分野別問題(Cメソッド)

管理栄養士・栄養士|分野別 問題インデックス

最終更新:2026年8月11日

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基礎栄養学

問1
GLUT4の特徴として正しいものはどれか。
  • 1常時細胞膜上に存在する
  • ✔インスリン刺激により細胞内小胞から細胞膜へ移行しグルコース取り込みを促進する(骨格筋・脂肪組織)
  • 3GLUT4はフルクトース輸送体
  • 4GLUT4は肝臓に特異的
  • 5すべてのGLUTはインスリン依存的
解説:GLUT4は骨格筋・脂肪組織に発現し、インスリン刺激→PI3K-Akt→AS160リン酸化→GLUT4含有小胞(GSV)の細胞膜への転位→グルコース取り込み増加(インスリン依存的)。GLUT2(肝臓・膵β細胞)はインスリン非依存的に血糖感知・高容量輸送を担う。
問2
mTORC1の活性化条件として正しいものはどれか。
  • 1エネルギー不足・アミノ酸欠乏時
  • 2mTORは脂肪分解のみを調節する
  • ✔アミノ酸(特にロイシン)・インスリン・IGF-1・高ATP時に活性化されたんぱく質合成・細胞成長を促進する
  • 4mTORはAMPKと同じ方向に作用する
  • 5mTORはオートファジーを促進する
解説:mTORC1は栄養・成長因子の統合センサー。活性化刺激:①ロイシン(Sestrin2-GATOR経路・Rag GTPase)②インスリン・IGF-1(PI3K-Akt-TSC経路)③高ATP(AMPK不活性化)。活性化するとS6K1・4E-BP1リン酸化→mRNA翻訳↑・リボソーム生合成↑→たんぱく質合成促進。AMPKとは拮抗関係(AMPK活性化→TSC2リン酸化→mTORC1抑制)。
問3
AMPK活性化によって生じる代謝変化として正しいものはどれか。
  • ✔AMP/ATP比上昇時に活性化し脂肪酸合成・糖新生を抑制しβ酸化・GLUT4転位を促進するエネルギーセンサー
  • 2AMPKはたんぱく質合成を促進する
  • 3AMPKはグリコーゲン合成を促進する
  • 4AMPKは高エネルギー状態で活性化される
  • 5AMPKはHMG-CoA還元酵素を活性化する
解説:AMPK(AMP活性化プロテインキナーゼ)は細胞内AMP/ATP上昇(運動・断食・低酸素)で活性化。活性化により:①ACC(アセチルCoAカルボキシラーゼ)↓→マロニルCoA↓→カルニチン系↑→β酸化促進②HMG-CoA還元酵素↓→コレステロール合成↓③糖新生↓(CREB-C経路)④GLUT4転位↑→糖取り込み⑤mTORC1↓→たんぱく質合成抑制⑥ULK1↑→オートファジー促進。
問4
エピジェネティクスと栄養の関係として正しいものはどれか。
  • 1エピジェネティクスは腸内細菌のみが調節する
  • ✔食事(葉酸・メチオニン・コリン等のメチル基供与体)がDNAメチル化・ヒストン修飾等のエピジェネティック変化に影響し遺伝子発現を調節する
  • 3一度のエピジェネティック変化は不可逆的
  • 4エピジェネティクスは遺伝子発現と無関係
  • 5エピジェネティクスはDNA配列の変化
解説:エピジェネティクスはDNA配列を変えずに遺伝子発現を制御する仕組み。栄養との主な関連:①葉酸・ビタミンB12・メチオニン・コリン(一炭素代謝:DNAメチル化・ヒストンメチル化の基質供給)②腸内細菌の代謝産物(酪酸:HDACs阻害→ヒストンアセチル化↑)③ポリフェノール(DNAメチル化酵素・ヒストン修飾酵素への影響)④胎児期の低栄養→エピジェネティック変化→成人後の代謝疾患リスク(DOHaD仮説)。
問5
ビタミンDの活性化経路として正しいものはどれか。
  • ✔皮膚(UVB→D3)→肝臓(25-OH-D3)→腎臓(1α-ヒドロキシラーゼ→1,25-(OH)₂D3:活性型)の順で活性化される
  • 2ビタミンDは食事からのみ摂取できる
  • 3肝臓のみで全活性化が完結する
  • 4腸内細菌が主要な産生源
  • 5ビタミンDは水溶性ビタミン
解説:ビタミンD活性化:①皮膚:UVB(290〜315nm)→7-デヒドロコレステロール→プレビタミンD3→ビタミンD3(コレカルシフェロール)②肝臓:CYP2R1(25-ヒドロキシラーゼ)→25-OH-D3(主要循環型・貯蔵指標・半減期2〜3週)③腎臓:CYP27B1(1α-ヒドロキシラーゼ:PTH・低Ca・低Pで誘導)→1,25-(OH)₂D3(カルシトリオール:活性型)→腸管Ca吸収↑・骨形成↑・免疫調整等。CKDでは③が障害される。
問6
アルコール代謝とNADH過剰が引き起こす代謝変化として正しいものはどれか。
  • 1アルコールは栄養代謝に影響しない
  • ✔NADH過剰(ADH・ALDH経路)→β酸化阻害・糖新生阻害・乳酸蓄積・脂肪合成促進→脂肪肝・低血糖・乳酸アシドーシスのリスク
  • 3アルコール代謝は肝臓以外で主に行われる
  • 4アルコールはたんぱく質合成を促進する
  • 5NADH過剰でTCA回路が促進される
解説:アルコール代謝(主に肝臓):エタノール→(ADH)→アセトアルデヒド→(ALDH)→酢酸。各ステップでNADH産生→NADH/NAD⁺比↑の影響:①ピルビン酸→乳酸に偏る(糖新生阻害・乳酸アシドーシス)②脂肪酸β酸化阻害(NADHが律速)③脂肪酸合成促進→中性脂肪蓄積(脂肪肝)④α-グリセロリン酸↑→TG合成促進。加えて葉酸・B1・B6・Zn等の微量栄養素の吸収・代謝障害も生じる。
問7
腸管での単糖吸収機構の違いとして正しいものはどれか。
  • ✔グルコース・ガラクトース:SGLT1(Na⁺共輸送:能動輸送)、フルクトース:GLUT5(促進拡散)で吸収、基底膜側:GLUT2(全単糖)
  • 2グルコースはGLUT5で吸収される
  • 3単糖はすべて受動拡散のみで吸収される
  • 4フルクトースはSGLT1で吸収される
  • 5すべての単糖が同じ機構で吸収される
解説:小腸上皮細胞(刷子縁)での吸収:①グルコース・ガラクトース:SGLT1(Sodium-Glucose Linked Transporter 1)によるNa⁺と共役した二次能動輸送(Na⁺濃度勾配を利用)②フルクトース:GLUT5(促進拡散・濃度勾配)③基底膜側からの血中放出:GLUT2(グルコース・ガラクトース・フルクトース全て・促進拡散)。高濃度フルクトース摂取→de novo lipogenesis↑が問題視されている。
問8
ヘプシジンの鉄代謝における役割として正しいものはどれか。
  • 1ヘプシジンは骨髄で産生される
  • 2ヘプシジンは鉄吸収を促進する
  • 3ヘプシジンは鉄欠乏で増加する
  • ✔ヘプシジンは肝臓産生の鉄調節ホルモンでフェロポルチン(鉄輸出体)を分解し腸管・マクロファージからの鉄放出を抑制する
  • 5ヘプシジンはカルシウム代謝に関与する
解説:ヘプシジン(25アミノ酸の抗菌ペプチド由来)は肝臓で産生される鉄代謝の主調節因子。機序:フェロポルチン(SLC40A1:腸管上皮・マクロファージ・肝細胞の鉄輸出チャネル)に直接結合→内在化・分解→鉄の腸管吸収↓・マクロファージからの鉄放出↓→血中鉄↓。調節:鉄過剰・炎症(IL-6→STAT3)・BMP/SMAD経路でヘプシジン↑、鉄欠乏・低酸素(HIF)・造血亢進(EPO・GDF15)でヘプシジン↓。慢性炎症性貧血の主機序。

