法務全251問中 8問を掲載
問1A銀行はB社との間で根抵当権設定契約を締結し、極度額1億円の根抵当権の設定を受けた。元本の確定に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 1根抵当権者は、元本確定期日の定めがない場合であっても、元本の確定を請求することはできない
- 2根抵当権者が抵当不動産に対して競売の申立てをしても、それだけでは元本は確定しない
- 3根抵当権設定者は、いつでも元本の確定を請求でき、請求が到達した時に直ちに元本が確定する
- 4債務者について破産手続開始の決定があっても、根抵当権の元本は確定しない
- ✔根抵当権設定者は、根抵当権設定時から3年を経過したときは元本の確定を請求でき、請求時から2週間を経過した時に元本が確定する
解説:民法398条の19第1項により、根抵当権設定者は設定時から3年を経過したときに元本確定を請求でき、その請求時から2週間を経過した時に元本が確定する。一方、根抵当権者は同条2項によりいつでも確定請求ができ、請求時に確定する。競売申立て(398条の20第1項1号)や債務者の破産手続開始決定(同項4号)は法定の元本確定事由である。(参照:民法398条の19、398条の20)
問2A銀行はB社に対する貸付債権を有し、B社はA銀行に定期預金を有していた。B社の預金債権がC社により差し押さえられた場合の、A銀行による相殺に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- ✔差押え後に取得した貸付債権であっても、差押え前の原因に基づいて生じたものであれば原則として相殺できる
- 2差押え時点で貸付債権の弁済期が到来していなければ、いかなる場合も相殺できない
- 3相殺の可否は差押債権者C社の同意の有無によって決まる
- 4自働債権・受働債権の双方が差押え後に発生したものであれば相殺できる
- 5差押えがあった時点で、A銀行の相殺権はすべて消滅する
解説:民法511条1項は、差押え後に取得した債権による相殺を禁じる一方、差押え前に取得した債権であれば弁済期の先後を問わず相殺できるとする(無制限説の明文化)。さらに同条2項は、差押え後に取得した債権でも『差押え前の原因に基づいて生じた』ものであれば相殺を認める。差押債権者の同意は要件ではない。(参照:民法505条、511条)
問3事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 1個人根保証契約においては、極度額の定めがなくても契約は有効である
- 2主たる債務者が法人である場合、その代表取締役が保証人となるときも保証意思宣明公正証書の作成が必要である
- ✔個人が保証人となる場合、契約締結の日前1か月以内に作成された公正証書で保証意思が表示されていなければ、保証契約は無効となる
- 4公正証書の作成は、契約締結後1か月以内であれば足りる
- 5保証人が法人である場合にも保証意思宣明公正証書の作成が必要である
解説:民法465条の6により、事業性の貸金等債務の個人保証は、締結日前1か月以内に作成された公正証書で保証意思を表示しなければ効力を生じない。ただし465条の9により主たる債務者が法人である場合のその理事・取締役等、いわゆる経営者保証は適用除外である。法人保証にも適用はない。また個人根保証契約は極度額の定めがなければ無効(465条の2第2項)。(参照:民法465条の2、465条の6、465条の9)
問4保証に関する債権者・主たる債務者の情報提供義務についての次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 1債権者は、保証人から請求がなくても、毎期必ず主たる債務の履行状況を保証人に通知しなければならない
- 2期限の利益喪失の通知を怠った場合でも、債権者は遅延損害金の全額を保証人に請求できる
- ✔主たる債務者は、事業債務の保証を個人に委託するとき、自己の財産・収支の状況等を情報提供しなければならず、これを怠り債権者が悪意・有過失なら保証人は保証契約を取り消しうる
- 4主たる債務者が期限の利益を喪失した場合、債権者は保証人が法人であっても2か月以内に通知しなければならない
- 5委託を受けない保証人に対しても、債権者は履行状況の情報提供義務を負う
解説:民法465条の10の情報提供義務違反があり、債権者がそれを知りまたは知り得たときは、保証人は保証契約を取り消せる。458条の2の履行状況情報提供は『委託を受けた保証人の請求があったとき』に限られる。458条の3の期限の利益喪失通知は個人保証人が対象で、2か月以内に通知しないと通知までに生じた遅延損害金を請求できない。(参照:民法458条の2、458条の3、465条の10)
