分野別問題:構造・施工

一級建築士|構造・施工

最終更新:2026年8月11日

一級建築士の構造・施工分野を集中的に演習します。

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問1
構造力学における応力に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 1単純梁に等分布荷重が作用する場合、曲げモーメントは梁中央で最大となる
  • 2片持梁の自由端に集中荷重が作用する場合、せん断力は梁全長にわたり一定である
  • 3単純梁に等分布荷重が作用する場合、せん断力は支点で最大、中央で0となる
  • ✔単純梁の中央に集中荷重が作用する場合、曲げモーメント図は台形分布となる
  • 5トラス構造の部材には、原則として軸方向力(引張・圧縮)のみが生じる
解説:単純梁の中央に集中荷重が作用する場合、曲げモーメント図は支点からモーメントが直線的に増加し中央で最大値をとり、その後直線的に減少する「三角形分布」となる。「台形分布」とする4は誤り。等分布荷重の場合は曲げモーメント図が放物線(二次曲線)分布となる点と混同しないよう注意が必要。他の記述(等分布荷重時のせん断力分布、片持梁のせん断力、トラス部材の軸力)は正しい。
問2
座屈に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 1弾性座屈荷重は、オイラーの公式により求められる
  • 2座屈荷重は、部材の断面二次モーメントに比例する
  • 3座屈荷重は、座屈長さの2乗に反比例する
  • ✔座屈荷重は、材料のヤング係数に反比例する
  • 5両端固定材の座屈長さは、両端ピン材に比べて短くなる
解説:オイラーの座屈荷重の公式 Pcr = π²EI/Lk² において、座屈荷重はヤング係数Eに比例する。ヤング係数が大きい(剛性が高い)ほど座屈しにくく座屈荷重は大きくなるため、「ヤング係数に反比例する」とする4は誤り。座屈荷重が断面二次モーメントに比例し、座屈長さの2乗に反比例すること、両端固定材の座屈長さが両端ピン材より短くなること(座屈長さ係数0.5 vs 1.0)は正しい。
問3
鉄筋コンクリート構造に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 1コンクリートは圧縮力に強く、引張力に弱いため鉄筋で補強する
  • 2鉄筋とコンクリートの付着性能は、鉄筋の周長に比例して向上する
  • 3かぶり厚さは、鉄筋の防錆及び耐火性能確保のために必要である
  • ✔コンクリートの中性化は、鉄筋の腐食を防止する効果がある
  • 5鉄筋とコンクリートの線膨張係数はほぼ等しく、温度変化による応力差が生じにくい
解説:コンクリートの中性化は、空気中の二酸化炭素との反応によりコンクリートのアルカリ性が失われる現象であり、鉄筋表面の不動態被膜が破壊されて腐食が進行しやすくなる要因となる。したがって「腐食を防止する効果がある」とする4は誤りであり、実際には中性化は鉄筋腐食を促進する劣化現象である。かぶり厚さの役割、線膨張係数の近似性、付着性能に関する記述は正しい。
問4
鋼構造に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 1鋼材は、一般に温度が上昇すると強度が低下する
  • 2高力ボルト接合は、摩擦接合を原則とする
  • 3溶接接合部には、応力集中や溶接欠陥による脆性破壊のリスクがある
  • ✔鋼材の降伏比が小さいほど、破壊に至るまでの塑性変形能力(靭性)は小さくなる
  • 5ブレース構造は、水平力を主にブレース材の軸力で負担する構造形式である
解説:降伏比(降伏点/引張強さ)が小さいということは、降伏後、破断に至るまでの余裕(塑性変形能力)が大きいことを意味し、靭性に富む鋼材であることを示す。したがって「降伏比が小さいほど塑性変形能力が小さくなる」とする4は逆であり誤り。降伏比が小さいほど靭性が高く、地震時のエネルギー吸収能力に優れる。他の記述(高温時の強度低下、高力ボルトの摩擦接合、溶接部の脆性破壊リスク、ブレース構造)は正しい。
問5
地盤・基礎構造に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 1直接基礎は、地盤の支持力によって上部構造の荷重を直接支持する基礎形式である
  • 2杭基礎には、支持杭と摩擦杭がある
  • ✔液状化現象は、地下水位が低く締固まった砂質地盤で発生しやすい
  • 4圧密沈下は、主に粘性土地盤において間隙水が排出されることにより生じる
  • 5標準貫入試験のN値は、地盤の相対的な強さの指標として用いられる
解説:液状化現象は、地下水位が高く、緩く堆積した飽和砂質地盤において地震動により間隙水圧が上昇し、地盤のせん断強度が失われる現象である。「地下水位が低く締固まった地盤で発生しやすい」とする3は逆であり誤り。液状化は地下水位が高い、緩い、粒径の揃った砂地盤で特に発生しやすい。直接基礎・杭基礎の分類、圧密沈下、N値に関する記述は正しい。
問6
木造建築物に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 1筋かいは、地震力・風圧力等の水平力に抵抗するために設ける斜材である
  • ✔筋かいをたすき掛けとする場合、原則としてその一方の筋かいを欠込みする
  • 3木材の含水率が高いほど、一般に強度は低下する傾向がある
  • 4集成材は、単板やひき板を積層接着した木質材料であり、無垢材に比べて品質の均一化が図りやすい
  • 5木造軸組工法における耐力壁は、壁量計算により必要壁量を確認する
解説:筋かいをたすき掛け(X字状に交差させる)とする場合、双方の筋かいが交差する箇所において、構造耐力を損なわないよう、原則としていずれの筋かいも欠込みをせず、添え板等により交差部を納める方法が取られる。一方の筋かいを欠き込むと当該筋かいの耐力が著しく低下するため、「一方を欠込みする」とする2は不適当な工法である。筋かいの機能、含水率と強度の関係、集成材の特徴、壁量計算に関する記述は正しい。
問7
免震構造・制振構造に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 1免震構造は、建築物と地盤との間に免震装置を設け、地震動を建物に伝わりにくくする構造である
  • 2積層ゴムは、免震装置の一種で鉛直方向の荷重を支持しつつ水平方向に柔軟に変形する
  • 3オイルダンパーは、主に振動エネルギーを吸収する減衰装置として用いられる
  • ✔制振構造は、免震構造と同様に建物と基礎の間に装置を設置し、地震動そのものの入力を低減する構造である
  • 5制振構造には、建物の変形エネルギーを吸収する制振ダンパーを架構内に組み込む方式がある
解説:制振構造は、建物内部(架構内や層間)に制振ダンパー等を組み込み、地震時に生じる建物の振動エネルギーを吸収・減衰させることで揺れを制御する構造であり、免震構造のように「建物と基礎の間」に装置を設けて地震動の入力そのものを低減するものではない。地震動の入力低減は免震構造の特徴であり、両者は原理が異なる。したがって4は誤り。積層ゴム、オイルダンパー、制振ダンパーに関する記述は正しい。
問8
荷重・外力に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 1固定荷重は、建築物自体の構造躯体や仕上げ材料等の重量による荷重である
  • 2積載荷重は、室の用途に応じて建築基準法施行令で異なる数値が定められている
  • ✔地震層せん断力係数は、一般に上層階ほど小さくなる
  • 4風圧力の算定に用いる速度圧は、その地方における基準風速や建築物の高さ等に応じて定められる
  • 5積雪荷重は、屋根の勾配が急になるほど、一般に低減されることがある
解説:地震層せん断力係数(Ci)は、標準せん断力係数に高さ方向の分布係数(Ai分布)を乗じて求められ、Ai分布は一般に上層階ほど大きくなる傾向を示す。これは上層階ほど地震時の応答加速度が増幅されるためであり、「上層階ほど小さくなる」とする3は逆であり誤り。固定荷重・積載荷重・風圧力・積雪荷重の勾配による低減に関する記述は正しい。
問9
耐震設計・耐震診断に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 1耐震診断における「Is値」は、建築物の構造耐震指標であり、値が大きいほど耐震性能が高いことを示す
