経済学・経済政策全143問中 8問を掲載
問1国内総生産(GDP)に計上される項目として、最も適切なものはどれか。
- ✔持ち家について推計される帰属家賃
- 2中古住宅が売買された際の取引価格の全額
- 3専業主婦(主夫)が行う家事労働の価値
- 4政府が高齢者に支給する公的年金の給付額
- 5保有株式の値上がりによるキャピタルゲイン
解説:【正解】ア(他の4肢はどこかに誤りを含む)
GDPは一定期間に国内で新たに生み出された付加価値の合計。アの帰属家賃は、持ち家に住む人が自分に家賃を払っているとみなして推計され、GDPに算入される(正解)。ウの家事労働は市場を通じた取引ではないため非計上。イの中古住宅は過去に生産されたもので、当期の付加価値は不動産仲介手数料の部分のみが計上される。エの年金は所得の再分配にすぎない移転支出であり、生産活動の対価ではないため非計上。オのキャピタルゲインは資産価格の変動であって生産ではないため非計上。
★ポイント:GDPに計上:帰属家賃・農家の自家消費・政府サービス。不算入:家事労働・中古品の取引額(仲介手数料は算入)・キャピタルゲイン・公的年金等の移転支出。三面等価(生産=分配=支出)。
問2ある国の名目GDPが前年比3.0%増加し、同期間のGDPデフレーターが前年比1.0%上昇した。このとき実質GDP成長率として最も適切なものはどれか。
- 1約1.0%
- ✔約2.0%
- 3約3.0%
- 4約4.0%
- 5約▲2.0%
解説:【正解】イ(他の4肢はどこかに誤りを含む)
実質GDP=名目GDP÷GDPデフレーター×100 という関係から、変化率について近似式「実質成長率 ≒ 名目成長率 - デフレーター上昇率」が成り立つ。3.0%-1.0%=2.0%となり、イが正解。デフレーターは国内で生産されたすべての財・サービスを対象とする物価指数で、輸入物価の上昇は(控除項目である輸入を通じて)デフレーターを押し下げる方向に働く点が消費者物価指数(CPI)との大きな違いである。
★ポイント:GDPに計上:帰属家賃・農家の自家消費・政府サービス。不算入:家事労働・中古品の取引額(仲介手数料は算入)・キャピタルゲイン・公的年金等の移転支出。三面等価(生産=分配=支出)。
問3限界消費性向が0.8である閉鎖経済において、政府支出を10兆円増加させた場合の均衡GDPの増加額として、最も適切なものはどれか。ただし、租税は定額税とし、投資は独立投資とする。
解説:【正解】オ(他の4肢はどこかに誤りを含む)
政府支出乗数は 1/(1-限界消費性向)=1/(1-0.8)=5。したがって10兆円×5=50兆円となり、オが正解。関連論点として、減税の場合の租税乗数は c/(1-c)=0.8/0.2=4 であり、同額であれば政府支出増加のほうが効果が大きい。また政府支出と増税を同額行う均衡予算乗数は 5-4=1 となり、GDPは政府支出の増加額と同額だけ増える(均衡予算乗数の定理)。
★ポイント:GDPに計上:帰属家賃・農家の自家消費・政府サービス。不算入:家事労働・中古品の取引額(仲介手数料は算入)・キャピタルゲイン・公的年金等の移転支出。三面等価(生産=分配=支出)。
問4IS曲線を右方(上方)にシフトさせる要因として、最も適切なものはどれか。
- ✔企業の独立投資の増加
- 2マネーストックの増加
- 3限界消費性向の低下
- 4政府支出の減少
- 5定額税の増税
解説:【正解】ア(他の4肢はどこかに誤りを含む)
IS曲線は財市場の均衡を表し、独立支出(独立消費・独立投資・政府支出・輸出)の増加によって右方シフトする。よってアが正解。オの増税とエの政府支出減少は左方シフト要因。ウの限界消費性向の低下は乗数を小さくするためIS曲線の傾きを急にし、同時に消費減少で左方シフトさせる。イのマネーストック増加は貨幣市場の要因であり、LM曲線を右方シフトさせるものでIS曲線には影響しない。
★ポイント:IS-LM:財政拡張→IS右シフト・金利上昇でクラウディング・アウト、金融緩和→LM右シフト・金利低下。流動性の罠(LM水平)では金融政策無効・財政政策が最も有効。投資の利子弾力性が小さいほど金融政策の効果小。
問5「流動性の罠」に陥っている状況に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 1名目利子率が上限に達している
- 2金融政策が有効である一方、財政政策は無効となる
- 3LM曲線が垂直になっている
- 4貨幣需要の利子弾力性がゼロになっている
- ✔財政政策はクラウディング・アウトを生じさせずに所得を増加させる
解説:【正解】オ(他の4肢はどこかに誤りを含む)
流動性の罠は名目利子率が下限(ほぼゼロ)まで低下し、貨幣需要の利子弾力性が無限大となってLM曲線が水平になる状態。この領域ではマネーストックを増やしても利子率は下がらず金融政策は無効となる(アは「下限」が正しいので誤り、エは「無限大」が正しいので誤り、ウは「水平」が正しいので誤り、イは有効・無効が逆で誤り)。一方、財政政策を行っても利子率が上昇しないため民間投資が押し出されるクラウディング・アウトが生じず、乗数効果がフルに発揮される。よってオが正解。
問6資本移動が完全な小国開放経済を想定したマンデル=フレミング・モデルにおいて、変動相場制の下で拡張的財政政策を実施した場合に生じる結果として、最も適切なものはどれか。
- 1自国通貨高となり、国民所得は増加する
- ✔自国通貨高となり、国民所得は変化しない
- 3為替レートは変化せず、国民所得のみが増加する
- 4自国通貨安となり、国民所得は減少する
- 5自国通貨安となり、国民所得は増加する
解説:【正解】イ(他の4肢はどこかに誤りを含む)
拡張的財政政策によりIS曲線が右方シフトし、国内利子率が世界利子率を上回る。資本移動が完全なため海外から資本が流入し、自国通貨が増価(自国通貨高)する。その結果、輸出が減少し輸入が増加して純輸出が縮小し、IS曲線は元の位置まで押し戻される。最終的に国民所得は変化せず、財政政策は完全にクラウド・アウトされる。よってイが正解。なお同じ条件下で金融政策は自国通貨安を通じて純輸出を増やすため有効となり、固定相場制では効果が逆転する点をセットで押さえたい。
★ポイント:IS-LM:財政拡張→IS右シフト・金利上昇でクラウディング・アウト、金融緩和→LM右シフト・金利低下。流動性の罠(LM水平)では金融政策無効・財政政策が最も有効。投資の利子弾力性が小さいほど金融政策の効果小。
問7ある財の需要の価格弾力性の絶対値が1より大きい(弾力的である)とき、この財の価格を引き下げた場合に生じる売上高(価格×数量)の変化として、最も適切なものはどれか。
- ✔増加する
- 2増減を一義的に判断することはできない
- 3減少する
- 4必ずゼロになる
- 5変化しない
解説:【正解】ア(他の4肢はどこかに誤りを含む)
需要の価格弾力性が1より大きい(弾力的)とは、価格の変化率よりも需要量の変化率のほうが大きいことを意味する。価格を1%下げると需要量は1%超増えるため、価格×数量である売上高は増加する。よってアが正解。逆に非弾力的(1未満)な財では値下げすると売上高は減少し、弾力性がちょうど1のときは売上高が変化しない。一般に、代替品が多い・奢侈品である・時間的視野が長いほど弾力性は大きくなる。
★ポイント:需要の価格弾力性:弾力的なら値下げで総収入増。上級財・下級財、代替財・補完財の定義。消費者余剰+生産者余剰が最大となるのは完全競争均衡で、課税・価格規制は死荷重を生む。
問8無差別曲線に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 1原点から遠い無差別曲線ほど効用水準は低い
- 22財が完全代替財である場合、無差別曲線はL字型となる
- 3限界代替率は無差別曲線の接線の傾きの絶対値の逆数に等しい
- 4異なる効用水準を表す無差別曲線どうしが交差することがある
- ✔限界代替率逓減の仮定の下では、無差別曲線は原点に対して凸となる
解説:【正解】オ(他の4肢はどこかに誤りを含む)
限界代替率(MRS)は、効用を一定に保ちつつX財を1単位増やすときに手放してもよいY財の量であり、無差別曲線の接線の傾きの絶対値に等しい(ウは誤り)。X財が増えるほどその主観的価値が下がりMRSが小さくなる=限界代替率逓減を仮定すると、無差別曲線は原点に対して凸となる。よってオが正解。無差別曲線は選好の推移性から交差せず(エ誤り)、原点から遠いほど効用が高い(ア誤り)。完全代替財は直線、完全補完財がL字型である(イ誤り)。
財務・会計全143問中 8問を掲載
問1正常営業循環基準および一年基準に照らして、貸借対照表上「流動資産」に分類されるものとして最も不適切なものはどれか。
