分野別問題(解説つき)

診療放射線技師国家試験|分野別 問題インデックス

最終更新:2026年8月11日

診療放射線技師国家試験は14科目から出題されます。分野別に代表問題を掲載しています。全1000問をまとめて解くならトレーナーへ進んでください。

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放射線物理学全108問中 8問を掲載

問1
診断用X線管において、加速された電子の運動エネルギーがX線に変換される割合はおよそどれか。
  • 10.01 %
  • 20.1 %
  • ✔1 %
  • 450 %
  • 510 %
解説:タングステンターゲット・管電圧100kV程度では、X線への変換効率は約1%(概算式:効率≒1.1×10⁻⁹・Z・V)で、残る約99%は熱に変わる。このため陽極には高融点のタングステンが用いられ、回転陽極方式で熱を分散させる。
【誤答の検討】0.01%や0.1%は過小、10%・50%は過大。効率は η≒1.1×10⁻⁹・Z・V で表され、100 kVのタングステン(Z=74)でおよそ0.8〜1%。50%もの効率があれば陽極の冷却は不要になる。
【関連知識・出題ポイント】効率が管電圧に比例することから、高管電圧ほど効率が上がる。ただし残り99%は熱になるため、回転陽極・大熱容量・冷却が装置設計の要となる。モリブデン(Z=42)はタングステンより効率が低い点も押さえる。
問2
管電圧124kVのX線管から発生する制動X線の最短波長はおよそいくらか。
  • ✔0.01 nm
  • 20.1 nm
  • 310 nm
  • 41 nm
  • 50.001 nm
解説:デュエン・ハントの法則より λmin(nm)=1.24/V(kV)。1.24/124=0.01 nm となる。最短波長は管電圧のみで決まり、管電流やターゲット元素には依存しない点が頻出。
【誤答の検討】0.001 nmは1240 kV相当、0.1 nmは12.4 kV相当で桁が合わない。1 nm・10 nmは紫外〜軟X線領域で診断用X線ではありえない。
【関連知識・出題ポイント】λmin(nm)=1.24/V(kV)、E(keV)=1.24/λ(nm) は同じ式の裏表。最短波長=最大エネルギー=管電圧の値(keV)であり、管電流やターゲット元素、ろ過には一切依存しないことが繰り返し問われる。
問3
光電効果の発生確率について正しいのはどれか。
  • ✔原子番号の3〜4乗に比例する
  • 2電子密度のみで決まる
  • 31.02 MeV 以上で生じる
  • 4光子エネルギーの2乗に比例する
  • 5原子番号の1乗に比例する
解説:光電効果の断面積は概ね Z³〜⁴/E³ に比例する。低エネルギー・高原子番号ほど起こりやすく、造影剤(ヨウ素・バリウム)やX線写真のコントラスト形成、遮蔽材に鉛を用いる根拠となる。
【誤答の検討】Zの1乗では造影剤のコントラストを説明できない。エネルギーの2乗に「比例」ではなく3乗に「反比例」。電子密度依存はコンプトン散乱の性質。1.02 MeV以上は電子対生成のしきい値。
【関連知識・出題ポイント】τ∝Z³〜⁴/E³。ヨウ素(Z=53)やバリウム(Z=56)が造影剤に、鉛(Z=82)が遮蔽材に使われる根拠。骨(実効Z 13.8)が軟部組織(7.4)より白く写るのもこの効果である。
問4
コンプトン散乱について正しいのはどれか。
  • 1原子番号の3乗に比例する
  • 2散乱光子のエネルギーは入射光子より大きい
  • 3しきいエネルギーは1.02 MeVである
  • 4反跳電子は放出されない
  • ✔単位質量当たりの電子数にほぼ比例する
解説:コンプトン散乱は軌道電子1個ごとに起こるため、確率は単位質量当たりの電子数(電子密度)にほぼ比例し、原子番号への依存はほとんどない。水と軟部組織で減弱差がつきにくいのはこのためである。
【誤答の検討】Z³比例は光電効果。1.02 MeVは電子対生成のしきい値。散乱光子は必ずエネルギーを失うので入射より大きくなることはない。反跳電子は必ず放出される。
【関連知識・出題ポイント】電子密度は水素以外のほとんどの元素で約3×10²³個/g とほぼ一定。このため水と軟部組織のコンプトン減弱がほぼ等しく、高管電圧撮影でコントラストが下がる。散乱線=画質低下の主因という臨床的意味も重要。
問5
電子対生成が生じるための光子の最低エネルギーはどれか。
  • 12.04 MeV
  • ✔1.02 MeV
  • 34.00 MeV
  • 41.33 MeV
  • 50.511 MeV
解説:電子対生成は原子核の電場中で光子が電子と陽電子に変わる現象で、静止質量エネルギー0.511 MeV×2=1.02 MeVがしきい値。生じた陽電子は消滅して511 keVの消滅放射線2本を放出する。
【誤答の検討】0.511 MeVは電子1個分の静止質量エネルギーで半分。1.33 MeVは⁶⁰Coのγ線、2.04 MeVは三重項生成(電子場中)のしきい値、4 MeVは無関係。
【関連知識・出題ポイント】1.02 MeV=0.511×2。しきい値を超えた分が電子と陽電子の運動エネルギーに配分される。断面積はZ²に比例し高エネルギーで増加するため、高エネルギー治療室の遮蔽で考慮される。
問6
陽電子消滅により生じる消滅放射線について正しいのはどれか。
  • 11本だけ放出される
  • 2エネルギーは1.02 MeVである
  • 3中性子を伴う
  • 4半減期をもつ
  • ✔ほぼ180度の方向に2本放出される
解説:静止した陽電子と電子が対消滅すると、運動量保存則により511 keVの光子がほぼ180度反対方向に2本放出される。PETはこの同時計数(コインシデンス)を利用して位置情報を得ている。
【誤答の検討】1.02 MeVは2本合計の値で、1本は511 keV。1本だけでは運動量が保存しない。中性子は無関係。消滅放射線は瞬時の現象で半減期はもたない。
【関連知識・出題ポイント】PETは511 keV 2本の同時計数(コインシデンス)で応答線(LOR)を決める。陽電子が熱化するまでに進む距離(陽電子飛程)と180度からのずれ(非共線性)がPETの空間分解能の物理的限界を作る。
問7
特性X線の発生に関して正しいのはどれか。
  • 1制動放射と同じ機構である
  • ✔ターゲット物質に固有のエネルギーをもつ
  • 3連続スペクトルを示す
  • 4管電圧のみで最大エネルギーが決まる
  • 5原子核から放出される
解説:特性X線は内殻電子が弾き出された空孔に外殻電子が遷移する際に放出され、そのエネルギーは軌道のエネルギー差=物質固有の値をとる。タングステンのKα線は約59 keV、モリブデンは約17.5 keVである。
【誤答の検討】連続スペクトルは制動X線の性質。最大エネルギーが管電圧で決まるのも制動X線。原子核由来ならγ線。制動放射は原子核の電場による減速で機構が異なる。
【関連知識・出題ポイント】特性X線の発生には管電圧>内殻結合エネルギーが必要。タングステンK殻は約69.5 keVなので、70 kV未満ではK特性X線は出ない。Kα(59 keV)とKβ(67 keV)の値も頻出。
問8
半価層について正しいのはどれか。
  • 1管電圧に依存しない
  • 2単位はcm⁻¹である
  • 3線質が硬いほど小さくなる
  • 4第1半価層は第2半価層より常に大きい
  • ✔線量率を1/2にする物質の厚さである
解説:半価層(HVL)は入射線量(率)を1/2に減弱させる物質厚で、線質の指標。線質が硬いほどHVLは大きくなり、連続X線ではビーム硬化により第1半価層<第2半価層となる。μ=0.693/HVL の関係がある。
【誤答の検討】半価層は管電圧・ろ過に強く依存する。線質が硬いほどHVLは大きくなる。連続X線ではビーム硬化により第1HVL<第2HVLとなる。単位はcmで、cm⁻¹は線減弱係数。
【関連知識・出題ポイント】µ=0.693/HVL、TVL=2.303/µ=3.32×HVL。均等度=第1HVL/第2HVLで、単色X線では1、連続X線では1未満。診断用装置の総ろ過は2.5 mmAl当量以上が求められる。

放射化学全54問中 8問を掲載

問1
半減期6時間の核種が24時間後に残存する放射能は初期値の何倍か。
  • 11/8
  • 21/32
  • ✔1/16
  • 41/4
  • 51/2
解説:24÷6=4半減期経過。残存率は(1/2)⁴=1/16。⁹⁹ᵐTcの半減期が6.01時間であることと合わせて頻出の計算である。
問2
⁹⁹Mo-⁹⁹ᵐTcジェネレータの親娘関係はどれか。
  • 1平衡は成立しない
  • ✔過渡平衡
  • 3secular equilibrium
  • 4永続平衡
  • 5逆平衡
解説:親⁹⁹Mo(約66時間)>娘⁹⁹ᵐTc(6.01時間)だが差が極端ではないため過渡平衡となる。平衡到達は約23時間(ミルキング後)で、以後娘は親の半減期で減衰する。永続平衡は親≫娘(例:²²⁶Ra-²²²Rn)の場合。
問3
⁹⁹ᵐTcジェネレータのミルキングに用いる溶液はどれか。
  • 1クエン酸溶液
  • 2蒸留水
  • 3塩酸
  • 4エタノール
  • ✔生理食塩液
解説:アルミナカラムに吸着した⁹⁹Moから、生理食塩液を通して過テクネチウム酸ナトリウム(Na⁹⁹ᵐTcO₄⁻)を溶出させる。溶出液はアルミニウムイオン・⁹⁹Mo破過・放射化学的純度の品質管理が必要である。
問4
比放射能の定義として正しいのはどれか。
  • 1単位体積当たりの放射能
  • 2標識化合物の純度
  • ✔単位質量当たりの放射能
  • 4単位時間当たりの壊変数
  • 5全放射能に対する目的核種の割合
解説:比放射能は単位質量(またはモル)当たりの放射能(Bq/g、Bq/mol)。放射化学的純度は化学形における目的核種の割合、放射性核種純度は全放射能に占める目的核種の割合で、区別して覚える。
問5
放射性医薬品の放射化学的純度の測定法として一般的なのはどれか。
  • 1比重測定
  • ✔薄層クロマトグラフィ
  • 3pH測定
  • 4液体シンチレーション計数
  • 5ガンマ線スペクトロメトリ
解説:放射化学的純度は薄層クロマトグラフィ(TLC)やペーパークロマトグラフィで化学形ごとに分離し、Rf値と放射能分布から求める。ガンマ線スペクトロメトリは放射性核種純度(⁹⁹Mo破過など)の評価に用いる。
問6
¹⁸Fの半減期に最も近いのはどれか。
  • 113時間
  • 220分
  • ✔110分
  • 46時間
  • 52分
解説:¹⁸Fの半減期は約109.8分(約110分)。サイクロトロンで¹⁸O(p,n)¹⁸F反応により製造され、FDG-PETに用いられる。¹¹Cは約20分、¹³Nは約10分、¹⁵Oは約2分と短い。
問7
半減期30年の核種の壊変定数はおよそどれか。
  • 130 /年
  • 20.231 /年
  • 30.0693 /年
  • 42.31 /年
  • ✔0.0231 /年
解説:λ=0.693/T₁/₂=0.693/30≒0.0231 /年。平均寿命τ=1/λ≒43.3年で、半減期の約1.44倍になる。¹³⁷Csの半減期は30.1年である。
問8
1 Bqの定義として正しいのはどれか。
  • 13.7×10¹⁰壊変/秒
  • ✔1秒間に1壊変
  • 31 J/kg
  • 41分間に1壊変
  • 51秒間に1個のγ線放出
解説:ベクレル(Bq)は毎秒1壊変。旧単位キュリー(Ci)は3.7×10¹⁰ Bqで、1 mCi=37 MBqの換算は核医学で頻出である。壊変数と放出光子数は分岐比により異なる点に注意。