応用栄養学

問1
クレアチニン身長係数(CHI)の意義として正しいものはどれか。
  • 1体脂肪量を反映する指標
  • 2腎機能のみを反映する
  • 3肝機能を反映する指標
  • 4骨密度を反映する指標
  • ✔24時間尿中クレアチニン排泄量を同身長・性別の標準値と比較した指標で骨格筋量(体たんぱく質栄養状態)の評価に活用される(CHI80%以上:正常・60〜80%:軽度消耗・60%未満:重度消耗)
解説:クレアチニンはクレアチンリン酸の代謝産物で筋肉量に比例して産生・尿中排泄される(一定)。CHI(Creatinine Height Index)=24時間尿中Cr排泄量(mg/日)÷同身長・性別の標準値(mg/日)×100(%)。80%以上:正常、60〜80%:軽度〜中等度筋消耗、60%未満:重度筋消耗。腎機能が正常である必要がある。BCAAバランス・除脂肪体重・栄養介入の効果評価に活用。
問2
老年期のたんぱく質摂取について近年推奨されていることはどれか。
  • 1植物性たんぱく質のみで十分
  • ✔高齢者ではアナボリック抵抗性(筋肉のたんぱく質合成応答低下)が生じるため若年者より多い量(1.0〜1.5g/kg/日以上)が推奨され1食に十分な量を確保することが重要
  • 3高齢者は若年者より少ないたんぱく質で十分
  • 4たんぱく質の供給源は関係ない
  • 5腎機能が正常でもたんぱく質を制限すべき
解説:高齢者のたんぱく質摂取:①アナボリック抵抗性(加齢で同量のアミノ酸・インスリン刺激に対するmTORC1活性・筋たんぱく合成反応が低下)のため若年者より多い量(1.0〜1.5g/kg/日以上)が必要②1食あたりの閾値量(特にロイシン含量)が重要(25〜30g以上の良質なたんぱく質/食でmTORC1が最大活性化)③ロイシンリッチな動物性たんぱく質(乳・卵・肉)が筋合成効果が高い④レジスタンス運動との組み合わせが最も効果的。
問3
間欠的ファスティング(断続的断食)の健康効果として正しいものはどれか。
  • ✔16:8法・5:2法等のパターンで体重減少・インスリン感受性改善・オートファジー誘導等の効果が研究されているが持続的なカロリー制限との有意差は確立されておらず特定集団(妊婦・糖尿病薬服用者等)では注意が必要
  • 2断食中は水分も制限すべき
  • 3間欠的ファスティングは完全に安全
  • 4間欠的ファスティングに代謝的な根拠はない
  • 5間欠的ファスティングで必ず筋肉量が増加する
解説:間欠的ファスティング(IF)の主な方法:①16:8(16時間断食・8時間食事)②5:2(週5日通常・2日500〜600kcal)③OMAD(1日1食)。確認されている効果:体重・体脂肪↓、インスリン感受性改善、炎症マーカー↓、オートファジー誘導(ケトン体産生↑)。不明確な点:持続的カロリー制限との優位性・長期安全性。禁忌・注意:妊婦・授乳婦・成長期・摂食障害既往・インスリン使用の糖尿病・特定薬物服用者。
問4
グリコーゲンローディング(カーボローディング)の目的と方法として正しいものはどれか。
  • 1脂肪増加を目的とする
  • 2水分補給のみを目的とする
  • 3筋肉量増加を目的とする
  • ✔持久性運動(90分以上)の前に糖質大量摂取で筋肉・肝臓のグリコーゲン貯蔵を最大化してハンガーノックを防ぎパフォーマンスを向上させる方法
  • 5減量を目的とする
解説:グリコーゲンローディング(カーボローディング):競技前1〜3日間に高糖質食(体重×10〜12g糖質/日)を摂取して筋グリコーゲン貯蔵量を通常の1.5〜2倍に増大させる。目的:長時間持久性運動(マラソン・トライアスロン・サイクリング等90分以上)での「ハンガーノック」(グリコーゲン枯渇によるエネルギー切れ)を防ぐ。以前の「枯渇期(低糖質)+充填期(高糖質)」法から現在は「直前3日間の高糖質食」のみで十分とされる。
問5
腸内細菌叢と肥満の関係として正しいものはどれか。
  • 1腸内細菌叢はエネルギー代謝に影響しない
  • ✔肥満者で多様性低下・Firmicutes/Bacteroidetes比上昇傾向があり、肥満マウスの腸内細菌叢を無菌マウスに移植すると体脂肪が増加することが示されている
  • 3腸内細菌叢と体重は無関係
  • 4痩せている人の腸内細菌は多様性が低い
  • 5腸内細菌叢の移植で体重変化は生じない
解説:腸内細菌叢と肥満の関連(Turnbaughら2006、Backhedら):①肥満者・マウスでFirmicutes↑・Bacteroidetes↓(F/B比上昇傾向:ただし個人差大・必ずしも一致しない)②食物繊維からのSCFAs産生・エネルギー回収効率の差異③肥満マウス腸内細菌を無菌マウスに移植→体脂肪増加(因果関係の証拠)④LPS(グラム陰性菌外膜成分)→腸管透過性↑→代謝性内毒素血症→慢性炎症→インスリン抵抗性。食物繊維摂取量・食事の多様性が腸内細菌叢多様性に影響。
問6
サルコペニア肥満の栄養管理として最も適切なものはどれか。
  • 1たんぱく質は制限すべき
  • 2エネルギーを大幅に制限するのみでよい
  • ✔筋肉量維持のためのたんぱく質確保(1.2g/kg/日以上)と脂肪減少のための適度なエネルギー制限(500〜750kcal/日不足)・レジスタンス運動の組み合わせが推奨される
  • 4サルコペニア肥満への栄養管理は不要
  • 5体重を急速に減少させることのみが目標
解説:サルコペニア肥満(骨格筋減少+過剰体脂肪の共存)の管理:①過度なエネルギー制限は骨格筋の異化(分解)を促進するため避ける(目安:500〜750kcal/日の負のエネルギーバランス)②十分なたんぱく質摂取(1.2〜1.5g/kg/日以上)で筋肉量を保ちながら体脂肪を減少③レジスタンス運動(筋肥大刺激)を必ず組み合わせる④ビタミンD(低値の場合は補充)⑤身体組成の定期的な評価(BIA・DXA)が重要。
問7
スポーツ選手のたんぱく質必要量として正しいものはどれか。
  • 1植物性のみで十分
  • 2スポーツ選手はたんぱく質を制限すべき
  • 3たんぱく質は多いほど筋肉が増える
  • ✔筋力系は1.6〜2.2g/kg/日・持久系は1.2〜1.6g/kg/日程度と一般推奨量より多いたんぱく質摂取が推奨される
  • 5一般人と同一(0.8g/kg/日)
解説:スポーツ選手のたんぱく質推奨量(IOC・ACSM・栄養スポーツ医学コンセンサス):①筋力・パワー系(重量挙げ・スプリント等):1.6〜2.2g/kg/日②持久性スポーツ(マラソン等):1.2〜1.6g/kg/日③混合型:1.4〜1.8g/kg/日。1食あたりの摂取量(20〜40g)・ロイシン含量(2.5〜3g/食)・タイミング(運動後早期)も重要。
問8
MUST(Malnutrition Universal Screening Tool)の評価項目として正しいものはどれか。
  • 1管理栄養士のみが使用できる
  • 2高齢者専用のツール
  • 3血液検査値のみで評価
  • 4嚥下機能のみを評価する
  • ✔BMI・過去3〜6か月の意図しない体重減少率・急性疾患の有無の3項目でスコア化してリスク分類する成人用栄養スクリーニングツール
解説:MUST(英国BAPEN開発)の評価項目と採点:①BMI(kg/m²):>20→0点・18.5〜20→1点・<18.5→2点②過去3〜6か月の体重減少率:<5%→0点・5〜10%→1点・>10%→2点③急性疾患で5日以上食事摂取がないまたはその可能性→2点。合計:0点(低リスク)・1点(中等度リスク)・2点以上(高リスク)に分類して対応を決定。地域・病院・施設で広く使用されるシンプルな栄養スクリーニングツール。

