3は誤り)。
問5
犯罪被害者等基本法に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1犯罪被害者等の定義に家族や遺族は含まれない。
  • 2地方公共団体の責務に関する規定は置かれていない。
  • 3経済的支援に関する施策は含まれていない。
  • 4所管は法務省に限定されている。
  • ✔2004年(平成16年)に成立し、政府は犯罪被害者等基本計画を定めることとされている。
解説:犯罪被害者等基本法は2004年に成立、2005年に施行され、犯罪被害者等が個人の尊厳を重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有することを基本理念に掲げます。「犯罪被害者等」には被害者本人だけでなく家族・遺族が含まれ(1は誤り)、国・地方公共団体・国民それぞれの責務が定められています(2は誤り)。基本的施策には相談・情報提供、損害賠償の請求支援、給付金の支給等の経済的支援(3は誤り)、保健医療・福祉サービスの提供が含まれます。心的外傷への対応など精神保健福祉士が関わる場面も多い分野です。
問6
自立準備ホームに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • ✔NPO法人等があらかじめ保護観察所に登録し、宿泊場所の提供と自立に向けた支援を行う。
  • 2国が直接設置・運営する施設である。
  • 3更生保護法人のみが実施できる。
  • 4宿泊場所の提供のみを行い、生活指導は行わない。
  • 5利用できるのは少年に限られる。
解説:自立準備ホームは、更生保護施設だけでは受け皿が不足する状況を踏まえ2011年度に開始された仕組みで、NPO法人、社会福祉法人、株式会社等があらかじめ保護観察所に登録し、保護観察所からの委託を受けて緊急的住居確保・自立支援対策として宿泊場所と食事、生活指導を提供します(2・3・4は誤り)。対象は成人・少年を問わず、住居がないまま矯正施設を出所する人などです(5は誤り)。高齢・障害のある対象者では地域生活定着支援センターとの連携が重要になります。
問7
児童自立支援施設に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • ✔児童福祉法に基づく児童福祉施設であり、不良行為をなし、又はなすおそれのある児童等を対象とする。
  • 2少年法に基づく矯正施設である。
  • 3入所は家庭裁判所の決定によるものに限られる。
  • 4通所による支援は行われない。
  • 5退所後の相談その他の援助は業務に含まれない。
解説:児童自立支援施設は児童福祉法第44条に基づく児童福祉施設で(2は誤り)、不良行為をなし、又はなすおそれのある児童および家庭環境等の理由により生活指導等を要する児童を入所または通所させ(4は誤り)、自立を支援します。入所経路には児童相談所長の措置によるものと、家庭裁判所の保護処分(児童自立支援施設等送致)によるものの両方があります(3は誤り)。退所した者への相談その他の援助も法律上の目的に含まれます(5は誤り)。
問8
保護観察に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1保護観察の対象は少年に限られる。
  • 2補導援護は保護観察の方法に含まれない。
  • 3遵守事項に違反しても不良措置がとられることはない。
  • ✔対象者には一般遵守事項と特別遵守事項が定められ、遵守すべき事項として指導監督の基礎となる。
  • 5遵守事項は一般遵守事項のみである。
解説:保護観察は更生保護法に基づき、指導監督と補導援護を方法として実施されます(2は誤り)。遵守事項には、すべての対象者に共通する一般遵守事項と、個々の対象者の改善更生に必要な範囲で定められる特別遵守事項があります(5は誤り)。対象は保護観察処分少年、少年院仮退院者、仮釈放者、保護観察付執行猶予者などで少年に限られません(1は誤り)。遵守事項違反があった場合には、警告、仮釈放の取消し、施設送致申請等の不良措置がとられることがあります(3は誤り)。

ソーシャルワークの基盤と専門職全40問中 8問を掲載

問1
ソーシャルワーク専門職のグローバル定義(2014年採択)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1医学的知識のみを基盤とする実践であるとされる。
  • 2個人への援助のみを対象とし、社会変革は含まれない。
  • 3地域・民族固有の知は基盤から除外されている。
  • 4国際ソーシャルワーカー連盟(IFSW)は関与していない。
  • ✔社会正義、人権、集団的責任、多様性尊重の諸原理が中核をなすとされる。