- ✔決算日の翌日から3年後に満期が到来する定期預金
- 2販売目的で保有する商品
- 3営業取引から生じた受取手形(決済まで14か月)
- 4営業取引から生じた売掛金
- 5決算日の翌日から6か月分の前払家賃
解説:【正解】ア(「誤り・不適切なもの」を選ぶ問題。残る4肢は正しい記述なので、そのまま知識として整理できる)
流動・固定の分類は、まず正常営業循環基準を適用し、そこに含まれない項目に一年基準を適用する。ウ・イ・エは主たる営業取引から生じた債権・棚卸資産であり、回収が1年を超えても正常営業循環基準により流動資産となる。オの前払費用は1年以内に費用化されるため流動資産(1年超なら長期前払費用)。アの定期預金は営業循環外の資産で満期が1年超のため一年基準により「投資その他の資産」に分類され、流動資産とはならない。よってアが最も不適切で正解。
問2ある企業の流動資産が1,000百万円(うち棚卸資産400百万円)、流動負債が500百万円であるとき、当座比率として最も適切なものはどれか。
解説:【正解】イ(他の4肢はどこかに誤りを含む)
当座比率=当座資産÷流動負債×100。当座資産は流動資産から棚卸資産などの即時換金性の低い資産を除いたもので、1,000-400=600百万円。600÷500×100=120%となりイが正解。なお流動比率は1,000÷500×100=200%(ウは流動比率の値)。当座比率は流動比率よりも厳格な短期支払能力の指標で、一般に100%以上が望ましいとされる。棚卸資産が過大な企業では流動比率が高くても当座比率が低くなる点が読み取りのポイントとなる。
★ポイント:ROE=純利益率×総資本回転率×財務レバレッジ。流動比率200%・当座比率100%目安、固定長期適合率<100%。インタレスト・カバレッジ・レシオ=事業利益/支払利息。
問3取得原価1,000千円、耐用年数5年、残存価額ゼロの機械について200%定率法(償却率0.400)で減価償却を行う場合、取得後2年目の減価償却費として最も適切なものはどれか。
- 1200千円
- ✔240千円
- 3400千円
- 4360千円
- 5144千円
解説:【正解】イ(他の4肢はどこかに誤りを含む)
定率法は期首帳簿価額に償却率を乗じる。1年目は1,000×0.400=400千円、期末帳簿価額は600千円。2年目は600×0.400=240千円となり、イが正解(ウは1年目の金額)。200%定率法の償却率は「1÷耐用年数×2.0」=1/5×2=0.400として求められる。定率法では償却額が保証率による償却保証額を下回った年度以降、改定償却率による均等償却に切り替える点も出題頻度が高い。定額法であれば毎年200千円(ア)となる。
問4売上高1,000百万円、変動費600百万円、固定費300百万円である企業の損益分岐点売上高として、最も適切なものはどれか。
- 1600百万円
- 2700百万円
- ✔750百万円
- 4800百万円
- 5900百万円
解説:【正解】ウ(他の4肢はどこかに誤りを含む)
変動費率=600÷1,000=0.6、限界利益率=1-0.6=0.4。損益分岐点売上高=固定費÷限界利益率=300÷0.4=750百万円となり、ウが正解。このとき営業利益は1,000-600-300=100百万円で黒字であり、安全余裕率=(1,000-750)÷1,000=25%、損益分岐点比率=75%となる。固定費の削減または限界利益率の改善が損益分岐点を引き下げる。変動費率が上がる(値引き等)と損益分岐点は上昇する点も併せて理解したい。
★ポイント:損益分岐点売上高=固定費÷(1−変動費率)。安全余裕率=(実際売上−BEP)/実際売上。目標利益達成売上高=(固定費+目標利益)/限界利益率。経営レバレッジ=限界利益/営業利益。
問5投資額1,000万円、1年後および2年後にそれぞれ600万円のキャッシュ・フローが得られる投資案がある。割引率を10%とするとき、正味現在価値(NPV)として最も近いものはどれか。
- 1約▲41万円
- ✔約41万円
- 3約200万円
- 4約100万円
- 50円
解説:【正解】イ(他の4肢は誤り)
1年後CFの現在価値=600÷1.1≒545.5万円、2年後CFの現在価値=600÷1.1²=600÷1.21≒495.9万円。合計≒1,041.4万円から投資額1,000万円を差し引き、NPV≒41万円となりイが正解。NPVが正であるため、この投資案は資本コストを上回る収益をもたらし採択が妥当と判断される。なお割引前の単純合計1,200万円から投資額を引いた200万円(ウ)は貨幣の時間価値を無視した誤答である。内部収益率(IRR)はNPVをゼロにする割引率であり、本問では10%を上回る。
★ポイント:NPV=ΣCF/(1+r)^t−初期投資>0で採択。IRRはNPV=0となる割引率(規模・期間が異なる案の順位づけはNPV優先)。回収期間法は時間価値無視。CFは税引後(節税効果=減価償却費×税率を加算)。
問6有利子負債400百万円(負債利子率5%)、自己資本600百万円(株主資本コスト10%)、実効税率40%である企業の加重平均資本コスト(WACC)として、最も適切なものはどれか。
- 16.0%
- ✔7.2%
- 38.0%
- 48.6%
- 59.0%
解説:【正解】イ(他の4肢はどこかに誤りを含む)
WACC=負債比率×負債利子率×(1-実効税率)+自己資本比率×株主資本コスト。負債比率は400÷1,000=0.4、自己資本比率は0.6。0.4×5%×(1-0.4)=1.2%、0.6×10%=6.0%。合計7.2%となりイが正解。支払利息は損金算入され法人税を軽減するため、負債コストには(1-税率)を乗じる(節税効果、タックス・シールド)。この処理を忘れると0.4×5%+6.0%=8.0%(ウ)となるため注意したい。WACCは投資評価における割引率(ハードルレート)として用いられる。
★ポイント:WACC=(E/V)rE+(D/V)rD(1−t)。株主資本コストはCAPM:rE=rf+β(rm−rf)。MM理論:法人税なしなら資本構成無関係、法人税ありなら負債の節税効果で企業価値増(倒産コストとのトレードオフ)。
問7資本資産評価モデル(CAPM)において、安全資産利子率が1%、市場ポートフォリオの期待収益率が6%、ある株式のベータ値が1.4であるとき、この株式の期待収益率として最も適切なものはどれか。
- 17.0%
- 27.4%
- ✔8.0%
- 48.4%
- 59.4%
解説:【正解】ウ(他の4肢はどこかに誤りを含む)
CAPMの式は「期待収益率=安全資産利子率+β×(市場ポートフォリオの期待収益率-安全資産利子率)」。市場リスクプレミアムは6%-1%=5%であり、1%+1.4×5%=1%+7%=8%となりウが正解。βに市場期待収益率をそのまま乗じて1%+1.4×6%=9.4%(オ)とする誤りが典型的である。βは市場全体の変動に対する感応度を示し、β>1は市場より値動きが大きい銘柄を意味する。CAPMが対象とするのは分散投資では除去できないシステマティック・リスクのみである。
★ポイント:PPM:市場成長率×相対的市場シェア。金のなる木(低成長・高シェア=資金源)→問題児(高成長・低シェア)へ投資、花形は維持、負け犬は撤退検討。経験曲線効果が前提。事業間のシナジーを考慮しない点が限界。
問8キャッシュ・フロー計算書を間接法で作成する場合に、税引前当期純利益に「加算」する調整項目として最も適切なものはどれか。
- ✔仕入債務の増加額
- 2有形固定資産売却益
- 3前受金の減少額
- 4売上債権の増加額
- 5棚卸資産の増加額
解説:【正解】ア(他の4肢はどこかに誤りを含む)
間接法では、税引前当期純利益に非資金損益項目と営業資産・負債の増減を加減して営業キャッシュ・フローを算定する。アの仕入債務の増加は支払いを先送りした状態であり、現金の流出が利益計算より少ないため加算する(正解)。エ・オの営業資産(売上債権・棚卸資産)の増加は資金が寝ている状態なので減算。イの固定資産売却益は投資活動の区分に計上されるため営業区分からは減算(売却損なら加算)。ウの前受金は営業負債であり、その減少は減算となる。減価償却費や引当金の増加額は加算項目の代表例である。
企業経営理論全143問中 8問を掲載
問1アンゾフの成長ベクトル(製品・市場マトリックス)において、既存の市場に対して新製品を投入する戦略として最も適切なものはどれか。
- 1多角化戦略
- 2垂直統合戦略
- 3市場開拓戦略
- ✔製品開発戦略
- 5市場浸透戦略
解説:【正解】エ(他の4肢はどこかに誤りを含む)