  • 2保有水平耐力は、建築物が終局状態に至るまでに保有し得る水平方向の耐力をいう
  • 3靭性指標(F値)は、建築物の変形能力(粘り強さ)を表す指標である
  • ✔耐震改修における制振ダンパーの設置は、建築物の耐力向上のみを目的とした工法である
  • 5耐震壁のバランスの悪い配置(偏心)は、ねじれ振動を誘発し被害を拡大させる要因となる
解説:耐震改修における制振ダンパーの設置は、地震エネルギーを吸収し建物の変形・揺れを低減することを主目的とする工法であり、必ずしも建物自体の「耐力向上」のみを目的とするものではない。むしろ靭性(エネルギー吸収能力)の向上や応答変形の抑制を主眼とする点に特徴があるため、「耐力向上のみを目的とした工法」と限定する4は不適当。Is値、保有水平耐力、F値、耐震壁の偏心配置に関する記述は正しい。
問10
コンクリート材料に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 1コンクリートの設計基準強度は、構造計算において基準とする圧縮強度をいう
  • 2水セメント比が小さいほど、一般にコンクリートの強度は高くなる傾向がある
  • 3AE減水剤は、単位水量を減らしつつワーカビリティーを確保する混和剤である
  • 4コンクリートの中性化深さは、一般に経過年数の平方根にほぼ比例して進行する
  • ✔気乾単位容積質量が大きいほど、一般にコンクリートの断熱性能は高くなる
解説:コンクリートの気乾単位容積質量(密度)が大きいほど、一般に熱伝導率が高くなり断熱性能はむしろ低下する傾向にある(軽量コンクリートの方が重量コンクリートより断熱性能に優れる)。「密度が大きいほど断熱性能が高くなる」とする5は逆であり誤り。設計基準強度、水セメント比と強度の関係、AE減水剤、中性化深さの進行則に関する記述は正しい。
問11
鉄骨構造の接合部に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 1高力ボルト摩擦接合は、ボルトの締付けにより生じる材間圧縮力による摩擦抵抗で応力を伝達する
  • 2完全溶込み溶接(突合せ溶接)は、母材と同等の強度を確保できる溶接方法である
  • 3隅肉溶接は、主に部材が交差又は重なる部分の接合に用いられる
  • ✔高力ボルトの本数を増やすことで、必要な許容耐力に対応することが一般的である
  • 5溶接部の非破壊検査には、超音波探傷試験や放射線透過試験などがある
解説:選択肢4自体は一見妥当に見えるが、設計実務上、高力ボルト接合において必要な耐力を確保する方法はボルト本数の増加のみに限らず、ボルト径や強度区分の変更、接合形式(摩擦面処理等)の見直しなど複数の手段が検討される。ただし本問における「最も不適当」の判定は、他の4肢が技術的に正確な記述であるのに対し、4は増本数のみを唯一の対応策として一般化しすぎている点にある。高力ボルト摩擦接合の原理、完全溶込み溶接、隅肉溶接の用途、非破壊検査の方法に関する記述は正しい。
問12
基礎構造・地盤調査に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 1スウェーデン式サウンディング試験は、比較的小規模建築物の地盤調査に用いられる簡易な原位置試験である
  • 2平板載荷試験は、地盤の支持力特性を直接的に評価する試験である
  • 3ボーリング調査と併せて行う標準貫入試験では、N値とともに土質試料(サンプル)を採取できる
  • ✔圧密沈下の進行速度は、粘性土の透水係数が小さいほど速くなる
  • 5支持杭は、杭先端を良好な支持層に到達させ、主に先端支持力によって荷重を支持する杭である
解説:圧密沈下は、粘性土中の間隙水が排出されることで進行するが、粘性土の透水係数が小さいほど間隙水の排出に時間がかかり、圧密沈下の進行速度は「遅く」なる。「透水係数が小さいほど速くなる」とする4は逆であり誤り。スウェーデン式サウンディング試験、平板載荷試験、標準貫入試験、支持杭に関する記述は正しい。
問13
振動・地震応答に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 1固有周期は、建築物の質量が大きいほど、また剛性が小さいほど長くなる傾向がある
  • 2減衰定数が大きいほど、地震時の振動は早く収束する傾向がある
  • 3応答スペクトルは、地震動に対する構造物の最大応答値を周期の関数として示したものである
  • 4共振現象は、建築物の固有周期と地震動の卓越周期が一致又は近接するときに生じやすい
  • ✔免震構造は、建築物の固有周期を短くすることで地震力を低減する構造である
解説:免震構造は、免震装置(積層ゴム等)により建築物の固有周期を「長く」することで、地震動の卓越周期帯からずらし、建物に伝わる地震力(加速度応答)を低減する構造である。「固有周期を短くする」とする5は逆であり誤り。固有周期と質量・剛性の関係、減衰定数、応答スペクトル、共振現象に関する記述は正しい。
問14
プレストレストコンクリート構造に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 1プレストレストコンクリートは、PC鋼材にあらかじめ引張力を導入し、コンクリートに圧縮力を与える構造である
  • 2プレテンション方式は、コンクリート打設前にPC鋼材を緊張し、硬化後に緊張力を解放する方式である
  • 3ポストテンション方式は、コンクリート硬化後にPC鋼材を緊張し定着する方式である
  • 4プレストレスの導入により、コンクリートのひび割れの発生を抑制する効果が期待できる
  • ✔プレストレストコンクリートは、鉄筋コンクリートに比べて一般に長スパンの構造には適さない
解説:プレストレストコンクリートは、あらかじめ圧縮力を導入することでコンクリートの引張側のひび割れを抑制し、部材のたわみを低減できるため、鉄筋コンクリートに比べてむしろ長スパン構造(橋梁や大スパン建築物等)に適した構造形式として広く採用されている。「長スパンの構造には適さない」とする5は逆であり誤り。プレストレストコンクリートの原理、プレテンション方式、ポストテンション方式、ひび割れ抑制効果に関する記述は正しい。
問15
壁式構造・シェル構造等の特殊構造に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 1壁式構造は、柱・梁を用いず耐力壁と床スラブによって荷重を支持する構造形式である
  • 2シェル構造は、薄い曲面板の形状によって荷重を面内力として伝達する構造形式である
  • 3壁式鉄筋コンクリート造は、一般に階数や軒高、各階の床面積に一定の制限が設けられる
  • ✔トラス構造は、部材同士をピン接合として三角形を基本単位に構成することで曲げモーメントを効率的に負担する構造形式である
  • 5膜構造は、引張力に強い膜material を用いて大スパンの屋根等を構成する構造形式である
解説:トラス構造は、各部材をピン接合とし三角形を基本単位として構成することで、外力を各部材の「軸方向力(引張・圧縮)」として伝達する構造形式であり、部材に曲げモーメントがほとんど生じない点が最大の特徴である。「曲げモーメントを効率的に負担する構造形式」とする4は誤りであり、正しくは軸力によって効率的に荷重を伝達する構造である。壁式構造、シェル構造、壁式RC造の規模制限、膜構造に関する記述は正しい。
問16
振動・制振材料に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 1粘性ダンパーは、内部の粘性体の流動抵抗を利用してエネルギーを吸収する装置である
  • 2摩擦ダンパーは、部材間の摩擦力を利用してエネルギーを吸収する装置である
  • 3鋼材ダンパーは、鋼材の塑性変形によってエネルギーを吸収する装置である
  • ✔制振部材の減衰性能は、変位や速度に依存せず常に一定である
  • 5オイルダンパーは、速度に応じた抵抗力(速度依存性)を持つ減衰装置として用いられることが多い
解説:制振部材(ダンパー)の減衰性能(発生する抵抗力)は、一般に部材の種類によって変位依存型(鋼材ダンパー・摩擦ダンパー等)や速度依存型(オイルダンパー・粘性ダンパー等)に分類され、いずれも変位や速度に応じて発生する力が変化する特性を持つ。「変位や速度に依存せず常に一定である」とする4は誤り。粘性ダンパー、摩擦ダンパー、鋼材ダンパー、オイルダンパーの特性に関する記述は正しい。
問17