臨床栄養学

問1
栄養療法の選択優先順位として正しいものはどれか。
  • 1静脈栄養を常に第一選択とする
  • 2経口と静脈栄養は同等
  • 3経腸栄養はTPNより効果が低い
  • ✔消化管が機能する場合は経口→経腸→補助的静脈栄養の順で優先しTPNは消化管使用不能時の最終選択
  • 5消化管機能に関わらず静脈栄養を選択
解説:栄養経路選択の原則「腸が使えるなら腸を使う(If the gut works, use it)」:①経口摂取(食事・ONS)②経腸栄養(鼻胃管・胃瘻・空腸瘻)③補助的静脈栄養(経腸+PPN)④TPN(消化管使用不能時のみ)。経腸栄養の利点:腸管粘膜萎縮防止・バクテリアルトランスロケーション予防・腸管免疫維持・感染合併症減少・コスト低・肝機能障害少。
問2
血清アルブミンを栄養指標として使用する際の注意点として正しいものはどれか。
  • 1アルブミンは鋭敏な短期的栄養指標
  • 2正常値は2.0g/dL以上
  • 3炎症があってもアルブミンは低下しない
  • ✔アルブミンは半減期約20日と長く急性期・炎症下では低下するため短期的栄養変化の指標として不適、慢性的栄養不良の評価に適している(短期指標にはプレアルブミン・RBP等)
  • 5アルブミンは最も感度の高い栄養指標
解説:血清アルブミン(正常値3.5〜5.0g/dL)は肝臓産生の主要な血漿たんぱく質。半減期約20日(長い)のため急性期の栄養変化に反応が遅い。また炎症(急性相反応蛋白の逆パターン:negative acute phase protein)・肝疾患・腎症(尿中喪失)・水分貯留(希釈)で低下するため純粋な栄養指標にならない。短期(2〜7日)栄養指標:プレアルブミン(半減期2日)・RBP(レチノール結合たんぱく質:半減期12時間)・トランスフェリン(8日)。
問3
ICU患者への早期経腸栄養(EEN)の推奨と禁忌として正しいものはどれか。
  • 1EENは最低1週間後から開始する
  • ✔入室24〜48時間以内のEEN開始が推奨(腸管機能が維持されている場合)、禁忌:完全腸閉塞・消化管穿孔・難治性ショック・重症虚血性腸炎等
  • 3ICUでは栄養管理は24時間後から開始する
  • 4ICUでは絶食が最善
  • 5EENは全ICU患者に禁忌
解説:ICU患者の栄養管理(ASPEN・ESPEN・SCCM/ASPEN ガイドライン等):①消化管が機能する場合:入室後24〜48時間以内のEEN開始を推奨(消化管粘膜保護・免疫維持・感染合併症↓)②初期(1〜2日)は少量から開始(permissive underfeeding)③EEN禁忌:完全腸閉塞・活動性消化管出血・高度消化管虚血・難治性循環不全(ノルアドレナリン高用量等)④栄養が不足する場合は補足的な静脈栄養(SPN)を追加。
問4
摂食障害(神経性食欲不振症)の栄養管理として正しいものはどれか。
  • 1栄養補給は精神療法終了後に行う
  • 2急速に通常食を開始する
  • ✔多職種連携のもとリフィーディング症候群(低P・低K・低Mg・浮腫等)に注意しながら段階的にエネルギー増加(1000kcal/日前後から)する
  • 4体重増加のみが治療目標
  • 5強制的に大量食を提供する
解説:神経性食欲不振症(AN)の栄養管理:①多職種チーム(精神科医・内科・管理栄養士・心理士・看護師)での包括的アプローチ②再栄養(refeeding):リフィーディング症候群(長期絶食・低栄養後に急速エネルギー補給→リン・K・Mgが細胞内移行→低値→致死的な電解質異常・心不全)に注意して開始。1000kcal/日前後から段階的に増量③治療関係・信頼関係の構築が栄養管理成功の前提④骨密度・内分泌機能の評価・管理⑤自律的な食行動の回復を長期目標とする。
問5
胃食道逆流症(GERD)の食事・生活習慣指導として正しいものはどれか。
  • 1高脂肪・辛い食べ物を推奨する
  • 2水分を制限する
  • 3禁煙は不要
  • 4食後すぐに横になると良い
  • ✔高脂肪食・チョコレート・アルコール・カフェイン・炭酸飲料・柑橘類等のLES弛緩食品を制限・食後2〜3時間は横にならない・就寝前3時間の食事を避ける・肥満改善が推奨される
解説:GERD(胃食道逆流症)の食事・生活習慣改善:①LES(下部食道括約筋)弛緩食品の制限:高脂肪食・チョコレート・コーヒー・アルコール・ペパーミント・炭酸飲料②刺激性食品制限:柑橘類・トマト・辛い食品③少量分割食(1回の食事量を減らす)④食後2〜3時間は横にならない⑤就寝前2〜3時間の食事を避ける⑥頭部を上げて寝る(ベッドの頭側を15〜20cm挙上)⑦肥満是正(腹圧低下)⑧禁煙(LES弛緩・粘膜保護機能↓)。
問6
急性膵炎重症例の経腸栄養投与ルートとして推奨されているのはどれか。
  • ✔トライツ靱帯遠位の空腸(経鼻空腸チューブ)への経腸栄養(膵外分泌刺激を最小化するため)
  • 2経口摂取のみ
  • 3直腸への投与
  • 4完全静脈栄養のみ
  • 5胃への経鼻胃管
解説:重症急性膵炎での経腸栄養:胃・十二指腸への栄養投与はCCK・セクレチン分泌を刺激して膵外分泌を促進するリスクがあるため、トライツ靱帯(十二指腸空腸移行部)より遠位の空腸に経鼻空腸チューブを留置して栄養投与する方法が推奨されている(膵外分泌刺激を最小化)。
問7
高尿酸血症(痛風)とアルコールの関係として正しいものはどれか。
  • 1少量のアルコールは安全
  • 2ワインは尿酸値を下げる
  • ✔アルコール代謝で産生された乳酸が尿酸と競合して腎排泄を阻害し、アルコール自体もプリン体代謝を亢進させるため尿酸値を上昇させる
  • 4ビール以外のアルコールは問題ない
  • 5アルコールは尿酸値を低下させる
解説:アルコールと高尿酸血症:①アルコール代謝→乳酸産生増加→尿酸と同じ排泄経路(有機酸輸送体)で競合→尿酸の腎排泄阻害→血中尿酸値↑②アルコール自体がATPのプリン体代謝産物(AMP→IMP→ヒポキサンチン→キサンチン→尿酸)産生を促進③ビールは特にプリン体含量が高い④すべてのアルコール飲料が尿酸値上昇に寄与(ビール・日本酒特に顕著)。
問8
NPC/N比(非たんぱく質カロリー/窒素比)の意義として正しいものはどれか。
  • 1脂質とたんぱく質の比率のみを示す
  • ✔アミノ酸がエネルギー源として消費されずたんぱく質合成に使われるための適切なエネルギー(NPC)とたんぱく質(窒素N)のバランスを示す(一般:150〜200kcal/gN・侵襲時:100〜150kcal/gN)
  • 3脂肪酸の種類のみを示す
  • 4カロリー摂取量のみを示す
  • 5水分と電解質の比率を示す
解説:NPC/N比(Non-Protein Calorie/Nitrogen ratio):NPC(非たんぱく質カロリー:糖質+脂質の合計kcal)÷N(窒素g=たんぱく質g÷6.25)。一般目安:150〜200kcal/gN(NPC比が低すぎると→アミノ酸が糖新生に使われてたんぱく質合成に回らない)・侵襲時(術後・感染等):100〜150kcal/gN(たんぱく質必要量が増加するため相対的なNPC比は低下)。TPN・経腸栄養の処方設計に活用される栄養管理指標。

食品学

問1
スルフォラファンの機能と食品源として正しいものはどれか。
  • 1スルフォラファンは動物性食品に多い
  • 2スルフォラファンはコレステロール低下成分
  • ✔ブロッコリー・ブロッコリースプラウト等のアブラナ科野菜に含まれNrf2経路を活性化して解毒酵素・抗酸化酵素を誘導しがん予防・抗炎症効果が研究されている
  • 4スルフォラファンはビタミンの一種
  • 5加熱で増加する
解説:スルフォラファン(Sulforaphane)はブロッコリー・ブロッコリースプラウト等アブラナ科野菜にグルコラファニン(前駆体)として存在し、咀嚼・切断時にミロシナーゼ酵素によりスルフォラファンに変換される。機能:Nrf2転写因子の活性化→AREs(抗酸化応答配列)→HO-1・NQO1・グルタチオン合成酵素等の第2相解毒酵素・抗酸化酵素の誘導→発がん物質の解毒促進・酸化ストレス軽減。ブロッコリースプラウトは成熟ブロッコリーの数十倍含有。
問2
アントシアニンの化学的特性として正しいものはどれか。
  • 1アントシアニンは脂溶性
  • 2熱・光・酸素に非常に安定
  • 3アントシアニンはミネラルの一種
  • ✔pH依存性:酸性(低pH)で赤色、中性で紫色、アルカリ性で青色〜緑色に変化する水溶性フラボノイド系色素
  • 5pHに関係なく常に赤色
解説:アントシアニン(anthocyanin)はブルーベリー・赤ワイン・ナス・紫キャベツ・紫芋等の赤・紫・青色の水溶性植物色素(フラボノイド:フラビリウムカチオン構造)。pH感応性:pH<3→フラビリウムカチオン(赤色)・pH4〜6→カルビノール(無色・紫)・pH7〜8→キノニド(紫・青)・pH>11→アルカリ型(青〜緑)。熱・光・酸素・金属イオンで分解しやすい(食品加工での安定性確保が課題)。抗酸化・視覚機能・抗炎症等の機能性研究が進んでいる。
問3
ハードル技術(Hurdle Technology)の概念として正しいものはどれか。
  • ✔温度・水分活性・pH・防腐剤・酸化還元電位等の複数の保存因子(ハードル)を組み合わせることで相乗的に微生物制御・食品安全と品質保持を両立する手法(Leistner)
  • 2高温加熱のみが有効
  • 3添加物だけが有効
  • 4ハードル技術は食品の栄養価を破壊する
  • 5一つの保存因子のみで安全を確保する
解説:ハードル技術(Leistner提唱)は複数の食品保存因子(ハードル)を組み合わせて微生物の増殖・生存を制御する考え方。各ハードルが単独では不十分な強度でも組み合わせにより相乗的に微生物のHomeostasisを乱す(代謝エネルギーの消耗)。主なハードル:T(温度)・Aw(水分活性)・pH・Eh(酸化還元電位)・競合微生物・防腐剤・低O₂等。日本の伝統的保存食(漬物・干物・みそ等)はこの原理を経験的に応用している。
問4
嚥下調整食のとろみ剤選択において重要な点として正しいものはどれか。
  • 1片栗粉(でんぷん系)が最も嚥下安全に優れる
  • ✔グアーガム・キサンタンガム等の多糖類系とろみ剤は唾液アミラーゼに安定で口腔内でとろみが維持されるため、でんぷん系(口腔内で分解されてとろみ低下)より嚥下障害患者に適している
  • 3とろみ剤の種類は嚥下安全に影響しない
  • 4とろみ剤は高齢者には不要
  • 5すべてのとろみ剤は同一の性質を持つ
解説:嚥下調整食のとろみ剤の選択が重要:①でんぷん系(片栗粉・コーンスターチ等):唾液中アミラーゼにより口腔内・咽頭で分解されてとろみが低下(液状化)→誤嚥リスク↑。加熱が必要。時間経過で変化しやすい②多糖類系(グアーガム・キサンタンガム・アガロース・カラギーナン等):唾液アミラーゼに安定→口腔内でとろみが維持→嚥下障害患者に安全。加熱不要(冷液体にも溶ける)。市販の嚥下食用とろみ剤の多くはキサンタンガム系を主原料とする。
問5
食品の酸化防止に使用される天然由来の食品添加物として正しいものはどれか。
  • 1天然抗酸化成分は食品添加物に使用できない
  • 2カルシウムが主な天然酸化防止剤
  • 3BHAのみ(合成酸化防止剤)
  • ✔ビタミンE(トコフェロール)・ビタミンC(アスコルビン酸)・ローズマリー抽出物・緑茶抽出物(カテキン)等の天然由来の酸化防止剤が食品添加物として認可されている
  • 5天然酸化防止剤は合成より常に効果が低い
解説:食品添加物として認可されている主な天然系酸化防止剤:①dl-α-トコフェロール・d-α-トコフェロール(ビタミンE:植物油脂等に使用)②L-アスコルビン酸・アスコルビン酸ナトリウム等(ビタミンC:水性食品に使用)③ローズマリー抽出物(カルノソール・カルノシン酸等:動物性油脂等に使用)④緑茶抽出物(カテキン類)。油脂の自動酸化連鎖を断ち切ることで酸敗・変色を防止する。
問6
煮物における落し蓋の効果として正しいものはどれか。
  • 1鍋の蓋の代わりに使う
  • 2蒸気を完全に封じ込めるため
  • 3色付けのための道具
  • ✔少量の煮汁を食材全体に循環させる・食材の煮崩れを防ぐ・蒸発を適度に抑制・対流促進により均一に加熱する
  • 5食材に圧力をかけて早く煮えるようにする
解説:落し蓋の効果:①少ない煮汁でも対流(循環)を促進して食材全体に均一に行き渡らせる②食材が動かされないため煮崩れを防ぐ③煮汁の蒸発を適度に抑制して濃度変化を緩やかにする(焦げ付き防止)④食材を煮汁に押しつけることで味の浸透を助ける。厚紙・アルミホイル・専用の木蓋等を食材の直径に合わせて使用する。
問7
食品のレジスタントスターチ(難消化性でんぷん:RS)の特徴として正しいものはどれか。
  • 1RSは糖尿病患者に禁忌
  • ✔小腸での消化酵素に抵抗性を持ち大腸に到達して腸内細菌による発酵→短鎖脂肪酸産生→整腸・コレステロール低下・血糖上昇抑制等の食物繊維様機能を持つ
  • 3RSは加熱で常に増加する
  • 4消化されてすべてエネルギーになる
  • 5RSは全ての穀物に均等に含まれる
解説:レジスタントスターチ(RS)は小腸のアミラーゼ等の消化酵素に抵抗性を持つでんぷんの総称。大腸で腸内細菌の発酵基質となり短鎖脂肪酸(酪酸・プロピオン酸・酢酸)を産生。機能:整腸作用・腸管バリア強化・コレステロール吸収阻害・食後血糖上昇抑制・低カロリー(約2kcal/g)。RS含量に影響する調理法:冷やすと増加(RS3:老化でんぷん)、高温加熱すると減少。バナナ(未熟:RS2)・冷やしたご飯・冷ましたじゃがいも等に多い。
問8
機能性表示食品制度の届出に必要な科学的根拠として正しいものはどれか。
  • 1専門家の意見書のみで十分
  • ✔RCT(ランダム化比較試験)に関する最終報告書または機能性関与成分に関する系統的レビュー(SR:系統的文献検索と評価)のいずれかが必要
  • 3当社比でのビフォーアフターのみ
  • 4動物試験のみで十分
  • 5論文発表なしに口頭説明のみで申請できる
解説:機能性表示食品の届出で必要な科学的根拠:①RCT(ランダム化比較試験)の最終報告書(ヒト試験):当該食品そのものまたは機能性関与成分を使用したRCT②または機能性関与成分に関する系統的レビュー(Systematic Review:SR):複数のRCT・観察研究等を網羅的に収集・評価した文献レビュー。どちらか一方以上が必要。動物試験・試験管試験のみでは根拠として不十分。届出公表後は消費者庁のデータベースで閲覧可能。