アンゾフは成長の方向性を「市場(既存/新規)」と「製品(既存/新規)」の2軸で整理した。既存市場×既存製品が市場浸透戦略、新規市場×既存製品が市場開拓戦略、既存市場×新製品が製品開発戦略、新規市場×新製品が多角化戦略である。したがってエが正解。既存顧客基盤とブランドを活かせるため製品開発戦略は多角化よりリスクが低い一方、技術・開発力が必要となる。垂直統合はこのマトリックスの枠組みに直接位置づけられる概念ではない(イ誤り)。
★ポイント:アンゾフの成長ベクトル:市場浸透・新製品開発・新市場開拓・多角化。ドメイン=誰に・何を・どのように(物理的定義と機能的定義)。シナジーと範囲の経済。多角化の動機(リスク分散・未利用資源活用)。
問2プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 1PPMは事業間のシナジー効果を十分に考慮できる点に長所がある
- ✔「金のなる木」で生み出した資金を「問題児」に投入することが基本的な資金配分の考え方である
- 3「負け犬」は将来性が高いため、積極的な追加投資を行うべきである
- 4「花形」は資金流入が大きく、資金流出は小さい
- 5縦軸には相対的市場シェアがとられる
解説:【正解】イ(他の4肢はどこかに誤りを含む)
PPMは縦軸に市場成長率、横軸に相対的市場シェアをとる(オ誤り)。「花形」は高シェアだが高成長ゆえに投資も必要で、資金流入・流出ともに大きい(エ誤り)。「金のなる木」は低成長・高シェアで追加投資が少なく資金を生み出すため、その資金を将来の花形候補である「問題児」へ配分するのが基本的な考え方であり、イが正解。「負け犬」は撤退・縮小の検討対象(ウ誤り)。PPMは資金の流れに着目する反面、事業間のシナジーや人材面を軽視しやすい点が限界として指摘される(ア誤り)。
★ポイント:アンゾフの成長ベクトル:市場浸透・新製品開発・新市場開拓・多角化。ドメイン=誰に・何を・どのように(物理的定義と機能的定義)。シナジーと範囲の経済。多角化の動機(リスク分散・未利用資源活用)。
問3ポーターが示した業界の収益性を規定する5つの競争要因(ファイブ・フォース)に含まれないものとして、最も適切なものはどれか。
- 1供給業者(売り手)の交渉力
- 2代替品の脅威
- 3新規参入の脅威
- 4買い手の交渉力
- ✔補完財の供給者の影響力
解説:【正解】オ(「誤り・不適切なもの」を選ぶ問題。残る4肢は正しい記述なので、そのまま知識として整理できる)
ファイブ・フォースは、①既存競争業者間の敵対関係、②新規参入の脅威、③代替品の脅威、④買い手の交渉力、⑤売り手(供給業者)の交渉力の5つ。オの補完財供給者の影響力はこの5要因には含まれず、後にブランデンバーガーらが「第6の力(コンプリメンター)」として補足的に提唱した概念であるため、オが正解。ファイブ・フォースは業界の構造的な魅力度を評価する外部環境分析の枠組みであり、内部資源に着目する資源ベース理論(RBV)と対をなす。
★ポイント:ROE=純利益率×総資本回転率×財務レバレッジ。流動比率200%・当座比率100%目安、固定長期適合率<100%。インタレスト・カバレッジ・レシオ=事業利益/支払利息。
問4ポーターの3つの基本戦略に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 1差別化戦略は、業界内の価格競争を激化させる効果を持つ
- 2差別化戦略においては、コストをまったく考慮する必要がない
- ✔集中戦略は、特定の顧客層・製品・地域などのセグメントに経営資源を集中する戦略である
- 4コストリーダーシップ戦略は、同一業界内で複数の企業が同時に成立させやすい
- 53つの基本戦略を同時に組み合わせれば、必ず競争優位を獲得できる
解説:【正解】ウ(他の4肢はどこかに誤りを含む)
集中戦略は、市場全体ではなく特定セグメントに資源を集中し、その中でコスト優位または差別化を実現する戦略であり、ウが正解。コストリーダーシップは規模の経済・経験曲線効果に依存するため業界内で成立できるのは基本的に1社に限られる(エ誤り)。差別化戦略でもコスト管理は必要で、差別化に要するコストを上回る価格プレミアムが得られなければ成立しない(イ誤り)。複数戦略の中途半端な併用は「スタック・イン・ザ・ミドル(両立の失敗)」を招くとされる(オ誤り)。差別化はむしろ価格競争を回避する(ア誤り)。
★ポイント:アンゾフの成長ベクトル:市場浸透・新製品開発・新市場開拓・多角化。ドメイン=誰に・何を・どのように(物理的定義と機能的定義)。シナジーと範囲の経済。多角化の動機(リスク分散・未利用資源活用)。
問5バーニーのVRIOフレームワークに関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 1VRIOは外部環境を分析するためのフレームワークである
- 2模倣困難性は特許の取得によってのみもたらされる
- ✔価値と稀少性は満たすが模倣が容易な経営資源は、一時的な競争優位をもたらす
- 4価値はあるが稀少性を欠く経営資源は、企業を競争劣位に陥らせる
- 5価値・稀少性・模倣困難性の3要件を満たせば、組織要件を満たさなくても持続的競争優位が実現する
解説:【正解】ウ(他の4肢はどこかに誤りを含む)
VRIOはValue(価値)、Rarity(稀少性)、Inimitability(模倣困難性)、Organization(組織)の4つの問いで経営資源を評価する内部分析の枠組み(ア誤り)。価値がなければ競争劣位、価値のみなら競争均衡、価値+稀少性なら一時的競争優位、さらに模倣困難性が加われば持続的競争優位の潜在力を持ち、それを活かす組織体制があって初めて実現する。したがってエは競争均衡が正しく誤り、オは組織要件が欠けると優位を活かしきれないため誤り、ウが正解。模倣困難性は独自の歴史的条件、因果関係の不明性、社会的複雑性などからも生じる(イ誤り)。
★ポイント:アンゾフの成長ベクトル:市場浸透・新製品開発・新市場開拓・多角化。ドメイン=誰に・何を・どのように(物理的定義と機能的定義)。シナジーと範囲の経済。多角化の動機(リスク分散・未利用資源活用)。
問6事業部制組織に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 1トップマネジメントの日常的な業務負担が増大する
- 2業績評価が明確であるため、短期的視野に陥るおそれはない
- 3職能ごとの専門知識・技能の蓄積に最も適した組織形態である
- ✔各事業部長に利益責任を持たせることで、市場変化に応じた迅速な意思決定が可能となる
- 5経営資源の重複が生じにくく、規模の経済を発揮しやすい
解説:【正解】エ(他の4肢はどこかに誤りを含む)
事業部制は製品別・地域別・顧客別などに事業単位を編成し、各事業部に利益責任(プロフィットセンター)と大幅な権限を委譲する形態。市場に近い場所で意思決定が完結するため環境変化への対応が速く、エが正解。一方、事業部ごとに製造・販売・開発などの機能を持つため資源が重複しやすい(オ誤り)。専門知識の蓄積は機能別(職能別)組織の長所(ウ誤り)。事業部業績の評価が短期利益に偏りやすい点はセクショナリズムと並ぶ代表的な短所(イ誤り)。日常業務は各事業部が担うためトップは戦略的意思決定に専念でき、負担はむしろ軽減される(ア誤り)。
★ポイント:機能別組織=専門化の利益・部門間調整は経営者に集中。事業部制=利益責任の明確化・分権化、短期志向や資源重複が欠点。マトリックス組織=二重の指揮系統(ワンマン・ツーボス)。カンパニー制・持株会社。
問7ハーズバーグの動機づけ・衛生理論において、「動機づけ要因」に該当するものとして最も適切なものはどれか。
- 1作業条件
- 2給与
- 3会社の方針と管理
- 4上司や同僚との対人関係
- ✔仕事の達成に対する承認
解説:【正解】オ(他の4肢はどこかに誤りを含む)
ハーズバーグは職務満足をもたらす要因と職務不満足をもたらす要因が別次元であるとし、前者を動機づけ要因、後者を衛生要因と呼んだ。動機づけ要因は達成、承認、仕事そのもの、責任、昇進など仕事の内容に関わるもので、オが正解。給与、対人関係、作業条件、会社の方針と管理、監督技術などは衛生要因であり、これらを改善しても不満は減るが積極的な満足や動機づけには直結しない。この理論は、職務充実(ジョブ・エンリッチメント)による動機づけの実務的根拠として用いられる。
★ポイント:マズローの欲求段階(生理→安全→社会的→承認→自己実現)。ハーズバーグ2要因(動機づけ要因=達成・承認/衛生要因=給与・作業条件は不満防止のみ)。期待理論(期待×道具性×誘意性)。内発的動機づけ(デシ)。