放射線計測学全82問中 8問を掲載

問1
空気中で1イオン対を生成するのに必要な平均エネルギー(W値)はおよそどれか。
  • 124 eV
  • 254 eV
  • 3100 eV
  • 413.6 eV
  • ✔34 eV
解説:乾燥空気のW値は33.97 eV/イオン対(約34 eV)で、放射線の種類やエネルギーにほとんど依存しない。電離電荷から吸収線量を求める電離箱線量計の基礎定数である。
【誤答の検討】13.6 eVは水素原子の電離エネルギーそのもの。24 eVは希ガスのW値に近いが空気の値ではない。54 eV・100 eVは過大。
【関連知識・出題ポイント】空気のW値=33.97 eV/イオン対。電離エネルギー(酸素12.1 eV、窒素15.6 eV)より大きいのは、励起にもエネルギーが費やされるため。W/e=33.97 J/Cは照射線量(C/kg)→空気吸収線量(Gy)の換算に用いる。
問2
GM計数管について正しいのはどれか。
  • 1消滅ガスは不要である
  • 2印加電圧により出力波高が大きく変わる
  • 3エネルギー分析ができる
  • 4分解時間が数µsと短い
  • ✔入射放射線の種類によらず出力波高がほぼ一定である
解説:GM領域では全計数管内に放電が広がるため、入射放射線の種類・エネルギーによらず出力波高はほぼ一定。したがってエネルギー分析はできない。分解時間は100〜数百µsと長く、高計数率では数え落としや窒息現象が生じる。
【誤答の検討】全放電が起こるため出力波高は一定で、エネルギー分析はできない。分解時間は100〜数百µsと長い。プラトー領域では印加電圧を変えても計数率はほぼ一定。消滅(クエンチング)ガスは放電停止に不可欠。
【関連知識・出題ポイント】GM管の長所:高感度、増幅回路が簡単、安価。短所:エネルギー分析不可、分解時間が長く高計数率で数え落とし・窒息現象、γ線検出効率が低い(1%程度)。β線の表面汚染検査に最適な用途である。
問3
NaI(Tl)シンチレータの特徴で正しいのはどれか。
  • 1エネルギー分解能は半導体検出器より優れる
  • 2発光量が少ない
  • 3原子番号が低くγ線検出効率が低い
  • 4蛍光減衰時間はns程度である
  • ✔潮解性がある
解説:NaI(Tl)は潮解性があるため密封して使用する。発光量が多くγ線検出効率が高い一方、エネルギー分解能(¹³⁷Csで約7%)はGe半導体検出器(0.2%程度)に劣る。蛍光減衰時間は約230 ns。
【誤答の検討】エネルギー分解能はGe半導体(0.2%程度)に大きく劣る(7%程度)。発光量はむしろ多い。原子番号が高く(I=53)γ線検出効率は高い。蛍光減衰時間は約230 nsでns程度ではない。
【関連知識・出題ポイント】NaI(Tl):密度3.67、実効原子番号約50、発光波長415 nm(PMTの感度と整合)、減衰時間230 ns、潮解性あり。ガンマカメラやシンチレーションサーベイメータの標準的検出器である。
問4
エネルギー分解能が最も優れる検出器はどれか。
  • 1GM計数管
  • 2比例計数管
  • 3NaI(Tl)シンチレーション検出器
  • ✔高純度Ge半導体検出器
  • 5電離箱
解説:半導体では1電子正孔対の生成に要するエネルギー(Geで約2.9 eV)が小さく生成キャリア数が多いため統計変動が小さく、エネルギー分解能が最も高い。核種同定(γ線スペクトロメトリ)に用いられる。
【誤答の検討】GM計数管は原理的にエネルギー分析不可。電離箱も波高分析には用いない。比例計数管はエネルギー分析可能だが分解能は低い。NaI(Tl)は7%程度でGeに及ばない。
【関連知識・出題ポイント】分解能は1事象あたりの生成キャリア数の統計変動で決まる。1対の生成に要するエネルギーはGe約2.9 eV、Si約3.6 eV、気体約30 eV、NaI(Tl)は実質数十eV。Geが桁違いに多くのキャリアを生むため最も分解能が高い。
問5
熱ルミネセンス線量計(TLD)の素子として用いられるのはどれか。
  • 1ポリスチレン
  • ✔フッ化リチウム
  • 3硫酸鉄水溶液
  • 4臭化銀
  • 5銀活性リン酸塩ガラス
解説:TLDにはLiF:Mg,TiやCaSO₄:Tmなどが用いられ、LiFは実効原子番号8.2と組織等価性に優れる。銀活性リン酸塩ガラスは蛍光ガラス線量計(RPLD)、硫酸鉄水溶液はフリッケ線量計の素子である。
【誤答の検討】銀活性リン酸塩ガラスは蛍光ガラス線量計(RPLD)、硫酸鉄水溶液はフリッケ線量計、臭化銀は写真フィルム、ポリスチレンはプラスチックシンチレータの素材。
【関連知識・出題ポイント】TLD素子:LiF:Mg,Ti(実効原子番号8.2で組織等価性に優れる)、CaSO₄:Tm(高感度だが実効Z 15.3)、Li₂B₄O₇(Z 7.4)、BeO。加熱により発光し、読み取ると情報は消える(再利用可)。
問6
繰り返し読み取りが可能で線量情報が消えにくい個人線量計はどれか。
  • 1フィルムバッジ
  • 2熱ルミネセンス線量計
  • 3電離箱式ポケット線量計
  • 4化学線量計
  • ✔蛍光ガラス線量計
解説:蛍光ガラス線量計(RPLD)は紫外線励起によるラジオフォトルミネセンスを利用し、読み取りで信号が消えないため繰り返し測定・再確認ができる。TLDは加熱読み取りで信号が消失する。
【誤答の検討】TLDは加熱読み取りで信号が消失し1回のみ。フィルムバッジは現像で不可逆。電離箱式ポケット線量計は読み取り後リセット。化学線量計は個人線量計ではない。
【関連知識・出題ポイント】蛍光ガラス線量計(RPLD)は紫外線パルス励起によるラジオフォトルミネセンスを利用し、読み取っても銀の発光中心が消えないため再読み取りが可能。フェーディングも小さく長期・累積管理に適する。
問7
ブラッグ・グレイの空洞理論が成り立つ条件はどれか。
  • 1空洞壁が空気等価である必要はない
  • 2空洞内が真空である
  • 3空洞が二次電子の飛程より十分大きい
  • 4空洞内で光子の相互作用が支配的である
  • ✔空洞が二次電子の飛程に比べ十分小さい
解説:空洞(気体)は二次電子の飛程に比べ十分小さく、電子フルエンスを乱さないことが条件。これにより空洞内の吸収線量から壁物質の吸収線量を阻止能比により換算できる。標準計測法における電離箱の理論的基礎である。
【誤答の検討】空洞が大きいと空洞内で光子相互作用が起こり電子フルエンスを乱す。真空では電離が起こらない。壁材は空気等価または既知の物質である必要がある。
【関連知識・出題ポイント】条件:①空洞は二次電子の飛程に比べ十分小さく電子フルエンスを乱さない、②空洞内で光子の相互作用が無視できる、③壁内で電子平衡が成立。Dwall=Dair×(S/ρ)wall,air で換算する。
問8
空気カーマについて正しいのはどれか。
  • 1荷電粒子にのみ定義される
  • ✔光子が空気中の二次電子に与えた運動エネルギーの初期値の総和
  • 3二次電子が空気中で付与したエネルギー
  • 4空気の電離電荷量
  • 5単位はC/kgである
解説:カーマ(kerma)は非荷電粒子が単位質量の物質中で生じた荷電粒子の初期運動エネルギーの総和で、単位はGy。吸収線量が実際に付与されたエネルギーであるのに対し、カーマは移行した時点で定義される点が異なる。
【誤答の検討】二次電子が実際に付与したエネルギーは吸収線量。電離電荷量は照射線量。単位はGy(J/kg)でC/kgではない。カーマは非荷電粒子(光子・中性子)に対して定義される。
【関連知識・出題ポイント】カーマ(kerma)=kinetic energy released per unit mass。K=Ψ×(µtr/ρ)。電子平衡下ではD=K(1−g)≒K。照射線量に代わる現在の標準量で、診断領域の患者線量評価(入射表面空気カーマ)に用いる。