解説:2014年にIFSWとIASSWの総会で採択されたグローバル定義は、ソーシャルワークを「社会変革と社会開発、社会的結束、および人々のエンパワメントと解放を促進する、実践に基づいた専門職であり学問である」とし、社会正義・人権・集団的責任・多様性尊重の諸原理を中核に位置づけます。ソーシャルワークの理論、社会科学、人文学、および地域・民族固有の知を基盤とし(3は誤り)、人々やさまざまな構造に働きかけると明記しています(2は誤り)。
問2
バイステックの7原則に含まれないものを1つ選びなさい。
  • 1意図的な感情表出
  • 2非審判的態度
  • 3自己決定
  • ✔パターナリズム
  • 5個別化
解説:バイステック(Biestek, F.)の7原則は、①個別化、②意図的な感情表出、③統制された情緒的関与、④受容、⑤非審判的態度、⑥クライエントの自己決定、⑦秘密保持です。パターナリズム(父権主義)は、本人の意思にかかわらず本人のためだとして専門職が判断・介入する態度で、自己決定の尊重と対立する概念であり、原則には含まれません。精神保健福祉の実践では、支援がパターナリズムに陥っていないかを常に問い直すことが求められます。
問3
ソーシャルワークの形成期に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • ✔トインビー・ホールは、バーネットらによりロンドンに設立された世界初のセツルメント・ハウスである。
  • 2ハル・ハウスはリッチモンドによって設立された。
  • 3リッチモンドは『社会診断』を著し、セツルメント運動の理論化を行った。
  • 4慈善組織協会(COS)はセツルメント運動の一環として設立された。
  • 5アダムスは友愛訪問員の活動を体系化した。
解説:トインビー・ホールは1884年、バーネット夫妻らによりロンドンのイーストエンドに設立された世界初のセツルメント・ハウスです。アメリカではアダムス(Addams, J.)がシカゴにハル・ハウスを設立しました(2は誤り)。リッチモンド(Richmond, M.)は慈善組織協会(COS)の友愛訪問の実践を体系化し、『社会診断』(1917年)『ソーシャル・ケース・ワークとは何か』(1922年)を著してケースワークを理論化しました(3・4・5は誤り)。COSは個別援助、セツルメントは地域・環境改善の源流とされます。
問4
多職種連携に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1トランスディシプリナリー・モデルでは各職種が独立して並行的に関わる。
  • 2多職種連携において当事者はチームの構成員とはならない。
  • 3連携においては情報共有よりも各職種の独立性が優先される。
  • ✔インターディシプリナリー・モデルは、各専門職が相互作用しながら共通の目標に向けて協働する形態である。
  • 5マルチディシプリナリー・モデルは、専門職の役割を意図的に横断・解放する形態である。
解説:多職種連携の形態は一般に、マルチディシプリナリー(各職種が階層的・並行的に役割を果たす)、インターディシプリナリー(相互作用しながら共通目標に向け協働する)、トランスディシプリナリー(役割の意図的な横断・解放を伴う)に整理され、1と5は説明が入れ替わっています。本人・家族はチームの中心的な構成員であり(2は誤り)、目標の共有と情報共有が連携の前提となります(3は誤り)。
問5
社会福祉士および精神保健福祉士に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1社会福祉士及び介護福祉士法は1997年に制定された。
  • 2精神保健福祉士法は1987年に制定された。
  • 3両資格に共通する義務規定は定められていない。
  • ✔いずれも名称独占の国家資格であり、資格の登録は公益財団法人社会福祉振興・試験センターが行う。
  • 5いずれも業務独占の国家資格である。
解説:社会福祉士及び介護福祉士法は1987年(昭和62年)、精神保健福祉士法は1997年(平成9年)の制定です(1・2は入れ替わり)。いずれも名称独占資格で、その名称を用いて業務を行うことを制限するもので、業務そのものを独占するものではありません(5は誤り)。登録事務は公益財団法人社会福祉振興・試験センターが行います。誠実義務、信用失墜行為の禁止、秘密保持義務、連携等、資質向上の責務といった義務規定は両法に共通して置かれています(3は誤り)。
問6
ミルフォード会議に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • ✔1929年の報告書において、ジェネリック・ソーシャルケースワークの概念が示された。