問8ハーシーとブランチャードのSL理論(状況対応リーダーシップ理論)に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 1参加的スタイルは、部下の成熟度が最も低い段階で有効である
- 2部下の成熟度が最も高い段階では、指示的行動を最も高めることが有効である
- 3SL理論はリーダーの資質に着目する特性理論に分類される
- 4部下の成熟度にかかわらず、同一のリーダーシップ・スタイルが有効である
- ✔部下の成熟度が低い段階では、指示的行動を高め、協労的(援助的)行動を低くすることが有効である
解説:【正解】オ(他の4肢はどこかに誤りを含む)
SL理論は、部下の成熟度(能力と意欲)に応じて有効なリーダーシップ・スタイルが変化するとする条件適合理論である(エ・ウ誤り)。成熟度が低い順に、①教示的(高指示・低協労)、②説得的(高指示・高協労)、③参加的(低指示・高協労)、④委任的(低指示・低協労)と移行する。したがってオが正解。成熟度が最も高い段階では委任的スタイル、すなわち指示も協労も低くするのが有効であるためイは誤り。参加的スタイルは成熟度が比較的高い段階で有効であり、アも誤りである。
★ポイント:SL理論:部下の成熟度で教示的→説得的→参加的→委任的。PM理論(課題達成P・集団維持M)。マネジリアル・グリッド。変革型リーダーシップとカリスマ。コンティンジェンシー理論(フィードラー)。
運営管理全143問中 8問を掲載
問1年間需要量3,600個、1回当たりの発注費用200円、1個当たりの年間在庫維持費用4円であるとき、経済的発注量(EOQ)として最も適切なものはどれか。
- 1300個
- 2400個
- ✔600個
- 4900個
- 51,200個
解説:【正解】ウ(他の4肢はどこかに誤りを含む)
EOQ=√(2×年間需要量×1回当たり発注費用÷1個当たり年間在庫維持費用)。2×3,600×200÷4=360,000、その平方根は600個となりウが正解。EOQは発注費用の合計と在庫維持費用の合計が等しくなる点であり、このとき年間の総費用が最小となる。年間発注回数は3,600÷600=6回。発注費用が上がるとEOQは大きく、在庫維持費用が上がるとEOQは小さくなる。ただし需要が一定、リードタイムが既知、欠品なしといった前提の下でのモデルである点に留意が必要である。
★ポイント:定量発注方式(発注点=平均需要×調達期間+安全在庫、EOQ=√(2×年間需要×1回発注費/年間保管費単価))と定期発注方式(発注量=(発注間隔+調達期間)×平均需要+安全在庫−有効在庫)。ABC分析でA品目は定期発注が典型。
問25つの工程からなる製品組立ラインがあり、各工程の作業時間は順に3分、5分、4分、6分、2分である。このラインのサイクルタイムと編成効率の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。
- 1サイクルタイム6.0分、編成効率60.0%
- 2サイクルタイム6.0分、編成効率80.0%
- 3サイクルタイム4.0分、編成効率100.0%
- ✔サイクルタイム6.0分、編成効率66.7%
- 5サイクルタイム5.0分、編成効率75.0%
解説:【正解】エ
ラインのサイクルタイムは最も時間のかかる工程(ネック工程)によって決まるため6分。編成効率=各工程の作業時間合計÷(工程数×サイクルタイム)×100=(3+5+4+6+2)=20分÷(5×6=30分)×100≒66.7%となり、エが正解。バランスロス率は100-66.7=33.3%。編成効率を高めるには、ネック工程の作業を他工程へ分割・移管する、工程を統合する、ネック工程に人員や設備を追加するなどの対策が有効である。
★ポイント:PLC:導入期(認知)→成長期(差別化)→成熟期(維持・リマインダー広告)→衰退期。ブランド戦略:ライン拡張・ブランド拡張・マルチブランド・新ブランド。ブランド・エクイティ。計画的陳腐化。
問3ある作業の正味時間が10分、余裕率が20%(外掛け法)であるとき、標準時間として最も適切なものはどれか。
- 110.8分
- ✔12.0分
- 312.5分
- 48.0分
- 520.0分
解説:【正解】イ(他の4肢はどこかに誤りを含む)
標準時間=正味時間+余裕時間。外掛け法では余裕時間を正味時間に対する割合として計算するため、標準時間=正味時間×(1+余裕率)=10×1.2=12.0分となりイが正解。一方、内掛け法は標準時間に対する余裕時間の割合として余裕率を定義するため、標準時間=正味時間÷(1-余裕率)=10÷0.8=12.5分(ウ)となる。どちらの方式で問われているかを必ず確認したい。正味時間は観測時間にレイティング(作業ペースの評価)を乗じて算出される。
★ポイント:IE:方法研究(工程分析・動作分析=サーブリッグ)と作業測定(時間研究・稼働分析=ワークサンプリング・連続観測法)。標準時間=正味時間×(1+余裕率)、レイティングで正味時間補正。ECRSの改善原則(排除・結合・交換・簡素化)。
問4定期発注方式に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- ✔発注量は、発注間隔と調達期間を合わせた期間の需要予測量に安全在庫を加え、現在在庫量と発注残を差し引いて求める
- 2在庫量が発注点を下回った時点で発注を行う
- 3発注間隔が需要に応じて変動する
- 4発注量は毎回一定である
- 5ABC分析におけるC品目に最も適した方式である
解説:【正解】ア(他の4肢はどこかに誤りを含む)
定期発注方式は、あらかじめ定めた一定の発注間隔ごとに、その都度必要量を計算して発注する方式である。発注間隔は一定で発注量が変動するため、エとウは記述が逆で誤り。発注量は「(発注間隔+調達期間)の需要予測量+安全在庫-現在在庫量-発注残」で算定されるためアが正解。手間はかかるが在庫を低く抑えられるので、金額的重要度の高いA品目に適する(オ誤り)。イは定量発注方式(発注点方式)の説明であり、こちらは管理が簡便なためB・C品目に向く。
★ポイント:定量発注方式(発注点=平均需要×調達期間+安全在庫、EOQ=√(2×年間需要×1回発注費/年間保管費単価))と定期発注方式(発注量=(発注間隔+調達期間)×平均需要+安全在庫−有効在庫)。ABC分析でA品目は定期発注が典型。
問5QC七つ道具に含まれないものとして、最も適切なものはどれか。
- 1散布図
- 2パレート図
- ✔親和図法
- 4特性要因図
- 5管理図
解説:【正解】ウ(「誤り・不適切なもの」を選ぶ問題。残る4肢は正しい記述なので、そのまま知識として整理できる)
QC七つ道具は、パレート図、特性要因図、グラフ、チェックシート、ヒストグラム、散布図、管理図の7つで、主に数値データを扱う。ウの親和図法は言語データを整理する新QC七つ道具(親和図法、連関図法、系統図法、マトリックス図法、アローダイアグラム法、PDPC法、マトリックスデータ解析法)に属するため、含まれず正解。パレート図は重点指向により改善対象を絞り込む手法、特性要因図は結果と要因の関係を魚の骨状に整理する手法、管理図は工程が安定状態にあるかを判定する手法である。
★ポイント:QC7つ道具:パレート図(重点指向)・特性要因図・ヒストグラム・管理図(3σ・偶然原因と異常原因)・チェックシート・散布図・層別。新QC7つ道具は言語データ。工程能力指数Cp=(規格幅)/6σ(≥1.33で十分)。
問6かんばん方式に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 1かんばんの枚数を増やすほど、仕掛在庫は減少する
- 2前工程が生産計画に基づいて後工程へ製品を供給する
- ✔後工程が必要な物を必要なときに必要な量だけ前工程へ引き取りに行く
- 4生産量の変動が大きい状況において最も効果を発揮する
- 5仕掛在庫を意図的に増やすことで、各工程の独立性を高める
解説:【正解】ウ(他の4肢はどこかに誤りを含む)
かんばん方式はトヨタ生産方式におけるJIT実現の道具であり、後工程が使った分だけ前工程へ引き取りに行く「後工程引取り(プル型)」を基本とするためウが正解。イはプッシュ型の説明で誤り。かんばん方式が有効に機能する前提は生産の平準化であり、変動が大きい状況ではむしろ機能不全に陥る(エ誤り)。仕掛在庫は問題を隠す「ムダ」として削減対象であり(オ誤り)、流通するかんばんの枚数が仕掛在庫の上限を規定するため、枚数を減らすほど在庫は減少する(ア誤り)。
問7設備総合効率を構成する要素の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。
- 1負荷時間×稼働時間×正味稼働時間
- 2時間稼働率×歩留り×設備投資効率