放射線生物学全82問中 8問を掲載

問1
X線による生物学的効果のうち、間接作用について正しいのはどれか。
  • 1希釈効果はみられない
  • 2高LET放射線で寄与が大きい
  • ✔水の放射線分解で生じたラジカルが関与する
  • 4DNAに直接エネルギーが付与される
  • 5酸素効果を示さない
解説:間接作用は水の電離で生じるOHラジカルなどがDNAを傷害する機構で、低LET放射線では全体の約2/3を占める。酸素効果・希釈効果・保護効果(ラジカルスカベンジャー)がみられるのが特徴である。
【誤答の検討】DNAへの直接的なエネルギー付与は直接作用。高LET放射線では飛跡が密で直接作用の寄与が大きい。間接作用は酸素効果・希釈効果を「示す」のが特徴。
【関連知識・出題ポイント】低LET放射線では間接作用が約2/3を占める。H₂O→H₂O⁺+e⁻→・OH、H・、水和電子。・OHが最も反応性が高くDNA損傷の主因。間接作用の証拠=希釈効果・酸素効果・温度効果・保護効果(スカベンジャー)。
問2
酸素増感比(OER)について正しいのはどれか。
  • 1低酸素細胞は放射線感受性が高い
  • 2γ線では1である
  • 3OERは常に1未満である
  • ✔X線では約2.5〜3である
  • 5高LET放射線ほど大きい
解説:OERは低酸素下と好気下で同一効果を与える線量の比。X線・γ線など低LET放射線で2.5〜3、α線など高LET放射線では1に近づく。腫瘍内の低酸素細胞が放射線抵抗性を示す根拠である。
【誤答の検討】低酸素細胞はむしろ抵抗性。OERは1以上で1未満にはならない。γ線も低LETなので2.5〜3。高LETほどOERは1に近づき「小さく」なる。
【関連知識・出題ポイント】OER=低酸素下の必要線量/好気下の必要線量。X線・γ線で2.5〜3、中性子で約1.6、α線・重粒子線でほぼ1。酸素分圧は約20 mmHgで飽和し、それ以下で急激に感受性が低下する(酸素固定仮説)。
問3
細胞周期のうち放射線感受性が最も高い時期はどれか。
  • 1S期後期
  • 2G1期初期
  • 3G0期
  • 4G2期初期
  • ✔M期
解説:一般にM期と G1/S境界〜G2後期〜M期で感受性が高く、S期後期が最も抵抗性を示す。分割照射により細胞周期の再分布(redistribution)が起こり、抵抗期の細胞が感受性期に移動することが治療効果に寄与する。
【誤答の検討】S期後期は最も抵抗性(相同組換え修復が働き、SH化合物も多い)。G1期初期・G2期初期・G0期はいずれもM期ほど感受性は高くない。
【関連知識・出題ポイント】感受性の順:M期>G2後期>G1/S境界>G1期>S期後期(最も抵抗性)。分割照射では抵抗期の細胞が感受性期へ移動する再分布(redistribution)が起こり、これが4Rの一つとして治療効果に寄与する。
問4
ベルゴニー・トリボンドーの法則に該当しないのはどれか。
  • 1形態・機能が未分化な細胞ほど感受性が高い
  • 2増殖能の高い組織ほど感受性が高い
  • 3細胞分裂頻度が高い細胞ほど感受性が高い
  • ✔酸素分圧が低いほど感受性が高い
  • 5将来行う分裂回数が多い細胞ほど感受性が高い
解説:ベルゴニー・トリボンドーの法則は①分裂頻度が高い②今後の分裂回数が多い③未分化 の3条件。酸素分圧が低いと感受性はむしろ低下する(酸素効果)ため誤り。造血組織・生殖腺・腸上皮が高感受性である。
【誤答の検討】分裂頻度が高い、将来の分裂回数が多い、未分化、増殖能が高いはいずれも法則の内容そのもの。
【関連知識・出題ポイント】法則の3条件:①細胞分裂頻度が高い、②将来行う分裂回数が多い、③形態・機能が未分化。酸素分圧はむしろ低いほど「抵抗性」になる(酸素効果)ため法則とは無関係。例外としてリンパ球・卵母細胞は分裂していなくても高感受性。
問5
ヒトの全身被ばくにおけるLD50/60はおよそどれか。
  • 120 Gy
  • 20.5 Gy
  • 310 Gy
  • 41 Gy
  • ✔4 Gy
解説:無治療の場合、60日以内に50%が死亡する線量(LD50/60)は約3〜4 Gyで、主因は骨髄死。7〜10 Gy以上で腸管死(消化管死)、20 Gy超で中枢神経死となる。
【誤答の検討】0.5 Gyでは死亡しない(軽度の血液変化のみ)。1 Gyでは死亡率は低い。10 Gyは腸管死、20 Gyは中枢神経死の領域で50%をはるかに超える。
【関連知識・出題ポイント】無治療でのLD50/60は約3〜4 Gy(骨髄死)。適切な治療(無菌管理、輸血、G-CSF、幹細胞移植)により6〜8 Gyまで救命可能とされる。7〜10 Gy以上で腸管死、20 Gy超で中枢神経死。
問6
確率的影響に分類されるのはどれか。
  • 1白内障
  • 2不妊
  • ✔発がん
  • 4皮膚紅斑
  • 5脱毛
解説:確率的影響は発がんと遺伝性影響で、しきい線量がなく線量とともに発生確率が増加する(重篤度は線量に依存しない)。白内障・紅斑・脱毛・不妊は確定的影響(組織反応)でしきい線量が存在する。
【誤答の検討】白内障・皮膚紅斑・脱毛・不妊はいずれも確定的影響(組織反応)でしきい線量が存在する。
【関連知識・出題ポイント】確率的影響=発がんと遺伝性影響のみ。しきい線量がなく、線量とともに「発生確率」が増加する(重篤度は線量に依存しない)。確定的影響はしきい線量があり、線量とともに「重篤度」が増す。この対比が最頻出。
問7
ICRP 2011年勧告で示された水晶体混濁のしきい線量はおよそどれか。
  • 12 Gy
  • 210 Gy
  • 35 Gy
  • ✔0.5 Gy
  • 50.05 Gy
解説:従来より低い約0.5 Gyがしきい線量とされ、これを受けて職業被ばくの水晶体等価線量限度が、5年間で100 mSvかつ1年間で50 mSv(ICRP勧告では5年平均20 mSv/年)に引き下げられた(日本では2021年4月施行)。
【誤答の検討】0.05 Gyは低すぎる。2 Gy・5 Gyは従来の値(急性で2 Gy、分割で5 Gy)で、2011年勧告で引き下げられた。10 Gyは過大。
【関連知識・出題ポイント】ICRP 2011年声明で急性・分割・遷延いずれも約0.5 Gyとされた。これを受け職業被ばくの水晶体等価線量限度が5年100 mSvかつ年50 mSvへ引き下げられ(日本は2021年4月施行)、Hp(3)による評価が推奨されている。
問8
LQモデルにおけるα/β比について正しいのはどれか。
  • 1正常組織では常に10 Gyである
  • 2晩期反応組織で大きい
  • 3単位はGy⁻¹である
  • 4値が大きいほど分割の影響を受けやすい
  • ✔早期反応組織・腫瘍で大きい
解説:α/β比は単位Gyで、早期反応組織や多くの腫瘍で約10 Gy、晩期反応組織で約3 Gyと小さい。α/βが小さい組織ほど1回線量の増加に敏感で、分割照射により晩期障害を抑えられる根拠となる。
【誤答の検討】晩期反応組織では約3 Gyと「小さい」。単位はGy(α/βでGy⁻¹/Gy⁻²=Gy)。α/βが「小さい」ほど分割の影響を受けやすい。正常組織も一律10ではない。
【関連知識・出題ポイント】早期反応組織・多くの腫瘍でα/β≒10 Gy、晩期反応組織で約3 Gy。前立腺癌は例外的に1.5前後と小さく寡分割が有利とされる。BED=nd(1+d/(α/β))、EQD2=BED/(1+2/(α/β))。

放射線安全管理学全85問中 8問を掲載

問1
放射線業務従事者の実効線量限度として正しいのはどれか。
  • 11年間につき100 mSv
  • 21年間につき20 mSv
  • 33か月間につき1.3 mSv
  • 45年間につき50 mSv
  • ✔5年間につき100 mSvかつ1年間につき50 mSv
解説:職業被ばくの実効線量限度は5年間で100 mSv、かつ1年間で50 mSvを超えないこと。妊娠可能な女子は3か月ごとに5 mSv、妊娠中は出産までの間、腹部表面2 mSv・内部被ばく1 mSvが加わる。
【誤答の検討】1年100 mSvは緊急作業時の特例値。1年20 mSvはICRPの「5年平均」表現で日本の法令値ではない。3か月1.3 mSvは管理区域の設定基準。5年50 mSvは半分の値。
【関連知識・出題ポイント】職業被ばく:実効線量5年100 mSvかつ年50 mSv。眼の水晶体は5年100 mSvかつ年50 mSv(2021年4月改正)、皮膚は年500 mSv。妊娠可能な女子は3か月5 mSv、妊娠中は腹部表面2 mSv・内部被ばく1 mSv。
問2
放射線業務従事者の皮膚の等価線量限度はどれか。
  • 11年間につき50 mSv
  • 21年間につき300 mSv
  • 31年間につき1000 mSv
  • ✔1年間につき500 mSv
  • 51年間につき150 mSv
解説:皮膚は1年間につき500 mSv(1 cm²あたりの平均、70 µm線量当量で評価)。手足など末端も同じく500 mSv。水晶体は5年間で100 mSvかつ1年間で50 mSv(2021年4月施行の改正値)である。
【誤答の検討】50 mSvは実効線量の年限度と混同。150 mSvは改正前の水晶体の値。300 mSv・1000 mSvという規定値は存在しない。
【関連知識・出題ポイント】皮膚は1 cm²あたりの平均で70 µm線量当量Hp(0.07)により評価する。手足など末端も年500 mSv。皮膚は確定的影響(紅斑2 Gy、脱毛3 Gy)を防ぐことが目的なので、実効線量より大きい値が設定されている。
問3
管理区域を設定する外部被ばく線量の基準はどれか。
  • ✔3か月間につき1.3 mSv
  • 21週間につき1 mSv
  • 33か月間につき250 µSv
  • 41年間につき1 mSv
  • 51か月間につき1.3 mSv
解説:管理区域は実効線量が3か月間につき1.3 mSv(=年5 mSv相当)を超えるおそれのある区域。表面密度はα線を放出しない核種で40 Bq/cm²、放出する核種で4 Bq/cm²が基準となる。
【誤答の検討】3か月250 µSvは事業所境界・居住区域の基準。年1 mSvは公衆の線量限度。1週1 mSv・1か月1.3 mSvという規定値はない。
【関連知識・出題ポイント】管理区域の設定基準は3つ:①外部被ばく3か月1.3 mSv、②空気中濃度が濃度限度の1/10、③表面密度が限度の1/10。3か月1.3 mSvは年5 mSv相当で、公衆限度年1 mSvの5倍にあたる。
問4
医療法施行規則で定める事業所の境界における線量限度はどれか。
  • 11週間につき1 mSv
  • ✔3か月間につき250 µSv
  • 31年間につき1 mSv
  • 41か月間につき500 µSv
  • 53か月間につき1.3 mSv
解説:事業所の境界および病院内の人が居住する区域は3か月間につき250 µSv(年1 mSv相当)。一方、病室は3か月間につき1.3 mSv、管理区域境界も3か月間につき1.3 mSvである。
【誤答の検討】3か月1.3 mSvは管理区域境界・病室の基準で5倍緩い。年1 mSvは公衆の実効線量限度そのもの(3か月250 µSvはこれを4分割した値)。1週1 mSv・1か月500 µSvは規定にない。
【関連知識・出題ポイント】整理:事業所境界・居住区域=3か月250 µSv/管理区域境界・病室=3か月1.3 mSv。病室が緩いのは入院患者が一時的滞在であるため。250 µSv×4=1 mSv/年が公衆限度に対応する。
問5
診療放射線技師法において、技師が医師の具体的指示を受けて行える行為はどれか。
  • ✔静脈路に造影剤注入装置を接続する行為
  • 2放射線の人体照射の判断
  • 3放射線治療計画の決定
  • 4造影剤の血管内注入の指示
  • 5診断(読影)の確定
解説:2010年・2014年の改正により、造影剤注入装置の静脈路への接続と注入、抜針・止血、下部消化管検査のためのカテーテル挿入などが医師の具体的指示のもとで実施可能となった。診断や照射の適応判断は医師の業務である。
【誤答の検討】照射の適応判断、造影剤注入の「指示」、治療計画の決定、読影の確定はいずれも医師の業務であり技師は行えない。
【関連知識・出題ポイント】2010年通知・2014年法改正で追加された業務:静脈路への造影剤注入装置の接続と注入、注入後の抜針・止血、下部消化管検査のカテーテル挿入、上部消化管検査の造影剤注入用チューブ挿入など。いずれも「医師の具体的指示」が要件。
問6
診療放射線技師が病院・診療所以外の場所で照射を行える場合として正しいのはどれか。
  • ✔多数の者の健康診断で胸部X線撮影を行う場合など
  • 2技師の判断で可能
  • 3患者の希望がある場合
  • 4往診時に医師の指示があれば無条件で可能
  • 5すべての場合に可能である
解説:診療放射線技師法第26条により、原則は病院・診療所内だが、①多数の者の健康診断で胸部X線撮影等を行う場合、②医師の立会いのもと100万電子ボルト未満のエックス線照射を行う場合、③在宅患者への往診などが例外として認められている。
【誤答の検討】すべての場合・技師の判断・患者の希望では認められない。往診時も「医師の指示があれば無条件」ではなく、往診先の患者に対してという条件が付く。
【関連知識・出題ポイント】診療放射線技師法第26条第2項の例外:①多数の者の健康診断で胸部X線撮影等、②医師の立会いのもと100万電子ボルト未満のエックス線照射、③往診先の患者への携帯型装置による照射。原則は病院・診療所内である。
問7
医療法施行規則で定める放射線診療従事者等の被ばく線量の測定頻度で正しいのはどれか。
  • 13か月に1回
  • ✔1か月に1回
  • 31週間に1回
  • 46か月に1回
  • 51年に1回
解説:外部被ばく線量は原則1か月ごとに測定・算定する(管理区域内の線量測定は6か月を超えない期間ごと、放射性同位元素使用時の空気中濃度等は1か月ごと)。妊娠中の女子については1か月ごとに算定・記録する。
【誤答の検討】3か月・6か月・1年では法定の算定周期を満たさない。1週間ごとという規定もない。
【関連知識・出題ポイント】外部被ばくの測定・算定は1か月ごと(妊娠中の女子も1か月ごと)。一方、管理区域内の場の線量測定は6か月を超えない期間ごと、健康診断は6か月以内ごとと周期が異なる。混同しやすいので表で整理しておく。
問8
X線防護の三原則に含まれないのはどれか。
  • 1時間を短くする
  • 2遮蔽する
  • ✔線量を測定する
  • 4距離をとる
  • 5—(該当なし)
解説:外部被ばく防護の三原則は「距離・時間・遮蔽」。線量測定は管理のために必須だが防護の三原則そのものではない。距離は逆二乗則により2倍離れると線量率は1/4になる。
【誤答の検討】時間・距離・遮蔽はいずれも三原則そのもの。線量測定は管理のために不可欠だが、被ばくを直接減らす手段ではない。
【関連知識・出題ポイント】外部被ばく防護=時間・距離・遮蔽。内部被ばく防護=閉じ込め・希釈・分散防止(+除去)。ICRPの防護体系=正当化・最適化・線量限度。3つの「三原則」を区別して覚える。