  • 2セツルメント運動の方針を決定した会議である。
  • 31929年にイギリスで開催された。
  • 4ケースワークの分野別の専門分化を推進することを結論とした。
  • 5グループワークの理論を体系化した会議である。
解説:ミルフォード会議は1920年代にアメリカで開催された会議で、1929年の報告書『ソーシャル・ケースワーク ジェネリックとスペシフィック』において、分野ごとに分立していたケースワークに共通する知識・技術(ジェネリック)が存在することを明らかにしました(3・4は誤り)。この整理は、後のジェネラリスト・アプローチや、ミクロ・メゾ・マクロを一体的に捉える実践枠組みの源流に位置づけられます。
問7
ソーシャルワーク実践における倫理的ジレンマに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1スーパービジョンやカンファレンスの活用は不適切である。
  • 2所属機関の方針とクライエントの利益は常に一致する。
  • ✔クライエントの自己決定の尊重と生命の保護など、複数の価値が衝突する状況を指す。
  • 4支援者個人の判断のみで解決すべきものとされる。
  • 5倫理綱領を参照すれば常に一義的な答えが得られる。
解説:倫理的ジレンマは、自己決定の尊重と生命・安全の保護、クライエントの利益と第三者の利益、守秘義務と情報共有の必要性など、いずれも尊重すべき価値が衝突し、どちらを選んでも何かを損なう状況を指します。倫理綱領は判断の枠組みを与えますが、個別状況への当てはめは一義的に定まらないため(5は誤り)、スーパービジョンやカンファレンスで多角的に検討し、判断の根拠を記録することが求められます(1・4は誤り)。所属機関の方針とクライエントの利益が対立することもあります(2は誤り)。
問8
グリーンウッドが示した専門職の属性に含まれないものを1つ選びなさい。
  • 1倫理綱領
  • ✔業務独占の法的保障
  • 3体系的な理論
  • 4専門職的権威
  • 5社会的承認(コミュニティの承認)
解説:グリーンウッド(Greenwood, E.)は「専門職の属性」(1957年)において、①体系的な理論、②専門職的権威、③社会的承認(コミュニティの承認)、④倫理綱領、⑤専門職文化の5つを挙げました。業務独占の法的保障は含まれていません。精神保健福祉士は名称独占資格ですが、体系的理論、倫理綱領、専門職団体による専門職文化を備えており、専門職としての要件を論じる際の基本的な枠組みとなります。

ソーシャルワークの理論と方法全41問中 8問を掲載

問1
ソーシャルワークにおけるシステム理論・生態学的視点に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1エコマップは家族の世代関係を図示するツールである。
  • ✔エコロジカル・アプローチは、人と環境の交互作用に着目し適応のバランスを重視する。
  • 3システム理論は個人の内的要因のみに焦点を当てる。
  • 4ジェネラリスト・ソーシャルワークは特定の対象・方法に限定した実践である。
  • 5ピンカスとミナハンは援助システムを2つに整理した。
解説:エコロジカル(生態学的)アプローチは、ジャーメインとギッターマンの生活モデルに代表され、人と環境の交互作用(transaction)と適応のバランスに着目します。システム理論は個人・家族・集団・地域を相互に関連するシステムとして捉える枠組みで(3は誤り)、ジェネラリスト・ソーシャルワークはミクロ・メゾ・マクロを一体的に捉える実践です(4は誤り)。ピンカスとミナハンは、チェンジエージェント・クライエント・ターゲット・アクションの4つのシステムを提示しました(5は誤り)。世代関係の図示はジェノグラムです(1は誤り)。
問2
ソーシャルワークの面接技術に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1沈黙が生じた場合は直ちに話題を変える。
  • ✔開かれた質問は、クライエントが自由に語ることを促す質問である。
  • 3閉じられた質問は使用してはならない。
  • 4言い換えとは、援助者の解釈を新たに加えて伝えることをいう。
  • 5要約は面接の冒頭でのみ用いる技法である。
解説:開かれた質問(オープンクエスチョン)は「どのように感じましたか」のように自由な語りを促し、閉じられた質問は事実確認や状況が不安定なときに有効で、両者を状況に応じて使い分けます(3は誤り)。言い換えはクライエントの語りを援助者の言葉で返し理解を確認する技法で、新たな解釈の付加ではありません(4は誤り)。要約は面接の区切りや終結時にも用います(5は誤り)。沈黙にはクライエントが考えを整理している時間としての意味があり、その意味を見極める姿勢が求められます(1は誤り)。