- ✔時間稼働率×性能稼働率×良品率
- 4可用率×故障率×不良率
- 5MTBF×MTTR×良品率
解説:【正解】ウ
設備総合効率(OEE)=時間稼働率×性能稼働率×良品率で表され、ウが正解。時間稼働率は稼働時間÷負荷時間で故障・段取り替えなどの停止ロスを、性能稼働率は速度低下や小停止によるロスを、良品率は不良・手直しによるロスを反映し、TPMが排除を目指す「設備の7大ロス」に対応している。MTBFは平均故障間隔で信頼性の指標、MTTRは平均修復時間で保全性の指標であり、可用率=MTBF÷(MTBF+MTTR)として別途定義される。
★ポイント:保全:事後保全・予防保全(定期・予知)・改良保全・保全予防。設備総合効率=時間稼働率×性能稼働率×良品率。故障率のバスタブ曲線(初期・偶発・摩耗故障期)。MTBF(信頼性)とMTTR(保全性)、アベイラビリティ=MTBF/(MTBF+MTTR)。
問8指数平滑法により次期の需要を予測する。前期の予測値が100個、前期の実績値が120個、平滑化定数(α)が0.2であるとき、次期の予測値として最も適切なものはどれか。
- 1102個
- ✔104個
- 3116個
- 4120個
- 5110個
解説:【正解】イ(他の4肢はどこかに誤りを含む)
指数平滑法の式は「次期予測値=前期予測値+α×(前期実績値-前期予測値)」。100+0.2×(120-100)=100+4=104個となりイが正解。この式は「α×前期実績+(1-α)×前期予測」と書き換えられ、0.2×120+0.8×100=104と計算しても同じである。αが大きいほど直近の実績を強く反映して変化に敏感になる反面、偶然変動にも過敏に反応する。αが小さいほど予測は安定するが、傾向変化への追随が遅れる点がトレードオフとなる。
経営法務全143問中 8問を掲載
問1会社法上の株式会社の機関設計に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 1すべての株式会社は会計参与を設置しなければならない
- 2取締役会設置会社における取締役は2人以上であればよい
- 3すべての株式会社は取締役会を設置しなければならない
- ✔公開会社は取締役会を設置しなければならない
- 5監査役会設置会社における監査役は2人以上であればよい
解説:【正解】エ(他の4肢はどこかに誤りを含む)
会社法は機関設計の自由度を高めており、非公開会社であれば取締役1名のみの株式会社も認められる(ウ誤り)。もっとも、株式に譲渡制限が付されていない公開会社は取締役会の設置が義務づけられているためエが正解。監査役会設置会社の監査役は3人以上で、そのうち半数以上は社外監査役でなければならない(オ誤り)。取締役会設置会社の取締役は3人以上必要である(イ誤り)。会計参与は中小企業の計算書類の信頼性向上を目的とする任意設置の機関であり、設置義務はない(ア誤り)。
★ポイント:機関設計:全会社に株主総会+取締役。公開会社は取締役会必置、大会社(資本金5億or負債200億)は会計監査人必置。監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社。取締役の任期原則2年(非公開10年まで)・監査役4年。
問2会社法上、株主総会の特別決議を要する事項として最も適切なものはどれか。
- 1計算書類の承認
- 2取締役の報酬の決定
- 3金銭による剰余金の配当
- ✔定款の変更
- 5取締役の選任
解説:【正解】エ(他の4肢はどこかに誤りを含む)
特別決議は、議決権を行使できる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席株主の議決権の3分の2以上の賛成を要する決議である。定款変更、事業譲渡等、募集株式の有利発行、資本金の額の減少、組織再編、解散などが対象となるためエが正解。オ・ア・ウ・イはいずれも普通決議事項(出席株主の議決権の過半数)である。なお、取締役の解任は原則として普通決議だが、発行済株式全部を譲渡制限株式とする定款変更などは、さらに要件の厳しい特殊決議が必要となる点も押さえたい。
★ポイント:機関設計:全会社に株主総会+取締役。公開会社は取締役会必置、大会社(資本金5億or負債200億)は会計監査人必置。監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社。取締役の任期原則2年(非公開10年まで)・監査役4年。
問3合同会社に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- ✔社員全員が有限責任を負い、原則として各社員が業務執行権を有する
- 2社員は会社債権者に対して無限責任を負う
- 3労務や信用による出資が認められている
- 4社員が1名のみでは設立することができない
- 5貸借対照表等の決算公告が義務づけられている
解説:【正解】ア(他の4肢はどこかに誤りを含む)
合同会社は持分会社の一形態で、社員全員が有限責任社員であり、定款に別段の定めがなければ各社員が業務を執行する権利を有するためアが正解。無限責任社員のみで構成されるのが合名会社、両者が混在するのが合資会社である(イ誤り)。合同会社では債権者保護の観点から労務・信用出資は認められず、金銭その他の財産に限られ、かつ設立登記までに全額を払い込む必要がある(ウ誤り)。決算公告義務は株式会社に課されるもので合同会社にはない(オ誤り)。社員1名での設立も可能である(エ誤り)。
問4特許権に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- ✔存続期間は、特許出願の日から20年をもって終了する
- 2存続期間は、設定登録の日から20年をもって終了する
- 3特許を受ける権利を第三者に譲渡することはできない
- 4実用新案権と同様に、実体審査を経ずに登録される
- 5職務発明については、特段の定めがなくても使用者が特許を受ける権利を原始取得する
解説:【正解】ア(他の4肢はどこかに誤りを含む)
特許権の存続期間は特許出願の日から20年で終了するためアが正解(イは誤り。なお医薬品等では最大5年の延長登録が認められる)。特許は実体審査を経て登録されるのに対し、実用新案は無審査で登録される点が大きな違いである(エ誤り)。特許を受ける権利は財産権であり譲渡可能である(ウ誤り)。職務発明について使用者が特許を受ける権利を原始取得するには、あらかじめ契約・勤務規則等でその旨を定めておく必要があり、その場合従業者は相当の利益を受ける権利を有する(オ誤り)。
★ポイント:特許:出願から1年6か月で公開・審査請求3年・存続20年。職務発明(相当の利益・契約で使用者帰属可)。先願主義。新規性喪失の例外1年。実施権(専用=登録が効力要件・通常=当然対抗)。
問5商標権に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 1商標登録を受けるためには、出願前に当該商標を使用している事実が必要である
- 2音や色彩のみからなる商標は、登録を受けることができない
- ✔存続期間は設定登録の日から10年であり、更新登録の申請により何度でも更新できる
- 4存続期間の更新は1回に限られる
- 5存続期間は商標登録出願の日から10年である
解説:【正解】ウ(他の4肢はどこかに誤りを含む)
商標権の存続期間は設定登録の日から10年であるが、更新登録の申請により10年ごとに何度でも更新でき、半永久的に権利を維持できる点が他の産業財産権と大きく異なるためウが正解(オ・エ誤り)。2015年施行の改正商標法により、音商標、色彩のみからなる商標、動き商標、ホログラム商標、位置商標といった新しいタイプの商標も保護対象となった(イ誤り)。出願時点で未使用でも登録は可能だが、継続して3年以上使用していない場合は不使用取消審判の対象となりうる(ア誤り)。
★ポイント:商標:登録から10年・更新可(実質半永久)。不使用取消審判(3年)。先願主義・出願公開。地域団体商標。立体・音・色彩等も登録可。普通名称化の防止。
問6著作権に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 1著作権の保護期間は、原則として著作者の死後50年である
- 2コンピュータ・プログラムは著作物に含まれない
- ✔著作者人格権は、他人に譲渡することができない
- 4職務上作成された著作物の著作者は、常に作成した従業員個人となる
- 5著作権が発生するためには、文化庁への登録が必要である
解説:【正解】ウ(他の4肢はどこかに誤りを含む)