医用工学全41問中 8問を掲載

問1
理想オペアンプの特性として正しいのはどれか。
  • ✔開ループ利得は無限大である
  • 2入力バイアス電流は大きい
  • 3帯域幅は有限である
  • 4出力インピーダンスは無限大である
  • 5入力インピーダンスは0である
解説:理想オペアンプは入力インピーダンス∞、出力インピーダンス0、開ループ利得∞、帯域幅∞、オフセット電圧0とされる。負帰還をかけることでイマジナリショート(仮想短絡)が成立し、増幅率が外部抵抗比で決まる。
問2
標本化定理(サンプリング定理)によれば、最高周波数f の信号を再現するのに必要な標本化周波数はどれか。
  • 1無関係
  • 2f/2 以上
  • ✔2f 以上
  • 4f 以上
  • 54f 以上
解説:原信号の最高周波数の2倍以上で標本化すれば元の信号を復元できる(ナイキスト周波数)。不足するとエイリアシング(折り返し雑音)が生じる。CTやMRIの折り返しアーチファクトもこの原理で説明される。
問3
8ビットのA/D変換器で表現できる階調数はどれか。
  • ✔256
  • 28
  • 316
  • 41024
  • 564
解説:nビットでは2ⁿ階調。8ビットで256階調、10ビットで1024、12ビットで4096階調となる。CTのCT値は約4096階調(12ビット)が必要とされ、モニタ表示にはウィンドウ処理が用いられる。
問4
ミクロショックを防ぐために許容される漏れ電流はおよそどれか。
  • 1100 mA
  • ✔0.01 mA
  • 31 mA
  • 410 mA
  • 50.1 mA
解説:心臓に直接電流が流れるミクロショックは約0.1 mAで心室細動を起こすため、患者装着部の漏れ電流は0.01 mA(10 µA)以下に制限される。マクロショック(体表通電)の心室細動しきい値は約100 mAである。
問5
ダイオードの主な働きはどれか。
  • ✔整流
  • 2記憶
  • 3増幅
  • 4発振
  • 5変圧
解説:ダイオードはpn接合の一方向性により整流作用を示す。増幅はトランジスタ、変圧は変圧器(トランス)の働き。X線高電圧装置では整流回路により交流を直流に変換している。
問6
抵抗R、インダクタンスL、静電容量Cの直列回路が共振する条件はどれか。
  • 1ωL=ωC
  • 2R=1/(ωC)
  • 3R=0
  • ✔ωL=1/(ωC)
  • 5ωL=R
解説:共振周波数は誘導リアクタンスと容量リアクタンスが等しくなる f=1/(2π√(LC))。直列共振ではインピーダンスが最小(=R)となり電流が最大になる。MRIのRFコイルもこの原理を利用する。
問7
差動増幅器のCMRR(同相除去比)が高いことの利点はどれか。
  • ✔同相の雑音を効果的に除去できる
  • 2帯域が狭くなる
  • 3入力抵抗が下がる
  • 4信号が増幅されない
  • 5消費電力が下がる
解説:CMRRは差動利得と同相利得の比で、値が大きいほど両入力に共通して混入する商用電源ノイズ等を除去できる。生体信号計測(心電計など)で特に重要な性能指標である。
問8
高周波成分を通し低周波成分を減衰させる回路はどれか。
  • 1積分回路
  • ✔高域通過フィルタ
  • 3整流回路
  • 4低域通過フィルタ
  • 5帯域阻止フィルタ
解説:高域通過フィルタ(HPF)は基線動揺などの低周波成分を除去する。低域通過フィルタ(LPF)は高周波雑音の除去、帯域阻止(ノッチ)フィルタは50/60 Hzの商用電源雑音除去に用いられる。

診療画像機器学全82問中 8問を掲載

問1
回転陽極X線管において回転陽極を用いる主な目的はどれか。
  • 1実効焦点を大きくする
  • ✔陽極の熱負荷を分散させる
  • 3管電圧を安定させる
  • 4散乱線を減少させる
  • 5特性X線を増やす
解説:陽極を回転させることで電子衝突部位(実焦点)が常に移動し、熱を焦点軌道全体に分散できる。これにより許容負荷が大幅に増え、短時間大電流撮影が可能となる。実効焦点は陽極傾斜角によって小さく保たれる。
【誤答の検討】実効焦点は陽極傾斜角で決まり回転とは無関係(むしろ小焦点を保てる)。管電圧の安定化は高電圧発生装置、散乱線除去はグリッド、特性X線はターゲット物質が決める。
【関連知識・出題ポイント】焦点軌道全体に熱を分散するため許容負荷が固定陽極の10倍以上になる。回転数は通常3000 rpm(高速形9000〜10000 rpm)。曝射前に所定回転数に達したことを確認するインターロックがある。
問2
ヒール効果について正しいのはどれか。
  • 1陰極側でX線強度が低い
  • 2焦点外X線のことである
  • 3管電流に比例する
  • ✔陽極側でX線強度が低い
  • 5散乱線の一種である
解説:ターゲット内での自己吸収により、陽極側ほどX線強度が低下する現象。厚みの大きい部位を陰極側に配置すると濃度が均一化する(胸椎撮影では頭側を陽極側に、など)。焦点‐受像面距離が短いほど顕著になる。
【誤答の検討】強度が低いのは陽極側で陰極側ではない。焦点外X線は別現象。管電流には依存しない。散乱線でもない。
【関連知識・出題ポイント】陽極ターゲット内での自己吸収が原因で、傾斜角が小さいほど、SIDが短いほど顕著。体厚の大きい部位を陰極側に配置する(胸椎正面は頭側を陽極側、下肢は足部を陽極側)。マンモグラフィでは胸壁側を陰極側にする。
問3
インバータ式X線高電圧装置の特徴として正しいのはどれか。
  • 1リプル百分率が大きい
  • ✔短時間撮影の再現性が高い
  • 3装置が大型になる
  • 4三相全波整流より線質が軟らかい
  • 5低周波で動作する
解説:インバータ式は商用交流を直流化した後、数kHz〜数十kHzに変換して昇圧するため、リプルが小さく(数%以下)実効管電圧が高い。装置は小型軽量で、短時間撮影時の再現性・線量安定性に優れる。
【誤答の検討】リプルは数%以下と小さい。数kHz〜数十kHzの高周波で動作。装置は小型軽量。リプルが小さいため線質はむしろ硬い。
【関連知識・出題ポイント】商用交流→整流→インバータで高周波化→昇圧→整流の流れ。リプル小のため実効管電圧が高く同一画質で被ばくが少ない。1 ms以下の短時間撮影でも再現性が高く、小児撮影や心血管撮影に有利。
問4
間接変換型FPDに用いられるシンチレータはどれか。
  • 1アモルファスセレン
  • ✔ヨウ化セシウム
  • 3フッ化リチウム
  • 4タングステン酸カルシウムのみ
  • 5硫酸バリウム
解説:間接変換型はCsI(Tl)やGd₂O₂S(GOS)でX線を可視光に変換し、a-Siフォトダイオードで電気信号に変える。直接変換型はアモルファスセレン(a-Se)でX線を直接電荷に変換し、光の拡散がないため鮮鋭度に優れる。
【誤答の検討】アモルファスセレンは直接変換型の光導電体。フッ化リチウムはTLD素子、硫酸バリウムは造影剤、タングステン酸カルシウムは旧来の増感紙蛍光体。
【関連知識・出題ポイント】間接変換型:CsI(Tl)またはGOSで可視光に変換→a-Siフォトダイオードで電気信号化。CsIは柱状結晶で光の横拡散を抑え鮮鋭度を保つ。直接変換型(a-Se)は光拡散がなく高鮮鋭度だが高電圧が必要。
問5
グリッド比の定義として正しいのはどれか。
  • 1グリッド密度/鉛箔厚
  • ✔鉛箔の高さ/中間物質の幅
  • 3鉛箔の厚さ/中間物質の厚さ
  • 4入射線量/透過線量
  • 5一次線透過率/散乱線透過率
解説:グリッド比=鉛箔の高さ h/鉛箔間隔(中間物質の幅)D。グリッド比が大きいほど散乱線除去能は高いが、位置決め精度が要求され被ばくも増える。除去率の指標にはコントラスト改善度・バッキー係数がある。
【誤答の検討】鉛箔の厚さ/中間物質の厚さ、グリッド密度/鉛箔厚、入射線量/透過線量、透過率の比はいずれも別の量またはグリッド比の定義ではない。
【関連知識・出題ポイント】グリッド比=h/D(鉛箔の高さ/鉛箔間隔)。一般撮影で8:1〜12:1、マンモで4:1〜5:1。グリッド密度は単位長さあたりの鉛箔数(本/cm)。性能指標には選択度、コントラスト改善度、露出倍数(バッキー係数)がある。
問6
自動露出機構(AEC/フォトタイマ)の役割はどれか。
  • 1グリッドを移動させる
  • 2焦点サイズを変更する
  • 3散乱線を除去する
  • 4管電圧を自動選択する
  • ✔一定の受像面線量が得られるよう照射時間を制御する
解説:AECは受像面手前の検出器で線量を積算し、設定値に達した時点で曝射を遮断する。体厚差によらず一定の画像濃度(線量)が得られるが、検出器の位置合わせを誤ると過大・過小線量となるため配置が重要である。
【誤答の検討】管電圧の自動選択は行わない(管電圧は術者が設定)。散乱線除去はグリッド、焦点変更やグリッド移動もAECの機能ではない。
【関連知識・出題ポイント】受像面手前の検出器(電離箱またはフォトダイオード)で線量を積算し設定値到達で曝射を遮断する。検出器の選択と患者の位置合わせが不適切だと過大・過小露出となる。バックアップタイマで異常時の過剰曝射を防ぐ。
問7
マルチスライスCTのピッチファクタの定義はどれか。
  • 1ビーム全幅/寝台移動距離
  • ✔寝台移動距離/ビーム全幅
  • 3再構成関数の値
  • 4スライス厚/再構成間隔
  • 5管電流/回転時間
解説:ビームピッチ=1回転あたりの寝台移動距離/X線ビーム全幅(=検出器列数×列幅)。ピッチが大きいほど高速撮影だが実効線量は低下し、逆にピッチを小さくすると線量とS/Nが増加する。
【誤答の検討】分母分子が逆、スライス厚/再構成間隔、管電流/回転時間、再構成関数はいずれもピッチの定義ではない。
【関連知識・出題ポイント】ビームピッチ=1回転あたりの寝台移動距離/(検出器列数×列幅)。ピッチ>1で線量低下・高速化、ピッチ<1で線量増加・高画質。CTDIvol=CTDIw/ピッチの関係も併せて押さえる。
問8
MRI装置の傾斜磁場コイルの役割はどれか。
  • 1静磁場を発生させる
  • 2RFパルスを送信する
  • 3磁場の均一性を補正する
  • 4ノイズを除去する
  • ✔位置情報を付与する
解説:傾斜磁場は空間的に磁場強度を変化させ、共鳴周波数に位置依存性をもたせることでスライス選択・周波数エンコード・位相エンコードを行う。シムコイルは静磁場均一性の補正、RFコイルは励起と信号受信を担う。
【誤答の検討】静磁場発生は主磁石(超伝導コイル)、RF送信はRFコイル、均一性補正はシムコイル、ノイズ除去は信号処理の役割。
【関連知識・出題ポイント】傾斜磁場により共鳴周波数に位置依存性をもたせ、スライス選択・周波数エンコード・位相エンコードを行う。急速な切替が騒音と末梢神経刺激の原因となり、渦電流補正も必要となる。