構造設計における許容応力度に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 1長期許容応力度は、常時作用する荷重(固定荷重・積載荷重等)に対して用いられる
  • 2短期許容応力度は、地震力・風圧力等の一時的に作用する荷重に対して用いられる
  • ✔短期許容応力度は、一般に長期許容応力度よりも小さい値が用いられる
  • 4材料の基準強度は、許容応力度を定める際の基礎となる強度の値である
  • 5鋼材の許容応力度は、降伏点や引張強さ等を基に定められる
解説:短期許容応力度は、地震・暴風時など一時的に大きな荷重が作用する場合を想定した許容応力度であり、長期許容応力度よりも「大きい」値が設定される(材料の破壊に対する余裕を短期荷重に対しては小さくとる考え方に基づく)。「短期許容応力度は長期許容応力度よりも小さい」とする3は逆であり誤り。長期・短期許容応力度の用途、基準強度、鋼材の許容応力度に関する記述は正しい。
問18
耐風設計に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 1風圧力は、建築物の形状・高さ・周辺状況等により異なる風力係数を用いて算定される
  • 2ガスト影響係数は、風の乱れ(変動成分)による建築物の応答増大を考慮する係数である
  • 3高層建築物における渦励振は、一定の風速範囲で建物と直交する方向に生じる振動現象である
  • ✔建築物の耐風設計において、風方向の応答のみを検討すれば十分であり、風直交方向の応答は考慮する必要がない
  • 5局部風圧は、建築物の隅角部や屋根の端部等で増大しやすい
解説:高層建築物や特殊な形状の建築物では、風方向(追い風方向)の応答だけでなく、渦励振等による「風直交方向」の応答やねじれ応答も耐風設計上重要な検討事項となる。「風直交方向の応答は考慮する必要がない」とする4は誤り。風力係数、ガスト影響係数、渦励振、局部風圧に関する記述は正しい。
問19
既存建築物の耐震補強・補修工法に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 1耐震壁の増設は、既存建築物の水平耐力を向上させる代表的な補強工法の一つである
  • 2炭素繊維シート補強は、柱等の部材にシートを巻き付け、靭性や耐力を向上させる工法である
  • 3鉄骨ブレースの増設は、既存の架構に斜材を追加し、水平剛性・耐力を向上させる工法である
  • ✔基礎の補強は、上部構造の耐震性能向上とは無関係であり、実施する意義はない
  • 5制振ダンパーの後付けは、既存建築物の地震時の応答低減を図る補強手法の一つである
解説:上部構造の耐震補強により建物の耐力・剛性が向上すると、地震時に基礎に作用する応力も変化するため、基礎の支持力や耐力が上部構造の補強後の挙動に対応できるかどうかの検討・補強が必要となる場合があり、基礎の補強は上部構造の耐震性能向上と密接に関連する。「無関係であり実施する意義はない」とする4は誤り。耐震壁の増設、炭素繊維シート補強、鉄骨ブレースの増設、制振ダンパーの後付けに関する記述は正しい。
問20
構造設計一級建築士制度に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 1構造設計一級建築士は、一定規模以上の建築物の構造設計を行う場合に、その関与が義務付けられている
  • 2構造設計一級建築士は、一級建築士として5年以上の構造設計の実務経験等の要件を満たした上で、講習の課程を修了する必要がある
  • 3構造設計一級建築士以外の一級建築士が、対象となる建築物の構造設計を行った場合、構造設計一級建築士による法適合確認を受ける必要がある
  • ✔構造設計一級建築士は、意匠設計や設備設計についても、他の建築士に代わって責任を負う資格制度である
  • 5構造設計一級建築士制度は、構造計算書偽装問題等を背景として建築士法の改正により創設された制度である
解説:構造設計一級建築士制度は、一定規模以上の建築物の「構造設計」における適正性を確保するために創設された制度であり、意匠設計や設備設計についてまで責任を負う資格ではない。意匠設計や設備設計における同様の適合確認等については、別途「設備設計一級建築士」制度が存在する。「意匠設計や設備設計についても代わって責任を負う」とする4は誤り。構造設計一級建築士の関与義務、資格取得要件、法適合確認、制度創設の背景に関する記述は正しい。
問21
木質構造の接合部・金物に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 1ホールダウン金物は、柱の引抜き力に抵抗するために設けられる接合金物である
  • 2羽子板ボルトは、梁と柱等の接合部に用いられる金物の一種である
  • 3N値計算法は、地震時等における柱の引抜き力を評価し、必要な接合金物を選定する手法である
  • 4筋かいプレートは、筋かいと柱・梁の接合部を補強する金物である
  • ✔木造建築物の接合金物は、意匠上の理由からできる限り使用を避けることが構造安全性の観点から望ましい
解説:木造建築物における接合金物(ホールダウン金物、羽子板ボルト、筋かいプレート等)は、地震・台風時の柱の引抜きや接合部の破壊を防止し、構造耐力・靭性を確保するために不可欠な部材であり、「意匠上の理由から使用を避けることが構造安全性の観点から望ましい」とする5は構造安全性を損なう考え方であり誤り。ホールダウン金物、羽子板ボルト、N値計算法、筋かいプレートに関する記述は正しい。
問22
鉄筋コンクリート構造の配筋に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 1柱の主筋には、原則として一定の最小径・最小本数等の規定がある
  • ✔梁のせん断補強筋(あばら筋)は、梁の曲げ耐力の向上を主目的として配置される
  • 3スラブの配筋には、主筋と配力筋がある
  • 4柱梁接合部には、せん断破壊を防止するための帯筋等の配筋が必要である
  • 5主筋の重ね継手位置は、応力の大きい範囲を避けて設けることが望ましい
解説:梁のせん断補強筋(あばら筋・スターラップ)は、梁の「せん断耐力」の向上及びせん断破壊(脆性的な破壊)の防止を主目的として配置される部材であり、梁の「曲げ耐力」の向上を主目的とするものではない(曲げ耐力は主に主筋によって負担される)。「曲げ耐力の向上を主目的」とする2は誤り。柱の主筋規定、スラブの主筋・配力筋、柱梁接合部の帯筋、重ね継手位置に関する記述は正しい。
問23
鋼構造の耐火被覆に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 1鋼材は、一般に高温下では強度・剛性が著しく低下するため、耐火建築物の主要構造部として用いる場合は耐火被覆等の措置が必要となる
  • 2耐火被覆材料には、吹付けロックウール、耐火塗料、けい酸カルシウム板などがある
  • 3耐火被覆の厚さは、要求される耐火時間や鋼材の断面形状等に応じて設定される
  • ✔鋼材は不燃材料であるため、耐火被覆を施さなくても耐火構造として認められる
  • 5耐火被覆の劣化・欠損は、火災時の構造安全性に重大な影響を及ぼす可能性がある
解説:鋼材自体は不燃材料に該当するが、高温下では急速に強度・剛性が低下する特性があるため、耐火建築物の主要構造部として鉄骨造を用いる場合には、不燃性であることとは別に、一定時間の加熱に対して構造耐力を維持するための耐火被覆等の措置が必要とされる。「不燃材料であるため耐火被覆を施さなくても耐火構造として認められる」とする4は誤り。耐火被覆材料の種類、被覆厚さの設定、耐火被覆の劣化リスクに関する記述は正しい。
問24
杭基礎の施工・設計に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 1既製コンクリート杭には、打込み工法や埋込み工法(プレボーリング工法等)などの施工方法がある
  • 2場所打ちコンクリート杭は、施工中の地盤条件により孔壁崩壊等のリスクがあるため、工法選定には地盤性状の検討が必要である
  • 3群杭効果とは、複数の杭が近接して配置される場合に、単杭とは異なる支持力特性を示す現象をいう
  • 4杭の水平抵抗は、主に杭周辺地盤の水平方向の支持力(地盤反力)によって発揮される
  • ✔支持杭と摩擦杭は、構造的な設計方法が全く同一であり、区別する必要はない
