歴史・文化全63問中 8問を掲載
問1『古事記』に登場する、ヤマタノオロチを退治する際に用いられたとされる酒の名称は?
解説:【正解】4「八塩折之酒」
◆解説:八塩折之酒(やしおおりのさけ)。「八塩折」とは、できあがった酒でもう一度仕込むことを繰り返す意味で、糖度もアルコールも高い濃厚な酒になる。スサノオはこれでヤマタノオロチを酔わせて退治した。
◆他の選択肢:口噛み酒は唾液で糖化させた古代酒、僧坊酒は中世の寺院の酒、諸白は室町期の精白技術、柱焼酎は江戸期の焼酎添加。いずれも時代が下る。
◆関連知識:現代の「貴醸酒」は仕込み水の一部に清酒を使う酒で、八塩折之酒の発想に通じる。日本酒の歴史を問う設問では『古事記』『日本書紀』『風土記』『延喜式』の4文献が頻出。
問2米を口で噛んで唾液の酵素で糖化させ、発酵させた古代の酒を何というか?
解説:【正解】2「口噛み酒」
◆解説:口噛み酒。唾液に含まれるアミラーゼが米のデンプンをブドウ糖に分解し、そこに空気中の野生酵母が働いてアルコールになる。麹という道具を持たない時代の、人体を糖化装置として使う方法だった。
◆他の選択肢:濁酒・にごり酒は漉し方の違い、白酒はひな祭りの酒、貴醸酒は昭和期の開発酒。いずれも糖化の仕組みとは別の分類。
◆関連知識:『大隅国風土記』に記述があり、巫女が担ったともされる。ポイントは「糖化を何が担うか」で、口噛み酒=唾液、日本酒=麹菌、ワイン=糖化不要という対比で覚えるとよい。
問3平安時代に編纂され、宮中の造酒司(みきのつかさ)における酒造法が詳細に記された法典は?
- 1日本書紀
- 2童蒙酒造記
- 3御酒之日記
- 4令義解
- ✔延喜式
解説:【正解】5「延喜式」
◆解説:『延喜式』(927年完成)。全50巻の律令の施行細則で、巻四十に造酒司の項がある。御酒、御井酒、醴酒(あまざけ)など十数種について原料の配合比まで記され、当時の技術水準を知る第一級の史料となっている。
◆他の選択肢:『令義解』は律令の官撰注釈書、『日本書紀』は正史、『御酒之日記』『童蒙酒造記』は室町〜江戸期の酒造技術書で、時代がかなり下る。
◆関連知識:『延喜式』に載る「しおり」(酒で酒を仕込む法)は、現代の貴醸酒の理論的な下敷きとされる。
問4中世に寺院で造られ、高品質で知られた酒を総称して何というか?
解説:【正解】2「僧坊酒」
◆解説:僧坊酒(そうぼうしゅ)。寺院は文字を読める僧が記録を残せ、荘園からの米も潤沢で、大規模な設備も持てた。この条件が技術の蓄積を可能にし、中世の酒造技術の最先端は寺院にあった。
◆他の選択肢:宮中酒は造酒司の酒、下り酒は江戸期に上方から江戸へ運ばれた酒、地廻り酒はその対語。時代も担い手も異なる。
◆関連知識:奈良・菩提山正暦寺の「菩提酛」、河内の天野酒などが有名。三段仕込み、火入れ、諸白といった現代につながる技術の多くが、この時期の寺院で確立したとされる。
問5麹米・掛米ともに精白した白米を用いる、室町期に確立した酒の造り方を何というか?
解説:【正解】2「諸白」
◆解説:諸白(もろはく)。「両方とも白い」の意で、麹にする米と直接仕込む米の両方に精白米を使う。米の外層にはタンパク質や脂質が多く雑味の元になるため、これを削ることで澄んだ酒質が得られた。
◆他の選択肢:片白は掛米だけを精白したもので諸白より格下。並酒・濁酒はさらに簡素な酒。
◆関連知識:現代の精米歩合の考え方はこの延長線上にある。当時の精白は臼と杵による重労働で、精米歩合は9割程度が限界だったとみられる。江戸期に水車、昭和期に竪型精米機が登場して高精白が可能になった。
問6江戸時代、上方から江戸へ船で運ばれた良質な酒を何と呼んだか?
解説:【正解】2「下り酒」
◆解説:下り酒(くだりざけ)。京・大坂を「上方」とする感覚から、そこから江戸へ向かうことを「下る」と表現した。灘・伊丹・池田の酒が樽廻船で運ばれ、江戸の需要の大半を占めた。
◆他の選択肢:地廻り酒は関東近郊産で品質が劣るとされたもの。「上り酒」「江戸酒」という呼称は一般的でない。
◆関連知識:価値の低いものを「下らない(=下り酒でない)」と言う語源説がある。輸送中の揺れと時間が熟成を促し、かえって味が良くなったとも言われる。
問71840年頃、灘の酒造家・山邑太左衛門が発見した酒造に適した名水は?
解説:【正解】2「宮水」
◆解説:宮水(みやみず)。西宮の井戸水で、リン酸とカリウムが豊富、しかも鉄分が極端に少ないという酒造りに理想的な組成を持つ。山邑太左衛門は西宮と魚崎の 二つの蔵で酒質が違う原因を探り、水にあると突き止めた。
◆他の選択肢:伏水は京都・伏見の水で中軟水。御香水は伏見の名水のひとつ。
◆関連知識:リン・カリウムは酵母の栄養となるため発酵が旺盛に進み、辛口でしっかりした酒質になる。これが灘の「男酒」。対して軟水の伏見は発酵が穏やかで柔らかい「女酒」と呼ばれ、対比で覚えるのが定石。
問8江戸時代に腐造防止と酒質向上のため、もろみに焼酎を添加した技法を何というか?
解説:【正解】5「柱焼酎」
◆解説:柱焼酎(はしらしょうちゅう)。もろみに焼酎を加えるとアルコール濃度が上がり、腐造の原因となる火落菌などの雑菌が抑えられる。同時に味が締まり、香りも引き立つ効果があった。
◆他の選択肢:貴醸酒は清酒を仕込み水に使う昭和期の酒。増醸は戦後の三倍増醸酒を指す。
◆関連知識:現代のアルコール添加(アル添)の源流とされる。「アル添=戦後の粗悪な手法」という誤解があるが、技術としては江戸期から続く合理的な手法である点は押さえておきたい。
原料全85問中 8問を掲載
問9酒造好適米の中心部に見られる、白く不透明な部分を何というか?
解説:【正解】5「心白」
◆解説:心白(しんぱく)。デンプン粒の詰まり方が粗く、粒と粒の間に微細な隙間がある。この隙間が光を乱反射するため白く濁って見える。
◆他の選択肢:胚芽は米の芽になる部分で精米で除去される。糠層は外皮。胴割れは精米時の亀裂で欠陥にあたる。
◆関連知識:心白の意義は2つ。①麹菌の菌糸が隙間を伝って内部まで入り込める(破精込みが良い)②もろみで溶けやすい。ただし心白が大きすぎると精米時に割れやすく、高精白には不向きになる(五百万石がその例)。
問10「酒米の王様」と称され、兵庫県で最も多く生産される酒造好適米は?
解説:【正解】4「山田錦」
◆解説:山田錦。1923年に兵庫県立農事試験場で人工交配され、1936年に命名。心白が小さく線状に入るため精米歩合35%まで削っても砕けにくく、かつ適度に溶けて豊かな味を出す。この両立が「王様」たるゆえん。
◆他の選択肢:五百万石は新潟、美山錦は長野、雄町は岡山、亀の尾は山形が主産地。
◆関連知識:全国生産量は山田錦が第1位、五百万石が第2位、美山錦が第3位。兵庫県産が大半を占め、なかでも三木市吉川町などの「特A地区」産が最高級とされる。
問11山田錦の交配親(母×父)の組み合わせとして正しいものは?
- ✔山田穂 × 短稈渡船
- 2若水 × 山田錦
- 3五百万石 × 菊水
- 4たかね錦 × 農林17号
- 5雄町 × 亀の尾
解説:【正解】1「山田穂 × 短稈渡船」
◆解説:母が山田穂(やまだぼ)、父が短稈渡船(たんかんわたりぶね)。山田穂から大粒で心白のある性質を、短稈渡船から倒れにくい性質を受け継いだ。
◆他の選択肢:雄町は短稈渡船の親にあたるため山田錦の祖父世代。たかね錦×農林17号は美山錦の系統ではなく、美山錦はたかね錦の突然変異。五百万石は別系統。
◆関連知識:短稈渡船は一度姿を消したが、滋賀県で「滋賀渡船6号」として復活栽培された。親品種の復活は近年のトレンドで、雄町・亀の尾・強力なども同様の例。
問12新潟県を代表し、淡麗な酒質を生むとされる酒造好適米は?