著作者人格権は公表権・氏名表示権・同一性保持権からなり、著作者の人格に専属する一身専属権であるため譲渡できない(財産権としての著作権は譲渡可能)。よってウが正解。保護期間は2018年施行のTPP関連法改正により原則として著作者の死後70年に延長された(ア誤り)。法人その他の使用者の発意に基づき従業者が職務上作成し、法人名義で公表するもの等は職務著作として法人が著作者となる(エ誤り)。プログラムも著作物である(イ誤り)。著作権は無方式主義により創作と同時に発生する(オ誤り)。
★ポイント:著作権:創作と同時に発生(無方式主義)・死後70年(法人公表後70年)。著作者人格権は譲渡不可。職務著作(法人名義公表等の要件)。プログラムは著作物。私的複製・引用(公正な慣行・出所明示)の制限規定。
問7不正競争防止法上の「営業秘密」として保護されるための要件に含まれないものとして、最も適切なものはどれか。
- 1事業活動に有用な技術上または営業上の情報であること
- 2客観的にみて事業活動に役立つ情報であること
- 3公然と知られていないものであること
- ✔特許庁に登録されていること
- 5秘密として管理されていること
解説:【正解】エ(「誤り・不適切なもの」を選ぶ問題。残る4肢は正しい記述なので、そのまま知識として整理できる)
営業秘密の3要件は、①秘密管理性(秘密として管理されていること)、②有用性(生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上または営業上の情報であること)、③非公知性(公然と知られていないこと)である。オ・ウは①③、ア・イは②に対応する。エの登録は要件ではなく、むしろ登録・公開を伴う特許制度とは対照的に、秘匿し続けることで保護を受けるのが営業秘密制度の特徴であるためエが正解。秘密管理性については、アクセス制限や秘密表示など、従業者が秘密であると認識できる管理措置が求められる。
★ポイント:不競法:周知表示混同惹起・著名表示冒用・形態模倣(販売から3年・機能確保に不可欠な形態は除外)・営業秘密(秘密管理性・有用性・非公知性)の不正取得等・限定提供データ。
問8民法上の売買における契約不適合責任に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 1契約不適合を理由として損害賠償を請求することはできない
- 2契約不適合が買主の責めに帰すべき事由による場合であっても、追完請求ができる
- 3買主は契約不適合を知った時から1年以内に、訴えを提起しなければならない
- 4買主は代金減額請求のみが可能であり、契約の解除をすることはできない
- ✔買主は、売主に対して目的物の修補や代替物の引渡しなど履行の追完を請求することができる
解説:【正解】オ(他の4肢はどこかに誤りを含む)
2020年施行の改正民法は、旧法の瑕疵担保責任を契約不適合責任として再構成した。引き渡された目的物が種類・品質・数量に関して契約の内容に適合しない場合、買主は①履行の追完請求、②代金減額請求、③損害賠償請求、④契約の解除が可能であるためオが正解で、エ・アは誤り。種類・品質の不適合については、買主が不適合を知った時から1年以内に売主へ「通知」すれば足り、訴えの提起までは要しない(ウ誤り)。不適合が買主の責めに帰すべき事由による場合、追完請求はできない(イ誤り)。
★ポイント:契約の成立(申込みと承諾)・解除(催告解除と無催告解除)・契約不適合責任(通知1年)・債権譲渡(通知承諾・確定日付)・保証(書面必須・個人根保証の極度額・事業債務の公正証書)・消滅時効(5年/10年)。
経営情報システム全143問中 8問を掲載
問1コンピュータの記憶装置に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 1DRAMはリフレッシュ動作を必要としない
- 2仮想記憶は、主記憶装置の物理的な容量を増加させる技術である
- 3ROMは電源を切ると記憶内容が失われる
- ✔SSDはHDDに比べて機械的な可動部がなく、耐衝撃性とアクセス速度に優れる
- 5キャッシュメモリは、主記憶装置よりもアクセス速度が低速である
解説:【正解】エ(他の4肢はどこかに誤りを含む)
SSDはフラッシュメモリを用いた記憶装置で、磁気ディスクを回転させるHDDと異なり可動部がないため、耐衝撃性・静粛性・アクセス速度の面で優れるためエが正解。キャッシュメモリはCPUと主記憶の速度差を埋めるために置かれる高速小容量のメモリである(オ誤り)。DRAMはコンデンサに電荷を蓄えるため定期的なリフレッシュが必要で、リフレッシュ不要なのはSRAMである(ア誤り)。ROMは電源を切っても内容が保持される不揮発性メモリ(ウ誤り)。仮想記憶は補助記憶を利用して主記憶を大きく見せる技術であり物理容量は増えない(イ誤り)。
★ポイント:CPU:クロック周波数・コア数・キャッシュ(L1>L2>L3の順に高速小容量)。記憶階層:レジスタ→キャッシュ→主記憶→補助記憶。RAID(0=ストライピング速度・1=ミラーリング冗長・5=パリティ分散)。SSDはHDDより高速・耐衝撃。
問2RAIDに関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 1RAID6は冗長性をまったく持たない方式である
- 2RAID5は、パリティ情報を専用の1台のディスクに集中して格納する
- 3RAID0はミラーリングによって冗長性を高める方式である
- ✔RAID1は2台以上のディスクに同一のデータを書き込む方式である
- 5RAID5は、1台のディスクが故障するとデータを復元できない
解説:【正解】エ(他の4肢はどこかに誤りを含む)
RAID1はミラーリングと呼ばれ、複数台のディスクに同一データを書き込むことで1台が故障してもデータを保持でき、エが正解。RAID0はストライピングでデータを分散配置し高速化を図るが冗長性はなく、1台の故障で全データを失う(ウ誤り)。RAID5はデータとパリティを複数ディスクに分散して記録し、1台の故障までは残りのディスクとパリティから復元できる(オ誤り)。パリティを専用ディスクに集中させるのはRAID4である(イ誤り)。RAID6はパリティを二重化し2台の同時故障に耐えられる(ア誤り)。
★ポイント:クラウド:SaaS(アプリ)・PaaS(開発基盤)・IaaS(インフラ)。AI:機械学習(教師あり・なし・強化学習)・ディープラーニング・生成AI。IoT・ビッグデータ・RPA・API連携。DXは業務・ビジネスモデルの変革を伴う。
問3関係データベースの正規化に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 1第3正規形は、部分関数従属を排除した状態である
- ✔第1正規形は、繰り返し項目を排除した状態である
- 3第2正規形は、推移的関数従属を排除した状態である
- 4正規化を進めるほど、検索性能は必ず向上する
- 5正規化はデータの冗長性を高めることを目的とする
解説:【正解】イ(他の4肢はどこかに誤りを含む)
第1正規形は繰り返し項目(非原子的な値)を排除し、すべての属性が単一の値をとる状態であるためイが正解。第2正規形は主キーの一部にのみ従属する部分関数従属を排除した状態、第3正規形は非キー属性が他の非キー属性を介して主キーに従属する推移的関数従属を排除した状態であり、ウとアは説明が入れ替わっている。正規化の目的はデータの重複(冗長性)を排除して更新時異状を防ぐことにある(オ誤り)。ただし表が分割されるため結合処理が増え、検索性能はむしろ低下することがある(エ誤り)。
★ポイント:正規化:第1(繰返し排除)→第2(部分関数従属排除)→第3(推移的関数従属排除)。SQL:SELECT-FROM-WHERE、結合(JOIN)、GROUP BY-HAVING。ACID特性(原子性・一貫性・独立性・耐久性)。排他制御(ロック)・デッドロック。
問4SQLに関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 1GROUP BY句で集約した結果に対して条件を課すには、WHERE句を用いる
- 2INNER JOINは、結合条件に一致しない行も出力する
- 3DISTINCTは、検索結果を昇順に並べ替えるために用いる
- 4COUNT(*)はNULL値を含む行を除外して行数を数える
- ✔HAVING句は、集約された結果に対する条件指定に用いる
解説:【正解】オ(他の4肢はどこかに誤りを含む)