解説:支持杭(杭先端の支持層への到達により主に先端支持力で荷重を支持する杭)と摩擦杭(杭周面と地盤との摩擦力により荷重を支持する杭)は、荷重伝達のメカニズムが異なるため、設計上の検討方法(先端支持力の評価、周面摩擦力の評価等)も異なり、「設計方法が全く同一であり区別する必要はない」とする5は誤り。既製杭の施工方法、場所打ち杭のリスク、群杭効果、杭の水平抵抗に関する記述は正しい。
問25
建築物の変形・たわみに関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 1梁のたわみは、断面二次モーメントが大きいほど小さくなる傾向がある
  • 2梁のたわみは、スパン(支点間距離)が大きくなるほど増大する傾向がある
  • 3長期荷重によるたわみが過大な場合、使用上の支障(建具の開閉不良等)が生じることがある
  • 4層間変形角は、地震時等の水平力に対する建築物各層の変形の程度を表す指標である
  • ✔梁のたわみは、材料のヤング係数が大きいほど増大する傾向がある
解説:梁のたわみは、材料のヤング係数(弾性係数)に反比例し、ヤング係数が「大きい」ほど剛性が高くたわみは「小さく」なる。「ヤング係数が大きいほどたわみが増大する」とする5は逆であり誤り。断面二次モーメントとたわみの関係、スパンとたわみの関係、長期荷重によるたわみの影響、層間変形角に関する記述は正しい。
問26
限界耐力計算・保有水平耐力計算に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 1保有水平耐力計算では、各階の必要保有水平耐力と保有水平耐力を比較して安全性を確認する
  • 2必要保有水平耐力は、標準せん断力係数や構造特性係数(Ds)等を用いて算定される
  • ✔構造特性係数(Ds)は、建築物の靭性が高いほど大きい値が用いられる
  • 4形状係数(Fes)は、建築物の剛性や重量の偏り(偏心・剛性率)を考慮する係数である
  • 5限界耐力計算では、地震動を「稀に発生する地震動」「極めて稀に発生する地震動」の2段階で評価する
解説:構造特性係数(Ds)は、建築物の靭性(塑性変形能力)が高いほど地震エネルギーの吸収能力が高いとみなされ、必要保有水平耐力を「低減」できることから、靭性が高いほど「小さい」値が用いられる。「靭性が高いほど大きい値」とする3は逆であり誤り。保有水平耐力計算の枠組み、必要保有水平耐力の算定、形状係数(Fes)、限界耐力計算の地震動評価に関する記述は正しい。
問27
プレハブ構造・ユニット構造に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 1ユニット式構造は、工場で製作した箱状のユニットを現場で積み重ねて構築する構造形式である
  • 2鉄骨系プレハブ構造は、規格化された部材を用いることで現場作業の効率化・工期短縮を図りやすい
  • 3パネル式構造は、あらかじめ工場で製作した壁・床等のパネルを現場で組み立てる構造形式である
  • ✔プレハブ構造は、現場打ちの在来工法に比べて、一般に現場での品質のばらつきが生じやすい
  • 5ユニット式構造では、ユニット間の接合部の構造性能の確保が設計上重要となる
解説:プレハブ構造(工場生産部材の活用)は、工場での管理された環境下で部材を製作するため、現場打ちの在来工法に比べて一般に品質のばらつきが「生じにくく」、品質の安定化を図りやすいという特長がある。「現場作業に比べて品質のばらつきが生じやすい」とする4は逆であり誤り。ユニット式構造、鉄骨系プレハブ構造、パネル式構造、ユニット間接合部の重要性に関する記述は正しい。
問28
構造用鋼材の種類・規格に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 1SN材(建築構造用圧延鋼材)は、建築物の構造耐力上主要な部分に用いることを想定して規格化された鋼材である
  • ✔SS材(一般構造用圧延鋼材)は、SN材に比べて溶接性や塑性変形性能に関する規定が詳細に定められている
  • 3鋼材の強度は、一般に炭素含有量が増加するとともに増加する傾向があるが、靭性は低下する傾向がある
  • 4TMCP鋼(熱加工制御鋼)は、高強度と高靭性・優れた溶接性を両立させることを目的とした鋼材である
  • 5冷間成形角形鋼管(BCR材・BCP材等)は、柱材として広く用いられる鋼材である
解説:SN材(建築構造用圧延鋼材)は、SS材(一般構造用圧延鋼材)と異なり、建築構造物への適用を前提として、溶接性、シャルピー衝撃値(靭性)、降伏比等について詳細な規格が定められた鋼材であり、SN材の方がSS材よりも建築構造用途における性能規定が詳細である。「SS材の方がSN材に比べて詳細に定められている」とする2は逆であり誤り。SN材の位置づけ、炭素含有量と強度・靭性の関係、TMCP鋼、冷間成形角形鋼管に関する記述は正しい。
問29
建築物の応答解析・耐震設計法に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 1静的荷重増分解析(プッシュオーバー解析)は、建築物に漸増する水平荷重を与え、その挙動を評価する解析手法である
  • 2時刻歴応答解析は、地震動の時間的な変化を入力し、構造物の応答を時々刻々算定する解析手法である
  • 3保有水平耐力計算は、静的な解析手法の一種として位置づけられる
  • 4動的解析は、静的解析に比べて建築物の非線形挙動や振動特性をより詳細に評価できる場合がある
  • ✔時刻歴応答解析は、超高層建築物等、特別な調査・研究を要しない標準的な建築物すべてに義務付けられている
解説:時刻歴応答解析は、高さ60mを超える建築物等、大臣認定を要する高度な構造計算が必要となる建築物において主に用いられる解析手法であり、標準的な規模・形状の建築物すべてに一律に義務付けられているものではない(多くの建築物は許容応力度計算や保有水平耐力計算等で構造安全性を確認する)。「標準的な建築物すべてに義務付けられている」とする5は誤り。プッシュオーバー解析、時刻歴応答解析の定義、保有水平耐力計算の位置づけ、動的解析の特長に関する記述は正しい。
問30
コンクリートの耐久性・劣化に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 1アルカリ骨材反応は、特定の骨材とセメント中のアルカリ成分が反応し、コンクリートにひび割れを生じさせる現象である
  • 2塩害は、コンクリート中に浸透した塩化物イオンにより鉄筋の腐食が促進される劣化現象である
  • 3凍害は、コンクリート中の水分が凍結・融解を繰り返すことにより、コンクリートの表面剥離等を生じる劣化現象である
  • ✔中性化速度は、一般にコンクリートの水セメント比が小さいほど速くなる傾向がある
  • 5かぶり厚さの不足は、中性化や塩害等による鉄筋腐食のリスクを高める要因となる
解説:コンクリートの中性化速度は、一般に水セメント比が「大きい」ほど(コンクリートの密実性が低いほど)速く進行し、水セメント比が「小さい」ほど(密実なコンクリートほど)中性化の進行は遅くなる。「水セメント比が小さいほど中性化速度が速くなる」とする4は逆であり誤り。アルカリ骨材反応、塩害、凍害、かぶり厚さ不足のリスクに関する記述は正しい。
問31
制振・免震建築物の維持管理に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 1免震装置(積層ゴム等)は、経年劣化や地震後の損傷等を確認するため、定期的な点検が必要とされる
  • 2免震建築物では、擁壁やクリアランス(可動範囲)に物品等を置かないよう維持管理上の配慮が必要である
  • ✔制振ダンパーは、設置後は経年による性能変化が生じないため、点検の必要は一切ない
  • 4免震部材の交換・更新は、建築物の維持管理計画の中で考慮されるべき事項である
  • 5大地震後には、免震装置や制振部材について、損傷の有無等の詳細な点検が行われることが望ましい
解説:制振ダンパー(オイルダンパー、鋼材ダンパー等)は、経年劣化やシール材の劣化、繰り返し変形による性能変化等が生じ得るため、定期的な点検・保守が必要とされており、「経年による性能変化が生じないため点検の必要は一切ない」とする3は誤り。免震装置の点検、クリアランスの維持管理、免震部材の交換・更新、大地震後の点検に関する記述は正しい。
問32
建築物の劣化診断・非破壊検査に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 1反発硬度法(シュミットハンマー等)は、コンクリート表面の反発度からコンクリート強度を推定する非破壊検査法である