食品衛生学

問1
ヒスタミン食中毒の特徴として正しいものはどれか。
  • 1IgE依存性アレルギー反応による食中毒
  • 2ヒスタミンは加熱で完全分解
  • 3潜伏期間が2〜3日と長い
  • ✔赤身魚のヒスチジンがMorganella morganii等のヒスタミン産生菌により分解されてヒスタミンが蓄積し、摂取後顔面紅潮・蕁麻疹・頭痛等のアレルギー様症状が生じる食中毒でヒスタミンは加熱で分解されない
  • 5食物アレルギーの既往が必要
解説:ヒスタミン食中毒(アレルギー様食中毒):①原因:マグロ・カジキ・サバ・カツオ等の赤身魚(遊離ヒスチジン含量が高い)にヒスタミン産生菌(Morganella morganii・Hafnia alvei等)が増殖→ヒスチジン脱炭酸酵素でヒスチジン→ヒスタミン②症状:摂取後30分〜2時間で顔面紅潮・発疹・蕁麻疹・頭痛・悪心・口・唇のしびれ(アレルギー様)③重要:ヒスタミンは熱安定性が高く通常の加熱では分解されない→食品の外観・臭いは正常→冷蔵保管が予防の鍵。
問2
Listeria monocytogenesの特徴として正しいものはどれか。
  • 1Listeriaは加熱で完全に除去できるため冷食は安全
  • 2海産物からのみ感染
  • 3Listeriaは夏季のみ問題になる
  • ✔低温(4℃以下)でも増殖可能・スモークサーモン・ナチュラルチーズ・生ハム等の非加熱食品に汚染・妊婦(流産・死産・新生児感染)・高齢者・免疫低下者で重篤化しやすい
  • 5Listeriaは健常者には全く問題ない
解説:Listeria monocytogenes(リステリア菌)の特徴:①低温増殖菌(0〜4℃でも増殖:冷蔵が有効でない)・塩分耐性②食品汚染:スモークサーモン・生ハム・ナチュラルチーズ(特にソフト系:カマンベール等)・パテ・未加熱惣菜等③加熱(中心温度75℃以上)で死滅するが再汚染に注意④高リスク集団:妊婦(胎盤通過→胎児感染・流産・早産・死産・新生児敗血症・髄膜炎)・免疫低下者・高齢者→リステリア症(重症髄膜炎・敗血症)。EU・北米で大きな問題となっている。
問3
食品中の農薬ポジティブリスト制度の内容として正しいものはどれか。
  • 1残留基準がなければ無制限に使用できる
  • ✔残留基準が設定されていない農薬等に0.01ppm(一律基準)を適用し超えた場合は食品の販売等を原則禁止する(2006年施行)
  • 3輸入食品にのみ適用される
  • 4ネガティブリスト制度とも呼ばれる
  • 5すべての農薬の使用を禁止する
解説:農薬等のポジティブリスト制度(食品衛生法:2006年5月施行)は「使用が認められているものを明示し、それ以外は原則禁止」する規制方式。特定の農薬・動物用医薬品・飼料添加物について個別に残留基準が設定されており、基準が設定されていない物質には一律基準(0.01ppm)が適用される。一律基準を超えて食品に残留する場合は流通が禁止される。
問4
食品の過酸化物価(POV)が示すものとして正しいものはどれか。
  • 1食品のpH値
  • 2食品の糖度
  • 3食品の水分含量
  • ✔油脂の自動酸化の初期段階(一次酸化)の指標で油脂中の過酸化物(ヒドロペルオキシド)量を示す(meq/kg)
  • 5食品のたんぱく質含量
解説:過酸化物価(POV:Peroxide Value)は油脂の酸化度(自動酸化の程度)を示す品質指標。測定:油脂に含まれる過酸化物(ヒドロペルオキシド:自動酸化の一次生成物)をKIと反応させてI₂を遊離させ、チオ硫酸ナトリウムで滴定。単位はmeq/kg(または mmol/kg)。新鮮な油脂ではほぼ0、酸化が進むにつれて上昇する。揚げ油の管理指標(食品衛生法等で基準値設定)として活用。二次酸化(POVが下がってアルデヒド・ケトン等が生成)の進行はカルボニル価(AnV)で評価。
問5
食品添加物のキャリーオーバー(carry-over)の意味として正しいものはどれか。
  • 1添加物が食品に直接添加されること
  • 2添加物の使用が禁止されること
  • 3すべての添加物が表示免除
  • ✔原料食品に含まれる添加物が最終製品に微量移行するが最終製品では効果を発揮しない場合に表示が免除される規定
  • 5輸入食品の添加物の特別ルール
解説:キャリーオーバー(食品衛生法)は食品添加物の表示免除規定の一つ。①原材料として使用した食品A(例:酸化防止剤入りショートニング)に含まれる添加物が最終製品B(例:ビスケット)に移行するが②最終製品B中では効果を発揮しない(量が少ない等)場合に表示が免除される。例:ショートニングに使用されたBHA(酸化防止剤)がビスケット中に微量移行しても酸化防止効果がなければBHAの個別表示は不要(ただしショートニングの表示内に示す場合も)。
問6
食品の賞味期限と消費期限の違いとして正しいものはどれか。
  • 1両者は同じ意味
  • ✔賞味期限はおいしく食べられる期限(品質保持の目安:比較的日持ちする食品)・消費期限は安全に食べられる期限(過ぎたら安全性に問題が生じる可能性がある食品)
  • 3消費期限は風味の目安のみ
  • 4賞味期限を過ぎると直ちに有害になる
  • 5両者とも設定義務はない
解説:食品表示法に基づく期限表示:①賞味期限(best before):品質が十分に保たれると認められる期限(劣化が比較的遅い食品:スナック・缶詰・牛乳・カップ麺等に使用)。期限後も直ちに有害になるわけでなく品質低下の可能性②消費期限(use-by):安全に食べられる期限(劣化が早い食品:弁当・惣菜・生菓子・サンドイッチ・刺身等)。期限後は安全性の問題が生じるリスクあり→食べないことを推奨。食品ロス削減の観点から賞味期限の適切な理解(少し過ぎても安全な場合がある)の普及が重要。
問7
遺伝子組換え食品(GMO)の日本における規制として正しいものはどれか。
  • 1GMO食品の安全審査は不要
  • ✔内閣府食品安全委員会のリスク評価→厚生労働省の安全審査・承認を受けた遺伝子組換え食品は流通でき、加工食品等への表示義務も定められている
  • 3GMO食品は表示義務がない
  • 4日本では全て禁止されている
  • 5GMO食品は薬局のみで販売できる
解説:日本のGMO(遺伝子組換え食品)規制:①安全性審査:食品安全委員会(リスク評価)→厚生労働省(食品衛生法に基づく安全審査・承認)が必要②表示:食品表示法・JAS法に基づき、主要原材料(重量比5位以内かつ全重量の5%以上)に遺伝子組換え農産物が含まれる場合は「遺伝子組換え」または「遺伝子組換え不分別」の表示義務(2023年4月から「不分別」の義務化廃止・高含有の表示強化に改定)③非意図的混入(5%以下)は「IP管理」で対応。承認済み農産物:大豆・とうもろこし・じゃがいも・なたね・綿・てんさい・パパイヤ・アルファルファ等。
問8
食品の放射線照射について日本で例外的に認められているものはどれか。
  • 1照射食品に表示義務はない
  • 2すべての食品への放射線照射が認められている
  • 3野菜全般への照射が認められている
  • ✔じゃがいもの発芽防止のみ(ガンマ線照射150Gy以下)が食品衛生法で例外的に認可され、表示義務(放射線照射)がある
  • 5肉類への照射が認められている
解説:日本の食品への放射線照射:食品衛生法により食品への放射線照射は原則禁止。唯一の例外:じゃがいもの発芽防止を目的としたガンマ線照射(150Gy以下:1974年認可)。収穫後の長期保存・発芽抑制に有効。照射したじゃがいもには「放射線照射」の旨の表示義務がある(食品表示法)。放射線照射で食品自体が放射能を帯びることはない(誘導放射能は生じない)。一部のビタミンが分解される可能性があるが安全性は確認されている。