問5譲渡制限特約が付された債権の譲渡に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 1譲渡制限特約付債権が譲渡された場合、債務者は譲受人の善意悪意を問わず履行を拒めない
- 2譲渡制限特約の存在について譲受人に重過失があっても、債務者は譲渡人に対する弁済をもって譲受人に対抗できない
- 3譲渡制限特約に反する債権譲渡は、譲受人が善意であっても無効である
- 4譲渡制限特約付債権が差し押さえられた場合、債務者は悪意の差押債権者に対し履行を拒める
- ✔預貯金債権に付された譲渡制限特約は、悪意・重過失の譲受人に対して譲渡自体を無効とする効力を持つ
解説:民法466条2項により譲渡制限特約に反する譲渡も原則有効だが、同条3項で悪意・重過失の譲受人には債務者が履行を拒み、譲渡人への弁済等を対抗できる。もっとも466条の5第1項により預貯金債権については例外的に物権的効力が維持され、悪意・重過失の譲受人に対して譲渡は無効となる。ただし同条2項で強制執行による差押えには対抗できない。(参照:民法466条、466条の5)
問6預金者Aが死亡し、相続人が長男B・二男Cの2名(法定相続分各2分の1)である。相続預金の払戻しに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 1共同相続された普通預金債権は、判例上、相続開始と同時に法定相続分に応じて当然分割される
- 2遺産分割前払戻し制度により払い戻された金銭は、遺産分割において当該相続人が取得したものとは扱われない
- ✔Bは、遺産分割前でも、A名義預金額の3分の1にBの法定相続分を乗じた額を、同一金融機関につき150万円を上限として単独で払戻請求できる
- 4遺産分割前の払戻し制度による上限額は、預金者1人につき300万円である
- 5家庭裁判所の保全処分によらなければ、遺産分割前に預金の払戻しを受けることは一切できない
解説:民法909条の2により、各共同相続人は相続開始時の預貯金債権額の3分の1に自己の法定相続分を乗じた額(同一金融機関につき法務省令で定める額=150万円が上限)を単独で行使できる。最大決平成28年12月19日は、普通預金・定期預金債権は当然分割されず遺産分割の対象になるとした。払い戻された分は当該相続人が一部分割により取得したものとみなされる。(参照:民法909条の2、最大決平28.12.19)
問7遺留分に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 1兄弟姉妹にも遺留分が認められる
- ✔遺留分侵害額請求権の行使により生じるのは金銭債権であり、目的物の共有状態は生じない
- 3遺留分侵害額請求権は、相続開始を知った時から3年間行使しないと時効消滅する
- 4相続人が直系尊属のみの場合、遺留分の総額は被相続人の財産の2分の1である
- 5遺留分侵害額請求権は、相続開始の時から10年を経過しても消滅しない
解説:平成30年改正により遺留分減殺請求権は遺留分侵害額請求権となり、効果は金銭債権の発生に一本化された(民法1046条)。時効は侵害を知った時から1年、相続開始から10年の除斥期間(1048条)。兄弟姉妹に遺留分はなく(1042条)、直系尊属のみが相続人の場合の総体的遺留分は3分の1である。(参照:民法1042条、1046条、1048条)
問8抵当権の物上代位に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- ✔抵当権者が賃料債権に物上代位するには、払渡し前に自ら当該債権を差し押さえる必要がある
- 2抵当権者は、賃料債権について、差押えなしに直接取立てができる
- 3抵当権設定登記後に賃借人が取得した賃貸人に対する債権を自働債権とする相殺は、常に抵当権者に対抗できる
- 4抵当不動産が滅失した場合の火災保険金請求権には物上代位できない
- 5物上代位の目的債権が譲渡され第三者対抗要件が備えられた後は、抵当権者はもはや差押えできないとするのが判例である
解説:民法372条・304条により、物上代位は目的債権の払渡しまたは引渡し前に差押えを要する。最判平成10年1月30日は、債権譲渡され対抗要件が具備された後でも抵当権者は差押えにより物上代位できるとした。火災保険金請求権も代位の対象となる。差押えなしの直接取立てはできない。(参照:民法304条、372条、最判平10.1.30)
財務全250問中 8問を掲載
問1A社の当期の売上高は50億円、当期純利益は1.5億円、総資産は40億円(期首期末平均)、自己資本は10億円(同)である。デュポン分解によるROEの構成要素として、最も適切な組合せはどれか。
- 1売上高当期純利益率3.75%、総資産回転率1.25回、財務レバレッジ4.0倍、ROE18.75%