X線撮影技術学全69問中 8問を掲載

問1
一般的な胸部X線撮影(成人・立位正面)の条件で適切なのはどれか。
  • ✔管電圧120 kV程度
  • 2撮影距離50 cm
  • 3管電圧80 kV程度
  • 4グリッドは使用しない
  • 5管電圧50 kV程度
解説:胸部正面は120 kV前後の高電圧撮影とし、被写体コントラストを下げて肺野と縦隔・肋骨の重なりを描出しやすくする。撮影距離は約180 cm(心陰影の拡大防止)、散乱線除去にグリッドを併用する。
【誤答の検討】50 kV・80 kVでは被写体コントラストが高すぎ肋骨と重なる肺野が見えにくい。撮影距離50 cmでは心陰影が拡大する。グリッドは必要である。
【関連知識・出題ポイント】胸部正面:管電圧120 kV前後の高圧撮影、撮影距離180 cm(心拡大防止)、吸気位、グリッド併用、PA方向。高管電圧により肋骨の描出を抑え、肺野と縦隔を1枚に収める(ラチチュードの拡大)。
問2
マンモグラフィで用いられるターゲット/フィルタの組合せで代表的なのはどれか。
  • 1Cu/Al
  • ✔Mo/Mo
  • 3W/Al
  • 4W/Cu
  • 5Al/Al
解説:従来はモリブデンターゲット+モリブデンフィルタ(Mo/Mo)で17.5 keV前後の特性X線を利用し、軟部組織のコントラストを高める。管電圧は26〜30 kV程度。近年はW/Rh、W/Agなども用いられる。
【誤答の検討】W/Al、Cu/Al、W/Cuは一般撮影や工業用の組合せ。Al/Alはターゲットとして成立しない。
【関連知識・出題ポイント】Mo/Moでモリブデンの特性X線(Kα 17.5 keV、Kβ 19.6 keV)を利用し、MoフィルタのK吸収端20 keVで高エネルギー側を除去して準単色化する。管電圧26〜30 kV。近年はW/Rh、W/Agも用いられる。
問3
焦点‐受像面間距離を2倍にしたとき、受像面での線量はどうなるか。
  • ✔1/4
  • 21/2
  • 34倍
  • 4変わらない
  • 52倍
解説:距離の逆二乗則により、距離が2倍になると線量率は1/4になる。同じ濃度を得るにはmAs値を4倍にする必要がある。防護の観点でも「距離をとる」ことが有効な理由である。
【誤答の検討】2倍・4倍は距離を近づけた場合の考え方、1/2は単純反比例、変わらないは逆二乗則の無視。
【関連知識・出題ポイント】逆二乗則により1/4になる。同じ濃度を得るにはmAsを4倍にする必要がある。防護でも「距離を2倍にすれば1/4」という関係が基本。距離変更時のmAs補正は(新距離/旧距離)²倍で計算する。
問4
拡大率2倍の拡大撮影を行うとき、幾何学的半影を小さくするために必要なのはどれか。
  • 1大焦点を使用する
  • ✔微小焦点を使用する
  • 3グリッドを使用する
  • 4撮影距離を短くする
  • 5管電圧を上げる
解説:半影の大きさは 焦点サイズ×(拡大率−1) で決まるため、拡大撮影では0.1 mm程度の微小焦点が必須。拡大撮影は被写体‐受像面間の空隙により散乱線が減少するため、グリッドは通常不要(エアギャップ法)。
【誤答の検討】大焦点は半影を大きくする。撮影距離を短くすると拡大率がさらに増す。グリッドは拡大撮影では通常不要。管電圧は半影と無関係。
【関連知識・出題ポイント】半影=焦点サイズ×(拡大率−1)。拡大率2倍なら半影は焦点サイズと同じ大きさになるため、0.1 mm程度の微小焦点が必須。被写体‐受像面間の空隙により散乱線が減るためグリッドは不要(エアギャップ効果)。
問5
ウォータース(Waters)法で主に描出される部位はどれか。
  • 1下顎骨
  • 2蝶形骨洞
  • 3内耳道
  • ✔上顎洞
  • 5篩骨洞
解説:ウォータース法は聴眼線をフィルムに対し約37度とし、錐体骨を上顎洞下方に投影することで上顎洞を明瞭に描出する。副鼻腔炎の評価に用いられ、前頭洞にはコールドウェル法が適する。
【誤答の検討】蝶形骨洞は開口位や側面、篩骨洞と前頭洞はコールドウェル法、内耳道はステンバース法・タウン法、下顎骨は専用撮影で観察する。
【関連知識・出題ポイント】聴眼線(OM線)をフィルムに対し約37度とし、錐体骨を上顎洞下方に投影して上顎洞を明瞭に描出する。立位で撮影すると貯留液の液面(ニボー)が確認でき、副鼻腔炎の診断に有用である。
問6
前腕正面(AP)撮影で必要な肢位はどれか。
  • 1回内位
  • ✔回外位
  • 3内旋位
  • 4屈曲位
  • 5中間位
解説:前腕正面撮影は回外位(手掌を上に)で行い、橈骨と尺骨が重ならないようにする。回内位では橈骨が尺骨と交差して描出されるため、正面像としては不適である。
【誤答の検討】回内位では橈骨が尺骨と交差して重なり正面像にならない。中間位・内旋位・屈曲位はいずれも正面撮影の肢位ではない。
【関連知識・出題ポイント】回外位(手掌を上)で撮影すると橈骨と尺骨が平行に並び重ならない。肘関節と手関節の両端を含め、両関節が同一面になるよう肩の高さを調整する。側面は肘90度屈曲・母指上向きの中間位で行う。
問7
上部消化管X線造影検査で用いられる造影剤はどれか。
  • 1ヨード油性造影剤
  • 2ガドリニウム製剤
  • 3硫黄コロイド
  • ✔硫酸バリウム
  • 5炭酸ガスのみ
解説:上部消化管には硫酸バリウム(陽性造影剤)と発泡剤による炭酸ガス(陰性造影剤)を用いる二重造影法が基本。消化管穿孔が疑われる場合は水溶性ヨード造影剤(アミドトリゾ酸)に変更する。
【誤答の検討】ヨード油性造影剤はリンパ管造影等、ガドリニウムはMRI、硫黄コロイドは核医学用。炭酸ガスのみでは粘膜像が得られない。
【関連知識・出題ポイント】硫酸バリウム(陽性造影剤)+発泡剤による炭酸ガス(陰性造影剤)の二重造影法が基本。消化管穿孔が疑われる場合はバリウムが腹膜炎を起こすため、水溶性ヨード造影剤(アミドトリゾ酸)に変更する。
問8
管電圧を上げたときの一般的な変化として正しいのはどれか。
  • 1散乱線含有率が減少する
  • 2X線量は変化しない
  • ✔患者の被ばく線量が増加する
  • 4写真濃度が低下する
  • 5被写体コントラストが増加する
解説:管電圧を上げるとX線量は概ね管電圧の2〜5乗に比例して増加し写真濃度は上昇するが、光電効果の寄与が減るため被写体コントラストは低下し、散乱線含有率は増加する。ただし患者の皮膚線量は同一濃度で比較すると低下する点に注意。
【誤答の検討】散乱線含有率は増加する。X線量は増加する。写真濃度は上昇する。被写体コントラストは低下する。
【関連知識・出題ポイント】管電圧上昇→X線量増(kVのn乗、n≒4)、透過力上昇、光電効果の寄与減でコントラスト低下、散乱線増加。ただし同一濃度で比較すると必要mAsが減るため患者の皮膚線量はむしろ低下する点に注意(問題文の条件を確認)。