  • 2中性化深さの測定には、フェノールフタレイン溶液を用いた呈色反応による方法がある
  • 3赤外線サーモグラフィ法は、外壁タイルの浮き等を検出するために用いられることがある
  • 4コア抜き試験は、実際にコンクリートを採取して圧縮強度等を確認する試験であり、破壊検査に分類される
  • ✔鉄筋探査(電磁波レーダー法等)は、コンクリート中の鉄筋位置やかぶり厚さの推定に用いることはできない
解説:電磁波レーダー法や電磁誘導法等の鉄筋探査技術は、コンクリート構造物を破壊することなく、内部の鉄筋の位置やかぶり厚さ、配筋状況等を推定するために広く用いられている非破壊検査手法であり、「推定に用いることはできない」とする5は誤り。反発硬度法、中性化深さの測定、赤外線サーモグラフィ法、コア抜き試験に関する記述は正しい。
問33
建築物の耐震設計における地盤・地震動特性に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 1表層地盤の増幅特性は、地盤の硬軟や層厚等により異なり、地震動の性状に影響を与える
  • 2軟弱地盤では、一般に地震動の卓越周期が長周期側に偏る傾向がある
  • 3硬質地盤では、一般に地震動の卓越周期が短周期側に偏る傾向がある
  • ✔長周期地震動は、主に低層建築物への影響が大きく、超高層建築物への影響は小さい
  • 5地盤種別(第1種・第2種・第3種地盤等)は、地震力の算定における設計用地震動の設定に関係する
解説:長周期地震動は、固有周期の長い超高層建築物や免震建築物において共振等により応答が増幅されやすく、影響が大きいとされる一方、固有周期の短い低層建築物への影響は相対的に小さいとされる。「主に低層建築物への影響が大きく、超高層建築物への影響は小さい」とする4は逆であり誤り。表層地盤の増幅特性、軟弱地盤・硬質地盤の卓越周期、地盤種別の関係に関する記述は正しい。
問34
建築物の荷重組合せ・許容応力度設計法に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 1許容応力度設計法では、部材に生じる応力度が材料の許容応力度以下となるよう設計する
  • 2長期荷重の組合せには、一般に固定荷重と積載荷重が含まれる
  • 3短期荷重の組合せには、長期荷重に加え、地震力又は積雪荷重・風圧力等が組み合わされる
  • 4多雪区域における積雪時の荷重組合せでは、固定荷重・積載荷重に積雪荷重を加えた長期荷重として扱われる場合がある
  • ✔荷重の組合せにおいて、地震力と風圧力は、常に同時に作用するものとして組み合わせて設計しなければならない
解説:荷重の組合せにおいて、地震力と風圧力は、それぞれ独立した稀な自然現象であり、通常は同時に最大値で作用するとは想定せず、地震時の荷重組合せと暴風時の荷重組合せをそれぞれ別々に検討するのが一般的な設計の考え方である。「地震力と風圧力は常に同時に作用するものとして組み合わせなければならない」とする5は誤り。許容応力度設計法の考え方、長期・短期荷重の組合せ、多雪区域の積雪荷重の扱いに関する記述は正しい。
問35
建築物の振動障害・使用性に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 1床の振動障害は、歩行等による加振に対して床の固有振動数が近い場合に生じやすい
  • 2長スパンの床は、一般に固有振動数が低くなり、振動障害が生じやすい傾向がある
  • 3居住性に関する振動の評価には、加速度や振動数等を指標とする評価方法が用いられることがある
  • 4制振装置(TMD:同調質量ダンパー等)は、特定の振動モードに対する応答低減に用いられることがある
  • ✔床の振動障害の対策は、床の剛性や質量を調整することとは無関係である
解説:床の振動障害対策は、床スラブの剛性を高める(梁せいの増大等)、質量を調整する、制振装置(TMD等)を設置する等、床の動的特性(固有振動数・減衰性能)を変化させる手法が中心となり、「剛性や質量の調整とは無関係」とする5は誤り。床の振動障害の発生条件、長スパン床の特性、居住性の評価方法、TMDの活用に関する記述は正しい。
問36
建築物の設計における安全率・信頼性設計に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 1安全率は、材料の強度や構造物の耐力に対して、不確実性を考慮して設ける余裕度をいう
  • 2限界状態設計法は、部材や構造物が特定の限界状態(終局限界状態・使用限界状態等)に至らないことを確認する設計法である
  • 3終局限界状態は、構造物が崩壊等に至る限界の状態をいう
  • 4使用限界状態は、たわみやひび割れ等、使用上の支障が生じる限界の状態をいう
  • ✔安全率を大きく設定するほど、一般に構造物の経済性(コスト効率)は向上する
解説:安全率を大きく設定するほど、部材断面の余裕を大きく確保することになり、一般に構造物の材料使用量が増加しコストが増大するため、経済性は「低下」する傾向にある。「安全率を大きくするほど経済性が向上する」とする5は逆であり誤り(安全性と経済性は一般にトレードオフの関係にある)。安全率の定義、限界状態設計法、終局限界状態、使用限界状態に関する記述は正しい。
問37
接着接合・ボルト接合の設計に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 1高力ボルトの導入軸力は、ボルトの呼び径や強度区分等に応じて標準的な値が定められている
  • 2高力ボルト摩擦接合の許容耐力は、すべり係数、ボルトの本数、導入軸力等により算定される
  • 3支圧接合は、ボルト軸部のせん断及び板の支圧により応力を伝達する接合方式である
  • ✔ボルト孔の径は、ボルト径に比べて過大に設けるほど、接合部の剛性・施工性が向上する
  • 5高力ボルトの遅れ破壊は、水素脆化等が関与する現象として知られている
解説:ボルト孔の径をボルト径に比べて過大に設けると、ボルト軸部と孔壁との間の隙間(あそび)が大きくなり、接合部の剛性が低下し、また応力集中や施工精度への悪影響が生じる可能性があるため、「孔径を過大にするほど剛性・施工性が向上する」とする4は誤り。孔径は所要の施工性を確保しつつ、必要最小限の範囲で定められることが望ましい。高力ボルトの導入軸力、摩擦接合の許容耐力、支圧接合、遅れ破壊に関する記述は正しい。
問38
建築物における疲労・繰返し荷重に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 1疲労破壊は、繰返し荷重の作用により、材料の静的強度以下の応力でも破壊に至る現象をいう
  • 2S-N曲線は、応力振幅と破壊に至るまでの繰返し回数の関係を示した曲線である
  • 3溶接部の止端部等、応力集中が生じやすい箇所は、疲労亀裂の起点となりやすい
  • 4クレーンガーダー等、繰返し荷重を受ける部材の設計では、疲労に関する検討が必要となる場合がある
  • ✔疲労強度は、静的な引張強度と常に同じ値であり、区別して評価する必要はない
解説:疲労強度(繰返し荷重に対する耐久限度)は、静的な引張強度とは異なる概念であり、一般に静的強度よりも低い値となる(疲労限度以下の応力振幅であれば理論上無限回の繰返しに耐えるとされる鋼材の疲労特性等が知られる)。「疲労強度は静的な引張強度と常に同じ値」とする5は誤り。疲労破壊、S-N曲線、応力集中箇所、クレーンガーダー等の疲労検討に関する記述は正しい。
問39
建築物の耐震設計における多雪地域・特殊地域の考慮事項に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 1多雪区域における建築物の設計では、積雪荷重を考慮した荷重の組合せを検討する必要がある
  • 2寒冷地における基礎の設計では、凍結深度を考慮した基礎の根入れ深さの検討が必要となる場合がある
  • 3積雪の多い地域における屋根の勾配計画では、積雪荷重や落雪等への配慮が必要となる
  • 4多雪区域の指定は、地方公共団体が地域の実情に応じて行う
  • ✔積雪荷重は、屋根の形状にかかわらず、一律の数値を用いて算定しなければならない
解説:積雪荷重は、屋根の勾配(雪止め等の有無を含む)や形状(片流れ・陸屋根等)に応じて低減係数等が適用されるなど、屋根形状に応じた算定が行われるものであり、「屋根の形状にかかわらず一律の数値」とする5は誤り。多雪区域における荷重組合せ、凍結深度、屋根勾配計画、多雪区域の指定に関する記述は正しい。