- 2売上高当期純利益率30%、総資産回転率1.25回、財務レバレッジ4.0倍、ROE150%
- 3売上高当期純利益率3.0%、総資産回転率1.25回、財務レバレッジ0.25倍、ROE0.94%
- ✔売上高当期純利益率3.0%、総資産回転率1.25回、財務レバレッジ4.0倍、ROE15.0%
- 5売上高当期純利益率3.0%、総資産回転率0.8回、財務レバレッジ4.0倍、ROE9.6%
解説:売上高当期純利益率=1.5/50=3.0%、総資産回転率=50/40=1.25回、財務レバレッジ=40/10=4.0倍。ROE=3.0%×1.25×4.0=15.0%(=1.5/10)。ROEは収益性・効率性・財務構成の3要素に分解でき、ROEの改善要因がどこにあるかを識別する基本的な分析手法である。(参照:財務諸表分析)
問2B社の売上高が8億円、変動費が4.8億円、固定費が2.4億円である。損益分岐点売上高および経営安全率(安全余裕率)の組合せとして、最も適切なものはどれか。
- 1損益分岐点売上高5.0億円、経営安全率37.5%
- 2損益分岐点売上高6.4億円、経営安全率20.0%
- ✔損益分岐点売上高6.0億円、経営安全率25.0%
- 4損益分岐点売上高7.2億円、経営安全率10.0%
- 5損益分岐点売上高6.0億円、経営安全率33.3%
解説:限界利益=8−4.8=3.2億円、限界利益率=3.2/8=40%。損益分岐点売上高=固定費÷限界利益率=2.4÷0.4=6.0億円。経営安全率=(実際売上高−損益分岐点売上高)÷実際売上高=(8−6)/8=25.0%。営業利益は3.2−2.4=0.8億円で検算できる。(参照:管理会計・CVP分析)
問3間接法によるキャッシュ・フロー計算書の営業活動区分に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 1減価償却費は減算調整項目となる
- 2有形固定資産売却益は加算調整項目となる
- 3棚卸資産の増加額は加算調整項目となる
- 4仕入債務の増加額は減算調整項目となる
- ✔売上債権の増加額は、税引前当期純利益に対する減算調整項目となる
解説:間接法では、売上債権・棚卸資産の増加は資金の減少要因として減算、仕入債務の増加は加算する。減価償却費など非資金費用は加算する。固定資産売却益は投資活動区分に計上されるため、営業区分では減算して消去する。逆に売却損は加算調整となる。(参照:連結キャッシュ・フロー計算書等の作成基準)
問4税効果会計に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 1税率変更があった場合でも、過年度に計上した繰延税金資産の再計算は不要である
- 2繰延税金資産・繰延税金負債は、それぞれ流動・固定に区分して表示する
- 3繰延税金資産の回収可能性は、企業の収益力とは無関係に判断される
- 4将来加算一時差異からは繰延税金資産が生じる
- ✔繰延税金資産は、将来減算一時差異について将来の税金負担額を軽減する効果が認められる範囲で計上する
解説:税効果会計基準により、繰延税金資産は回収可能性(将来の課税所得の見込み、タックスプランニング、将来加算一時差異の十分性)を検討し、その範囲で計上する。将来加算一時差異からは繰延税金負債が生じる。現行基準では繰延税金資産・負債はすべて固定区分(投資その他の資産・固定負債)に表示する。税率変更時は変更後の税率で再計算する。(参照:税効果会計に係る会計基準、企業会計基準第26号)
問5固定資産の減損会計に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 1回収可能価額とは、正味売却価額と使用価値のいずれか低い方の金額である
- 2減損損失を計上した資産について、その後回収可能価額が回復した場合には戻入れを行う
- 3のれんは減損会計の対象とならない
- 4減損損失の測定は、割引前将来キャッシュ・フローと帳簿価額の差額による
- ✔減損の兆候がある資産グループについて、割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合に減損損失を認識する
解説:減損会計は、①兆候の把握、②割引前将来CFの総額と帳簿価額の比較による認識判定、③回収可能価額まで減額する測定、の三段階で行う。回収可能価額は正味売却価額と使用価値のいずれか高い方。日本基準では減損損失の戻入れは認められない(IFRSはのれん以外で戻入れ可)。のれんも減損の対象となる。(参照:固定資産の減損に係る会計基準)
問6収益認識に関する会計基準(企業会計基準第29号)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- ✔収益は、①契約の識別、②履行義務の識別、③取引価格の算定、④履行義務への取引価格の配分、⑤履行義務の充足時の収益認識、という5ステップで認識する