問3
ケースマネジメント(ケアマネジメント)の展開過程に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1アセスメントはインテークより前に行う。
  • 2モニタリングは終結後にのみ実施する。
  • 3プランニングは援助者が単独で行う。
  • 4終結後のフォローアップは行わない。
  • ✔インテーク→アセスメント→プランニング→インターベンション→モニタリング→評価・終結の流れで展開する。
解説:ケースマネジメントは、ケース発見・インテーク(受理面接)→アセスメント(情報収集・課題整理)→プランニング(支援計画の作成)→インターベンション(計画の実施・サービスの調整)→モニタリング(実施状況の継続的確認)→再アセスメント→評価・終結という循環的な過程で展開します。モニタリングは支援の実施中に継続的に行い(2は誤り)、計画は本人の参加のもとで作成することが原則です(3は誤り)。終結後のアフターケア・フォローアップも重要です(4は誤り)。
問4
課題中心アプローチに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1取り組む課題は支援者が一方的に決定する。
  • 2パールマンによって提唱された。
  • ✔リードとエプスタインにより開発され、短期の計画的な期間内に具体的な課題に取り組む。
  • 4無意識の葛藤の洞察を主たる目的とする。
  • 5支援期間を定めずに長期的に関わることを原則とする。
解説:課題中心アプローチは、リード(Reid, W.)とエプスタイン(Epstein, L.)が1970年代に開発した実践モデルで、クライエントが認識し取り組む意思のある具体的課題を協働で選定し(1は誤り)、おおむね週1回・3か月程度といった計画的な短期の枠組みで取り組みます(5は誤り)。心理力動的な洞察ではなく、実行可能な行動レベルの課題遂行を重視する点が特徴です(4は誤り)。なお問題解決アプローチはパールマン(Perlman, H.)によるものです(2は誤り)。
問5
ナラティヴアプローチに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1問題と人を同一のものとして捉える。
  • 2支援者が専門家として正しい解釈を提示することを重視する。
  • 3ホワイトとエプストンが提唱した課題中心アプローチの一種である。
  • ✔社会構成主義を基盤とし、ドミナントストーリーからオルタナティヴストーリーへの書き換えを支援する。
  • 5実証主義を基盤とし客観的事実の特定を目的とする。
解説:ナラティヴアプローチはホワイト(White, M.)とエプストン(Epston, D.)により発展した実践で、社会構成主義を基盤とします。人を支配している問題飽和的な語り(ドミナントストーリー)を、外在化の技法により「問題は問題であって人は問題ではない」と捉え直し(1は誤り)、例外的な出来事(ユニークな結果)に光を当てて新たな語り(オルタナティヴストーリー)を紡ぐことを支援します。支援者は「無知の姿勢」でクライエントを自らの人生の専門家として位置づけます(2・5は誤り)。
問6
単一事例実験計画法(シングル・システム・デザイン)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 11回のみの測定によって効果を判断する方法である。
  • 2質的データのみを扱う方法である。
  • 3ABAデザインでは介入を中断する段階は設けられない。
  • ✔介入前のベースライン期と介入期のデータを比較し、介入の効果を検討する方法である。
  • 5多数の対象者を無作為に2群に分けて比較する方法である。
解説:単一事例実験計画法は、一人の対象者(または一つのシステム)について、介入前のベースライン期(A)と介入期(B)を設定し、継続的に測定した指標の推移を比較して効果を検討する方法です。ABデザイン、介入を中断して効果の再現性をみるABAデザイン(3は誤り)、ABABデザインなどがあります。無作為化比較試験とは異なり少数事例で実施でき(5は誤り)、反復測定を前提とする点(1は誤り)、数量化された指標を用いる点(2は誤り)が特徴で、実践現場での評価に適します。
問7
心理社会的アプローチに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1行動理論を理論的基盤とする。
  • 2短期処遇を原則とする。
  • ✔ホリスが体系化し、「状況の中の人」を基本的な視点とする。
  • 4パールマンが体系化した。
  • 5環境への働きかけは行わない。