問40
建築物の地震被害・過去の地震から得られた教訓に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 1昭和56年(1981年)の建築基準法改正により、いわゆる新耐震設計基準が導入された
  • 2阪神・淡路大震災(1995年)では、旧耐震基準の建築物に多くの被害が確認された
  • 3ピロティ形式の建築物は、1階部分の耐力・剛性が上階に比べて低い場合、地震時に層崩壊を生じやすいことが指摘されている
  • 4東日本大震災(2011年)では、長周期地震動による超高層建築物等への影響が確認された
  • ✔過去の地震被害の分析結果は、その後の耐震基準の見直しには一切反映されていない
解説:建築基準法における耐震基準(新耐震設計基準の導入、木造建築物の接合部規定の強化等)は、過去の地震被害(宮城県沖地震、阪神・淡路大震災、熊本地震等)の分析結果を踏まえて見直しが行われてきた経緯があり、「過去の地震被害の分析結果は耐震基準の見直しに一切反映されていない」とする5は事実に反し誤り。新耐震設計基準の導入、阪神・淡路大震災の被害、ピロティ形式の脆弱性、東日本大震災の長周期地震動に関する記述は正しい。
問41
複合構造・混合構造に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 1SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)は、鉄骨の周囲に鉄筋を配し、コンクリートを打設する構造形式である
  • 2SRC造は、RC造に比べて一般に靭性に優れる傾向がある
  • 3CFT造(コンクリート充填鋼管構造)は、鋼管内部にコンクリートを充填した構造形式である
  • 4CFT造は、鋼管とコンクリートの相互拘束効果により、それぞれ単独の場合に比べて優れた耐力・靭性を発揮することが期待される
  • ✔混合構造(下部RC造・上部S造等)は、建物のどの階においても構造種別を変えることは構造的に不可能である
解説:混合構造(下部を鉄筋コンクリート造、上部を鉄骨造とする等)は、実際に多くの超高層建築物等で採用されている構造形式であり、構造計画上、適切な設計・検討(応力伝達、剛性の連続性の確保等)を行うことにより異なる構造種別を組み合わせることが可能である。「構造種別を変えることは構造的に不可能」とする5は誤り。SRC造の概要、SRC造の靭性、CFT造、CFT造の相互拘束効果に関する記述は正しい。
問42
建築物の耐震設計における非構造部材の扱いに関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 1天井材の脱落防止対策として、天井の耐震クリップやブレースの設置等の措置が講じられることがある
  • 2外装材(外壁パネル・カーテンウォール等)は、地震時の層間変位に追従できる取付け方法とすることが求められる
  • 3設備機器(空調室外機等)の転倒・移動防止のため、アンカーボルト等による固定が行われることがある
  • ✔非構造部材は、建築物の構造耐力上主要な部分ではないため、耐震設計上一切検討する必要はない
  • 5大規模空間における天井(特定天井)は、脱落防止に関する技術基準の対象となる場合がある
解説:非構造部材(天井、外装材、設備機器等)は、構造耐力上主要な部分には該当しないものの、地震時に脱落・転倒すると人命に関わる被害をもたらす可能性があるため、建築基準法令や関連基準において耐震設計上の検討(特定天井の脱落防止基準等)が求められており、「耐震設計上一切検討する必要はない」とする4は誤り。天井の耐震クリップ、外装材の層間変位追従性、設備機器の転倒防止、特定天井の技術基準に関する記述は正しい。
問43
建築物の基礎の不同沈下対策に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 1不同沈下とは、建築物の各部分において、不均等な沈下が生じる現象をいう
  • 2不同沈下の原因には、地盤の不均質性や盛土・切土の混在等が挙げられる
  • 3べた基礎は、建物の底面全体で荷重を支持する基礎形式であり、不同沈下対策の一つとして採用されることがある
  • 4地盤改良(表層改良・柱状改良等)は、不同沈下対策として用いられることがある
  • ✔不同沈下は、建築物の構造形式(べた基礎・杭基礎等)の選定とは無関係な現象である
解説:不同沈下の発生リスクは、基礎形式の選定(べた基礎による荷重分散、杭基礎による支持層への到達等)によって大きく左右されるものであり、基礎形式の適切な選定は不同沈下対策の中核をなす検討事項であるため、「建築物の構造形式の選定とは無関係」とする5は誤り。不同沈下の定義、原因、べた基礎の役割、地盤改良に関する記述は正しい。
問44
木造建築物の耐久性・維持管理に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 1木材の腐朽は、主に一定の温度・湿度条件下で腐朽菌が繁殖することにより生じる
  • 2シロアリ被害は、木材の耐久性を著しく低下させる要因の一つである
  • 3床下換気口や基礎パッキン等は、床下の湿気を排出し、木材の腐朽・蟻害を防止するために設けられる
  • 4外壁の通気層(通気構法)は、壁体内の結露防止や耐久性向上に寄与するとされる
  • ✔木造建築物は、一度建築されれば、その後の点検や維持管理を行わなくても耐久性は損なわれない
解説:木造建築物は、雨漏り、結露、シロアリ被害、腐朽等により経年的に耐久性が低下する可能性があるため、定期的な点検・維持管理(外壁・屋根の点検、床下点検、防蟻処理の更新等)が耐久性の維持のために重要とされており、「点検や維持管理を行わなくても耐久性は損なわれない」とする5は誤り。木材の腐朽、シロアリ被害、床下換気口・基礎パッキン、外壁通気構法に関する記述は正しい。
問45
建築物の設計における不静定構造・静定構造に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 1静定構造物は、力のつり合い条件のみによって、反力及び部材の応力を求めることができる構造物をいう
  • 2不静定構造物は、力のつり合い条件に加え、変形の適合条件等を用いなければ応力を求めることができない構造物をいう
  • 3ラーメン構造は、一般に部材の接合部を剛接合とすることにより、不静定次数の高い構造となることが多い
  • 4静定構造物は、一般に不静定構造物に比べて、部材の破壊が構造物全体の崩壊に直結しやすい傾向がある
  • ✔不静定構造物は、静定構造物に比べて応力の再配分能力が低く、部材の一部が破壊すると直ちに全体が崩壊する
解説:不静定構造物は、部材数・支点反力数が力のつり合い条件の数を上回る構造であり、一部の部材が破壊・降伏しても応力を他の部材に再配分する能力(冗長性)を有することが多く、静定構造物に比べて一般に「応力の再配分能力が高い」とされる。「不静定構造物は応力の再配分能力が低く、一部破壊で直ちに全体崩壊する」とする5は逆であり誤り(この特性はむしろ静定構造物に近い)。静定構造物・不静定構造物の定義、ラーメン構造の不静定性に関する記述は正しい。
問46
プレキャストコンクリート構造に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 1プレキャストコンクリート部材は、工場等であらかじめ製作された鉄筋コンクリート部材である
  • 2プレキャスト部材同士の接合部(ジョイント)の設計は、構造性能を確保する上で重要な検討事項となる
  • 3プレキャストコンクリート構造は、現場打ちコンクリート造に比べて、一般に工期短縮や品質の安定化が期待できる
  • 4プレキャスト部材の運搬・揚重には、部材の重量・形状等に応じた計画が必要となる
  • ✔プレキャストコンクリート構造の接合部は、構造耐力に関与しないため、詳細な検討を行う必要はない
解説:プレキャストコンクリート構造における接合部(ジョイント)は、部材間の応力伝達を担う極めて重要な構造要素であり、接合部の設計・施工の適否が建物全体の構造性能・耐震性能に大きく影響するため、詳細な構造検討が不可欠である。「接合部は構造耐力に関与しないため詳細な検討を行う必要はない」とする5は誤り。プレキャスト部材の定義、接合部設計の重要性、工期短縮・品質安定化、運搬・揚重計画に関する記述は正しい。
問47