診療画像検査学全80問中 8問を掲載

問1
CT値が0 HUとなる物質はどれか。
  • 1血液
  • 2脂肪
  • 3骨皮質
  • ✔水
  • 5空気
解説:CT値は水を0 HU、空気を−1000 HUと定義し、CT値=1000×(µ−µw)/µw で表される。脂肪は−100〜−50、軟部組織は20〜70、骨皮質は1000前後となる。
【誤答の検討】空気は−1000、脂肪は−100〜−50、血液は50〜60(凝血は60〜90)、骨皮質は1000前後。水を基準に定義されている。
【関連知識・出題ポイント】CT値=1000×(µ−µw)/µw。主なCT値:空気−1000、肺野−900〜−500、脂肪−100〜−50、水0、軟部組織20〜70、血腫60〜90、骨皮質1000以上。ヨード造影された血管は100〜400程度になる。
問2
ウィンドウ幅を狭くしたときの画像の変化はどれか。
  • 1空間分解能が向上する
  • 2コントラストが低下する
  • 3CT値が変化する
  • 4ノイズが減少する
  • ✔コントラストが増強する
解説:ウィンドウ幅は表示するCT値の範囲で、狭くするほど単位CT値あたりの濃度変化が大きくなりコントラストが増強する(ただしノイズも強調される)。ウィンドウレベルは表示範囲の中心値を示す。
【誤答の検討】コントラストは増強する(低下しない)。空間分解能は表示条件では変わらない。CT値そのものも変化しない。ノイズはむしろ強調される。
【関連知識・出題ポイント】WW(ウィンドウ幅)=表示するCT値の範囲、WL(ウィンドウレベル)=その中心値。WWを狭くすると単位CT値あたりの濃度変化が大きくなりコントラストが上がるが、ノイズも同時に強調される。
問3
高吸収体の辺縁に生じる放射状の偽像の主因はどれか。
  • 1モーションアーチファクト
  • 2エイリアシング
  • 3部分容積効果
  • 4リングアーチファクト
  • ✔ビームハードニング・光子欠損
解説:金属など高吸収体では低エネルギー成分が優先的に吸収されるビームハードニングと投影データの欠損(フォトンスタベーション)により、放射状のストリークが生じる。リングアーチファクトは検出器の感度不均一が原因である。
【誤答の検討】部分容積効果は平均化による偽像、リングアーチファクトは検出器の感度不均一、モーションは体動、エイリアシングはサンプリング不足が原因で、いずれも放射状ストリークの主因ではない。
【関連知識・出題ポイント】金属など高吸収体では低エネルギー成分が優先的に吸収されるビームハードニングと、透過photonが不足するフォトンスタベーションが重なる。対策は高管電圧、逐次近似再構成、MARアルゴリズム、体外金属の除去。
問4
ヨード造影剤使用時に最も注意すべき既往はどれか。
  • 1変形性関節症
  • 2貧血
  • ✔気管支喘息
  • 4高血圧
  • 5高脂血症
解説:気管支喘息の既往は重篤な急性副作用のリスクを約6〜10倍に高める。ほかに造影剤過敏症の既往、重度腎機能障害(eGFR低値)、ビグアナイド系糖尿病薬服用(乳酸アシドーシス)、褐色細胞腫などが注意点となる。
【誤答の検討】高血圧・貧血・高脂血症・変形性関節症はいずれも造影剤副作用のリスクを大きく高めない。
【関連知識・出題ポイント】気管支喘息は重篤な急性副作用のリスクを約6〜10倍に高める。ほかの重要リスク:造影剤過敏症の既往、重度腎機能障害、ビグアナイド系薬服用(乳酸アシドーシス)、褐色細胞腫、甲状腺機能亢進症。
問5
T1強調画像で高信号を示すのはどれか。
  • ✔脂肪
  • 2皮質骨
  • 3脳脊髄液
  • 4水腫
  • 5嚢胞液
解説:T1強調像では脂肪・亜急性期血腫(メトヘモグロビン)・高蛋白液・ガドリニウム造影部が高信号、水(脳脊髄液・浮腫)は低信号となる。T2強調像では水が高信号を示す。
【誤答の検討】脳脊髄液・水腫・嚢胞液は自由水を多く含みT1強調で低信号。皮質骨はプロトンが乏しくいずれの強調でも低信号(無信号)。
【関連知識・出題ポイント】T1強調で高信号:脂肪、亜急性期血腫(メトヘモグロビン)、高蛋白液、メラニン、ガドリニウム造影部、緩徐な血流。T2強調で高信号:水、浮腫、多くの腫瘍。この対比が読影の基本となる。
問6
超急性期脳梗塞の検出に最も有用なMRI撮像法はどれか。
  • 1T1強調像
  • 2T2強調像
  • 3MRA
  • ✔拡散強調像(DWI)
  • 5脂肪抑制像
解説:細胞性浮腫による水分子拡散の制限を反映し、DWIは発症数十分〜数時間で高信号(ADC低下)を示す。T2やFLAIRでの変化出現は数時間以降であり、DWI/FLAIRミスマッチは発症時刻推定にも用いられる。
【誤答の検討】T1・T2強調は数時間以降でないと変化が出ない。MRAは血管閉塞は見えるが梗塞巣そのものは評価できない。脂肪抑制像は無関係。
【関連知識・出題ポイント】DWIは細胞性浮腫による水分子拡散制限を反映し発症数十分〜数時間で高信号(ADC低下)となる。DWI/FLAIRミスマッチ(DWI陽性・FLAIR陰性)は発症4.5時間以内を示唆し血栓溶解療法の判断に用いられる。
問7
MRI検査で原則禁忌となるのはどれか。
  • 1金属製ボタンのない衣服
  • 2チタン製人工関節
  • ✔旧型の心臓ペースメーカ
  • 4歯科用充填物
  • 5銀歯
解説:MRI非対応の心臓ペースメーカ・植込み型除細動器、脳動脈瘤クリップ(強磁性体)、人工内耳、眼内金属異物は原則禁忌。チタンなど非磁性体は基本的に検査可能だが、アーチファクトの原因となる。
【誤答の検討】歯科用充填物・銀歯・チタン製人工関節は非磁性または弱磁性で通常検査可能(アーチファクトは生じる)。金属のない衣服は問題ない。
【関連知識・出題ポイント】原則禁忌:MRI非対応の心臓ペースメーカ・ICD、強磁性体の脳動脈瘤クリップ、人工内耳、眼内金属異物、一部の神経刺激装置。近年はMRI条件付き対応(MR Conditional)のデバイスが増え、条件下で撮像可能。
問8
超音波ドプラ法で流速が最大に測定されるのはどれか。
  • 1入射角60度のとき
  • 2ビームと血流が直交するとき
  • 3角度に依存しない
  • 4入射角90度のとき
  • ✔ビームと血流が平行に近いとき
解説:ドプラ偏移周波数は cosθ に比例するため、θ=0(平行)で最大、θ=90度で0となる。実臨床では角度補正の誤差を抑えるため入射角60度以下で測定するのが原則である。
【誤答の検討】直交(90度)ではcos90°=0となり血流が検出できない。60度は実用上の上限。「角度に依存しない」は誤り。
【関連知識・出題ポイント】ドプラ偏移Δf=2fv・cosθ/c。θ=0(平行)で最大、90度で0。実際は角度補正の誤差を抑えるため入射角60度以下で測定する(60度を超えると誤差が急増する)。カラードプラでは血管に対し斜めに当てるのが基本。

画像工学全43問中 8問を掲載

問1
MTF(変調伝達関数)が評価する画質因子はどれか。
  • ✔鮮鋭度
  • 2被ばく線量
  • 3時間分解能
  • 4粒状性
  • 5コントラスト分解能のみ
解説:MTFは空間周波数ごとの信号伝達能を表し、鮮鋭度(解像特性)の評価指標である。粒状性はウィナースペクトル(WS)、両者と量子検出効率を統合した総合指標がDQEである。
問2
ウィナースペクトルが評価するのはどれか。
  • 1コントラスト
  • 2歪み
  • 3鮮鋭度
  • ✔ノイズ(粒状性)の空間周波数特性
  • 5線量
解説:ウィナースペクトル(ノイズパワースペクトル)は雑音を空間周波数ごとに分解して表したもの。値が小さいほど粒状性が良い。DQE=(MTF)²/(WS×入力量子数)の関係で示され、線量利用効率の指標となる。
問3
DQE(量子検出効率)について正しいのはどれか。
  • 1鮮鋭度のみを表す
  • 2被写体に依存しない絶対値ではない
  • ✔値が大きいほど線量利用効率が良い
  • 4入力S/N比と出力S/N比の比の2乗である
  • 5常に1を超える
解説:DQE=(出力SNR)²/(入力SNR)² で定義され、理想検出器で1(100%)。値が大きいほど少ない線量で良好な画質が得られる。1を超えることはない。
問4
ROC解析で用いられる指標はどれか。
  • 1MTF
  • ✔曲線下面積(AUC)
  • 3SUV
  • 4半価層
  • 5CT値
解説:ROC曲線は真陽性率(感度)を縦軸、偽陽性率(1−特異度)を横軸にとったもので、曲線下面積AUCが1に近いほど診断能が高い。観察者の判断基準に依存しない総合的な診断能評価法である。
問5
CTの画像再構成で広く用いられてきた手法はどれか。
  • ✔フィルタ補正逆投影法(FBP)
  • 2モンテカルロ法
  • 3畳み込みニューラルネット
  • 4最小二乗法
  • 5フーリエ変換法のみ
解説:FBPは投影データに再構成関数(フィルタ)を畳み込んでから逆投影する手法で高速。近年はノイズ低減に優れる逐次近似(再構成)法やそれを応用した手法、深層学習再構成が普及している。
問6
512×512マトリクス、12ビット階調の画像1枚のデータ量はおよそどれか。
  • 1128 KB
  • 24 MB
  • ✔512 KB
  • 41 MB
  • 564 KB
解説:12ビットは通常2バイトで格納するため、512×512×2=524288バイト≒512 KB。マトリクスサイズを2倍にするとデータ量は4倍になる。
問7
プリサンプリングMTFの測定に用いられる方法はどれか。
  • 1ROC法
  • 2ウィナースペクトル法
  • ✔エッジ法(傾斜エッジ法)
  • 4ヒストグラム法
  • 5矩形波チャート法のみ
解説:デジタル系ではサンプリング前の応答を評価するため、検出器に対しわずかに傾けた鉛エッジを撮影し、エッジ広がり関数(ESF)→線広がり関数(LSF)→フーリエ変換でMTFを求める。
問8
画素サイズ0.1 mmのデジタル系におけるナイキスト周波数はどれか。
  • 12.5 cycles/mm
  • 220 cycles/mm
  • 310 cycles/mm
  • 41 cycles/mm
  • ✔5 cycles/mm
解説:ナイキスト周波数=1/(2×画素サイズ)=1/(2×0.1)=5 cycles/mm。これを超える空間周波数成分は折り返し(エイリアシング)となり偽像の原因となる。

医用画像情報学全35問中 8問を掲載

問1
医用画像の保存・通信に関する国際標準規格はどれか。
  • 1HL7
  • 2JPEG
  • 3XML
  • ✔DICOM
  • 5IHE
解説:DICOMは医用画像とその付帯情報のフォーマットおよび通信プロトコルの標準規格。HL7は臨床検査値やオーダなどの医療情報交換規格、IHEはこれらを組み合わせた運用ガイドライン(統合プロファイル)である。
問2
PACSの主な機能はどれか。
  • 1被ばく線量計算のみ
  • 2会計処理
  • 3電子カルテの記載
  • ✔医用画像の保管・通信・表示
  • 5放射線治療計画
解説:PACS(Picture Archiving and Communication System)は画像の保管・検索・通信・表示を担うシステム。RISは検査予約や進捗管理、HISは病院情報全般を扱い、これらが連携してモダリティワークリスト(MWM)などを実現する。
問3
可逆(ロスレス)圧縮に該当するのはどれか。
  • ✔ランレングス(RLE)
  • 2JPEG2000の非可逆モード
  • 3不可逆ウェーブレット
  • 4JPEG(ベースライン)
  • 5MPEG
解説:RLEやハフマン符号、JPEG-LS、JPEG2000の可逆モードは元データを完全に復元できる可逆圧縮で、圧縮率は概ね1/2〜1/3程度。診断用一次画像には原則可逆圧縮が推奨される。
問4
医用画像表示モニタの品質管理でグレースケール表示特性の標準として用いられるのはどれか。
  • 1CIE Lab
  • ✔GSDF(DICOM Part14)
  • 3sRGB
  • 4Adobe RGB
  • 5NTSC
解説:DICOM Part14のGSDF(Grayscale Standard Display Function)は、人間の視覚特性に基づき輝度階調を知覚的に等間隔にする関数。モニタはこれに適合するようキャリブレーションし、定期的に受入試験・不変性試験を行う。
問5
医療情報システムの安全管理で「三要素」に含まれないのはどれか。
  • 1機密性
  • 2完全性
  • 3可用性
  • ✔可搬性
  • 5—(該当なし)
解説:情報セキュリティの三要素は機密性(Confidentiality)・完全性(Integrity)・可用性(Availability)。医療情報では電子保存の三原則(真正性・見読性・保存性)も併せて問われる。
問6
DICOM画像に含まれる情報として正しいのはどれか。
  • ✔患者情報・検査情報・画素データ
  • 2撮影者の指紋
  • 3会計情報のみ
  • 4診断名のみ
  • 5画素データのみ
解説:DICOMファイルはヘッダ(患者ID・氏名・モダリティ・撮影条件・UIDなど)と画素データから構成される。DICOM-RDSR(線量構造化レポート)により被ばく線量情報の管理も可能である。
問7
モダリティワークリスト(MWM)の役割はどれか。
  • 1画像の圧縮
  • 2診断レポート作成
  • 3線量計算
  • ✔検査オーダ情報を装置へ配信し患者情報の手入力を減らす
  • 5画像の保存
解説:RISのオーダ情報をDICOM MWMとして装置に配信することで、患者ID等の入力ミスを防ぎ取り違え防止に寄与する。検査実施情報はMPPSとしてRISへ返される。
問8
医療情報の電子保存に求められる三原則に含まれないのはどれか。
  • 1真正性
  • 2見読性
  • ✔匿名性
  • 4保存性
  • 5—(該当なし)
解説:電子保存の三基準は真正性(作成責任の所在明確・改ざん防止)、見読性(必要時に肉眼で見読可能)、保存性(保存期間中の復元可能性)。匿名性は二次利用時の要件である。