- 2売上に係る割戻し(リベート)は、支払時に販売費として処理する
- 3商品券の未使用部分(非行使部分)は、権利行使されるまで一切収益として認識できない
- 4自社が代理人に該当する取引では、顧客から受け取る対価の総額を収益として計上する
- 5返品が見込まれる場合でも、出荷した全額を収益として計上する
解説:収益認識基準は5ステップモデルを採用する。返品見込分は変動対価として取引価格から控除し返金負債を計上、割戻しも変動対価として売上高から控除する。代理人取引では純額(手数料相当額)で収益計上する。商品券等の非行使部分は、権利行使のパターンに比例して収益認識できる。(参照:企業会計基準第29号)
問7退職給付会計に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 1数理計算上の差異は、発生年度に全額を費用処理しなければならない
- 2勤務費用の算定に用いる割引率は、自社の資金調達コストを用いる
- 3年金資産は退職給付債務と相殺せず、総額で資産計上する
- 4個別財務諸表でも未認識数理計算上の差異は即時に負債認識される
- ✔連結貸借対照表では、退職給付債務から年金資産を控除した積立状況を示す額を、未認識項目を含めて負債(または資産)として計上する
解説:平成24年改正により、連結上は未認識数理計算上の差異・未認識過去勤務費用を、税効果調整のうえその他の包括利益累計額(退職給付に係る調整累計額)として即時認識し、積立状況を示す額をそのまま『退職給付に係る負債(資産)』として計上する。個別財務諸表では従前どおり遅延認識が継続している。割引率は安全性の高い債券の利回りを基礎とする。(参照:企業会計基準第26号)
問8C社の売上高は36.5億円、売上原価は29.2億円、売上債権が6億円、棚卸資産が4億円、仕入債務が5億円である(1年=365日、棚卸資産・仕入債務の回転日数は売上原価ベース)。キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)として最も近いものはどれか。
- 1約72日
- ✔約48日
- 3約25日
- 4約35日
- 5約60日
解説:売上債権回転日数=6÷36.5×365=60日。棚卸資産回転日数=4÷29.2×365=50日。仕入債務回転日数=5÷29.2×365=62.5日。CCC=60+50−62.5≒47.5日、すなわち約48日。CCCは仕入代金支払から売上代金回収までに要する日数を示し、短いほど運転資金負担が軽い。(参照:運転資本分析)
税務全250問中 8問を掲載
問1期末資本金5,000万円の中小法人A社(3月決算)の交際費等の損金算入に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- ✔年800万円の定額控除限度額までの損金算入と、接待飲食費の50%相当額の損金算入のいずれか有利な方を選択できる
- 2中小法人は交際費等の全額が損金算入される
- 3接待飲食費の50%損金算入と定額控除800万円は重複して適用できる
- 41人当たり5,000円以下の飲食費は、いかなる場合も交際費等に該当する
- 5専ら従業員のための運動会・慰安旅行の費用は交際費等に該当する
解説:中小法人は①定額控除限度額800万円まで全額損金算入、②接待飲食費の50%損金算入のいずれかを選択適用する(重複適用不可)。一定額以下の社外飲食費は交際費等から除外され、令和6年4月1日以後支出分はその基準額が1人当たり5,000円以下から1万円以下に引き上げられた。福利厚生費に該当する社内行事費用は交際費等から除かれる。(参照:措置法61条の4)
問2役員給与の損金算入に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 1定期同額給与の改定は、期中であればいつでも自由に行える
- 2役員退職給与は、不相当に高額であっても全額損金算入される
- 3事前確定届出給与は、届出額と異なる金額を支給しても届出額までは損金算入できる
- 4業績連動給与は、非同族会社・同族会社を問わずすべての法人が適用できる
- ✔定期同額給与、事前確定届出給与、業績連動給与のいずれかに該当しない役員給与は、原則として損金不算入となる
解説:法人税法34条により、役員給与は定期同額給与・事前確定届出給与・業績連動給与のいずれかに該当し、かつ不相当に高額でない部分のみ損金算入できる。定期同額給与の改定は原則として事業年度開始から3か月以内の定時改定等に限られる。事前確定届出給与は届出どおりの支給でなければ全額損金不算入。業績連動給与は同族会社(非同族の完全子会社等を除く)には適用できない。(参照:法人税法34条)