解説:【正解】1「五百万石」
◆解説:五百万石。1957年、新潟県の米の総生産量が五百万石を突破した記念に命名された。溶けにくい性質のため、雑味の少ないすっきりした酒質になりやすい。
◆他の選択肢:山田錦は兵庫、雄町は岡山、愛山は兵庫、八反錦は広島が主産地。
◆関連知識:心白が大きいため精米歩合50%を下回ると砕けやすく、大吟醸にはあまり向かない。この弱点を補うため、新潟県は山田錦と交配して「越淡麗」を育成した(2004年品種登録)。
問13長野県で「たかね錦」の突然変異から生まれた酒造好適米は?
解説:【正解】4「美山錦」
◆解説:美山錦。1978年に長野県で育成。たかね錦に放射線を照射して得られた突然変異系統で、寒冷地でも育つ耐冷性が最大の特長。
◆他の選択肢:出羽燦々は山形、秋田酒こまちは秋田、越淡麗は新潟、吟風は北海道の品種。
◆関連知識:耐冷性ゆえに長野だけでなく東北・北陸でも広く栽培され、全国生産量は第3位。名前は北アルプスの雪の残る山肌に由来するとされる。品種名と育成県の組み合わせは頻出なので、山田錦=兵庫、五百万石=新潟、美山錦=長野の3つは必須。
問14現存する酒造好適米の中で最も古く、1866年に岡山県の岸本甚造が発見したとされる品種は?
解説:【正解】2「雄町」
◆解説:雄町(おまち)。備前国の農民・岸本甚造が大山参りの帰りに見つけた2本の稲穂が起源とされる。人工交配を経ていない在来品種として唯一現存しており、山田錦や五百万石の祖先にもあたる。
◆他の選択肢:亀の尾は1893年、神力は明治期、愛山は1941年、強力は明治期の育成で、いずれも雄町より新しい。
◆関連知識:稈長が高く倒れやすいうえ病害にも弱く、一時は絶滅寸前で「幻の米」と呼ばれた。心白が大きく溶けやすいため濃醇で膨らみのある酒質になり、熱心な愛好家は「オマチスト」と呼ばれる。
問15明治期に山形県の篤農家・阿部亀治が育成し、多くの現代品種の祖となった米は?
解説:【正解】4「亀の尾」
◆解説:亀の尾。1893年、阿部亀治が冷害に強い3本の稲穂を見つけ、選抜育成した。飯米として優秀で、コシヒカリやササニシキなど現代の主要品種の系譜につながる。
◆他の選択肢:神力・愛国も明治期の重要品種だが、亀の尾ほど広範な影響は持たない。
◆関連知識:一度は栽培が途絶えたが、1980年代に復活。漫画『夏子の酒』のモデルになったことでも知られる。「酒米の系譜」を問う設問では、雄町(最古の現存品種)と亀の尾(現代品種の祖)の役割の違いを区別しておきたい。
問16兵庫県産で「愛船117」と「山雄67」の交配により生まれ、大粒で溶けやすい酒米は?
解説:【正解】2「愛山」
◆解説:愛山(あいやま)。1941年に兵庫県で育成。心白が大きく非常に溶けやすいため、甘みと濃厚な旨味が出やすい。
◆他の選択肢:強力は鳥取、渡船は滋賀で復活栽培、白鶴錦は白鶴酒造が山田錦の兄弟として育成した品種、兵庫夢錦も兵庫県産だが系統が異なる。
◆関連知識:溶けやすさは長所であると同時に、管理を誤ると溶けすぎて雑味が出るという難しさでもある。「扱いの難しい米」として杜氏の腕が問われる。かつては特定の蔵にしか流通しなかった希少米。
製造工程全212問中 8問を掲載
問17精米歩合70%とは、どのような状態を指すか?
- 1精米に70時間かけた状態
- ✔玄米の外側30%を削り、70%が残った状態
- 3玄米の70%を削った状態
- 4白米の70%を削った状態
- 5玄米重量の70%を麹にした状態
解説:【正解】2「玄米の外側30%を削り、70%が残った状態」
◆解説:玄米の外側30%を削り落とし、70%が残った状態。精米歩合=(精米後の白米重量 ÷ 玄米重量)× 100 で計算する。「残った割合」であって「削った割合」ではない点が最重要。
◆他の選択肢:「70%を削った」は残り30%を意味し、真逆になる。この取り違えが最頻出の誤答。
◆関連知識:数値が小さいほど多く削っている。本醸造酒70%以下、吟醸酒60%以下、大吟醸酒50%以下という順で厳しくなる。精米歩合35%なら65%を捨てている計算で、原料コストは跳ね上がる。
問18洗米・浸漬の工程で行われる「限定吸水」とは何か?
- 1水量を米の3倍に限定すること
- ✔秒単位で浸漬時間を管理し吸水率を精密に調整すること
- 31日1回に洗米を限定すること
- 4吸水後に水を切らないこと
- 5水温を一定に保つこと
解説:【正解】2「秒単位で浸漬時間を管理し吸水率を精密に調整すること」
◆解説:ストップウォッチで秒単位に浸漬時間を管理し、目標の吸水率(通常28〜32%程度)に精密に合わせる手法。高精白米は表面積が大きく吸水が非常に速いため、数十秒の差で吸水率が数%変わってしまう。
◆他の選択肢:水温管理や水量制限も行われるが、「限定吸水」という語が指すのは時間管理。
◆関連知識:吸水率を外すと蒸米の硬軟が狂い、麹の出来ももろみの溶け方も変わる。吟醸用では10kg程度ずつネットに入れて手洗いし、一人が時計を読み上げながら作業する蔵も多い。
問19理想的な蒸米の状態を表す言葉は?
- 1全体硬質
- 2外湿内乾
- ✔外硬内軟
- 4外軟内硬
- 5全体軟質
解説:【正解】3「外硬内軟」
◆解説:外硬内軟(がいこうないなん)。外側は硬く締まり、内側は軟らかい状態。米を「炊く」のではなく「蒸す」のは、まさにこの状態を作るため。
◆他の選択肢:外軟内硬やベタ蒸しは失敗例で、表面がべたつくと麹菌が内部に入れず、もろみでも溶けすぎて雑味が出る。
◆関連知識:外側が硬いと麹室で扱いやすく菌糸が内部へ伸びやすい。内側が軟らかいともろみで適度に溶ける。この両立が蒸米の要点で、蒸し具合は放冷・製麹・発酵のすべてに影響する。
問20日本酒造りで蒸米に用いる伝統的な蒸し器の名称は?
解説:【正解】4「甑」
◆解説:甑(こしき)。大型の蒸し器で、下の和釜で沸かした湯の蒸気を通して米を蒸し上げる。
◆他の選択肢:麹蓋は製麹で蒸米を小分けにする木箱、半切は生酛の仕込み桶、暖気樽は酒母の加温具、槽(ふね)は搾りの装置。いずれも別工程の道具。
◆関連知識:その年最後の蒸米作業を終えることを「甑倒し」といい、造りの終盤を象徴する言葉として使われる。近年は連続蒸米機を使う蔵も多いが、甑を使い続ける蔵も少なくない。
問21製麹(せいきく)の工程で、蒸米に種麹を振りかける作業を何というか?
解説:【正解】4「床もみ(種切り)」
◆解説:床もみ(とこもみ)。種切りともいう。麹室の床(とこ)と呼ばれる台の上で、放冷した蒸米に種麹を均一に振りかけ、揉み込んで胞子を全体に行き渡らせる。製麹の出発点にあたる。
◆他の選択肢:切り返し→盛り→仲仕事→仕舞仕事→出麹と続くが、いずれも床もみの後の作業。
◆関連知識:製麹は床もみから出麹まで約48時間。この間、蔵人は数時間おきに麹室に入って手入れを行う。「一麹、二酛、三造り」と言われるほど重視される工程である。
問22麹菌の菌糸が米の内部までしっかり食い込み、表面全体に繁殖した麹の状態を何というか?
解説:【正解】2「総破精」
◆解説:総破精(そうはぜ)。表面全体が菌糸で覆われ、かつ内部にも入り込んだ状態。酵素力が強く、米をよく溶かすため、旨味の豊かな純米酒などに向く。
◆他の選択肢:突破精は表面はまだらだが内部に深く入る状態で吟醸向き。塗り破精は表面だけで内部に入らない失敗例。
◆関連知識:破精の状態は「破精廻り」(表面の広がり)と「破精込み」(内部への深さ)の2軸で表現される。総破精=両方とも良好、突破精=廻りは控えめだが込みは深い、と整理すると理解しやすい。
問23酒母(酛)を造る主な目的は何か?