解説:心理社会的アプローチはハミルトンらの流れを受けてホリス(Hollis, F.)が体系化したもので(4は誤り)、精神分析理論と自我心理学を基盤に(1は誤り)、クライエントを「状況の中の人(person-in-his-situation)」として捉えます。介入は、クライエントへの直接的働きかけ(持続的支持、直接的指示、浄化法、人と状況の全体的関連の反省的話し合い等)と、環境への間接的働きかけの両面から行われます(5は誤り)。期間を限定せず継続的に関わる点で課題中心アプローチと対比されます(2は誤り)。
問8
機能的アプローチに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1フロイトの理論を基盤とする診断主義の系譜に属する。
  • 2リッチモンドによって体系化された。
  • 3機関の機能は援助の妨げになるとして排除する立場をとる。
  • 4クライエントを援助の受動的な対象として捉える。
  • ✔ランクの意志心理学を基盤とし、機関の機能を活用してクライエントの意志の発現を促す。
解説:機能的アプローチは、タフト(Taft, J.)やロビンソン(Robinson, V.)らによりランク(Rank, O.)の意志心理学を基盤として展開され(2は誤り)、後にスモーリーが体系化しました。フロイト理論に立つ診断主義学派と対立する機能主義学派の実践であり(1は誤り)、クライエントを自ら成長する力をもつ主体と捉え(4は誤り)、所属機関の機能と時間的枠組みを、援助を方向づける積極的な要素として活用します(3は誤り)。この対立は後に統合の方向へ向かいました。

社会福祉調査の基礎全27問中 8問を掲載

問1
社会福祉調査に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1量的調査では標本の代表性を考慮する必要はない。
  • 2参与観察は量的調査の手法である。
  • 3グラウンデッド・セオリー・アプローチは量的データの分析方法である。
  • ✔量的調査は仮説の検証に、質的調査は仮説の生成や意味の探求に適している。
  • 5質的調査では統計的な分析を一切行わない。
解説:量的調査は数量的データを統計的に分析し、仮説の検証や一般化に適します。質的調査はインタビューや参与観察(2は誤り)により、当事者の主観的意味や過程を深く理解し、仮説の生成に適します。質的データを計量的に扱う内容分析のような手法もあり5は言い過ぎです。量的調査では母集団を適切に代表する標本の抽出が不可欠で(1は誤り)、グラウンデッド・セオリー・アプローチは質的データから理論を生成する方法です(3は誤り)。
問2
標本抽出法に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1雪だるま式抽出法(スノーボール・サンプリング)は確率抽出法である。
  • ✔単純無作為抽出法は、母集団の全構成員が等しい確率で抽出される確率抽出法である。
  • 3有意抽出法は確率抽出法の一種である。
  • 4系統抽出法では乱数表を一切用いない。
  • 5層化抽出法は母集団の特性を無視して抽出する方法である。
解説:確率抽出法(無作為抽出法)には、単純無作為抽出、系統抽出(等間隔抽出。最初の1件は乱数等で決めるため4は誤り)、層化抽出(母集団を性別・年齢等の層に分けて各層から抽出。5は誤り)、多段抽出などがあります。これらは標本誤差の推定が可能です。有意抽出法(1は誤り)や雪だるま式抽出は非確率抽出法で、対象者の把握が困難な集団の調査で用いられますが、統計的な一般化には限界があります。
問3
社会福祉調査における倫理に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • ✔調査目的や方法を説明したうえで同意を得ること、匿名性と守秘を確保することが求められる。
  • 2調査への協力は一度同意すれば撤回できない。
  • 3福祉サービス利用者への調査では倫理的配慮を省略できる。
  • 4研究倫理審査は法律で禁止されている。
  • 5調査結果の公表にあたり個人が特定される記載をしても差し支えない。
解説:調査では、目的・方法・公表方法・想定される負担を説明したうえで自由意思による同意(インフォームド・コンセント)を得ることが基本です。同意はいつでも撤回でき、撤回により不利益を受けないことを保証する必要があります(2は誤り)。支援関係にある利用者への調査では、断りにくさという力関係に特に配慮が求められます(3は誤り)。研究倫理審査委員会による事前審査が広く行われ(4は誤り)、公表時には個人が特定されないよう匿名化が必要です(5は誤り)。
問4