問3青色欠損金の繰越控除に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか(2026年8月時点)。
- 1欠損金の繰越期間は9年である
- 2欠損金の繰戻し還付は、いかなる法人にも認められていない
- ✔欠損金の繰越期間は10年であり、中小法人等は所得金額の100%まで控除できる
- 4大法人も所得金額の100%まで控除できる
- 5繰越控除の適用に帳簿書類の保存は不要である
解説:平成30年4月1日以後開始事業年度に生じた欠損金の繰越期間は10年。控除限度は原則として所得金額の50%だが、資本金1億円以下の中小法人等や設立後7年以内の新設法人等は100%控除できる。適用には欠損事業年度の青色申告書提出と、その後の連続申告・帳簿書類の保存が必要。欠損金の繰戻し還付は中小企業者等について認められている。(参照:法人税法57条、80条)
問4受取配当等の益金不算入に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 1関連法人株式等(持株比率3分の1超100%未満)からの配当は50%が益金不算入となる
- 2外国子会社からの配当は全額が益金算入される
- 3非支配目的株式等(持株比率5%以下)からの配当は50%が益金不算入となる
- 4その他の株式等(5%超3分の1以下)からの配当は全額が益金不算入となる
- ✔完全子法人株式等(持株比率100%)からの配当は、負債利子控除なしで全額が益金不算入となる
解説:益金不算入割合は、完全子法人株式等100%(負債利子控除なし)、関連法人株式等100%(配当額の4%等を負債利子として控除)、その他の株式等50%、非支配目的株式等20%である。外国子会社(持株25%以上等)配当は95%が益金不算入となる。(参照:法人税法23条、23条の2)
問5減価償却および少額資産の取扱いに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 1法人の減価償却費は、償却限度額まで損金経理をしなくても自動的に損金算入される
- 2取得価額20万円未満の資産は、必ず一時に損金算入しなければならない
- 3建物附属設備・構築物は現在も定率法を選択できる
- 4取得価額10万円未満の資産は資産計上が義務づけられている
- ✔中小企業者等は、取得価額30万円未満の減価償却資産について、年間合計300万円を限度に取得時に全額損金算入できる
解説:措置法67条の5の少額減価償却資産の特例により、中小企業者等は30万円未満の資産を年300万円を上限に即時損金算入できる(貸付用主要事業以外は除外)。20万円未満は3年一括償却の選択も可能。法人税では損金経理が要件(任意償却)。建物、建物附属設備、構築物は定額法のみとなっている。10万円未満は少額資産として損金算入できる。(参照:法人税法31条、措置法67条の5)
問6金銭債権の貸倒損失に関する法人税法上の取扱いについて、最も適切なものはどれか。
- 1貸倒引当金は、すべての法人が繰入れできる
- 2取引停止後1年以上経過した売掛債権は、いかなる場合も全額を貸倒損失にできる
- ✔債務者の債務超過状態が相当期間継続し、弁済を受けられないことが明らかな場合、書面により債務免除をすれば貸倒損失として損金算入できる
- 4担保物がある債権でも、処分前に全額を貸倒損失として計上できる
- 5会社更生法による更生計画認可決定で切り捨てられた金額は、損金経理をしなければ損金算入できない
解説:法人税基本通達9−6−1〜9−6−3が定める貸倒れは、①法律上の貸倒れ(更生計画認可等による切捨て。損金経理は不要で当然に損金)、②事実上の貸倒れ(全額回収不能が明らかな場合、担保処分後、損金経理要件)、③形式上の貸倒れ(継続的取引先で取引停止後1年以上経過した売掛債権につき備忘価額を付して損金経理)の3類型。貸倒引当金は中小法人・銀行等に限定されている。(参照:法人税基本通達9−6−1〜3、法人税法52条)
問7資本金3,000万円の中小法人B社の当期(2026年8月時点の制度を前提)の所得金額が1,200万円である場合の法人税額(地方法人税は考慮しない)として、最も近いものはどれか。なお、年800万円以下の部分の軽減税率は15%、それ超は23.2%とする。
- 1約180.0万円
- 2約240.0万円
- ✔約212.8万円
- 4約278.4万円
- 5約120.0万円
解説:800万円×15%=120万円、(1,200−800)万円×23.2%=400万円×23.2%=92.8万円。合計212.8万円。中小法人の年800万円以下の部分に対する軽減税率(本則19%、措置法による特例15%)は適用期限が延長されてきた措置であり、適用要件・期限の確認が必要である。(参照:法人税法66条、措置法42条の3の2)