WHERE句は集約前の個々の行に対する絞り込み条件、HAVING句はGROUP BYによる集約後のグループに対する条件指定に用いるため、オが正解でアは誤り。DISTINCTは重複行を除去するためのもので、並べ替えはORDER BY句が担う(ウ誤り)。INNER JOIN(内部結合)は結合条件に一致する行のみを出力し、一致しない行も出力するのはOUTER JOIN(外部結合)である(イ誤り)。COUNT(*)はNULLを含めて全行を数えるのに対し、COUNT(列名)は当該列がNULLの行を除外する(エ誤り)。
★ポイント:正規化:第1(繰返し排除)→第2(部分関数従属排除)→第3(推移的関数従属排除)。SQL:SELECT-FROM-WHERE、結合(JOIN)、GROUP BY-HAVING。ACID特性(原子性・一貫性・独立性・耐久性)。排他制御(ロック)・デッドロック。
問5TCP/IPに関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 1HTTPはトランスポート層に位置するプロトコルである
- 2TCPはコネクションレス型の通信を行い、信頼性は保証されない
- 3IPアドレスは、OSI基本参照モデルのデータリンク層で扱われる
- ✔UDPは再送制御を行わず、リアルタイム性が重視される用途に適している
- 5DNSは、IPアドレスをMACアドレスに変換するプロトコルである
解説:【正解】エ(他の4肢はどこかに誤りを含む)
UDPはコネクションレス型で、確認応答や再送制御を行わない代わりにオーバーヘッドが小さく、音声・映像のストリーミングやオンラインゲームなど遅延を嫌う用途に適するためエが正解。TCPはコネクション型で確認応答・再送制御・順序制御により信頼性を確保する(イ誤り)。IPアドレスはネットワーク層で扱われる(ウ誤り)。DNSはドメイン名とIPアドレスを相互変換するもので、IPアドレスからMACアドレスを求めるのはARPである(オ誤り)。HTTPはアプリケーション層のプロトコルである(ア誤り)。
★ポイント:OSI7階層とTCP/IP4階層の対応。IPアドレス(IPv4は32ビット・プライベートアドレス・サブネットマスク)・DHCP(自動割当)・DNS(名前解決)・NAT。HTTPS=HTTP+TLS。ポート番号(HTTP80・HTTPS443)。
問6暗号技術に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 1共通鍵暗号方式は、公開鍵暗号方式に比べて一般に処理速度が遅い
- ✔公開鍵暗号方式では、送信者は受信者の公開鍵を用いて暗号化する
- 3デジタル署名では、送信者は自身の公開鍵を用いて署名を生成する
- 4ハッシュ関数を用いれば、ハッシュ値から元のデータを復元できる
- 5ハイブリッド暗号方式では、共通鍵暗号方式のみが用いられる
解説:【正解】イ(他の4肢はどこかに誤りを含む)
公開鍵暗号方式では、送信者が受信者の公開鍵で暗号化し、受信者が自身の秘密鍵で復号するためイが正解。共通鍵暗号方式は処理が高速だが、通信相手ごとに鍵が必要で鍵管理が煩雑になる(ア誤り)。デジタル署名は逆に送信者の秘密鍵で署名を生成し、受信者が送信者の公開鍵で検証することで、本人性と非改ざん性を確認する(ウ誤り)。ハイブリッド暗号方式は、共通鍵の受け渡しに公開鍵暗号を、本文の暗号化に共通鍵暗号を用いて両者の長所を組み合わせる(オ誤り)。ハッシュ関数は不可逆である(エ誤り)。
★ポイント:共通鍵(高速・鍵配送問題)と公開鍵(受信者の公開鍵で暗号化・秘密鍵で復号)。デジタル署名=送信者の秘密鍵で署名(本人性+改ざん検知・否認防止)。攻撃:フィッシング・ランサムウェア・SQLインジェクション・標的型。多要素認証。リスク対応(回避・低減・移転・保有)。
問7情報セキュリティに関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 1ファイアウォールを導入すれば、マルウェアの侵入を完全に防止できる
- 2ランサムウェアは、データを暗号化することなく単に削除するマルウェアである
- ✔SQLインジェクションは、入力値の検証やエスケープ処理、プレースホルダの利用によって対策できる
- 4二要素認証とは、同じ種類の認証要素を2回用いる方式である
- 5クロスサイトスクリプティングは、通信経路上の盗聴を行う攻撃手法である
解説:【正解】ウ(他の4肢はどこかに誤りを含む)
SQLインジェクションは、入力欄に不正なSQL文の断片を挿入してデータベースを不正操作する攻撃であり、入力値の検証やエスケープ処理、プレースホルダ(バインド機構)を用いた実装が有効な対策となるためウが正解。クロスサイトスクリプティングは、Webページに不正なスクリプトを埋め込んで閲覧者のブラウザ上で実行させる攻撃である(オ誤り)。ランサムウェアはデータを暗号化して身代金を要求する(イ誤り)。二要素認証は知識・所持・生体という異なる種類の要素を組み合わせる(エ誤り)。ファイアウォールだけでは防御は完全でない(ア誤り)。
★ポイント:共通鍵(高速・鍵配送問題)と公開鍵(受信者の公開鍵で暗号化・秘密鍵で復号)。デジタル署名=送信者の秘密鍵で署名(本人性+改ざん検知・否認防止)。攻撃:フィッシング・ランサムウェア・SQLインジェクション・標的型。多要素認証。リスク対応(回避・低減・移転・保有)。
問8システム開発方法論に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 1DevOpsは、開発部門と運用部門を明確に分離することを志向する考え方である
- 2ウォーターフォールモデルは、開発途中の要件変更への対応が容易である
- 3スパイラルモデルでは、リスク分析を行わない
- ✔アジャイル開発は、短い反復(イテレーション)を繰り返して動くソフトウェアを段階的に提供する
- 5プロトタイピングは、要件が明確に確定した大規模開発に最も適している
解説:【正解】エ(他の4肢はどこかに誤りを含む)
アジャイル開発は、数週間程度の短い反復を繰り返しながら動作するソフトウェアを段階的に提供し、変化する要求への適応を重視する開発手法であるためエが正解。ウォーターフォールモデルは上流工程から順に進め前工程に戻ることを想定しないため、要件変更への対応は困難である(イ誤り)。プロトタイピングは要件が不明確な場合に試作品で認識を合わせる手法(オ誤り)。スパイラルモデルはリスク分析を組み込んだ反復型モデル(ウ誤り)。DevOpsは開発と運用の連携・自動化を推進する考え方である(ア誤り)。
★ポイント:開発モデル:ウォーターフォール(工程逆戻り困難)・プロトタイピング・アジャイル(スクラム:スプリント・デイリースクラム)。テスト:単体→結合→システム→受入れ、ホワイトボックス(網羅)とブラックボックス(同値分割・境界値)。ファンクションポイント法は機能量で規模見積り。
中小企業経営・中小企業政策全142問中 8問を掲載
問1中小企業基本法における中小企業者の定義として、最も適切なものはどれか。
- 1製造業は、資本金1億円以下または従業員100人以下
- 2サービス業は、資本金5,000万円以下または従業員50人以下
- 3小売業は、資本金5,000万円以下または従業員100人以下
- 4卸売業は、資本金1億円以下または従業員50人以下
- ✔製造業その他の業種は、資本金3億円以下または従業員300人以下
解説:【正解】オ(他の4肢はどこかに誤りを含む)
中小企業基本法の中小企業者の範囲は、①製造業その他:資本金3億円以下または従業員300人以下、②卸売業:資本金1億円以下または従業員100人以下、③サービス業:資本金5,000万円以下または従業員100人以下、④小売業:資本金5,000万円以下または従業員50人以下である。したがってオが正解で、アも誤り。エは卸売業の従業員基準が100人、ウは小売業の従業員基準が50人、イはサービス業の従業員基準が100人であるためいずれも誤り。資本金と従業員のいずれかを満たせばよい「または」の関係である点も頻出の論点である。
★ポイント:中小企業の定義(資本金or従業員):製造業等3億円/300人・卸売業1億円/100人・小売業5,000万円/50人・サービス業5,000万円/100人。小規模企業者=従業員20人以下(商業・サービス業5人以下)。いずれかを満たせば該当。
問2中小企業基本法における小規模企業者の定義として、最も適切なものはどれか。
- 1業種を問わず、従業員10人以下である
- 2製造業その他の業種は、従業員50人以下である
- 3商業・サービス業は、従業員20人以下である
- ✔製造業その他の業種は、従業員20人以下である
- 5資本金の額のみによって定義される
解説:【正解】エ(他の4肢はどこかに誤りを含む)