核医学検査技術学全78問中 8問を掲載

問1
⁹⁹ᵐTcの主γ線エネルギーと半減期の組合せで正しいのはどれか。
  • ✔141 keV・6時間
  • 270 keV・73時間
  • 3159 keV・13時間
  • 4364 keV・8日
  • 5511 keV・110分
解説:⁹⁹ᵐTcは141 keV、半減期6.01時間で、ガンマカメラの感度・分解能に適し被ばくも少ない。¹²³Iは159 keV/13.2時間、¹³¹Iは364 keV/8.02日、²⁰¹Tlは約70 keV(Hg特性X線)/73時間である。
【誤答の検討】70 keV・73時間は²⁰¹Tl、159 keV・13時間は¹²³I、364 keV・8日は¹³¹I、511 keV・110分は¹⁸Fの値である。
【関連知識・出題ポイント】⁹⁹ᵐTc:141 keV、半減期6.01時間。NaI(Tl)の検出効率が高く、β線を出さないため被ばくが少なく、ジェネレータで院内供給できるという3拍子が揃い核医学の約8割で使用される。主要核種の数値はセットで暗記する。
問2
ガンマカメラの平行多孔コリメータで、隔壁を厚くしたときの変化はどれか。
  • 1視野が広がる
  • 2分解能が低下する
  • 3感度が上がる
  • 4計数率が増える
  • ✔高エネルギー核種の隔壁透過が減る
解説:隔壁厚は使用核種のエネルギーに応じて決まり、厚いほど隔壁透過(ペネトレーション)を抑えられる反面、開口面積が減り感度は低下する。一般に感度と空間分解能はトレードオフの関係にある。
【誤答の検討】感度は下がる(開口面積が減るため)。分解能はむしろ保たれる。視野は広がらず、計数率も減る。
【関連知識・出題ポイント】隔壁厚は使用核種のエネルギーで決まる。厚いほど隔壁透過(ペネトレーション)を抑えられるが感度は低下する。LEHR(¹⁴¹keVまで)、ME(¹¹¹In、⁶⁷Ga)、HE(¹³¹I 364 keV)と使い分ける。
問3
ガンマカメラにおいて位置情報を決定するのはどれか。
  • 1波高分析器
  • ✔光電子増倍管の出力の重心演算
  • 3コリメータのみ
  • 4傾斜磁場
  • 5検出器の厚さ
解説:NaI(Tl)結晶に配置された多数の光電子増倍管の出力を重み付け加算(アンガー型位置演算)して入射位置を求める。波高分析器は散乱線を除去してエネルギーウィンドウ内の光子のみを計数する役割を担う。
【誤答の検討】波高分析器はエネルギー選別、コリメータは方向規定、検出器の厚さは検出効率、傾斜磁場はMRIの構成要素である。
【関連知識・出題ポイント】アンガー型位置演算:多数のPMT出力を重み付け加算し重心を求める。X=Σ(xi・Si)/ΣSi。結晶を厚くすると感度は上がるが位置決定精度(分解能)は低下するため、通常3/8インチ(9.5 mm)が用いられる。
問4
SPECTで用いられる吸収補正法として代表的なのはどれか。
  • 1フーリエ変換法
  • 2ROC法
  • 3LQモデル
  • 4ミルキング法
  • ✔チャン(Chang)法
解説:均一吸収体を仮定するChang法のほか、外部線源やCTデータによる非均一吸収補正が用いられる。散乱補正にはTEW(三重エネルギーウィンドウ)法が代表的である。
【誤答の検討】フーリエ変換法は再構成の一手法、ROC法は診断能評価、LQモデルは放射線生物学、ミルキングはジェネレータ操作である。
【関連知識・出題ポイント】Chang法は体輪郭内を均一吸収体と仮定して補正する簡便法で、脳や腹部に適する。胸部など不均一な部位では外部線源やCTによる非均一吸収補正が必要。散乱補正にはTEW(三重エネルギーウィンドウ)法が代表的。
問5
FDG-PET検査の前処置として正しいのはどれか。
  • 1高血糖状態にする
  • ✔4〜6時間程度の絶食を行う
  • 3大量の糖質を摂取する
  • 4前日から絶飲食とする
  • 5検査前に激しい運動を行う
解説:FDGは糖代謝を反映するため、投与前4〜6時間の絶食で血糖値を下げる(目安150 mg/dL未満)。運動は筋への集積を増やすため避け、投与後は安静・保温とし、褐色脂肪への集積も抑える。
【誤答の検討】高血糖状態や糖質摂取はFDGの腫瘍集積を低下させる。激しい運動は筋集積を増やす。前日からの絶飲食は脱水を招き不要。
【関連知識・出題ポイント】投与前4〜6時間絶食し血糖値150 mg/dL未満を目安とする。投与後は安静・保温(褐色脂肪への集積抑制)、会話や咀嚼を控える。糖尿病患者ではインスリンの使用タイミングにも注意が必要。
問6
SUV(standardized uptake value)の算出に用いられないのはどれか。
  • 1病変部の放射能濃度
  • ✔患者身長(体表面積補正を行わない場合)
  • 3投与放射能量
  • 4体重
  • 5—(該当なし)
解説:SUV=病変部放射能濃度÷(投与放射能量/体重)。体重補正が基本で、除脂肪体重(SUL)や体表面積で補正する方法もある。投与から撮像までの時間や血糖値の影響を受ける点に注意が必要である。
【誤答の検討】病変部の放射能濃度、投与放射能量、体重はいずれもSUVの算出に必要である。
【関連知識・出題ポイント】SUV=病変部放射能濃度(Bq/mL)÷(投与放射能量(Bq)/体重(g))。体重補正が標準だが、除脂肪体重(SUL)や体表面積補正を行う場合は身長も必要になる。投与時刻からの減衰補正も必須である。
問7
骨シンチグラフィに用いられる放射性医薬品はどれか。
  • 1⁹⁹ᵐTc-PMT
  • ✔⁹⁹ᵐTc-MDP
  • 3⁹⁹ᵐTc-MAA
  • 4⁹⁹ᵐTc-MAG3
  • 5¹²³I-MIBG
解説:⁹⁹ᵐTc-MDP/HMDPはハイドロキシアパタイトに吸着して骨代謝が亢進した部位に集積する。MAAは肺血流、MAG3は腎、PMTは肝胆道、MIBGは交感神経・褐色細胞腫の検査に用いる。
【誤答の検討】MAAは肺血流、MAG3は腎動態、PMTは肝胆道、MIBGは交感神経・褐色細胞腫の検査に用いる。
【関連知識・出題ポイント】⁹⁹ᵐTc-MDP/HMDPはリン酸化合物でハイドロキシアパタイトに化学吸着し、骨代謝亢進部に集積する。投与3時間後に撮像し、その間に飲水と排尿を促して腎・膀胱の背景を下げる。
問8
心筋血流シンチグラフィに用いられる核種はどれか。
  • 1⁵¹Cr
  • ✔²⁰¹Tl
  • 3¹³³Xe
  • 4⁶⁷Ga
  • 5¹²⁵I
解説:²⁰¹TlはK⁺類似の挙動でNa-Kポンプにより心筋細胞に取り込まれ、再分布現象を示す。⁹⁹ᵐTc-MIBI/テトロホスミンも用いられる。⁶⁷Gaは炎症・腫瘍、¹³³Xeは肺換気の検査に用いる。
【誤答の検討】⁶⁷Gaは炎症・腫瘍、¹³³Xeは肺換気、⁵¹Crは赤血球標識・GFR測定、¹²⁵Iは前立腺小線源やRIAに用いる。
【関連知識・出題ポイント】²⁰¹TlはK⁺類似の挙動でNa-Kポンプにより心筋に取り込まれ、再分布現象を示す。⁹⁹ᵐTc-MIBI/テトロホスミンはミトコンドリアに集積し再分布が少ないため、安静時と負荷時で別々に投与する。