- 1米を糖化させること
- 2アルコール度数を上げること
- 3色を取り除くこと
- 4香りを付けること
- ✔優良な酵母を大量に純粋培養すること
解説:【正解】5「優良な酵母を大量に純粋培養すること」
◆解説:優良な酵母を大量に純粋培養すること。もろみは数千リットル規模になるため、いきなり酵母を入れても数が足りず雑菌に負ける。少量の仕込みで酵母を高濃度に増やし、安全な出発点を作るのが酒母の役割。
◆他の選択肢:糖化は麹の役割。アルコールを増やすのも香りを付けるのももろみでの話。
◆関連知識:もう一つの重要な役割が乳酸による雑菌の排除。「酵母を増やす」「雑菌を殺す」の2点セットで覚えること。酒母は「酛(もと)」とも呼ばれ、生酛・山廃酛・速醸酛はすべて酒母の製法名である。
問24生酛造りにおける「山卸(やまおろし)」とは何をする作業か?
- 1酒母を移し替える
- 2もろみを絞る
- ✔櫂で蒸米・麹・水をすりつぶす
- 4タンクを山から下ろす
- 5米を山状に積む
解説:【正解】3「櫂で蒸米・麹・水をすりつぶす」
◆解説:半切という浅い桶に仕込んだ蒸米・麹・水を、櫂で繰り返しすりつぶす作業。米を物理的に潰すことで麹の酵素が働きやすくなり、糖化が進む。深夜から早朝にかけて行う重労働だった。
◆他の選択肢:もろみを絞るのは上槽、酒母を移すのは酛卸し。
◆関連知識:1909年、嘉儀金一郎がこの作業を省いても麹の酵素力だけで米は十分溶けることを実証し、山廃酛が生まれた。「山卸をするのが生酛、しないのが山廃」であり、どちらも生酛系である点が重要。
分類全71問中 8問を掲載
問25特定名称酒は全部で何種類あるか?
解説:【正解】4「8種類」
◆解説:8種類。純米系4つ(純米大吟醸酒・純米吟醸酒・特別純米酒・純米酒)と、アルコール添加系4つ(大吟醸酒・吟醸酒・特別本醸造酒・本醸造酒)で構成される。
◆他の選択肢:4種や6種は純米系または添加系だけを数えた誤り。10種以上という区分は存在しない。
◆関連知識:「純米が付くか付かないか」で醸造アルコールの有無が、「大吟醸・吟醸・特別・無印」で精米歩合が決まる。この2軸の掛け算で8種類と理解すると丸暗記が不要になる。要件を満たさないものは通称で普通酒と呼ばれる。
問26純米酒の原料として認められているものの組み合わせは?
- 1米・米麹・水・醸造アルコール
- ✔米・米麹・水
- 3米・米麹・水・糖類
- 4米・水・酵母
- 5米・米麹・水・酸味料
解説:【正解】2「米・米麹・水」
◆解説:米・米麹・水の3つのみ。醸造アルコールはもちろん、糖類・酸味料・アミノ酸塩なども一切加えられない。加えた時点で純米を名乗れなくなる。
◆他の選択肢:醸造アルコールを加えれば本醸造酒や吟醸酒(純米が付かないもの)、糖類や酸味料を加えれば普通酒に分類される。
◆関連知識:酵母は製造に不可欠だが「原料」ではなく微生物として扱われ、原材料表示にも記載されない。この点は「三大原料は何か」という設問で問われやすい。
問27吟醸酒に必要な精米歩合の条件は?
- 165%以下
- 240%以下
- 370%以下
- 450%以下
- ✔60%以下
解説:【正解】5「60%以下」
◆解説:60%以下。加えて「吟醸造り」(よく精米した米を低温でゆっくり発酵させる製法)で造られ、固有の香味と良好な色沢を有することも要件となる。数値だけでは吟醸酒を名乗れない。
◆他の選択肢:50%以下は大吟醸酒、70%以下は本醸造酒の要件。
◆関連知識:精米歩合の基準は 大吟醸50%以下 < 吟醸60%以下 < 本醸造70%以下 の3段階。なお純米酒には精米歩合の規定がない(2004年に撤廃)点が例外として頻出する。
問28大吟醸酒に必要な精米歩合の条件は?
- ✔50%以下
- 235%以下
- 370%以下
- 440%以下
- 560%以下
解説:【正解】1「50%以下」
◆解説:50%以下。玄米の半分以上を削り落とす必要がある。さらに吟醸造りであること、固有の香味と色沢が「特に良好」であることも条件に含まれる。
◆他の選択肢:60%以下は吟醸酒。40%や35%以下という法的基準は存在せず、それらは蔵が独自に掲げる水準。
◆関連知識:精米歩合50%は、玄米1,000kgから白米500kgしか得られないことを意味する。削るほど時間もかかり、35%では50時間以上を要することもある。この手間とコストが価格に反映される。
問29本醸造酒に必要な精米歩合の条件は?
- ✔70%以下
- 265%以下
- 360%以下
- 475%以下
- 5規定なし
解説:【正解】1「70%以下」
◆解説:70%以下。あわせて醸造アルコールの添加量が白米重量の10%以下であることも要件。この2つを同時に満たす必要がある。
◆他の選択肢:60%以下は特別本醸造酒または吟醸酒の水準。
◆関連知識:精米歩合70%は比較的削りが少なく、米の旨味が残りやすい。少量のアルコール添加で味を締めた本醸造は、燗酒に向く食中酒として評価が高い。要件を外れると普通酒となる。
問30本醸造酒における醸造アルコール添加量の上限は?
- 1製成数量の10%以下
- 2アルコール分の10%以下
- 3もろみ重量の10%以下
- 4白米重量の30%以下
- ✔白米重量の10%以下
解説:【正解】5「白米重量の10%以下」
◆解説:白米重量の10%以下(アルコール分95度換算の重量比)。この上限を超えると特定名称酒を名乗れず、普通酒に分類される。
◆他の選択肢:30%以下という基準は存在しない。もろみ重量比や製成数量比ではなく、あくまで「使用した白米の重量」が分母である点が要点。
◆関連知識:アルコール添加の目的は香気成分を酒側に引き出すこと、味わいを軽快にすること、火落菌を抑えることの3点。江戸期の柱焼酎に源流を持つ技術で、戦後の増醸とは目的が異なる。
問31「特別純米酒」を名乗るための条件として正しいものは?
- 1純米酒より高価であること
- 2精米歩合50%以下のみ
- 3県知事の認定を受けること
- 4醸造アルコール無添加であること
- ✔精米歩合60%以下、または特別な製造方法(要説明表示)
解説:【正解】5「精米歩合60%以下、または特別な製造方法(要説明表示)」
◆解説:精米歩合60%以下、または特別な製造方法であること。どちらか一方を満たせばよい。後者を根拠とする場合は、何が特別なのかをラベルに説明表示する義務がある。
◆他の選択肢:50%以下は大吟醸の基準。価格や知事の認定は要件と無関係。
◆関連知識:「特別な製造方法」の例としては、特定の酒米を100%使用、木桶仕込み、長期低温発酵などが挙げられる。特別本醸造酒も同じ枠組みで、精米歩合60%以下または特別な製造方法が条件となる。
問32特定名称酒に共通して求められる、麹米の使用割合の最低ラインは?
- 125%以上
- 220%以上
- 310%以上
- 45%以上
- ✔15%以上
解説:【正解】5「15%以上」
◆解説:15%以上。総使用白米の重量に対する麹米の割合(麹歩合)が15%を下回ると、名称の種類にかかわらず特定名称酒を名乗れない。
◆他の選択肢:10%では糖化力が不足し、健全な発酵が成立しにくい。
◆関連知識:麹の量が足りないとデンプンを糖に変えきれず、発酵が途中で止まる。15%は最低限の水準であり、実際には20%前後に設定する蔵も多い。特に高精白の吟醸酒は米が溶けにくいため、麹歩合を高めて酵素力を補うことがある。
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問33日本酒のラベルに表示が義務付けられていないものはどれか?
- ✔日本酒度
- 2製造者の氏名または名称
- 3原材料名
- 4品目(清酒)
- 5アルコール分
解説:【正解】1「日本酒度」
◆解説:日本酒度は任意表示。酸度、アミノ酸度、杜氏名、原料米の品種なども同様で、蔵の判断で記載される。記載がなくても違反ではない。
◆他の選択肢:品目(清酒)、アルコール分、原材料名、内容量、製造時期、製造者の氏名・所在地はいずれも義務表示。
◆関連知識:義務表示にはこのほか「20歳未満の者の飲酒は法律で禁止されている」の文言も含まれる。なお特定名称酒を表示する場合は、精米歩合の表示も義務となる点に注意。
問342015年に国税庁が指定した、地理的表示(GI)としての「日本酒」の要件は?