小規模企業者は、製造業その他の業種では従業員20人以下、商業(卸売業・小売業)およびサービス業では従業員5人以下と定義されるため、エが正解でウとイは誤り。中小企業者の定義と異なり、小規模企業者は資本金基準を用いず従業員数のみで判定される点が重要である(オ誤り)。なお、政策上の必要に応じて業種の特性を踏まえ政令で異なる定めを置くことも認められている。小規模企業はわが国の企業数の約8割強を占め、地域経済と雇用の重要な担い手となっている。
★ポイント:中小企業の定義(資本金or従業員):製造業等3億円/300人・卸売業1億円/100人・小売業5,000万円/50人・サービス業5,000万円/100人。小規模企業者=従業員20人以下(商業・サービス業5人以下)。いずれかを満たせば該当。
問31999年に全面改正された中小企業基本法の基本理念として、最も適切なものはどれか。
- 1中小企業の保護および救済の徹底
- ✔独立した中小企業者の自主的な努力の助長と、多様で活力ある中小企業の成長発展
- 3中小企業の事業所数を維持することによる雇用の確保
- 4過度の競争の防止による中小企業の安定
- 5大企業との間に存在する諸格差の是正
解説:【正解】イ(他の4肢はどこかに誤りを含む)
1963年制定の旧中小企業基本法は、大企業との生産性・賃金などの格差是正を政策理念に掲げていた(オは旧法の理念)。これに対し1999年の全面改正では、中小企業を「わが国経済の活力の源泉」と位置づけ、独立した中小企業者の自主的な努力を助長しつつ、多様で活力ある中小企業の成長発展を図ることを基本理念とした。よってイが正解。政策の柱は、経営革新および創業の促進、経営基盤の強化、経済的社会的環境の変化への適応の円滑化の3つに整理され、これに資金供給の円滑化等が加わる。
★ポイント:中小企業の定義(資本金or従業員):製造業等3億円/300人・卸売業1億円/100人・小売業5,000万円/50人・サービス業5,000万円/100人。小規模企業者=従業員20人以下(商業・サービス業5人以下)。いずれかを満たせば該当。
問4小規模企業振興基本法に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- ✔「事業の持続的発展」を基本原則として位置づけている
- 2対象は製造業に限定されている
- 3中小企業基本法を廃止したうえで制定された
- 4「成長発展」のみを基本原則としている
- 5基本計画はおおむね10年ごとに策定される
解説:【正解】ア(他の4肢はどこかに誤りを含む)
小規模企業振興基本法は2014年に制定され、小規模企業について、必ずしも規模の拡大を志向しない事業者が多い実態を踏まえ、中小企業基本法の「成長発展」に加えて「事業の持続的発展」を基本原則として位置づけた点に大きな意義がある。よってアが正解でエは誤り。中小企業基本法は存続しており、本法はこれを補完するものである(ウ誤り)。対象は業種を問わない(イ誤り)。政府はおおむね5年間の小規模企業振興基本計画を策定し、国会に報告することとされている(オ誤り)。
★ポイント:小規模企業振興基本法(事業の持続的発展を位置づけ)。小規模事業者持続化補助金(販路開拓・商工会議所等の支援計画)。経営発達支援計画(商工会・商工会議所が策定し国が認定)。
問5中小企業等経営強化法に基づく経営革新計画に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 1計画が承認されると、補助金が自動的に交付される
- ✔計画期間は3年から5年である
- 3計画の承認は、経済産業大臣のみが行う
- 4計画期間は10年以上でなければならない
- 5付加価値額の伸び率に関する数値目標は求められていない
解説:【正解】イ(他の4肢はどこかに誤りを含む)
経営革新計画は、新商品の開発、新たな生産方式の導入、新役務の開発、新たな提供方式の導入などにより経営の相当程度の向上を図る計画で、計画期間は3〜5年とされるためイが正解。承認は原則として都道府県知事(複数県にまたがる場合等は国)が行う(ウ誤り)。「付加価値額または一人当たり付加価値額」の伸び率と「給与支給総額」の伸び率について、期間に応じた数値目標を満たす必要がある(オ誤り)。承認は政府系金融機関の低利融資、信用保証の特例、税制措置などの支援策の入口であり、補助金が自動交付されるわけではない(ア誤り)。
★ポイント:中小企業等経営強化法:経営革新計画(新事業活動+経営指標の向上目標→承認で低利融資・保証特例)、経営力向上計画(認定で税制優遇・金融支援)、先端設備等導入計画(固定資産税特例)。
問6中小企業等経営強化法に基づく経営力向上計画に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 1計画の認定は市町村長が行う
- ✔認定を受けると、中小企業経営強化税制の適用を受けられる場合がある
- 3認定の対象は大企業に限られる
- 4計画期間は一律10年である
- 5事業分野別指針は策定されていない
解説:【正解】イ(他の4肢はどこかに誤りを含む)
経営力向上計画は、人材育成、財務管理、設備投資などを通じて事業者の経営力を向上させる計画で、事業所管大臣の認定を受けると、一定の設備投資について即時償却または税額控除が選択できる中小企業経営強化税制のほか、金融支援や法的支援を受けられる場合があるためイが正解。対象は中小企業者等であり(ウ誤り)、業種の実態に応じた事業分野別指針が策定されている(オ誤り)。認定は事業所管大臣が行う(ア誤り)。計画期間はおおむね3年から5年である(エ誤り)。
★ポイント:中小企業等経営強化法:経営革新計画(新事業活動+経営指標の向上目標→承認で低利融資・保証特例)、経営力向上計画(認定で税制優遇・金融支援)、先端設備等導入計画(固定資産税特例)。
問7小規模企業共済制度に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- ✔掛金は、その全額が所得控除の対象となる
- 2掛金月額は一律1万円と定められている
- 3加入対象は、従業員300人以下の企業の経営者である
- 4共済金は一括受取りのみが認められている
- 5制度の運営主体は日本政策金融公庫である
解説:【正解】ア(他の4肢はどこかに誤りを含む)
小規模企業共済は、小規模企業の個人事業主や会社等の役員が廃業・退任時の生活資金を準備するための制度で、掛金は全額が所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象となるためアが正解。掛金月額は1,000円から70,000円までの範囲で500円単位で自由に設定できる(イ誤り)。加入対象は原則として常時使用する従業員が20人以下(商業・サービス業は5人以下)の個人事業主・会社役員等である(ウ誤り)。共済金は一括のほか分割受取りや併用も選択できる(エ誤り)。運営主体は中小企業基盤整備機構である(オ誤り)。
★ポイント:小規模企業共済=経営者の退職金制度(掛金は全額所得控除)。中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)=取引先倒産時に掛金総額の10倍・最高8,000万円まで無担保・無保証人・無利子で借入可(掛金は損金・必要経費算入可)。
問8中小企業倒産防止共済制度(経営セーフティ共済)に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 1共済金の貸付限度額は、掛金総額の5倍である
- ✔掛金は、損金または必要経費に算入することができる
- 3掛金の積立限度額は300万円である
- 4共済金の貸付けは無担保・無保証人であるが、利息が発生する
- 5加入できるのは創業から3年以上経過した事業者に限られる
解説:【正解】イ(他の4肢はどこかに誤りを含む)
経営セーフティ共済は、取引先の倒産による連鎖倒産を防ぐための制度で、掛金は法人では損金、個人事業主では必要経費に算入できるためイが正解。掛金月額は5,000円から20万円で、積立限度額は800万円である(ウ誤り)。共済金の貸付けは無担保・無保証人かつ無利子だが、貸付額の10分の1に相当する額が掛金総額から控除される実質的な負担がある(エ誤り)。貸付限度額は回収困難となった売掛金債権等の額と掛金総額の10倍のいずれか少ない額で、上限は8,000万円である(ア誤り)。加入要件は1年以上の事業継続である(オ誤り)。
★ポイント:小規模企業共済=経営者の退職金制度(掛金は全額所得控除)。中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)=取引先倒産時に掛金総額の10倍・最高8,000万円まで無担保・無保証人・無利子で借入可(掛金は損金・必要経費算入可)。