放射線治療技術学全81問中 8問を掲載

問1
医療用直線加速器(リニアック)で電子を加速するのに用いるのはどれか。
  • 1超音波
  • ✔マイクロ波
  • 3静電場
  • 4静磁場
  • 5レーザ光
解説:クライストロンまたはマグネトロンが発生する数GHzのマイクロ波を加速管に導入し、その電場で電子を加速する。X線モードではターゲットに衝突させ、フラットニングフィルタで線量分布を平坦化する。
【誤答の検討】静電場を用いるのはX線管やバンデグラフ型。静磁場は偏向・集束用で加速はできない。超音波・レーザ光は電子加速に用いない。
【関連知識・出題ポイント】クライストロン(大出力・高エネルギー機)またはマグネトロン(小型機)が数GHzのマイクロ波を発生し、加速管内の進行波または定在波で電子を加速する。X線モードではターゲットに衝突させ制動X線を発生させる。
問2
高エネルギーX線の深部量百分率(PDD)でビルドアップが生じる理由はどれか。
  • 1散乱線が増加するため
  • 2ビーム硬化のため
  • ✔二次電子平衡が成立するまで電子数が増加するため
  • 4線源距離が変化するため
  • 5光電効果が増えるため
解説:入射表面付近では前方に放出された二次電子が深さとともに蓄積し、電子平衡が成立する深さで最大線量となる(皮膚線量節減効果)。最大深は⁶⁰Coで約0.5 cm、6 MV Xで約1.5 cm、10 MV Xで約2.5 cmである。
【誤答の検討】散乱線増加・ビーム硬化・光電効果はビルドアップの主因ではない。線源距離は逆二乗則の話で別現象。
【関連知識・出題ポイント】入射表面では前方に放出された二次電子がまだ少なく、深さとともに蓄積して電子平衡が成立する深さで最大線量となる。最大深:⁶⁰Co約0.5 cm、4 MV約1 cm、6 MV約1.5 cm、10 MV約2.5 cm、15 MV約3 cm。
問3
電子線治療の特徴として正しいのはどれか。
  • 1深部線量は緩やかに減少する
  • ✔一定深以降で線量が急速に低下する
  • 3ビルドアップは生じない
  • 4実用飛程よりも深部に高線量が及ぶ
  • 5骨での吸収が極めて大きい
解説:電子線は表面線量が高く、最大深を過ぎると急峻に線量が低下するため、深部の正常組織を保護しつつ表在性病変を治療できる。おおよその治療深(cm)=エネルギー(MeV)/3、実用飛程≒E/2 が目安である。
【誤答の検討】深部線量は緩やかではなく急峻に低下する。実用飛程より深部にはほとんど線量が及ばない。ビルドアップは生じる。骨での吸収はX線ほど大きくない。
【関連知識・出題ポイント】表面線量が高く(エネルギーが高いほど高い)、最大深を過ぎると急激に低下するため深部の正常組織を保護できる。治療深(90%)≒E/3〜E/4、実用飛程Rp≒E/2(cm、EはMeV)。皮膚・表在性病変や術後照射に用いる。
問4
SAD(アイソセントリック)法について正しいのはどれか。
  • 1毎回セットアップし直す必要がある
  • ✔線源‐腫瘍中心間距離を一定にする
  • 3TMRは用いない
  • 4線源‐皮膚間距離を一定にする
  • 51門照射専用である
解説:SAD法は回転中心(アイソセンタ)を腫瘍中心に一致させ、線源‐アイソセンタ間距離を一定に保つ方法。多門照射でも患者を動かさずに済む。線量計算にはTMR/TPRを用いる。SSD法はPDDを用いる。
【誤答の検討】線源‐皮膚間距離を一定にするのはSSD法。毎回セットアップし直す必要はない(むしろ不要になるのが利点)。TMR/TPRを用いる。1門照射専用ではない。
【関連知識・出題ポイント】回転中心(アイソセンタ)を腫瘍中心に一致させ、線源‐アイソセンタ間距離100 cmを一定に保つ。多門照射でも患者を動かさずガントリ回転だけで照射でき、位置精度と効率に優れる。線量計算にはTMR/TPRを用いる。
問5
ICRP/ICRUの定義でGTVを取り囲み、臨床的に微小浸潤が疑われる範囲を含む体積はどれか。
  • 1IM
  • 2ITV
  • 3PTV
  • 4OAR
  • ✔CTV
解説:GTV(肉眼的腫瘍体積)+顕微鏡的進展=CTV(臨床標的体積)。CTVに内部標的の動き(IM)を加えたITV、さらにセットアップマージン(SM)を加えたものがPTV(計画標的体積)である。OARはリスク臓器。
【誤答の検討】PTVはCTVにIMとSMを加えたもの、ITVはCTV+IM、IMは内部標的の動きのマージン、OARはリスク臓器で標的体積ではない。
【関連知識・出題ポイント】GTV(肉眼的腫瘍体積)→+顕微鏡的進展=CTV(臨床標的体積)→+IM=ITV→+SM=PTV(計画標的体積)。ICRU Report 50/62/83で定義される。治療計画の輪郭入力で最も基本となる概念。
問6
通常分割照射の1回線量として一般的なのはどれか。
  • 10.5 Gy
  • 25 Gy
  • ✔2 Gy
  • 420 Gy
  • 510 Gy
解説:通常分割は1回1.8〜2 Gy、週5回が標準。晩期反応組織のα/β比が小さいことを利用し、分割することで正常組織の回復を促し治療可能比を高める。定位放射線治療では1回線量を大きくする寡分割が用いられる。
【誤答の検討】0.5 Gyは低すぎ治療期間が長大になる。5 Gy・10 Gy・20 Gyは寡分割や定位照射の領域で通常分割ではない。
【関連知識・出題ポイント】通常分割は1回1.8〜2 Gy、週5回。晩期反応組織のα/β比が小さい(約3 Gy)ことを利用し、分割により正常組織を保護して治療可能比を高める。総線量は根治照射で60〜70 Gy程度が標準。
問7
前立腺癌の永久刺入密封小線源治療に用いられる核種はどれか。
  • 1¹³⁷Cs
  • 2⁶⁰Co
  • 3¹⁹²Ir
  • ✔¹²⁵I
  • 5²²⁶Ra
解説:¹²⁵I(半減期59.4日、約27 keV)シードを永久刺入する。高線量率(HDR)腔内・組織内照射には¹⁹²Ir(半減期74日、平均約380 keV)が用いられる。²²⁶Raは現在使用されない。
【誤答の検討】¹⁹²IrはHDR一時刺入用、⁶⁰Coは外部照射・ガンマナイフ、¹³⁷Csは旧来の腔内照射、²²⁶Raは現在使用されない。
【関連知識・出題ポイント】¹²⁵I(半減期59.4日、約27 keV)シードを経会陰的に永久刺入する。低エネルギーのため周囲への被ばくが少なく、患者は数日で退出可能。線源の紛失(尿中排出)に注意し、退出基準に基づき生活指導を行う。
問8
IGRT(画像誘導放射線治療)の主な目的はどれか。
  • 1照射野を大きくする
  • 2線量計算精度を上げる
  • ✔照射位置の誤差を低減する
  • 4線量率を上げる
  • 5治療時間を延長する
解説:CBCTやEPID、超音波、体表面モニタリングなどで治療直前・治療中の位置ずれを補正し、セットアップマージンの縮小と正常組織の保護を図る。IMRTやSBRTなど高精度治療では必須である。
【誤答の検討】線量率・線量計算精度・照射野サイズ・治療時間はいずれもIGRTの目的ではない。
【関連知識・出題ポイント】CBCT、kV/MV画像、EPID、金マーカー、体表面モニタリング、超音波などで治療直前・治療中の位置ずれを補正する。セットアップマージンを縮小でき、IMRTやSBRTなど高精度治療では必須となる。

基礎医学大要全80問中 8問を掲載

問1
肝臓について正しいのはどれか。
  • 1肝静脈は下大静脈に注がない
  • 2右葉より左葉が大きい
  • 3後腹膜臓器である
  • ✔門脈と肝動脈から血流を受ける
  • 5胆汁を貯留する
解説:肝臓は肝動脈(約25%)と門脈(約75%)の二重支配を受ける。右葉が左葉より大きく、Couinaudの8区域に分けられる。肝静脈は下大静脈に流入し、胆汁の貯留は胆嚢が担う。
【誤答の検討】右葉が左葉より大きい。肝静脈は下大静脈に注ぐ。胆汁を貯留するのは胆嚢(肝は生成)。肝は腹腔内臓器(一部無漿膜野を除く)で後腹膜臓器ではない。
【関連知識・出題ポイント】肝血流は門脈約75%+肝動脈約25%の二重支配。この違いが造影ダイナミックCTの相分けと、肝細胞癌(肝動脈支配)へのTACEの根拠になる。Couinaud分類でS1〜S8の8区域に分ける。
問2
心臓の刺激伝導系で最初に興奮する部位はどれか。
  • 1プルキンエ線維
  • ✔洞房結節
  • 3房室結節
  • 4ヒス束
  • 5脚
解説:洞房結節(右心房上部)が歩調取りとなり、心房→房室結節→ヒス束→左右脚→プルキンエ線維の順に伝わる。洞房結節の固有頻度は毎分60〜80回で、房室結節はこれより低い。
【誤答の検討】房室結節・ヒス束・脚・プルキンエ線維はいずれも洞房結節より下位で、伝導の後段にあたる。
【関連知識・出題ポイント】洞房結節(右心房上部・上大静脈開口部付近)→心房内伝導→房室結節→ヒス束→左脚・右脚→プルキンエ線維。固有調律は洞房結節60〜80回/分、房室結節40〜60回/分、心室30〜40回/分と下位ほど遅い。
問3
大動脈弓から直接分岐しない血管はどれか。
  • 1左総頸動脈
  • ✔右鎖骨下動脈
  • 3左鎖骨下動脈
  • 4腕頭動脈
  • 5—(該当なし)
解説:大動脈弓からは腕頭動脈・左総頸動脈・左鎖骨下動脈の3本が分岐する。右鎖骨下動脈と右総頸動脈は腕頭動脈から分かれる。血管造影やCTAの読影で必須の知識である。
【誤答の検討】腕頭動脈・左総頸動脈・左鎖骨下動脈の3本は大動脈弓から直接分岐する。
【関連知識・出題ポイント】右鎖骨下動脈と右総頸動脈は腕頭動脈から分岐する(左右非対称)。胸部CTAや脳血管造影の読影、カテーテル選択で必須の知識。右側大動脈弓や迷走鎖骨下動脈などの破格も存在する。
問4
脊椎の椎骨数の組合せで正しいのはどれか。
  • 1頸椎8・胸椎12・腰椎4
  • 2頸椎7・胸椎11・腰椎6
  • 3頸椎7・胸椎10・腰椎7
  • 4頸椎5・胸椎12・腰椎7
  • ✔頸椎7・胸椎12・腰椎5
解説:頸椎7個、胸椎12個、腰椎5個、仙椎5個(癒合して仙骨)、尾椎3〜5個。頸神経は8対ある点と混同しないこと。胸椎は肋骨と関節をなす。
【誤答の検討】頸椎は7個(頸「神経」は8対なので混同注意)、胸椎12個、腰椎5個が正しい。他の組合せはいずれも誤り。
【関連知識・出題ポイント】頸椎7・胸椎12・腰椎5・仙椎5(癒合し仙骨)・尾椎3〜5。胸椎は肋骨と関節をなす。腰椎の椎体番号の同定には第12肋骨や腸骨稜(L4/5レベル)を目印にする。移行椎の存在にも注意。
問5
健常成人の1回心拍出量としておよそ正しいのはどれか。
  • 1200 mL
  • 2500 mL
  • ✔70 mL
  • 430 mL
  • 510 mL
解説:1回拍出量は約70 mLで、心拍数70回/分とすると心拍出量は約5 L/分。駆出率(EF)は通常55〜70%で、心機能評価の重要な指標である。
【誤答の検討】10 mL・30 mLは過小、200 mL・500 mLは過大。約70 mLを基準に覚える。
【関連知識・出題ポイント】1回拍出量約70 mL×心拍数70回/分=心拍出量約5 L/分。駆出率(EF)=(EDV−ESV)/EDV で正常55〜70%。心エコーの修正Simpson法や心プールシンチで評価する指標である。
問6
糸球体濾過量(GFR)の指標として用いられるのはどれか。
  • 1血清ビリルビン
  • 2血清アミラーゼ
  • ✔血清クレアチニン
  • 4血清アルブミン
  • 5血清CK
解説:血清クレアチニンと年齢・性別からeGFRが推算され、造影剤腎症のリスク評価に用いられる。eGFR 30 mL/分/1.73 m²未満では造影検査の適応を慎重に判断する。
【誤答の検討】血清アルブミンは栄養・肝合成能、ビリルビンは肝胆道、アミラーゼは膵・唾液腺、CKは筋・心筋の指標。
【関連知識・出題ポイント】血清クレアチニンと年齢・性別からeGFRを推算する。造影検査ではeGFR 30〜45未満で造影剤腎症のリスクが高まり、30未満ではガドリニウム造影剤のNSFリスクも問題となる。シスタチンCも指標となる。
問7
消化管ホルモンのうち胃酸分泌を促進するのはどれか。
  • 1コレシストキニン
  • 2GIP
  • 3ソマトスタチン
  • ✔ガストリン
  • 5セクレチン
解説:ガストリンは幽門前庭のG細胞から分泌され胃酸分泌を促進する。セクレチンは膵重炭酸分泌促進と胃酸抑制、CCKは胆嚢収縮と膵酵素分泌、ソマトスタチンは各種分泌を抑制する。
【誤答の検討】セクレチンは膵重炭酸分泌促進と胃酸抑制、CCKは胆嚢収縮と膵酵素分泌、ソマトスタチンは各種分泌抑制、GIPはインスリン分泌促進と胃酸抑制。
【関連知識・出題ポイント】ガストリンは幽門前庭のG細胞から分泌され壁細胞の酸分泌を促す。ガストリノーマ(Zollinger-Ellison症候群)では難治性潰瘍を生じる。プロトンポンプ阻害薬は最終段階のH⁺/K⁺-ATPaseを阻害する。
問8
悪性腫瘍の特徴として正しいのはどれか。
  • 1再発しにくい
  • 2常に被膜を有する
  • ✔浸潤性に発育し転移する
  • 4異型性が乏しい
  • 5増殖速度が遅い
解説:悪性腫瘍は浸潤性発育、転移能、細胞異型・構造異型、増殖速度が速いことが特徴。良性腫瘍は膨張性発育で被膜を有し境界明瞭、転移しないのが一般的である。
【誤答の検討】被膜を有し境界明瞭なのは良性の特徴。増殖速度は速く、異型性は強く、再発しやすい。
【関連知識・出題ポイント】悪性:浸潤性発育、転移能、細胞異型・構造異型、核分裂像多数、増殖速度が速い、悪液質を伴う。良性:膨張性発育、被膜あり、境界明瞭、転移なし。画像でも境界の性状が良悪性推定の基本となる。