給食経営管理論

問1
BSC(バランスト・スコアカード)の給食経営への適用として正しいものはどれか。
  • ✔財務(コスト・収益)・顧客(利用者満足)・内部プロセス(業務品質・衛生)・学習と成長(スタッフ育成・改善能力)の4視点からKPIを設定して給食経営を多面的に評価する
  • 2BSCは財務面のみを評価する
  • 3BSCは年1回の評価のみ
  • 4BSCにHACCPは関係しない
  • 5BSCは給食以外の業種には適用できない
解説:BSC(Balanced Scorecard:Kaplan & Norton)を給食経営に適用した場合の4視点:①財務視点:食材費率・人件費率・収益性・コスト削減目標②顧客(利用者)視点:喫食率・残食率・満足度調査・栄養基準充足率③内部プロセス視点:調理時間・衛生管理HACCP遵守率・廃棄率・食事提供正確率④学習と成長視点:スタッフ研修参加率・提案件数・資格取得・チームワーク。4視点をKPI(重要業績指標)でモニタリングし戦略的改善を行う。
問2
ユニバーサルデザインフード(UDF)について正しいものはどれか。
  • ✔日本介護食品協議会の自主規格でかたさ・粘度に基づき区分1〜4(容易にかめる〜かまなくてよい)に分類し嚥下・咀嚼困難者が自分の能力に合った食品を選びやすくした規格
  • 2UDFは医師の処方が必要
  • 3UDFはすべての食品が対象
  • 4UDFは病院のみで使用される食品規格
  • 5UDFは嚥下障害がない人のみが使用する
解説:ユニバーサルデザインフード(UDF)は日本介護食品協議会(JCFA)の自主規格。4区分:①区分1(容易にかめる):かたさ5×10⁵N/m²以下②区分2(歯ぐきでつぶせる):かたさ5×10⁴N/m²以下③区分3(舌でつぶせる):かたさ5×10³N/m²以下④区分4(かまなくてよい):かたさ5×10²N/m²以下。粘度基準(とろみ)も設定されている。在宅介護・病院・施設の嚥下・咀嚼困難者に使用。一般にもわかりやすい表示として普及。
問3
「クックチル(Cook Chill)」と「クックフリーズ(Cook Freeze)」の違いとして正しいものはどれか。
  • 1クックフリーズは加熱なしに冷凍する
  • ✔クックチルは加熱後急速冷却(90分で3℃以下)して冷蔵(0〜3℃:最長5日)、クックフリーズは急速冷凍(−18℃以下)して冷凍保存(最長1か月程度)でクックチルより長期保存が可能
  • 3両者とも室温で保存する
  • 4両者は同一の方法
  • 5クックチルの方が保存期間が長い
解説:クックチルとクックフリーズの比較:①クックチル:加熱調理→急速冷却(90分以内に中心温度3℃以下)→冷蔵保存(0〜3℃)→最長5日間→再加熱→提供。院内・施設内の計画的大量調理・人員効率化に活用。②クックフリーズ:加熱調理→急速冷凍(−30〜−40℃で中心温度−18℃以下に急速冷凍)→冷凍保存(−18℃以下)→最長1ヶ月程度→解凍・再加熱→提供。より長期保存・広域配食が可能。
問4
フードロス削減のための給食施設の具体的な取り組みとして正しいものはどれか。
  • ✔喫食率・残食調査による献立改善・適正な食材発注量の計算・食材の先入れ先出し管理・フードバンクへの余剰食品提供・廃棄物の資源化等の複合的な取り組みが有効
  • 2残食が多くても問題ない
  • 3食品廃棄を増やしてよい
  • 4フードロス削減はコスト増加につながるだけ
  • 5食品廃棄は給食施設の責任ではない
解説:給食施設のフードロス削減取り組み:①残食調査(喫食率把握)→嗜好が合わない献立の改善→残食↓②適正な食材発注量計算(廃棄率・予定食数・在庫量を考慮)③先入れ先出し・在庫管理→賞味期限超過廃棄↓④余剰食品・賞味期限前食品のフードバンクへ提供⑤食材廃棄(皮・骨等)の堆肥化・飼料化→食品ロスの資源化⑥食育(利用者への食品ロス啓発)⑦食品ロス量の定期的な記録・目標設定・評価(PDCA)。
問5
給食施設の多様性対応として特に重要なものはどれか。
  • 1同一食事を全員に提供するのみが正しい
  • ✔食物アレルギー(特定原材料除去食)・宗教的制限(ハラール・コーシャー等)・ベジタリアン・ビーガン・嚥下・咀嚼困難者への食形態調整等の多様なニーズへの対応が求められる
  • 3多様性対応は入院患者のみ対象
  • 4給食施設は多様性対応が不要
  • 5多様性対応は費用対効果が悪い
解説:給食施設の多様性(Diversity & Inclusion)への対応:①食物アレルギー(特定原材料8品目:卵・乳・小麦・えび・かに・落花生・そば・くるみの除去食)②宗教的食制限(ムスリム:豚・アルコール禁忌→ハラール対応、ユダヤ教:コーシャー、ヒンドゥー教:牛肉禁忌、仏教系:菜食等)③嚥下・咀嚼困難者への食形態調整(UDF・嚥下調整食分類)④ベジタリアン・ビーガン等の食の選択への対応⑤文化的な食の好み(外国人・異文化バックグラウンド)⑥糖尿病・腎臓病等の個別疾患管理食。
問6
在宅訪問栄養食事指導の対象と実施者として正しいものはどれか。
  • 1在宅訪問栄養指導は看護師のみが実施
  • 2在宅訪問栄養指導は病院のみで実施
  • 3在宅訪問栄養指導の保険適用はない
  • ✔通院困難な在宅療養患者(高齢者・障害者・重症慢性疾患患者等)に医師の指示のもとで管理栄養士が居宅を訪問して栄養アセスメント・食事療法の指導・調理支援・家族への食育等を実施する
  • 5健常な高齢者のみが対象
解説:在宅訪問栄養食事指導(介護保険・医療保険):①対象:通院困難な在宅療養患者(特別食が必要な患者等:疾患別治療食・嚥下調整食・低栄養等)②実施者:管理栄養士(医師の文書指示が必要)③訪問内容:栄養アセスメント・栄養ケアプランの策定・食事内容の指導・料理のデモンストレーション・家族への調理指導・食欲不振対策等④保険適用:医療保険(在宅患者訪問栄養食事指導料)・介護保険(居宅療養管理指導:管理栄養士による)で算定可能。
問7
特定給食施設における管理栄養士配置義務の根拠法と対象施設として正しいものはどれか。
  • 1配置に義務はなく努力目標のみ
  • 2食品衛生法のみ
  • 3栄養士法のみに根拠がある
  • ✔健康増進法に基づき1回100食以上または1日250食以上を供給する特定給食施設のうち病院・介護老人福祉施設・老人福祉施設・保育所等には管理栄養士の配置が義務付けられている
  • 510食以上の施設から管理栄養士が必要
解説:特定給食施設の管理栄養士配置(健康増進法第21条):①特定給食施設の定義:継続的に1回100食以上または1日250食以上を供給する給食施設②特定給食施設の届出義務:都道府県知事等に届出③管理栄養士の必置:特定給食施設のうち医療法・社会福祉法等の法令の規定に基づき管理栄養士を置かなければならない施設(病院・介護老人保健施設・介護老人福祉施設・老人福祉施設・保育所等)は管理栄養士の配置が義務付けられている。
問8
給食の目的として最も適切なものはどれか。
  • 1喫食者数を増やすことのみ
  • 2利益の最大化のみを追求すること
  • 3食材費を最小限に抑えることのみ
  • 4調理従事者の作業効率化のみを目的とすること
  • ✔適切な栄養管理を通じて利用者の健康の保持増進とQOLの向上を図ること
解説:給食は、対象集団の身体状況・栄養状態・生活状況等に基づく適切な栄養管理を行い、継続的に食事を提供することを通じて、利用者の健康の保持増進、QOLの向上、疾病の治療・予防に寄与することを目的とする。経営的な効率性(コスト・生産性)はこの目的を実現するための手段として位置づけられる。