- 1国産米を50%以上使用したもの
- ✔原料米に国産米のみを用い、日本国内で製造したもの
- 3日本の伝統的製法で造られたもの
- 4日本国内で瓶詰めされたもの
- 5日本酒造組合中央会に加盟する蔵が造ったもの
解説:【正解】2「原料米に国産米のみを用い、日本国内で製造したもの」
◆解説:原料米に国産米のみを用い、日本国内で製造した清酒であること。この2条件を満たさなければ「日本酒」とは表示できない。
◆他の選択肢:国産米50%以上では不十分。伝統的製法や瓶詰め地、組合加盟は要件に含まれない。
◆関連知識:酒税法上の品目名はあくまで「清酒」で、「日本酒」はGIとして保護された呼称。海外産清酒や、外国産米を使った国内製造の清酒との差別化が目的である。米の品種や栽培方法は問われない点も押さえたい。
問35「生一本(きいっぽん)」と表示できる酒の条件は?
- 1一つのタンクだけで造った酒
- 2灘で造られた酒
- ✔単一の製造場だけで醸造した純米酒
- 4杜氏が一人で造った酒
- 5一度も加水していない酒
解説:【正解】3「単一の製造場だけで醸造した純米酒」
◆解説:単一の製造場だけで醸造した純米酒であること。純米酒であることと、ひとつの蔵で造り切っていることの2条件を満たす必要がある。
◆他の選択肢:灘産であることは現在の定義に含まれない。加水や火入れ、タンク数の条件でもない。
◆関連知識:もともとは「灘の生一本」のように、他の酒を混ぜていない混じり気のなさを示す言葉だった。桶買いした酒をブレンドしていないことの証明として機能した歴史がある。現在は産地要件が外れている点が出題ポイント。
問36「樽酒」と表示できる酒の条件は?
- ✔木製の樽で貯蔵し、木の香りが付いたもの
- 2杉樽で1年以上寝かせたもの
- 3木製の桶で仕込んだもの
- 4鏡開きに使われるもの
- 5樽で出荷されるもの
解説:【正解】1「木製の樽で貯蔵し、木の香りが付いたもの」
◆解説:木製の樽で貯蔵し、木の香りが付いた清酒であること。重要なのは、瓶詰めされていても樽貯蔵により木香が付いていれば樽酒と表示できる点。
◆他の選択肢:樽で出荷されることや鏡開きに使うことは要件ではない。木桶で仕込んだ酒は「木桶仕込み」であって樽酒ではない。
◆関連知識:一般に杉樽が使われ、木香は数日で移り始める。長く入れすぎると渋味やえぐみが出るため、狙った香りの段階で瓶詰めする時間管理が重要になる。
問37「無濾過」と表示できる酒はどのようなものか?
- ✔濾過工程を一切行っていない酒
- 2滓引きをしていない酒
- 3活性炭素濾過を行っていない酒
- 4上槽していない酒
- 5目の粗い布で濾した酒
解説:【正解】1「濾過工程を一切行っていない酒」
◆解説:濾過工程を一切行っていない酒。活性炭を使っていないだけの場合は「無濾過」ではなく、「素濾過」「無炭素濾過」などと表示するのが適切とされる。
◆他の選択肢:滓引きは濾過とは別の工程で、無濾過酒でも通常は行われる。
◆関連知識:活性炭は色や雑味を吸着して酒を清澄にするが、使いすぎると本来の香味まで削る。この反省から近年は最小限にとどめる蔵が増えた。「無濾過生原酒」は濾過なし・火入れなし・加水なしの3条件を同時に満たす表示。
問38製造年月として表示されるのは、原則としてどの時点か?
- 1もろみを仕込んだ年月
- 2火入れした年月
- 3上槽した年月
- 4出荷した年月
- ✔製品を容器に詰めた年月
解説:【正解】5「製品を容器に詰めた年月」
◆解説:製品を容器に詰めた年月。すなわち瓶詰め時期であって、醸造した時期でも出荷した時期でもない。
◆他の選択肢:もろみの仕込みや上槽の時期は表示されない。
◆関連知識:ここが誤解を生みやすい点で、10年熟成させた古酒でも瓶詰めが今年なら製造年月は今年になる。造られた年度を知るには「BY(酒造年度)」の表記を見る必要がある。なお酒類には賞味期限の表示義務がなく、この製造年月が実質的な目安として機能している。
問39次のうち、清酒の原料として酒税法上認められていないものは?
解説:【正解】4「果実」
◆解説:果実。加えた時点で清酒ではなくリキュールや「その他の醸造酒」に分類される。清酒の原料は法律で限定列挙されている。
◆他の選択肢:米、米こうじ、水が基本原料。このほか醸造アルコール、糖類、有機酸、アミノ酸塩、清酒粕なども認められる(ただし糖類などを加えると特定名称酒は名乗れない)。
◆関連知識:麦芽やホップも当然認められない。梅酒やゆず酒が「リキュール」と表示されるのは、この原料規定によるもの。
問40日本の地理的表示(GI)として、清酒で最初に指定された産地は?
- 1灘五郷(兵庫県)
- ✔白山(石川県)
- 3山形県
- 4三重県
- 5播州(兵庫県)
解説:【正解】2「白山(石川県)」
◆解説:GI白山(石川県白山市周辺)。2005年に清酒として初めて指定された。霊峰白山の伏流水を用いることが基準に含まれる。
◆他の選択肢:GI山形は2016年、GI灘五郷は2018年で、いずれも白山より後。GI日本酒(産地ではなく国単位)は2015年。
◆関連知識:GIは原料・製法・品質の生産基準を満たし、管理機関の確認を受けた酒だけが名乗れる。産地名の信頼性を守り、基準外の酒が産地名を使うことで生じる評価の毀損を防ぐ制度である。
味わい全91問中 8問を掲載
問41日本酒度がプラスの値になるほど、一般的にどのような傾向があるか?
- 1酸が多い
- 2アルコール度数が高い
- 3糖分が多く甘口傾向
- ✔糖分が少なく辛口傾向
- 5色が濃い
解説:【正解】4「糖分が少なく辛口傾向」
◆解説:糖分が少なく辛口の傾向。日本酒度は比重を示す指標で、水を±0とする。糖は水より重いため、糖分が多いと比重が重くなりマイナス側へ、少ないと軽くなりプラス側へ振れる。
◆他の選択肢:酸度は別の指標。アルコール度数や色とは直接の関係がない。
◆関連知識:目安は +6以上で大辛口、+3.5〜+5.9で辛口、-1.4〜+1.4で中口、-3.5以下で甘口とされる。ただし体感の甘辛は酸度との組み合わせで決まるため、日本酒度だけで断定はできない。
問42日本酒度と甘辛の関係について、正しい記述はどれか?
- ✔酸度が高いと同じ日本酒度でも辛く感じる
- 2アミノ酸度が低いほど甘い
- 3日本酒度だけで甘辛は完全に決まる
- 4酸度が高いと甘く感じる
- 5日本酒度は糖度そのものを示す
解説:【正解】1「酸度が高いと同じ日本酒度でも辛く感じる」
◆解説:酸度が高いと、同じ日本酒度でも辛く感じられる。酸が味を引き締め、キレとして知覚されるため。逆に酸度が低いと丸く柔らかく、甘めの印象になる。
◆他の選択肢:日本酒度だけで甘辛が決まるわけではない。日本酒度は糖度そのものではなく比重の指標である点も要注意。
◆関連知識:日本酒度を縦軸、酸度を横軸に取ると「淡麗辛口」「濃醇甘口」など4象限で整理できる。日本酒度+3・酸度1.0と、日本酒度+3・酸度1.8では後者のほうが明確に辛く感じられる。
問43日本酒の「酸度」が示すものとして正しいのは?
- ✔含まれる酸の総量を中和滴定で表した数値
- 2pHの値
- 3酸っぱさの官能評価点
- 4クエン酸の含有量
- 5酢酸の濃度
解説:【正解】1「含まれる酸の総量を中和滴定で表した数値」
◆解説:含まれる酸の総量を中和滴定で表した数値。清酒10mlを中和するのに要した水酸化ナトリウム溶液のml数で表す。つまり酸の「量」であり、pH(酸の強さ)とは別の概念。
◆他の選択肢:pHや官能評価点、特定の酸の濃度ではない。
◆関連知識:主な有機酸は乳酸(酒母由来)、リンゴ酸、コハク酸(酵母が生成)。平均は1.3前後で、一般的な範囲は1.0〜1.7。近年は酸を高めた食中酒タイプで2.0を超えるものもある。
問44アミノ酸度が高い日本酒の一般的な傾向は?