尺度水準に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1間隔尺度には絶対的な原点(ゼロ点)が存在する。
  • 2比率尺度では比の計算ができない。
  • 3性別や血液型は順序尺度に分類される。
  • ✔名義尺度で得られたデータについて平均値を算出しても意味をもたない。
  • 5順序尺度では数値の間隔が等しいことが保証されている。
解説:尺度水準は、名義尺度(分類のみ。性別・血液型など。3は誤り)、順序尺度(順位づけはできるが間隔は等間隔と保証されない。5は誤り)、間隔尺度(間隔が等しいが絶対原点をもたない。摂氏温度など。1は誤り)、比率尺度(絶対原点をもち比の計算が可能。年齢・収入など。2は誤り)の4つに分けられます。名義尺度で意味をもつ代表値は最頻値であり、平均値の算出は意味をもちません。尺度水準は使用できる統計手法を規定します。
問5
質問紙の作成に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1キャリーオーバー効果は質問の順序とは無関係に生じる。
  • 2プリテスト(予備調査)は不要である。
  • ✔1つの質問文で2つの事柄を同時に尋ねるダブルバーレル質問は避けるべきである。
  • 4回答を特定の方向に誘導する質問は望ましい。
  • 5専門用語を多用することが正確性の観点から望ましい。
解説:ダブルバーレル質問(例:「この事業所の職員の対応と設備に満足していますか」)は、どちらについての回答か判別できないため避けます。誘導的な質問(4は誤り)や難解な専門用語(5は誤り)も回答の妥当性を損ないます。キャリーオーバー効果は、前の質問が後の質問の回答に影響を与える現象で、質問の配列に起因します(1は誤り)。実施前にプリテストを行い、質問文の分かりにくさや所要時間を確認することが推奨されます(2は誤り)。
問6
質的調査の方法に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1フォーカスグループインタビューは1対1で行う面接である。
  • 2参与観察では観察者が対象集団と関わりをもたないことが原則である。
  • 3逐語録の作成は質的データ分析には用いられない。
  • ✔半構造化面接は、あらかじめ大枠の質問項目を用意しつつ、対象者の語りに応じて柔軟に展開する。
  • 5構造化面接では調査者が自由に質問を追加することが前提とされる。
解説:半構造化面接は、インタビューガイドを用意しつつ、語りの流れに応じて掘り下げや追加の質問を行う方法で、質的調査で広く用いられます。構造化面接は質問文と順序を固定して行うもので(5は誤り)、フォーカスグループインタビューは複数の参加者による相互作用を活かす集団面接です(1は誤り)。参与観察は観察者が対象集団の生活や活動に参加しながら観察する方法であり(2は誤り)、面接内容は逐語録に起こしてコード化し分析します(3は誤り)。
問7
代表値と散布度に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1最頻値は数量データにしか用いることができない。
  • 2標準偏差は分布の中心的傾向を表す指標である。
  • 3所得の分布には平均値を用いることが最も適切とされる。
  • ✔極端に大きい値や小さい値(外れ値)の影響を受けにくい代表値は中央値である。
  • 5平均値は外れ値の影響を受けにくい。
解説:中央値はデータを大きさの順に並べた中央の値であり、外れ値の影響を受けにくい代表値です。平均値はすべての値を用いるため外れ値の影響を強く受けます(5は誤り)。最頻値は最も度数の多い値で、名義尺度のデータにも用いることができます(1は誤り)。標準偏差は分布のばらつき(散布度)を表す指標です(2は誤り)。所得のように分布が一方に偏る場合は、平均値より中央値が実態を反映しやすいとされます(3は誤り)。
問8
調査の対象範囲に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 1国民生活基礎調査は全数調査である。
  • ✔国勢調査は、母集団のすべてを対象とする全数調査(悉皆調査)である。
  • 3国勢調査は標本調査である。
  • 4全数調査では標本誤差が生じる。
  • 5標本調査では母集団の推計を行うことはできない。
解説:国勢調査は日本に住むすべての人と世帯を対象とする全数調査(悉皆調査)で、5年ごとに実施されます。全数調査では標本を抽出しないため標本誤差は生じませんが(4は誤り)、費用と時間がかかり、記入漏れ等の非標本誤差は生じえます。標本調査は母集団から抽出した標本の結果から母集団の状態を推計するもので(5は誤り)、国民生活基礎調査は標本調査です(1は誤り)。