社会・環境と健康

問1
ヘルスリテラシーの概念として正しいものはどれか。
  • 1ヘルスリテラシーは医師のみが必要
  • 2ヘルスリテラシーと健康状態に関連はない
  • 3ヘルスリテラシーは変化しない
  • ✔健康情報を入手・理解・評価・活用して健康に関する意思決定を行うための知識・意欲・能力の複合体で低ヘルスリテラシーは健康格差・医療費増大につながる
  • 5ヘルスリテラシーは読み書き能力のみ
解説:ヘルスリテラシー(WHO・Nutbeam定義)は「人々が良好な健康を促進・維持するために情報にアクセスし理解・利用する動機・知識・コンピテンス」。3段階:①機能的HL(基本的な読み書き・計算:健康情報の理解)②相互作用的HL(社会参加・情報の応用的活用)③批判的HL(健康に影響する社会的・経済的要因への批判的評価・行動)。低ヘルスリテラシー:医療指示の非遵守・慢性疾患管理不良・不必要な入院・健康格差拡大と関連。管理栄養士はわかりやすい情報提供・食育でHL向上に貢献。
問2
Planetary Health Diet(EATランセット委員会2019)の主な内容として正しいものはどれか。
  • 1乳製品・肉類中心の食事
  • 2肉類を多く摂取することを推奨する
  • ✔植物性食品(全粒穀物・野菜・果物・豆類・ナッツ等)中心で動物性食品(特に赤肉)を大幅に削減し2050年に100億人を養いながら地球の環境限界内に収める持続可能な食事として提唱された
  • 4食品ロスを増やす食事
  • 5単一作物のみを摂取する食事
解説:EAT-Lancet委員会(2019)のPlanetary Health Diet:2050年に世界100億人が健康に暮らしながら地球の環境限界(気候・生物多様性・土地・水・窒素・リン循環)内に収まる食事パターン。主な内容:①全粒穀物・豆類・野菜・果物・ナッツ・不飽和植物油を大幅増加②赤肉(牛・羊等)を現在の世界平均から約90%削減③砂糖・精製穀物を半減以下④魚介類・乳製品・鶏肉は適量。現在の食パターン(特に肉食が多い国)から大きな変換が必要。
問3
SDGs(持続可能な開発目標)のうち食料・栄養・農業に最も直接関連する目標はどれか。
  • 1目標7(エネルギー)のみ
  • 2目標11(住み続けられるまちづくり)のみ
  • ✔目標2(飢餓をゼロに:食料安全保障・栄養改善・持続可能な農業)が最も直接的で目標3(健康と福祉)・目標12(持続可能な消費と生産:食品ロス削減等)とも密接に関連
  • 4目標13(気候変動)のみ
  • 5目標4(質の高い教育)のみ
解説:SDGs(2015〜2030年)と食料・栄養の関連:①目標2(Zero Hunger):2030年までに飢餓撲滅・あらゆる栄養不良の解消・持続可能な農業の実現が核心目標②目標3(Good Health and Well-Being):栄養改善→健康増進③目標12(Responsible Consumption and Production):食品ロス削減(2030年までに世界全体の一人当たり食料廃棄物を半減)④目標13(Climate Action):気候変動→農業・食料安全保障への影響。
問4
「超加工食品(Ultra-Processed Foods:UPF)」のNOVA分類における定義として正しいものはどれか。
  • 1どんな加工食品でも超加工食品
  • 2調理した食事すべてが超加工食品
  • 3手作り食品はすべて超加工食品
  • ✔工業的に製造され食品添加物(乳化剤・香料・甘味料・安定剤・着色料等)を多用して食品成分を高度に改変した製品(インスタント食品・清涼飲料水・スナック等)
  • 5自然食品はすべてNOVA第4グループ
解説:NOVA分類(Monteiro等提唱):食品の加工程度による4グループ。Group 4(超加工食品):食品産業が製造・多数の食品添加物(乳化剤・香料・着色料・甘味料・安定剤・保存料等)を使用・食品成分を高度に改変した食品製品(原形の食品成分が少ない)。例:コーラ・インスタントラーメン・ポテトチップス・加工肉製品(ソーセージ等)・市販のマフィン・菓子類・マーガリン。多数のコホート研究でUPF摂取と肥満・T2DM・CVD・がん等の関連が報告されている。
問5
One Health(ワンヘルス)の概念と食料安全保障との関連として正しいものはどれか。
  • 1ワンヘルスは人間の健康のみを対象
  • 2ワンヘルスは獣医学のみの概念
  • ✔人間・動物・生態系の健康は相互に関連するという考え方で食料安全保障(畜産・農業における動物伝染病・薬剤耐性・環境保全)と密接に関連している
  • 4ワンヘルスは気候変動と無関係
  • 5ワンヘルスは食品安全と無関係
解説:One Health(ワンヘルス)はWHO・FAO・OIEが推進する「人間・動物・生態系の健康は一体」という包括的アプローチ。食料・栄養との関連:①動物由来感染症(人獣共通感染症:パンデミックの主要な起源)②農業における抗菌薬使用→薬剤耐性(AMR)菌の拡散→人間の医療への影響③食料生産と生物多様性・生態系サービスの関係④気候変動→農業生産・食料安全保障への影響⑤食料サプライチェーンを通じた環境汚染物質の生物濃縮。
問6
ナッジ理論(行動経済学)を活用した食環境整備の例として正しいものはどれか。
  • ✔食堂での健康食品を目線の高さ・手前に配置するデフォルト設定等、選択肢を変えずに健康的な選択を促す環境整備(EAST・EAST等のフレームワーク活用)
  • 2特定食品の全面禁止
  • 3罰則による食行動の強制変化
  • 4高い料金設定で健康食品の普及を図る
  • 5健康食品の義務的摂取
解説:ナッジ(Nudge:行動経済学:Thaler & Sunstein)は「選択肢を変えずに選択アーキテクチャを変えることで望ましい行動を促す」アプローチ。食環境へのナッジ応用:①給食・食堂での健康食品の目線の高さ・手前への配置②野菜ファーストのデフォルト盛り付け(選択しなければ野菜から)③小さい皿・盛り付け量のデフォルト変更(portion control)④栄養表示・信号機ラベル(信号機式:赤・黄・緑)の活用⑤ヘルシーオプションのわかりやすい表示。義務・禁止・経済的罰則なしに行動変容を促す。
問7
ソーシャルキャピタル(社会関係資本)の3つの主要構成要素として正しいものはどれか。
  • 1資金・設備・人材のみ
  • 2金銭・物・情報のみ
  • 3政治・経済・文化のみ
  • 4建物・道路・公園のみ
  • ✔信頼(trust)・互酬性(reciprocity)・ネットワーク(network)が主要構成要素で豊かな地域ほど健康指標が良い傾向がある
解説:ソーシャルキャピタル(Robert Putnam等)の主要構成要素:①信頼(Trust):一般的信頼(見知らぬ人への信頼)・特定信頼(特定の人・機関への信頼)②互酬性規範(Reciprocity):助け合い・お互い様の慣行③社会的ネットワーク(Network):地域・職域・コミュニティのつながり(結合型:同質集団・橋渡し型:異質集団)。豊かなSCを持つ地域は健康指標(平均寿命・自覚的健康感等)・健康行動(健診受診率・運動習慣等)が良い傾向がある。
問8
AI・デジタル技術を活用した管理栄養士業務の将来として正しいものはどれか。
  • ✔AIは栄養計算・食事記録解析・リスク予測・食事画像認識等に活用できるが患者との信頼関係構築・個別の状況判断・倫理的配慮・食文化の理解等は人間の管理栄養士の専門性が重要
  • 2AIツールは管理栄養士に使用できない
  • 3デジタル化は栄養管理の品質を低下させる
  • 4AIは管理栄養士を完全に代替する
  • 5管理栄養士はAIを一切使用すべきでない
解説:AIの栄養分野への応用:①食事画像認識(スマートフォンカメラ→食品・栄養価の自動推定)②ウェアラブルデバイス・IoTと連携したリアルタイム食事・活動量・生体データ統合③電子カルテビッグデータからの低栄養・疾患リスク予測(機械学習)④個別化栄養アドバイス(プレシジョン・ニュートリション)⑤GPT系言語モデルによる栄養教育コンテンツ生成支援。Human-in-the-loop:AIが提案→管理栄養士が判断・患者に最終提供というモデルが現実的。管理栄養士の専門性(共感・倫理・関係性・複雑な状況判断)は引き続き重要。