- 1香りが華やか
- 2淡麗ですっきり
- ✔コクや旨味が強く濃厚
- 4色が薄い
- 5アルコール度数が低い
解説:【正解】3「コクや旨味が強く濃厚」
◆解説:コクや旨味が強く濃厚になる。アミノ酸は米のタンパク質が麹の酵素で分解されて生じ、旨味の源となる。
◆他の選択肢:淡麗ですっきりするのはアミノ酸度が低い場合。香りや色、アルコール度数とは直接関係しない。
◆関連知識:ただし多すぎると雑味や重さ、いわゆる「くどさ」につながる。一般的な範囲は1.0〜1.5程度。高精白の吟醸酒はタンパク質が少ないため1.0前後と低く、純米酒や熟成酒では高くなる傾向がある。
問45リンゴやメロンを思わせる吟醸香の主成分は?
- 1酢酸エチル
- 2酢酸イソアミル
- 3ジメチルスルフィド
- 44-ビニルグアヤコール
- ✔カプロン酸エチル
解説:【正解】5「カプロン酸エチル」
◆解説:カプロン酸エチル。リンゴや白桃、メロンを思わせる華やかで甘い香りを生む。協会9号や1801号がこれを多く生成することで知られる。
◆他の選択肢:酢酸イソアミルはバナナ様。酢酸エチルは過剰だとセメダイン臭、DMSはたくあん様、4-VGは薬品的な木香様臭で、後の3つは劣化臭に関わる。
◆関連知識:吟醸香はカプロン酸エチルと酢酸イソアミルの2大成分のバランスで個性が決まる。どちらも揮発性が高いため、高温の燗にすると飛んでしまう点が提供温度の判断につながる。
問46バナナや洋ナシを思わせる吟醸香の主成分は?
- 1カプリル酸エチル
- 2イソアミルアルコール
- 3酢酸フェネチル
- ✔酢酸イソアミル
- 5カプロン酸エチル
解説:【正解】4「酢酸イソアミル」
◆解説:酢酸イソアミル。バナナや洋ナシを思わせる、やや落ち着いた甘い香り。低温発酵によって生成が促進される。
◆他の選択肢:カプロン酸エチルはリンゴ・メロン様。カプリル酸エチルは別のエステル、イソアミルアルコールは高級アルコールで苦味に関与する。
◆関連知識:静岡酵母はこの酢酸イソアミルを主体とし、穏やかで上品な吟醸香を生むことで静岡吟醸の評価を築いた。カプロン酸エチル主体の華やかさとは異なる方向性である点が対比のポイント。
問47日本酒が劣化した際に生じる、たくあんや古米のような香りを何というか?
- 1生老ね
- ✔老香(ひねか)
- 3日光臭
- 4木香
- 5muroka臭
解説:【正解】2「老香(ひねか)」
◆解説:老香(ひねか)。保存中の酸化やアミノカルボニル反応によって生じる劣化香で、原因物質のひとつがジメチルトリスルフィド(DMTS)。
◆他の選択肢:日光臭は紫外線由来、生老ねは生酒特有の変化、木香様臭は4-VG由来で薬品的な香り。原因が異なる。
◆関連知識:老香は温度依存性が強く、高温保存で急速に進む。だからこそ低温保管が最も有効な対策となる。なお管理された熟成で生じる好ましい香りは「熟成香」と呼び、欠点である老香とは区別される。
問48日本酒が紫外線に晒されることで発生する劣化臭を何というか?
解説:【正解】2「日光臭」
◆解説:日光臭。メチオナールなどの生成による劣化臭で、日なた臭さや焦げたゴムのような不快な香りと表現される。
◆他の選択肢:老香は高温・酸化由来。つわり香はもろみ初期の硫黄様の香り。
◆関連知識:日本酒の瓶が茶色や緑色をしているのは、この紫外線を遮断するため。透明瓶の商品は化粧箱や遮光フィルムで補われる。蛍光灯も微量の紫外線を出すため、店頭での長期陳列にも注意が必要である。
温度・飲み方全55問中 8問を掲載
問49日本酒の温度表現で「ぬる燗」はおよそ何度か?
- 1約50℃
- 2約35℃
- 3約30℃
- 4約55℃
- ✔約40℃
解説:【正解】5「約40℃」
◆解説:40℃前後。体温よりやや高く、香りが穏やかに開いて旨味が最も豊かに感じられる温度帯とされる。
◆他の選択肢:30℃は日向燗、35℃は人肌燗、45℃は上燗、50℃は熱燗。
◆関連知識:燗は5℃刻みで6段階に分かれる。日向燗30℃、人肌燗35℃、ぬる燗40℃、上燗45℃、熱燗50℃、飛切燗55℃。数字と名称の対応は毎回のように問われるため、5℃刻みという規則性ごと覚えるのが確実である。
問50日本酒の温度表現で「花冷え」はおよそ何度か?
解説:【正解】1「約10℃」
◆解説:10℃前後。冷蔵庫から出してすぐの温度帯で、吟醸酒などの華やかな香りを引き締めつつ楽しめる。
◆他の選択肢:5℃は雪冷え、15℃は涼冷え。20℃前後は「冷や」(常温)にあたる。
◆関連知識:冷やは3段階で、雪冷え5℃、花冷え10℃、涼冷え15℃。薫酒タイプは冷やしすぎると香りが立たなくなるため、5℃より10℃前後が適することが多い。冷蔵庫から出して少し置くだけで香りが開くことがある。
問51日本酒の温度表現で「飛切燗」はおよそ何度か?
- 1約40℃
- ✔約55℃
- 3約60℃
- 4約50℃
- 5約45℃
解説:【正解】2「約55℃」
◆解説:55℃以上。燗の中で最も高温で、徳利を持つと熱く感じ、湯気がはっきり立つ。
◆他の選択肢:50℃は熱燗、45℃は上燗、40℃はぬる燗。
◆関連知識:高温では香りがシャープになりキレが増す一方、繊細な吟醸香は飛んでしまう。したがって薫酒タイプには不向きで、旨味の骨格がしっかりした純米酒や本醸造に向く。湯煎の際は目標温度の少し手前で引き上げると、余熱でちょうどよくなる。
問52日本酒における「冷や」とは本来どの温度を指すか?
- 110℃前後
- 25℃前後
- ✔常温(約20℃)
- 4冷蔵庫で冷やした温度
- 5氷を入れた温度
解説:【正解】3「常温(約20℃)」
◆解説:常温(20℃前後)。冷蔵設備がなかった時代、「燗をしていない状態」を指す言葉として使われた。
◆他の選択肢:冷蔵庫で冷やしたものは本来「冷酒」と呼び分ける。
◆関連知識:居酒屋で「冷やで」と注文すると冷酒が出てくることが多く、現代では混同が定着している。試験ではあくまで本来の意味が問われるため、「冷や=常温、冷酒=冷やしたもの」と整理しておくこと。常温は酒の実力が最も素直に出る温度帯でもあり、利き酒もこの温度で行われる。
問53燗酒を作る際、最も推奨される方法は?
- 1炭火で炙る
- 2直火で鍋ごと温める
- 3電子レンジで加熱する
- ✔徳利ごと湯煎する
- 5熱湯を注ぎ足す
解説:【正解】4「徳利ごと湯煎する」
◆解説:徳利ごと湯煎する。湯の熱が均一に伝わるため温度ムラが少なく、香味の飛びも抑えられる。
◆他の選択肢:電子レンジは液面と底で温度差が大きくなりムラが生じる。直火は局所的に高温になり香味を損なう。
◆関連知識:湯温は70〜80℃程度が推奨される。沸騰湯では急激に温度が上がりすぎる。また引き上げた後も余熱で数度上がるため、目標温度の少し手前で止めるのがコツ。一度冷めた燗を再加熱するのは香味を損なうため避ける。
問54燗をつけるための、注ぎ口と取っ手の付いた金属製の器を何というか?
解説:【正解】5「ちろり」
◆解説:ちろり(銚釐)。錫や銅、アルミなどで作られ、熱伝導が良いため短時間で目標温度に達する。
◆他の選択肢:片口は注ぎ分ける鉢状の器、徳利は陶製の注器、銚子は本来は長い柄の付いた儀式用の器。
◆関連知識:特に錫製は水がまろやかになるとも言われ、雑味が取れるとして愛好される。ちろりを湯に浸けて加熱し、そのまま注ぐか徳利に移して供する。南部鉄器の燗鍋も保温性の高い道具として知られる。
問55日本酒を注ぎ分けるために用いる、片側に注ぎ口のある鉢状の器を何というか?