問8個人の所得区分に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 1土地・建物の譲渡所得は総合課税である
- 2上場株式の譲渡損失は、給与所得と損益通算できる
- ✔土地・建物の譲渡による所得は分離課税の譲渡所得となり、所有期間5年超であれば長期譲渡所得として税率20.315%(所得税・復興特別所得税・住民税の合計)が適用される
- 4生命保険の満期保険金(一時金)は雑所得に区分される
- 5土地・建物の長期・短期の判定は、譲渡日における所有期間が5年を超えるかで判定する
解説:土地建物等の譲渡所得は申告分離課税で、長期(譲渡年の1月1日時点で所有期間5年超)は20.315%、短期は39.63%。判定基準日は譲渡日ではなく譲渡年の1月1日である点に注意。上場株式の譲渡損失は他の所得と損益通算できず、上場株式等の配当所得等との通算および3年間の繰越控除が可能。満期保険金(一時金)は一時所得。(参照:措置法31条、32条、37条の12の2)
年金・その他全249問中 8問を掲載
問1老齢厚生年金の繰上げ・繰下げに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか(2026年8月時点)。
- 1繰上げの減額率は1か月当たり0.5%で、最大30%減額される
- 2繰下げ待機中に受給権者が死亡した場合、遺族は増額された年金を受け取れる
- 3繰下げは最長70歳までであり、増額率は最大42%である
- 4老齢基礎年金と老齢厚生年金の繰上げは、別々に行うことができる
- ✔繰下げは最長75歳まで可能で、増額率は1か月当たり0.7%(最大84%)である
解説:令和4年4月から繰下げ上限が75歳に引き上げられ、増額率0.7%/月で最大120か月=84%。繰上げの減額率は昭和37年4月2日以後生まれの者は0.4%/月(60歳繰上げで最大24%)。繰上げは老齢基礎年金と老齢厚生年金を同時に行う必要があるが、繰下げは別々に選択できる。待機中に死亡した場合は未支給年金として本来受給できた額が遺族に支給される(増額はされない)。(参照:厚生年金保険法44条の3等)
問2在職老齢年金に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- ✔基本月額と総報酬月額相当額の合計が支給停止調整額を超えると、超過額の2分の1に相当する額が支給停止される
- 2支給停止の対象となるのは老齢基礎年金である
- 3在職中に厚生年金保険料を納めても、年金額に反映されることはない
- 4超過額の全額が支給停止される
- 570歳以上の在職者は在職老齢年金の対象とならない
解説:在職老齢年金は、基本月額(加給年金額を除く老齢厚生年金の月額)と総報酬月額相当額の合計が支給停止調整額(令和7年度51万円)を超える場合、超過額の2分の1が支給停止される。停止対象は老齢厚生年金のみで、老齢基礎年金は停止されない。70歳以上の在職者も対象(保険料負担はなし)。在職定時改定により毎年10月に年金額が改定される。(参照:厚生年金保険法46条)
問3遺族厚生年金に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 1遺族基礎年金は、子のない配偶者にも支給される
- 2子のない30歳未満の妻に対する遺族厚生年金は、終身支給される
- 3中高齢寡婦加算は、夫の死亡時に40歳未満であった妻にも支給される
- ✔遺族厚生年金の額は、原則として死亡した者の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3相当額である
- 5遺族の範囲に父母や祖父母は含まれない
解説:遺族厚生年金の額は報酬比例部分の4分の3。遺族の範囲は配偶者・子・父母・孫・祖父母の順で、夫・父母・祖父母は55歳以上(支給は60歳から)。子のない30歳未満の妻は5年間の有期給付。中高齢寡婦加算は夫の死亡時に40歳以上65歳未満で子のない妻等が対象。遺族基礎年金は『子のある配偶者』または『子』にのみ支給される。(参照:国民年金法37条、厚生年金保険法58条〜)
問4加給年金額および振替加算に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 1加給年金額の対象となる子は、18歳到達年度末までに限られ障害のある子は対象外である
- 2振替加算は昭和41年4月2日以後生まれの者にも支給される
- 3配偶者が老齢厚生年金(被保険者期間20年以上)を受給していても、加給年金は支給停止されない