人体の構造と機能

問1
腸脳軸(Gut-Brain Axis)の概念として正しいものはどれか。
  • 1腸と脳は完全に独立した臓器
  • 2脳から腸への一方向のみ
  • 3腸内細菌叢と精神疾患は無関係
  • ✔腸内細菌叢・腸管神経系・迷走神経・HPA軸・腸管ホルモン等を介した腸と脳の双方向コミュニケーション系で腸内細菌叢がメンタルヘルスに影響する可能性がある
  • 5腸脳軸は血液のみを介する
解説:腸脳軸(Gut-Brain Axis)の主な伝達経路:①神経系:迷走神経(腸管→脳幹へ:腸管内分泌細胞・腸内細菌産物のシグナル)・腸管神経系(「第2の脳」:1億以上の神経細胞)②内分泌:腸管ホルモン(5-HT・GLP-1・NPY・CCK等)③免疫:炎症性サイトカイン・LPS(腸管透過性↑→全身循環)④代謝:腸内細菌代謝産物(SCFAs・インドール・トリプトファン代謝物→セロトニン前駆体)。腸内細菌叢の変化とうつ・不安・ASD・パーキンソン病等との関連研究が急増している。
問2
概日リズム(サーカディアンリズム)と時間栄養学の関連として正しいものはどれか。
  • 1夜食は代謝に影響しない
  • 2概日リズムは睡眠のみに影響する
  • ✔時計遺伝子(CLOCK・BMAL1等)が調節する概日リズムは食事タイミングで末梢時計が同調し夜間の食事は昼間と同量・同カロリーでも体重増加・血糖上昇につながりやすい(時間栄養学)
  • 4概日リズムはホルモン分泌と無関係
  • 5食事のタイミングは代謝に影響しない
解説:時間栄養学(Chrono-nutrition):概日時計はSCN(視交叉上核:マスター時計:光で同調)と末梢時計(肝臓・脂肪・腸等:食事タイミングで同調)で構成。食事と概日リズムの関連:①夜間の食事→末梢時計とSCNの乖離(概日リズムの乱れ)②夜間はインスリン感受性↓・脂肪合成遺伝子↑→同カロリーでも体重増加・血糖上昇しやすい③朝食欠食→肥満・代謝リスク④早期時間制限食(eTRE:early TRE)が体重・血糖・インスリン感受性に有益な可能性。シフト労働者の代謝疾患リスク↑も概日リズム乱れが一因。
問3
NF-κBシグナルと炎症・栄養の関連として正しいものはどれか。
  • 1NF-κBは抗炎症性転写因子
  • 2NF-κBは骨形成のみに関与
  • ✔LPS・飽和脂肪酸・高血糖・TNF-α等で活性化しTNF-α・IL-6・IL-8・COX-2等の炎症性遺伝子群の転写を誘導する主要な炎症性転写因子。ポリフェノール・ω-3脂肪酸等で抑制される
  • 4NF-κBはエネルギー代謝のみに関与
  • 5NF-κBは腸管のみで発現する
解説:NF-κB(核内因子κB)は免疫・炎症応答の中心的転写因子。静止時はIκBと結合して不活性→LPS・TNF-α・IL-1β・飽和脂肪酸・高血糖・AGEs・酸化LDL・酸化ストレス等の刺激でIKK(IκBキナーゼ)活性化→IκBリン酸化・プロテアソーム分解→NF-κB核内移行→TNF-α・IL-1β・IL-6・COX-2・iNOS・MCP-1等の炎症性遺伝子発現↑。抑制:オメガ3脂肪酸(DHA・EPA)・レスベラトロール・クルクミン・カテキン等のフィトケミカル。
問4
腸管上皮バリア機能と栄養の関連として正しいものはどれか。
  • 1腸管上皮バリアは栄養状態と無関係
  • ✔タイトジャンクション(ZO-1・オクルーディン・クローディン等)が腸管透過性を調節しグルタミン・亜鉛・ビタミンDの欠乏でバリア機能が低下してリーキーガット(腸管透過性亢進)が生じる
  • 3亜鉛はバリア機能に影響しない
  • 4腸管バリアは物理的障壁のみ
  • 5グルタミンは腸管バリアを弱める
解説:腸管上皮バリア(intestinal barrier)の構成:①タイトジャンクション(TJ:ZO-1・ZO-2・オクルーディン・クローディン等のタンパク質が細胞間隙を密閉)②粘液層(ムチン:腸内細菌・食品成分の直接接触を防ぐ)③分泌型IgA・腸管免疫。バリア機能維持に重要な栄養素:①グルタミン(腸管上皮細胞の主要エネルギー源:TJタンパク発現維持・増殖促進)②亜鉛(TJタンパク合成・上皮細胞増殖・傷の修復)③ビタミンD(クローディン発現誘導)④食物繊維→SCFAs→酪酸(腸管上皮細胞の主要燃料・TJ強化)⑤n-3脂肪酸(抗炎症)。
問5
インスリン抵抗性の分子機序として最も重要なものはどれか。
  • 1インスリン受容体が増加することが原因
  • 2インスリン受容体の消失が主因
  • ✔遊離脂肪酸・ダイアシルグリセロール・セラミド・TNF-α等がIRS-1のセリンリン酸化を誘導してPI3K-Akt→GLUT4転位経路を障害する(肥満・慢性炎症・脂質蓄積が引き金)
  • 4インスリン抵抗性は肝臓のみで生じる
  • 5インスリン過剰分泌がインスリン抵抗性を引き起こす
解説:インスリン抵抗性の主要分子機序:①過剰エネルギー摂取(肥満)→細胞内(特に骨格筋・肝臓)に脂質代謝産物(ジアシルグリセロール:DAG・セラミド・アシルカルニチン等)が蓄積②PKC(ε・θ)活性化・JNK(c-Jun N-terminal kinase)活性化③IRS-1(インスリン受容体基質1)のセリン残基(Ser307等)をリン酸化→チロシンリン酸化(正常活性化)が障害される④PI3K→Akt経路の活性低下→GLUT4含有小胞の細胞膜移行阻害→グルコース取り込み↓。炎症性サイトカイン(TNF-α・IL-6)・ミトコンドリア機能不全・ERストレスも関与。
問6
テロメアと栄養・老化の関連として正しいものはどれか。
  • ✔染色体末端のTTAGGG反復配列で細胞分裂のたびに短縮し臨界長以下で細胞老化・アポトーシスが誘導される。酸化ストレス・慢性炎症・肥満が短縮を加速し地中海食・抗酸化物質・運動が保護的
  • 2テロメアは分裂で長くなる
  • 3テロメアは老化と無関係
  • 4テロメアはミトコンドリアDNAの成分
  • 5食事はテロメアに影響しない
解説:テロメアは染色体末端の保護構造(TTAGGG×数百〜数千回繰り返し+shelterin複合体)。細胞分裂のたびに50〜200塩基対ずつ短縮(DNA複製の末端複製問題)し、ヘイフリック限界(50〜60回)を超えると細胞老化またはアポトーシスが誘導される。テロメア短縮促進:酸化ストレス(特にG-richなテロメアが8-OHdG損傷を受けやすい)・慢性炎症・肥満・喫煙・心理的ストレス・睡眠不足。短縮抑制:地中海食・ビタミンC・E・カロテノイド(抗酸化)・ω-3脂肪酸・定期的運動(テロメラーゼ活性↑)。
問7
アディポカインの種類と機能として正しいものはどれか。
  • 1アディポカインは腎臓のみで産生される
  • 2脂肪細胞はアディポカインを産生しない
  • 3レプチンは体重増加を促進する
  • 4アジポネクチンは肥満で増加する
  • ✔レプチン(食欲抑制)・アジポネクチン(抗動脈硬化・インスリン感受性改善)・TNF-α(インスリン抵抗性誘導)・PAI-1(血栓促進)等が脂肪組織から産生され全身の代謝・炎症・血管機能を調節する
解説:アディポカイン(脂肪組織産生サイトカイン):①レプチン(食欲抑制・代謝↑:肥満で↑→レプチン抵抗性)②アジポネクチン(抗動脈硬化・AMPK活性化・インスリン感受性改善:肥満で↓→内臓脂肪蓄積で特に低下)③TNF-α(インスリン抵抗性・慢性炎症:肥満で内臓脂肪から多量産生)④IL-6(炎症・インスリン抵抗性)⑤PAI-1(血栓形成促進:肥満で↑→心血管リスク)⑥レジスチン(インスリン抵抗性)⑦MCP-1(マクロファージ誘引→慢性炎症の悪循環)。内臓脂肪蓄積でバランスが乱れる。
問8
マイオカイン(myokine)と運動の健康効果の関連として正しいものはどれか。
  • 1マイオカインは静止時にのみ分泌される
  • 2筋肉は内分泌機能を持たない
  • 3マイオカインは炎症のみを促進する
  • ✔骨格筋収縮(運動)時にIL-6・イリシン・BDNF・FGF21等のマイオカインが分泌され脂肪分解・インスリン感受性改善・脳機能向上等の全身的な健康効果に寄与する
  • 5マイオカインはインスリン分泌のみに関与する
解説:マイオカイン(myokine)は骨格筋収縮(運動)時に産生・分泌されるサイトカイン等の生理活性物質の総称(Pedersen & Saltin 2006提唱)。主要なマイオカイン:①IL-6(骨格筋由来:急性・抗炎症作用・脂肪酸酸化促進・グルコース取り込み↑:炎症組織由来のIL-6とは異なる作用)②イリシン(irisin:褐色脂肪組織活性化・白色脂肪褐色化・骨形成促進・神経保護)③BDNF(脳神経栄養因子:記憶・学習・神経新生)④IGF-1(筋肥大)⑤FGF-21(脂肪代謝)。運動の抗炎症・抗肥満・神経保護・抗がん等の多彩な全身効果の分子基盤の一部。