解説:【正解】1「片口」
◆解説:片口(かたくち)。一方にだけ注ぎ口を設けた鉢状の器で、そこから猪口やぐい呑に注ぎ分ける。
◆他の選択肢:ぐい呑と盃は飲むための器、枡は計量器具由来の飲用器、銚子は儀式用の注器。
◆関連知識:もともとは醤油や酒を移し替える台所道具だったが、口が広く香りが立ちやすいこと、見た目の美しさから酒器として広まった。錫製の片口は冷酒の温度を保ちやすく、近年人気が高い。
問56吟醸酒の華やかな香りを最も楽しみやすい酒器として推奨されるのは?
解説:【正解】4「ワイングラス」
◆解説:ワイングラス。ボウル部分が広く飲み口がすぼまった形状は、揮発した香気成分を内部に溜めて鼻へ集中的に届ける。
◆他の選択肢:枡は木香が移り、蛇の目猪口は口が広く香りが逃げる。錫のちろりや徳利は燗向きの道具。
◆関連知識:この考え方から、日本酒専用グラスも各種開発されている。逆に浅く広い平盃は香りが素早く放散するため、強すぎる熟成香を和らげたい場合や儀式的な場面に向く。器の選択は酒質から逆算するのが原則。
産地全71問中 8問を掲載
問57日本酒の生産量が最も多い都道府県は?
解説:【正解】3「兵庫県」
◆解説:兵庫県。灘五郷に大手蔵が集積し、全国生産量の約1/4を占める。宮水、山田錦、丹波杜氏という三条件が揃ったことが、この地位を支えてきた。
◆他の選択肢:第2位が京都府(伏見)、第3位が新潟県というのが近年の順位。新潟は淡麗辛口の代名詞だが、数量では3位。
◆関連知識:「知名度=生産量」ではない点が出題ポイント。秋田や山形は評価が高いが数量では上位に入らない。一方、消費量では人口の多い東京都が大きく、生産と消費の地理的なズレが業界の構造をなしている。
問58「灘五郷」に含まれない地域はどれか?
解説:【正解】5「伏見郷」
◆解説:伏見は京都府であり、灘五郷には含まれない。灘五郷は西郷・御影郷・魚崎郷・西宮郷・今津郷の5つで、すべて兵庫県内(神戸市および西宮市)にある。
◆他の選択肢:西宮郷、魚崎郷、御影郷、今津郷はいずれも正規の構成郷。
◆関連知識:宮水が湧くのは西宮。もともとは西宮郷と今津郷が「今津郷」として一体だった時期もある。2018年にはこの一帯が「GI灘五郷」として地理的表示に指定された。
問59京都・伏見の酒が「女酒」と呼ばれる理由として正しいものは?
- 1甘口に仕上げるため
- ✔軟水仕込みで柔らかくきめ細かい酒質になるため
- 3古くから女性が飲んでいたため
- 4女性の杜氏が多かったため
- 5女性向けに販売したため
解説:【正解】2「軟水仕込みで柔らかくきめ細かい酒質になるため」
◆解説:仕込み水が中軟水で、ミネラルが穏やかなため発酵がゆるやかに進む。結果として角の取れた柔らかく丸みのある酒質になる。
◆他の選択肢:杜氏の性別や販売対象、甘辛の調整とは関係がない。
◆関連知識:対になるのが灘の「男酒」。硬水の宮水はリン・カリウムが豊富で発酵が旺盛に進み、辛口でしっかりした酒になる。硬水=旺盛=辛口=男酒=灘/軟水=穏やか=柔らか=女酒=伏見、というセット暗記が定番。
問60日本三大杜氏に数えられないのはどれか?
- 1南部杜氏
- 2越後杜氏
- 3丹波杜氏
- ✔能登杜氏
- 5(該当なし)
解説:【正解】4「能登杜氏」
◆解説:能登杜氏。三大杜氏は南部(岩手)・越後(新潟)・丹波(兵庫)を指すのが一般的で、能登はここに含まれない。
◆他の選択肢:南部・越後・丹波はいずれも三大杜氏。
◆関連知識:ただし能登杜氏も有力集団で、四大杜氏として並び称されることが多い。「三大には入らないが四大には入る」という位置づけが引っかけになりやすい。このほか但馬杜氏、広島杜氏なども知られる。
問61南部杜氏の本拠地とされる都道府県は?
解説:【正解】2「岩手県」
◆解説:岩手県。石鳥谷町(現・花巻市)を中心とする集団で、所属人数は日本最大規模を誇る。
◆他の選択肢:青森・秋田・宮城・福島にも蔵は多いが、南部杜氏の本拠地ではない。
◆関連知識:「南部」は旧南部藩に由来する呼称で、現在の青森県東部から岩手県北部にあたる地域名。石鳥谷には南部杜氏伝承館があり、技術と道具が保存されている。杜氏集団と県の組み合わせは頻出で、南部=岩手、越後=新潟、丹波=兵庫、能登=石川を押さえること。
問62丹波杜氏が主に活躍した酒どころはどこか?
解説:【正解】2「灘」
◆解説:灘(兵庫県)。丹波篠山地域の農民が農閑期に灘へ出稼ぎに出て、酒造りを担った。
◆他の選択肢:伏見は主に丹後杜氏など別系統、新潟は越後杜氏、広島は広島杜氏の領域。
◆関連知識:灘の発展を支えた三要素は「宮水・山田錦・丹波杜氏」。水と米と人の三つが揃った点が灘の強みだった。丹波は兵庫県内であり、山田錦の産地とも近接していたことが有利に働いた。
問63「軟水醸造法」を確立した三浦仙三郎の出身地であり、吟醸造りの発祥地とされる県は?
解説:【正解】5「広島県」
◆解説:広島県。安芸津の醸造家・三浦仙三郎が、軟水でも良質な酒が造れる方法を確立した。麹造りを強化して酵素力を高め、低温で長期間かけて発酵させるという手法である。
◆他の選択肢:熊本は協会9号酵母、長野は協会7号、新潟は淡麗辛口、兵庫は硬水の灘。
◆関連知識:この低温長期発酵の発想が後の吟醸造りにつながったため、広島は「吟醸酒発祥の地」とされる。東広島市の西条は灘・伏見と並ぶ三大銘醸地でもある。「百試千改」の言葉も併せて覚えたい。
問64「淡麗辛口」ブームの中心となり、その代名詞となった県は?
解説:【正解】3「新潟県」
◆解説:新潟県。1980年代、越乃寒梅や久保田などが火付け役となり、全国的なブームを生んだ。軟水と寒冷な気候、溶けにくい五百万石という条件が、すっきりした酒質を支えている。
◆他の選択肢:秋田・山形・福島・石川も評価の高い産地だが、淡麗辛口の代名詞ではない。
◆関連知識:1984年開校の「新潟清酒学校」で若手蔵人を体系的に育成したことも、県全体の底上げに寄与した。産地の特色は「水質・気候・酒米・人材育成」の4点から説明できると強い。
保存・管理全35問中 8問を掲載
問65日本酒の保存で最も避けるべき条件はどれか?
解説:【正解】5「直射日光と高温」
◆解説:直射日光と高温。紫外線はメチオナールなどを生成して日光臭を招き、高温はアミノカルボニル反応を促進して老香と着色を引き起こす。この2つが日本酒の二大劣化要因。
◆他の選択肢:低温、暗所、縦置き、密栓はいずれも望ましい保存条件。
◆関連知識:瓶が茶色や緑色なのは紫外線対策。蛍光灯も微量の紫外線を出すため、店頭での長期陳列にも配慮がいる。冷蔵ケースは温度と光の両方を同時に管理できるため、生酒の管理には不可欠である。
問66生酒の保存温度として最も適切なのは?
- ✔冷蔵(5℃前後)
- 230℃前後
- 315℃前後
- 4常温(20℃前後)
- 50℃以下で凍結
解説:【正解】1「冷蔵(5℃前後)」
◆解説:冷蔵(5℃前後)。火入れをしていないため酵素が生きており、常温では香味が急速に変化する。火落菌のリスクも残る。
◆他の選択肢:常温や15℃では変化が速すぎる。凍結は品質を損なうため通常は行わない。
◆関連知識:冷蔵は変化を「遅らせる」だけで止めるものではないため、開栓後は数日から2週間程度で飲み切るのが望ましい。流通も冷蔵便が前提となり、蔵から店頭まで冷蔵を切らさない一貫性が求められる。
問67日本酒の品質を損なう「火落菌」とはどのような菌か?