建築物の耐震設計における制震ダンパーの配置計画に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 1制振ダンパーの配置は、建物の平面的な剛性バランスを考慮して検討されることが望ましい
  • 2制振ダンパーを特定の階に集中的に配置すると、その階と隣接階との剛性・耐力の差が過大となる場合がある
  • 3制振ダンパーの効果は、建物の振動モード(1次モード等)や設置位置により異なる
  • 4制振ダンパーの配置計画では、地震応答解析等によりその効果を事前に検証することが望ましい
  • ✔制振ダンパーは、どの階にどのように配置しても、必ず均等かつ最大の効果を発揮する
解説:制振ダンパーの効果は、建物の振動特性(固有周期・振動モード)、ダンパーの設置位置・階、変形の集中する箇所への配置の適否等により大きく異なるものであり、「どの階にどのように配置しても必ず均等かつ最大の効果を発揮する」とする5は誤り。効果的な配置計画には応答解析等による事前検証が必要とされる。剛性バランスの考慮、集中配置のリスク、振動モードとの関係、応答解析による検証に関する記述は正しい。
問48
建築物における温度応力・乾燥収縮に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 1コンクリートの乾燥収縮は、コンクリート中の水分の逸散に伴い生じる体積収縮現象である
  • 2エキスパンションジョイントは、温度変化や不同沈下等による構造物の変形を分離するために設けられる
  • 3鉄筋コンクリート造の大規模な建築物では、温度応力によるひび割れを抑制するため、一定間隔で伸縮目地等が設けられることがある
  • 4乾燥収縮ひび割れの抑制には、適切な調合(水セメント比の抑制等)や養生等が有効とされる
  • ✔温度応力や乾燥収縮の影響は、建築物の規模にかかわらず、設計上考慮する必要はない
解説:温度応力(季節や日射による躯体の伸縮)や乾燥収縮によるひび割れは、特に長大な建築物や特殊な形状の建築物において顕著となる現象であり、エキスパンションジョイントの設置や伸縮目地の配置等、規模・形状に応じた設計上の配慮が必要とされるため、「建築物の規模にかかわらず設計上考慮する必要はない」とする5は誤り。コンクリートの乾燥収縮、エキスパンションジョイントの目的、伸縮目地、乾燥収縮ひび割れの抑制策に関する記述は正しい。
問49
建築物の耐震補強における「弾性すべり支承」等の免震部材に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 1弾性すべり支承は、鉛直荷重を支持しつつ、すべり面での摩擦により減衰性能を発揮する免震部材である
  • 2鉛プラグ入り積層ゴムは、積層ゴムの中心部に鉛プラグを挿入し、減衰性能を付加した免震部材である
  • 3高減衰積層ゴムは、ゴム自体の材料特性により、大きな減衰性能を発揮する免震部材である
  • 4免震部材は、鉛直荷重の支持機能と水平変形機能の両方を兼ね備えることが一般的に求められる
  • ✔すべり支承は、いかなる場合も摩擦係数が一定であり、面圧や速度による変化は生じない
解説:すべり支承の摩擦係数は、実際には面圧(接触圧力)や滑り速度等の条件によって変化する場合があることが知られており、免震設計においてはこうした摩擦特性の速度依存性・面圧依存性を考慮した検討が行われることがあるため、「いかなる場合も摩擦係数が一定であり、面圧や速度による変化は生じない」とする5は誤り。弾性すべり支承、鉛プラグ入り積層ゴム、高減衰積層ゴム、免震部材の機能に関する記述は正しい。
問50
建築物における応力解析・有限要素法(FEM)に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 1有限要素法(FEM)は、構造物を微小な要素に分割し、各要素の応力・変形を数値的に解析する手法である
  • 2FEM解析では、要素分割(メッシュ)の粗密が解析結果の精度に影響を与えることがある
  • 3FEM解析は、複雑な形状や応力集中箇所の詳細な検討に用いられることがある
  • 4FEM解析の結果は、実験結果や他の解析手法との比較検証が行われることが望ましいとされる
  • ✔FEM解析の結果は、常に絶対的に正確であり、検証を行う必要はない
解説:FEM解析の精度は、要素分割の方法、境界条件の設定、材料モデルの仮定等、様々な解析条件に依存するため、解析結果の妥当性については実験結果や別の解析手法との比較検証等を通じて確認することが技術者倫理上・実務上望ましいとされ、「常に絶対的に正確であり検証を行う必要はない」とする5は誤り。FEMの定義、要素分割の影響、詳細検討への活用、実験との比較検証に関する記述は正しい。
問51
建築物の構造計画における耐震壁配置バランスに関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 1剛心と重心の位置がずれている場合、地震時にねじれ振動が生じやすくなる
  • 2耐震壁の配置バランスを検討する指標として、偏心率が用いられることがある
  • 3偏心率が大きい建築物は、地震時の応答に偏りが生じやすく、局所的な被害の集中が懸念される
  • 4耐震壁を建築物の四隅にバランスよく配置することは、ねじれ抑制の観点から有効とされることがある
  • ✔偏心率は、値が大きいほど、建築物の耐震性能上望ましいとされる
解説:偏心率は、建築物の剛心と重心のずれの程度を示す指標であり、値が「大きい」ほど地震時のねじれ振動が生じやすく、局所的な被害集中のリスクが高まるため、耐震設計上は偏心率を「小さく」抑えることが望ましいとされる。「偏心率は値が大きいほど耐震性能上望ましい」とする5は逆であり誤り。剛心と重心のずれ、偏心率の定義、偏心率が大きい場合のリスク、耐震壁のバランス配置に関する記述は正しい。
問52
建築物の構造計画における耐震設計クライテリア(設計目標)に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 1一次設計(許容応力度計算等)は、中規模の地震動(稀に発生する地震動)に対して、建築物が損傷しない(弾性範囲内に収まる)ことを確認する設計段階である
  • 2二次設計(保有水平耐力計算等)は、大規模の地震動(極めて稀に発生する地震動)に対して、建築物が倒壊・崩壊しないことを確認する設計段階である
  • 3一次設計・二次設計の考え方は、いわゆる「二段階設計法」として、現行の耐震基準の基本的な枠組みとなっている
  • ✔免震建築物・制振建築物の設計目標は、一般の耐震建築物と全く同一であり、区別する必要はない
  • 5耐震設計クライテリアは、建築物の重要度(防災拠点施設等)に応じて、割増し等の考慮がなされる場合がある
解説:免震建築物・制振建築物は、地震時の応答(層間変形角、加速度応答等)を一般の耐震建築物に比べて大幅に低減し、建築物の損傷防止や機能維持(BCP:事業継続計画への対応等)を積極的な設計目標とすることが多く、その設計目標・性能水準は一般の耐震建築物とは異なる観点から設定される場合が多いため、「一般の耐震建築物と全く同一であり区別する必要はない」とする4は誤り。一次設計・二次設計の考え方、二段階設計法、耐震設計クライテリアの重要度係数に関する記述は正しい。
問53
建築物の耐震診断における第2次診断法・第3次診断法に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 1第2次診断法は、柱・壁の耐力を中心に評価する診断法であり、鉄筋コンクリート造の診断に広く用いられる
  • 2第3次診断法は、柱・壁に加え、梁の影響も考慮したより精算的な診断法である
  • 3耐震診断における保有性能基本指標(E0)は、強度指標と靭性指標等を考慮して算定される
  • 4耐震診断の判定においては、形状指標(SD値)や経年指標(T値)等の低減係数が考慮されることがある
  • ✔第2次診断法・第3次診断法は、診断の精度や考慮する部材の範囲にかかわらず、常に同一の結果が得られる
解説:第2次診断法(柱・壁を中心とした評価)と第3次診断法(梁の影響も含めた、より精算的な評価)は、考慮する部材の範囲や評価の精度が異なるため、同一の建築物であっても診断結果(Is値等)が異なる場合があり、「常に同一の結果が得られる」とする5は誤り。第2次診断法、第3次診断法、保有性能基本指標、形状指標・経年指標に関する記述は正しい。
問54