- ✔加給年金額は、厚生年金保険の被保険者期間が20年以上ある者に、65歳未満の配偶者または一定の子がいる場合に加算される
- 5加給年金は配偶者が70歳に達するまで支給される
解説:加給年金は厚生年金の被保険者期間が原則20年以上の者に、生計維持関係にある65歳未満の配偶者や18歳到達年度末までの子(障害等級1・2級の子は20歳未満)がいる場合に加算される。配偶者が20年以上の老齢厚生年金等を受給できる場合は支給停止。配偶者が65歳に達すると加給年金は終了し、代わりに配偶者の老齢基礎年金に振替加算が付くが、昭和41年4月2日以後生まれの者には振替加算はない。(参照:厚生年金保険法44条)
問5国民年金の保険料免除・納付猶予に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 1全額免除期間は年金額に一切反映されない
- 2産前産後期間の保険料免除期間は、年金額の計算上未納扱いとなる
- 3学生納付特例期間は、年金額に2分の1として反映される
- ✔全額免除期間は、老齢基礎年金の年金額の計算上、2009年4月以後の期間については2分の1として反映される
- 5保険料の追納は、承認を受けた期間の翌月から5年以内であればいつでも加算金なしで行える
解説:全額免除期間は2009年3月以前は3分の1、2009年4月以後は2分の1が年金額に反映される(国庫負担割合の引上げによる)。学生納付特例・納付猶予期間は受給資格期間には算入されるが年金額には反映されない。追納は承認月の前10年以内が対象で、3年度目以降は加算額が上乗せされる。産前産後期間の免除は保険料納付済期間として満額扱いとなる。(参照:国民年金法27条、90条等)
問6障害基礎年金に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 120歳前の傷病による障害基礎年金には、所得による支給制限はない
- ✔障害等級1級の障害基礎年金額は、2級の額の1.25倍である
- 3障害基礎年金は障害等級3級でも支給される
- 4初診日の前日において、直近1年間に保険料の未納がなければ、いかなる場合も保険料納付要件を満たす
- 5障害認定日は、初診日から1年3か月を経過した日である
解説:障害基礎年金は1級が2級の1.25倍で、子の加算もある。3級は障害厚生年金のみ(障害手当金も厚生年金)。納付要件は原則として初診日前日時点で被保険者期間の3分の2以上が納付済・免除であること、または直近1年に未納がないこと(特例、初診日が令和8年3月末までなど期限あり)。20歳前傷病による障害基礎年金には所得制限がある。障害認定日は初診日から1年6か月を経過した日または治った日。(参照:国民年金法30条、30条の4)
問7確定拠出年金(DC)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- ✔個人型確定拠出年金(iDeCo)の掛金は、全額が小規模企業共済等掛金控除の対象となる
- 260歳前でも、いつでも自由に中途解約して引き出せる
- 3老齢給付金を一時金で受け取る場合、一時所得として課税される
- 4iDeCoの掛金は生命保険料控除の対象となる
- 5運用益は、受給時まで課税が繰り延べられるのではなく毎年課税される
解説:iDeCoの掛金は全額が小規模企業共済等掛金控除として所得控除される。運用益は非課税で受給時まで課税が繰り延べられる。老齢給付金は一時金なら退職所得控除、年金なら公的年金等控除の対象。原則60歳まで引き出せず、通算加入者等期間により受給開始年齢が異なる。企業型DCとiDeCoの併用要件も改正されている。(参照:確定拠出年金法、所得税法75条)
問8金融機関が相続手続を行う際の実務対応に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 1被相続人の死亡を知った時点でも、口座を取引停止にすることは法律上禁止されている
- 2公正証書遺言は家庭裁判所の検認が必要である
- 3遺言執行者が指定されていても、相続人全員の同意がなければ払戻しに応じられない
- 4自筆証書遺言はすべて家庭裁判所の検認が不要である
- ✔法定相続情報一覧図の写しを提出させることで、戸籍謄本等の束の提出に代えることができる
解説:法定相続情報証明制度により、法務局が交付する一覧図の写しで相続関係を証明できる。自筆証書遺言は原則検認が必要だが、法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用したものは検認不要。公正証書遺言も検認不要。遺言執行者がある場合、相続財産の管理・処分権限は遺言執行者に専属する(民法1012条・1013条)。金融機関は死亡を知れば口座を凍結するのが実務である。(参照:民法1004条、1012条、法定相続情報証明制度)