- 1酵母の変異株
- 2カビの一種
- ✔アルコール耐性のある乳酸菌の一種
- 4大腸菌の一種
- 5酢酸菌の一種
解説:【正解】3「アルコール耐性のある乳酸菌の一種」
◆解説:アルコール耐性を持つ乳酸菌の一種。通常の細菌はアルコール15%の環境では生きられないが、火落菌は増殖できる。増えると白濁し、独特の異臭(火落ち臭)を放つ。
◆他の選択肢:酵母やカビ、酢酸菌とはまったく別の系統。
◆関連知識:火入れはこの火落菌を殺菌するための工程で、60〜65℃で処理する。白濁は滓による自然なものと火落ちによるものがあり、異臭を伴うかどうかで見分ける。生酒が要冷蔵なのも、火落菌のリスクが残るためである。
問68火落菌の増殖に必要とされる、清酒中の特殊な生育因子を何というか?
- 1乳酸
- 2チアミン
- ✔メバロン酸(ハイニュートリエント)
- 4グルコース
- 5グルタミン酸
解説:【正解】3「メバロン酸(ハイニュートリエント)」
◆解説:メバロン酸(別名ハイニュートリエント、火落酸)。多くの火落菌はこの物質を要求し、清酒中に含まれる量が増殖しやすさを左右する。
◆他の選択肢:乳酸やグルコースは一般的な栄養源で、火落菌に特有の因子ではない。
◆関連知識:メバロン酸の含有量は酒質管理の指標として測定されることがある。これを要求する菌を「真性火落菌」、要求しないものを「火落性乳酸菌」と呼び分ける場合もある。1級レベルの細かい知識だが、火入れの必要性を裏付ける論点として押さえたい。
問69日本酒の瓶が茶色や緑色をしている主な理由は?
- ✔紫外線を遮断して日光臭を防ぐため
- 2強度を高めるため
- 3温度変化を防ぐため
- 4リサイクルしやすくするため
- 5中身を見えなくするため
解説:【正解】1「紫外線を遮断して日光臭を防ぐため」
◆解説:紫外線を遮断し、日光臭や着色を防ぐため。紫外線はメチオナールなどを生成させ、不快な日光臭の原因となる。
◆他の選択肢:強度や温度保持、リサイクルのためではない。
◆関連知識:透明瓶やブルーボトルの商品は見た目の美しさを優先しているため、化粧箱や遮光フィルムで補うのが通例。蛍光灯も微量の紫外線を出すため、店頭での長期陳列にも注意が必要。冷蔵ケースは温度と光を同時に管理できる点で優れている。
問70日本酒を長期熟成させる際、一般に淡い色調を保ちやすいのはどの条件か?
- 1常温(20℃前後)での貯蔵
- 2開放タンクでの貯蔵
- 330℃前後での貯蔵
- 4日光の当たる場所
- ✔低温(5℃前後)での貯蔵
解説:【正解】5「低温(5℃前後)での貯蔵」
◆解説:低温(5℃前後)での貯蔵。着色や老香の原因となるアミノカルボニル反応は温度依存性が強く、低温では進行が緩やか。
◆他の選択肢:常温以上では着色が進み、琥珀色が濃くなる。
◆関連知識:低温熟成は爽やかさを残した「淡熟タイプ」、常温熟成は琥珀色で複雑な「濃熟タイプ」になる。どちらが優れているというものではなく、狙う酒質から温度帯を選択する。長期熟成酒研究会はこれに中間タイプを加えた3分類を用いる。
問71日本酒の容器に賞味期限の表示義務がないのはなぜか?
- ✔アルコール分により品質が急激に劣化しにくいため
- 2冷蔵が前提のため
- 3法律の不備のため
- 4保存料が入っているため
- 5製造年月で代替できないため
解説:【正解】1「アルコール分により品質が急激に劣化しにくいため」
◆解説:アルコールにより腐敗しにくく、急激に品質が劣化することがないため。食品表示法上、酒類は賞味期限表示が免除されている。
◆他の選択肢:保存料は使われていない。法律の不備でもない。
◆関連知識:代わりに製造年月の表示が義務付けられ、これが実質的な目安として機能する。ただし製造年月は瓶詰め時期であり、造られた年度を示すものではない。生酒は数か月、火入れ酒でも保存状態次第で香味は変化する点を伝えるのが親切。
問72日本酒が白く濁り、酸っぱい異臭を放つようになった場合、疑われる原因は?
- ✔火落菌による汚染
- 2振動
- 3日光による劣化
- 4冷やしすぎ
- 5栓の締めすぎ
解説:【正解】1「火落菌による汚染」
◆解説:火落菌による汚染。アルコール耐性を持つ乳酸菌が増殖し、白濁と特有の異臭(火落ち臭)を生じさせる。
◆他の選択肢:日光による劣化は日光臭で濁りは生じない。冷やしすぎや振動が原因ではない。
◆関連知識:白濁には滓による自然なものもあるため、異臭を伴うかどうかで見分ける。火入れは火落菌を殺菌するための工程で、生酒が要冷蔵なのもこのリスクが残るため。多くの火落菌はメバロン酸という生育因子を要求する。
その他全224問中 8問を掲載
問73日本酒を搾った後に残る固形分を何というか?
解説:【正解】3「酒粕」
◆解説:酒粕。溶けきらなかった米、麹、そして役目を終えた酵母が主成分で、タンパク質やビタミンが豊富に残っている。
◆他の選択肢:滓は上槽後に沈殿する微細な粒子、糠は精米で出る外層、もろみは搾る前の状態。
◆関連知識:用途は粕汁、甘酒、漬物床(奈良漬など)、粕取り焼酎と幅広い。近年は消化されにくいタンパク質「レジスタントプロテイン」が注目され、機能性の面から再評価が進んでいる。
問74一般的な純米吟醸酒の粕歩合(白米重量に対する酒粕の割合)はおよそどれくらいか?
- 11〜2%程度
- 25〜10%程度
- 370〜80%程度
- 490%以上
- ✔30〜50%程度
解説:【正解】5「30〜50%程度」
◆解説:30〜50%程度。高精白の米はタンパク質が少なく、酵素による分解が進みにくいため溶け残りが多くなる。加えて低温発酵では米が溶けにくい。
◆他の選択肢:普通酒では20%前後が一般的で、5〜10%は低すぎる。
◆関連知識:粕歩合が高いということは、それだけ多くの原料が酒にならないということ。高精白で削り、さらに溶け残るという二重のロスが、吟醸酒の価格を押し上げる要因になっている。粕歩合=酒粕重量÷白米重量で計算する。
問75日本酒のアルコール発酵で、もろみが到達できる最高アルコール度数はおよそどれくらいか?
- 1約30%
- 2約15%
- ✔約20%
- 4約25%
- 5約12%
解説:【正解】3「約20%」
◆解説:約20%。醸造酒としては世界最高水準で、これを可能にしているのが並行複発酵という仕組み。
◆他の選択肢:ワインは12〜14%程度、ビールは5%前後が一般的。25%以上は蒸留しなければ到達できない。
◆関連知識:一度に高濃度の糖があると浸透圧で酵母が弱るが、並行複発酵では糖化と発酵が同時進行するため、もろみ中の糖濃度が常に低く保たれる。酵母が無理なく働き続けられるため高い度数に達する。市販酒は割水で15%前後に調整される。
問76「ひやおろし」が一般的に出荷される季節は?
解説:【正解】1「秋」
◆解説:秋。冬に搾って一度だけ火入れした酒を、夏の間タンクで熟成させ、秋に出荷する。外気温と貯蔵庫の温度が近づく時期に、冷や(常温)のまま卸すことからこの名がある。
◆他の選択肢:春や冬に出回るのは新酒・しぼりたて。
◆関連知識:製法上は「生詰酒」にあたり、貯蔵前に1回火入れ、出荷時は火入れなしで瓶詰めされる。ひと夏の熟成で角が取れ、まろやかで落ち着いた味わいになる。「秋あがり」もほぼ同義で使われる。
問77「新酒」「初しぼり」が主に出回る時期は?
- ✔冬(11月〜翌2月頃)
- 2春(4〜5月)
- 3通年
- 4夏(7〜8月)
- 5秋(9〜10月)
解説:【正解】1「冬(11月〜翌2月頃)」
◆解説:冬(11月〜翌2月頃)。秋に収穫した新米を使い、冬に仕込むため、最初の酒が搾れるのがこの時期になる。
◆他の選択肢:秋に出るのはひやおろし。夏は熟成期間にあたる。
◆関連知識:搾りたてはフレッシュで炭酸感が残り、荒々しい若さが魅力。生酒として出荷されることが多く要冷蔵。酒蔵が杉玉を新しいものに掛け替えるのもこの時期で、新酒ができたことを知らせる合図となる。
問78長期熟成酒研究会が定義する「熟成古酒」の熟成期間の下限は?