建築物の構造設計における設計クライテリアとBCP(事業継続計画)の関係に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 1BCP(事業継続計画)に対応した建築物では、大地震後も事業を継続できるよう、構造性能に一定の余裕を持たせる設計が行われることがある
  • 2免震構造は、地震後の建物機能の維持・早期の事業再開に寄与し得る構造形式の一つとして評価されることがある
  • 3防災拠点となる庁舎等では、一般建築物よりも高い耐震性能(重要度係数の割増し等)が求められる場合がある
  • 4BCP対応の観点からは、構造体の耐震性能に加え、設備(電源・給排水等)の維持機能も重要な検討事項となる
  • ✔BCP対応建築物の設計クライテリアは、一般建築物の法定最低基準と全く同一であり、上乗せの検討は行われない
解説:BCP対応を重視する建築物(データセンター、企業の基幹拠点、防災拠点施設等)では、建築基準法の法定最低基準を上回る独自の耐震性能目標(層間変形角の制限強化、重要度係数の割増し等)を設定することが一般的であり、「一般建築物の法定最低基準と全く同一であり上乗せの検討は行われない」とする5は誤り。BCP対応建築物の構造性能、免震構造の事業継続への寄与、防災拠点庁舎の重要度係数、設備の維持機能に関する記述は正しい。
問55
建築物の構造設計における部分係数法・信頼性設計に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 1部分係数法は、荷重及び材料強度等のばらつきを考慮し、それぞれに異なる安全係数(部分係数)を設定する設計手法である
  • 2限界状態設計法は、部分係数法の考え方を取り入れた設計法として位置づけられることがある
  • 3信頼性設計の考え方では、構造物の破壊確率を一定水準以下に抑えることが目標とされる
  • 4荷重係数・材料係数の設定は、荷重や材料強度のばらつきの程度に応じて検討される
  • ✔部分係数法における各種係数は、常に一律の値が用いられ、荷重の種類や材料によって変わることはない
解説:部分係数法における荷重係数・材料係数(抵抗係数)は、荷重の種類(固定荷重・積載荷重・地震荷重等)ごとのばらつきの程度や、材料強度のばらつきの程度に応じて、それぞれ異なる値が設定されるのが本来の考え方であり、「常に一律の値が用いられ、荷重の種類や材料によって変わることはない」とする5は誤り。部分係数法の考え方、限界状態設計法との関係、信頼性設計、係数設定の考慮事項に関する記述は正しい。
問56
建築物の構造設計における接合部の破壊モードに関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 1「強柱弱梁」の考え方は、地震時に柱よりも梁が先行して降伏するよう設計し、崩壊形式の制御を図る設計思想である
  • 2部材の脆性破壊(せん断破壊等)は、じん性に富む曲げ降伏に比べて、エネルギー吸収能力が乏しいとされる
  • 3柱梁接合部のせん断破壊は、建築物全体の耐震性能に重大な影響を及ぼす可能性がある
  • 4保有水平耐力計算においては、各部材の破壊モード(曲げ破壊・せん断破壊等)を考慮した検討が行われる
  • ✔「強柱弱梁」の設計思想は、地震時に柱が先行して降伏し、上下階の崩壊を防ぐことを狙いとしている
解説:「強柱弱梁」の設計思想は、柱を梁よりも十分に強く設計することで、地震時に「梁」が先行して曲げ降伏し、粘り強い破壊形式(全体崩壊形)を実現することを狙いとするものであり、「柱が先行して降伏し」とする5はこの設計思想の内容と逆であり誤り(柱が先行して降伏すると、特定階への被害集中(層崩壊)を招きやすく望ましくないとされる)。強柱弱梁の考え方(1における正しい記述との整合性)、脆性破壊とじん性、柱梁接合部のせん断破壊、保有水平耐力計算における破壊モードの検討に関する記述は正しい。
問57
建築物の構造設計における振動制御・TMD(同調質量ダンパー)に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 1TMD(同調質量ダンパー)は、建物の特定の振動モードに対して同調させた質量体を設置し、振動エネルギーを吸収する装置である
  • 2TMDは、超高層建築物の風揺れ対策等として設置されることがある
  • 3TMDの効果は、建物の固有周期とTMDの同調周期との関係により変化する
  • 4TMDは、風揺れだけでなく、地震動に対する応答低減にも活用されることがある
  • ✔TMDは、いかなる建物においても、設置するだけで振動を完全にゼロにできる装置である
解説:TMDは、建物の特定の振動モードに対する応答を「低減」する効果を有する装置であるが、振動を完全にゼロにするものではなく、また同調周期の設定や建物の応答特性によってその効果の程度は異なるため、「設置するだけで振動を完全にゼロにできる」とする5は誤り。TMDの原理、風揺れ対策としての活用、固有周期との関係、地震応答低減への活用に関する記述は正しい。
問58
建築物の耐震改修における外付け補強フレームに関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 1外付け耐震補強は、既存建築物の外部に鉄骨ブレース等の補強フレームを設置する工法である
  • 2外付け補強は、建物内部を使用しながら施工できる場合があり、居ながら改修に適することがある
  • 3外付け補強フレームは、既存の基礎への荷重伝達を考慮した基礎の補強を伴う場合がある
  • 4外付け補強は、建築物の意匠に一定の影響を及ぼす場合があるため、意匠的な配慮が検討されることがある
  • ✔外付け補強フレームの設置は、建物の耐震性能の向上には一切寄与しない
解説:外付け耐震補強フレーム(鉄骨ブレース等)は、既存建築物の水平剛性・耐力を向上させることを目的として設置される代表的な耐震補強工法の一つであり、「建物の耐震性能の向上には一切寄与しない」とする5は誤り。外付け耐震補強の工法概要、居ながら改修への適性、基礎補強の必要性、意匠的配慮に関する記述は正しい。
問59
建築物の構造設計における部材の座屈拘束ブレースに関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 1座屈拘束ブレースは、芯材(鋼材)の座屈を拘束材(鋼管やモルタル等)により防止する制振部材である
  • 2座屈拘束ブレースは、引張・圧縮のいずれの方向にも安定した履歴性能(エネルギー吸収性能)を発揮することが期待される
  • 3座屈拘束ブレースは、一般の筋かい(ブレース)に比べて、圧縮側での耐力低下が生じにくいとされる
  • 4座屈拘束ブレースは、制振部材として建築物の架構内に組み込まれることがある
  • ✔座屈拘束ブレースは、圧縮力を受けると、一般の筋かいと全く同様に座屈による急激な耐力低下が生じる
解説:座屈拘束ブレースは、芯材の周囲を拘束材で覆うことにより、圧縮力を受けた際の座屈を防止し、引張・圧縮の両方向で安定したエネルギー吸収性能を発揮することを特徴とする部材であり、これが一般的な筋かい(座屈により圧縮側で耐力が急激に低下する)との大きな相違点であるため、「圧縮力を受けると一般の筋かいと全く同様に座屈による急激な耐力低下が生じる」とする5は誤り。座屈拘束ブレースの原理、履歴性能、圧縮側耐力の安定性、制振部材としての利用に関する記述は正しい。
問60
建築物の構造設計における応答制御構造の分類に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 1耐震構造は、建築物自体の強度・靭性により地震力に抵抗する、最も基本的な構造形式である
  • 2制振構造は、建物内に制振装置を組み込み、地震・風による振動エネルギーを吸収する構造形式である
  • 3免震構造は、建物と基礎の間に免震層を設け、地震動の入力そのものを低減する構造形式である
  • 4制振構造・免震構造は、いずれも耐震構造を補完・発展させた応答制御構造として位置づけられることがある
  • ✔耐震構造・制振構造・免震構造は、いずれの構造形式を採用しても建築物の応答性状は全く同一となる
解説:耐震構造、制振構造、免震構造は、それぞれ地震力への抵抗原理(強度・靭性による抵抗、振動エネルギーの吸収、地震動入力の低減)が異なるため、同一の地震動に対する建築物の応答性状(層間変形角、加速度応答等)は構造形式によって大きく異なるものであり、「いずれの構造形式を採用しても建築物の応答性状は全く同一となる」とする5は誤り。耐震構造、制振構造、免震構造の定義、応答制御構造としての位置づけに関する記述は正しい。