公衆栄養学

問1
栄養スクリーニングと精密栄養アセスメントの違いとして正しいものはどれか。
  • 1スクリーニングは詳細な評価を行う
  • 2スクリーニングとアセスメントは同一
  • ✔スクリーニングは短時間・簡便な方法(MUST・MNA-SF等)で低栄養リスクの高い対象者を素早く見つけ出すための一次評価、アセスメントはスクリーニングで拾い上げた者への詳細かつ包括的な栄養評価(身体計測・臨床検査・食事摂取量調査等)
  • 4スクリーニングはすべての対象者に詳細検査を行う
  • 5アセスメントはより簡単な方法
解説:栄養スクリーニングと栄養アセスメントの違い:①スクリーニング(一次評価):目的=全対象者の中から低栄養リスクが高い者を効率的に抽出、方法=簡便・短時間(2〜5分程度)・ルーティン実施(MUST・MNA-SF・NRS-2002・SNAQ等)、実施者=医師・看護師・管理栄養士等いずれも可②栄養アセスメント(詳細評価):目的=低栄養リスクがある対象者の栄養状態・問題を詳細に評価、方法=ABCD評価(身体計測・生化学データ・臨床症状・食事調査)・SGA・PG-SGA等、実施者=主に管理栄養士。
問2
公衆栄養活動の特徴として最も適切なものはどれか。
  • 1医療機関内でのみ行われる
  • 2行政のみが担う活動である
  • 3一次予防は対象としない
  • ✔集団や地域を対象とし、健康の保持増進と疾病予防を目的とする
  • 5個人の疾病治療を主目的とする
解説:公衆栄養活動は、個人ではなく集団・地域・国レベルを対象とし、栄養状態の改善を通じて健康の保持増進、疾病の予防(特に一次予防)、QOLの向上を図る活動。行政のみならず、医療機関、教育機関、企業、NPO、住民組織など多様な主体が担い、住民参加とエンパワメントを重視する点が特徴である。
問3
ポピュレーションアプローチの説明として正しいものはどれか。
  • 1高リスク者を選別し重点的に介入する
  • 2既に発症した者を治療する
  • ✔集団全体に働きかけてリスク分布全体を低い方へずらす
  • 4個別の栄養食事指導が中心となる
  • 5対象者を限定するため費用対効果が明確である
解説:Roseの提唱による2つの戦略。ハイリスクアプローチは高リスク者を選別して重点介入する方法で、対象者の動機づけが高く費用対効果を示しやすいが、集団全体への効果は限定的。ポピュレーションアプローチは集団全体のリスク分布を低い方へシフトさせる方法で、一人当たりの効果は小さいが集団全体では大きな効果を生む(予防のパラドックス)。両者の併用が望ましい。
問4
オタワ憲章(1986年)で示されたヘルスプロモーションの定義として正しいものはどれか。
  • 1医師が健康を管理すること
  • 2疾病を早期に発見し治療すること
  • ✔人々が自らの健康をコントロールし改善できるようにするプロセス
  • 4医療サービスを無償で提供すること
  • 5感染症を撲滅すること
解説:WHOオタワ憲章(1986年、第1回ヘルスプロモーション会議)は、ヘルスプロモーションを「人々が自らの健康とその決定要因をコントロールし、改善できるようにするプロセス」と定義した。5つの活動領域は①健康的な公共政策づくり②健康を支援する環境づくり③地域活動の強化④個人技術の開発⑤ヘルスサービスの方向転換。2005年のバンコク憲章でグローバル化への対応が加えられた。
問5
プライマリヘルスケアが提唱された宣言として正しいものはどれか。
  • 1ヘルシンキ宣言
  • ✔アルマ・アタ宣言
  • 3ジャカルタ宣言
  • 4バンコク憲章
  • 5オタワ憲章
解説:プライマリヘルスケア(PHC)は1978年のアルマ・アタ宣言(WHO・UNICEF合同会議)で提唱され、「すべての人々に健康を(Health for All)」を目標に掲げた。5原則は①住民のニーズに基づく②地域資源の活用③住民参加④他分野との協調・統合⑤適正技術の使用。オタワ憲章(1986)とバンコク憲章(2005)はヘルスプロモーション、ヘルシンキ宣言は人を対象とする医学研究の倫理原則。
問6
健康日本21(第三次)の基本的な方向に含まれないものはどれか。
  • 1社会環境の質の向上
  • 2ライフコースアプローチを踏まえた健康づくり
  • ✔感染症の根絶
  • 4健康寿命の延伸と健康格差の縮小
  • 5個人の行動と健康状態の改善
解説:健康日本21(第三次)は令和6(2024)年度から令和17(2035)年度までの国民健康づくり運動。4つの基本的方向は①健康寿命の延伸と健康格差の縮小②個人の行動と健康状態の改善③社会環境の質の向上④ライフコースアプローチを踏まえた健康づくり。第二次からの継続に加え、ライフコースアプローチと自然に健康になれる環境づくりが強調された。
問7
健康増進法に規定されている事項として正しいものはどれか。
  • 1食品の規格基準の設定
  • 2医療保険制度の運営
  • 3食品表示基準の策定
  • ✔国民健康・栄養調査の実施
  • 5学校給食の実施基準
解説:健康増進法(2002年制定)の主な規定:国民健康・栄養調査の実施、基本方針(健康日本21)の策定、都道府県・市町村健康増進計画、特定給食施設への届出義務と栄養管理、受動喫煙防止、特別用途表示の許可など。食品の規格基準は食品衛生法、食品表示基準は食品表示法、学校給食は学校給食法、医療保険は健康保険法等が根拠となる。
問8
特定給食施設の定義として正しいものはどれか。
  • ✔特定かつ多数の者に継続的に1回100食以上または1日250食以上の食事を供給する施設
  • 21回300食以上を提供する施設
  • 31回50食以上または1日100食以上を提供する施設
  • 41回20食以上を提供する施設
  • 5すべての給食施設
解説:健康増進法および同施行規則により、特定給食施設とは「特定かつ多数の者に対して継続的に食事を供給する施設のうち、1回100食以上または1日250食以上の食事を供給するもの」と定義される。設置者は事業開始日から1か月以内に都道府県知事等へ届け出る義務があり、適切な栄養管理を行わなければならない。

栄養教育論

問1
レスポンデント条件づけ(古典的条件づけ)の例として最も適切なものはどれか。
  • 1減量に成功したので家族に褒められ、その後も食事記録を続けた
  • ✔梅干しを見ただけで唾液が出る
  • 3食べたい衝動が起きたときに歯を磨いて気を紛らせた
  • 4菓子を戸棚の奥にしまい、目に触れないようにした
  • 5食事内容を毎日ノートに記録した
解説:レスポンデント条件づけは、中性刺激が無条件刺激と対提示されることで、条件刺激として無条件反応と同様の反応を引き起こすようになる学習。梅干し(条件刺激)→唾液分泌(条件反応)が典型例。1はオペラント条件づけ(正の強化)、3は刺激統制法、4は反応妨害・拮抗法、5はセルフモニタリング。
問2
オペラント条件づけにおける「負の強化」の説明として正しいものはどれか。
  • 1行動の後に何も与えず行動を消去する
  • 2望ましい行動の後に快刺激を与えて行動を増やす
  • 3望ましくない行動の後に不快刺激を与えて行動を減らす
  • 4望ましくない行動の後に快刺激を取り除いて行動を減らす
  • ✔望ましい行動の後に不快刺激を取り除いて行動を増やす
解説:オペラント条件づけの4類型:正の強化(快刺激の提示→行動増加)、負の強化(不快刺激の除去→行動増加)、正の罰(不快刺激の提示→行動減少)、負の罰(快刺激の除去→行動減少)。「正/負」は刺激の提示/除去、「強化/罰」は行動の増加/減少を意味する。例:運動したら膝の痛みが軽くなり運動を続ける(負の強化)。
問3
「間食を買わないよう、空腹時に買い物へ行かない」という助言に該当する行動変容技法はどれか。
  • 1セルフモニタリング
  • 2反応妨害・拮抗法
  • 3認知再構成法
  • ✔刺激統制法
  • 5行動置換
解説:刺激統制法(stimulus control)は、問題行動のきっかけとなる先行刺激(手がかり)を意図的に取り除いたり、望ましい行動の手がかりを増やしたりする技法。例:菓子を家に置かない、買い物リストを持参する、食卓以外で食べない、テレビを見ながら食べない。
問4
「食べたくなったら歯を磨く・散歩に出る」という助言に該当する行動変容技法はどれか。
  • ✔反応妨害・拮抗法
  • 2オペラント強化
  • 3意思決定バランス
  • 4ソーシャルスキルトレーニング
  • 5刺激統制法
解説:反応妨害・拮抗法は、問題行動の衝動が生じたときに、その行動と両立しない(拮抗する)別の行動をとることで衝動をやり過ごす技法。歯を磨く、水を飲む、散歩に出る、深呼吸するなど。衝動は時間経過とともに減衰するため、やり過ごすこと自体が有効となる。
問5
セルフモニタリングの効果として最も適切なものはどれか。
  • 1記録は必ず支援者が代行して行う
  • 2体重のみを記録すべきで、食事内容は記録しない
  • ✔記録により自身の行動パターンへの気づきが促され、行動の自己制御と自己効力感の向上につながる
  • 4記録内容は他者に見せてはならない
  • 5支援者が対象者の行動を評価しやすくなるだけで、本人には効果がない
解説:セルフモニタリングは対象者自身が食事・体重・歩数・気分などを記録する技法。①行動の実態と誘因への気づき(自己観察)②目標との差の把握(自己評価)③達成感による強化(自己強化)を通じて自己制御を促す。記録という行為自体に行動変容効果(反応性)がある。継続には簡便な記録様式の工夫が重要。
問6
認知再構成法の例として最も適切なものはどれか。
  • 1体重計を毎朝決まった時刻に乗る
  • 2運動を1週間続けたら好きな本を買う
  • 3菓子を買い置きしない
  • 4断り方をロールプレイで練習する
  • ✔「一度間食したから今日はもう失敗だ」という考えを「一度の間食で全てが台無しになるわけではない」と捉え直す
解説:認知再構成法は、行動変容を妨げる不合理な思い込み(認知のゆがみ:全か無か思考、破局視、過度の一般化など)に気づき、より現実的・適応的な考え方へ修正する技法。減量における「一度の失敗=全面的失敗」という全か無か思考の修正は典型例で、リバウンド防止に有効。
問7
ソーシャルスキルトレーニング(SST)が最も適している場面はどれか。
  • ✔会食の席で勧められた飲酒や高エネルギー食を上手に断れない
  • 2食品成分表の見方がわからない
  • 3自分の食事量を客観的に把握できていない
  • 4体重の記録を忘れてしまう
  • 5調理器具の使い方がわからない
解説:ソーシャルスキルトレーニングは、対人場面で必要となる技術(主張・拒否・依頼・感謝の伝達など)を、モデリング・ロールプレイ・フィードバック・般化練習を通じて習得させる技法。「相手を傷つけずに断る」アサーティブな表現の練習は、外食・会食が多い対象者の行動維持に有効。
問8
ヘルスビリーフモデル(健康信念モデル)の構成要素に含まれないものはどれか。
  • 1有益性の認知
  • 2障害の認知
  • 3重大性の認知
  • ✔結果期待と効力期待の区別
  • 5罹患性の認知
解説:ヘルスビリーフモデル(Rosenstock, Becker)の主要構成要素は、①罹患性の認知②重大性の認知(この2つで「脅威の認知」)③有益性の認知④障害(負担)の認知(この2つの差引きで行動が決まる)⑤行動のきっかけ(cue to action)。のちに自己効力感が追加された。結果期待と効力期待の区別はBanduraの社会的認知理論の概念。