- 1満5年以上
- 2満10年以上
- 3満1年以上
- ✔満3年以上
- 5満2年以上
解説:【正解】4「満3年以上」
◆解説:満3年以上。糖類を添加していない清酒を、蔵元で満3年以上熟成させたものと定義される。
◆他の選択肢:1年や5年、10年という基準は設けられていない。
◆関連知識:重要なのは、これが法的な定義ではなく業界団体による自主的な定義である点。表示の統一基準も存在しないため、「古酒」の語は蔵によって使い方が異なる。なお酒税法上の「古酒」は、当該酒造年度より前に造られた酒を指す別概念である。
問79日本酒1合は何mlか?
- 1360ml
- 2100ml
- ✔180ml
- 4200ml
- 5150ml
解説:【正解】3「180ml」
◆解説:約180ml。尺貫法に基づく単位で、江戸期から続く生活の尺度が今も日本酒の世界に残っている。
◆他の選択肢:360mlは2合、720mlは4合にあたる。
◆関連知識:換算は10進法で 1合180ml → 1升=10合=1.8L → 1斗=10升=18L → 1石=10斗=180L。蔵の生産規模を「年間○石」と表現する慣習もここから来ている。アルコール15%の1合に含まれる純アルコール量は約22g。
問80一升瓶の容量は何Lか?
- 11.0L
- 21.5L
- 32.0L
- ✔1.8L
- 50.72L
解説:【正解】4「1.8L」
◆解説:1.8L。一升=10合で、1合180ml × 10 = 1,800ml。
◆他の選択肢:720mlは四合瓶、18Lは一斗にあたる。
◆関連知識:一升瓶は明治期に普及した規格で、量り売りから瓶売りへの転換を象徴する容器。近年は冷蔵庫に入りやすく飲み切りやすい四合瓶(720ml)の比率が高まっている。一升瓶は四合瓶2.5本分に相当する。
料理との相性全39問中 8問を掲載
問81SSIの4タイプ分類で「薫酒」と相性が良いとされる料理の傾向は?
- 1デザート
- 2塩辛など発酵の強い珍味
- ✔淡白で素材の味を活かした料理
- 4こってりした煮込み料理
- 5中華の油料理
解説:【正解】3「淡白で素材の味を活かした料理」
◆解説:淡白で素材の味を活かした料理。白身魚の刺身、カルパッチョ、蒸し野菜など。薫酒の華やかな香りは繊細なため、味の濃い料理では埋もれてしまう。
◆他の選択肢:濃厚な煮込みや塩辛は醇酒、中華の油料理やデザートは熟酒の領域。
◆関連知識:ペアリングの基本原則は「料理の強度と酒の強度を釣り合わせる」こと。薫酒は最も繊細な側にあるため、合わせる料理も繊細である必要がある。強い料理に合わせると香りが感じられず、酒の持ち味が失われる。
問82SSIの4タイプ分類で「醇酒」と相性が良いとされる料理は?
- ✔すき焼きや味噌煮込みなど濃厚な料理
- 2フルーツのデザート
- 3レモンを絞った白身魚
- 4生牡蠣
- 5冷奴
解説:【正解】1「すき焼きや味噌煮込みなど濃厚な料理」
◆解説:すき焼きや味噌煮込みなど濃厚な料理。醇酒は米の旨味とコクが強く、味の濃い料理と拮抗できる。
◆他の選択肢:レモンを絞った白身魚や冷奴は薫酒・爽酒の領域。生牡蠣は爽酒が合わせやすい。
◆関連知識:醇酒は生酛・山廃系の純米酒が代表格で、燗にすると味がふくらむ「燗上がり」の性質を持つ。塩辛や糠漬け、チーズなどの発酵食品とも好相性で、これは双方が発酵由来の複雑な酸と旨味を持つ「同調」の例である。
問83SSIの4タイプ分類で「熟酒」の合わせ方として適切なものは?
- 1サラダ
- ✔中華料理の濃厚な料理やチョコレート
- 3蒸し野菜
- 4繊細な刺身
- 5冷奴
解説:【正解】2「中華料理の濃厚な料理やチョコレート」
◆解説:中華料理の濃厚な料理やチョコレート。熟酒は複雑で濃厚な香味を持つため、個性の強い食材と釣り合う。
◆他の選択肢:繊細な刺身、サラダ、冷奴、蒸し野菜はいずれも軽すぎ、熟酒に押し負けてしまう。
◆関連知識:北京ダック、豚の角煮、ドライフルーツ、ブルーチーズなどが定番。熟酒は低温では香味が閉じるため、常温からぬる燗で提供するのが基本。ソトロン由来のカラメル様の香りが、これらの食材と共鳴する。
問84日本酒が生牡蠣と相性が良いとされる理由として、しばしば挙げられるものは?
- 1温度が同じだから
- 2日本酒に殺菌力があるため
- 3牡蠣に含まれる糖と反応するため
- ✔日本酒に含まれる有機酸やアミノ酸が生臭さを抑えるため
- 5牡蠣の塩分を中和するため
解説:【正解】4「日本酒に含まれる有機酸やアミノ酸が生臭さを抑えるため」
◆解説:日本酒に含まれる有機酸やアミノ酸が生臭さを抑えるため。加えて日本酒は鉄分が極端に少ないことも大きい。
◆他の選択肢:殺菌力や塩分の中和が理由ではない。
◆関連知識:鉄分は魚介の脂質と反応して生臭みの原因物質を生じるとされる。赤ワインが魚介に合いにくいのはタンニンと鉄分の影響とされ、対して日本酒は仕込み水の段階で鉄分を厳しく排除している。この成分面の差が、日本酒の魚介との相性を支えている。
問85燗酒が特に合うとされる料理の傾向はどれか?
- 1フルーツ盛り合わせ
- 2アイスクリーム
- ✔温かい料理や旨味の濃い料理
- 4冷たいサラダ
- 5冷製スープ
解説:【正解】3「温かい料理や旨味の濃い料理」
◆解説:温かい料理や旨味の濃い料理。料理と酒の温度帯を揃えると口中で違和感が生じにくく、調和しやすい。
◆他の選択肢:冷たいサラダやアイスクリーム、冷製スープは温度差が大きく、双方の味が把握しづらくなる。
◆関連知識:鍋物、煮物、おでん、味噌を使った料理などが定番。加えて温度が上がると甘味と旨味の感度が高まるため、旨味の濃い料理との相乗効果も生まれる。温度を揃えるという原則は、ペアリングの実務で最も応用が利く考え方。
問86飲食物の相性を考える際、似た性質を持つもの同士を合わせる考え方を何というか?
解説:【正解】3「同調」
◆解説:同調。香りや味わいの方向性を揃えることで、互いを増幅させる。
◆他の選択肢:対比は性質の異なるものを組み合わせて引き立て合う手法で、対になる考え方。
◆関連知識:同調の例は、旨味の濃い料理に旨味の強い純米酒、発酵食品に生酛系の酒、出汁と日本酒のアミノ酸など。対比の例は、脂の多い料理に酸やキレのある酒、辛い料理に甘みのある酒。この2つの枠組みでペアリングの大半は説明できる。
問87脂の多い料理に、酸やキレのある日本酒を合わせる考え方はどれにあたるか?
解説:【正解】2「対比(洗い流す)」
◆解説:対比。酸やアルコールが口中の脂を洗い流し、次の一口を新鮮にする「洗浄効果」を狙う。
◆他の選択肢:同調は似た性質を合わせる手法で、この場合は当てはまらない。
◆関連知識:天ぷらや揚げ物に爽酒やスパークリングが合うのはこの原理。シャンパーニュが揚げ物に合うとされるのと同じ考え方である。ペアリングは「同調で寄り添うか、対比で洗い流すか」の2択と捉えると、応用が利く。
問88日本酒がワインに比べて幅広い料理に合わせやすいとされる理由として、適切でないものは?
- 1酸が穏やかで料理を邪魔しにくいため
- ✔タンニンを多く含むため
- 3甘辛のバリエーションが広いため
- 4温度帯を幅広く変えられるため
- 5アミノ酸が豊富で旨味が強いため
解説:【正解】2「タンニンを多く含むため」
◆解説:タンニンを多く含むというのは誤り。タンニンはブドウの果皮や種に由来する渋味成分で、日本酒にはほとんど含まれない。
◆他の選択肢:アミノ酸が豊富、酸が穏やか、温度帯が広い、甘辛の幅が広いは、いずれも実際の理由。
◆関連知識:タンニンがないことは魚介との相性でも有利に働く。タンニンと鉄分は魚介の脂質と反応して生臭みを生じるとされ、赤ワインが魚介に合いにくい一因とされる。日本酒はこの両方が少ない。