分野別問題(解説つき)

救急救命士国家試験|分野別 問題インデックス

最終更新:2026年8月11日

救急救命士国家試験は現場対応に直結する知識が問われます。8分野に分けて代表問題を掲載しています。全1000問をまとめて解くならトレーナーへ進んでください。

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基礎医学全136問中 8問を掲載

問1
心臓の刺激伝導系において、正常な歩調取り(ペースメーカ)として働くのはどれか。
  • 1右脚
  • 2ヒス束
  • ✔洞房結節
  • 4プルキンエ線維
  • 5房室結節
解説:洞房結節は右心房の上大静脈開口部付近にあり、毎分60〜100回の固有調律をもつ最上位のペースメーカである。房室結節(40〜60回/分)、ヒス束以下(20〜40回/分)は洞房結節が機能しない場合の補充調律を担う。
問2
右肺と左肺の構造について正しいのはどれか。
  • 1右肺は2葉、左肺は3葉である
  • ✔右肺は3葉、左肺は2葉である
  • 3左右とも3葉である
  • 4左右とも2葉である
  • 5右肺は4葉、左肺は2葉である
解説:右肺は上葉・中葉・下葉の3葉、左肺は心臓が左に偏位するため上葉・下葉の2葉である。左肺には中葉に相当する舌区が上葉に含まれる。右主気管支は左より太く短く垂直に近いため、誤嚥物や気管チューブは右に入りやすい。
問3
腹腔内臓器(腹膜内臓器)はどれか。
  • 1膵臓
  • ✔脾臓
  • 3腎臓
  • 4十二指腸下行部
  • 5腹部大動脈
解説:脾臓は腹膜に完全に覆われた腹膜内臓器で、左季肋部にあり左下位肋骨骨折で損傷しやすい。腎臓・膵臓・十二指腸(球部を除く)・腹部大動脈・下大静脈は後腹膜臓器である。
問4
成人の正常な循環血液量として最も近いのはどれか。
  • 1体重の約1%
  • 2体重の約4%
  • ✔体重の約8%
  • 4体重の約15%
  • 5体重の約25%
解説:成人の循環血液量は体重の約8%(約1/13)で、体重60kgなら約4,800mL。小児では約8〜9%、新生児では約9〜10%とやや多い。出血量の推定やショックの評価の基準となる重要な数値である。
問5
動脈血酸素分圧(PaO2)が正常でも組織低酸素をきたすのはどれか。
  • 1高山環境での低酸素血症
  • 2気胸
  • 3重症肺炎
  • ✔一酸化炭素中毒
  • 5肺水腫
解説:一酸化炭素はヘモグロビンとの親和性が酸素の約200〜250倍で、酸素運搬能を著しく低下させる。しかしPaO2(血漿に溶存する酸素分圧)は正常であり、通常のパルスオキシメータもCO-Hbを酸素化Hbと誤認するためSpO2は高値を示す。
問6
脳灌流圧(CPP)を表す式はどれか。
  • ✔平均血圧-頭蓋内圧
  • 2脈圧-頭蓋内圧
  • 3平均血圧+頭蓋内圧
  • 4収縮期血圧-頭蓋内圧
  • 5中心静脈圧-頭蓋内圧
解説:CPP=平均動脈圧(MAP)-頭蓋内圧(ICP)。頭蓋内圧が上昇するとCPPが低下し脳虚血に至るため、頭部外傷では低血圧と低酸素の回避が最重要となる。CPPは60mmHg以上の維持が目標とされる。
問7
クッシング現象でみられる所見の組合せはどれか。
  • 1血圧低下・徐脈
  • 2血圧低下・頻脈
  • ✔血圧上昇・徐脈
  • 4血圧上昇・頻脈
  • 5血圧不変・徐脈
解説:頭蓋内圧亢進が進行すると、脳灌流を保とうとして血圧が上昇し、その反射(圧受容器反射)として徐脈をきたす。徐呼吸を加えた3徴をクッシング徴候といい、脳ヘルニア切迫を示す危険なサインである。
問8
二酸化炭素の運搬形式で最も割合が大きいのはどれか。
  • 1ヘモグロビン結合型酸素
  • 2物理的溶解
  • 3炭酸ガス気泡
  • 4カルバミノ化合物
  • ✔重炭酸イオン
解説:CO2の約70〜75%は赤血球内で炭酸脱水酵素により重炭酸イオン(HCO3−)となって運搬される。約20〜25%はヘモグロビンと結合したカルバミノ化合物、残り5〜10%が物理的溶解である。

救急医学概論全122問中 8問を掲載

問1
救急救命士法において、救急救命処置を行う場所として原則とされているのはどれか。
  • 1医師の面前に限る
  • ✔救急用自動車等に乗車させるまでの間および搬送中
  • 3医療機関内であればどこでもよい
  • 4消防署内に限る
  • 5傷病者の自宅内に限る
解説:救急救命士法第44条第2項により、救急救命士は救急用自動車等以外の場所で救急救命処置を行ってはならないとされるが、傷病者が搬送のために救急用自動車等に乗せられるまでの間も含まれる。重度傷病者に対する適切な処置の確保のための例外規定である。
問2
救急救命士が特定行為を実施する際に必要なのはどれか。
  • 1本人の書面同意
  • ✔医師の具体的指示
  • 3消防長の許可
  • 4家族の同意のみ
  • 5メディカルコントロール協議会への事前届出
解説:特定行為(気管挿管、静脈路確保と輸液、アドレナリン投与、ブドウ糖溶液投与等)は、救急救命士法第44条第1項により医師の具体的指示を受けなければ行えない。これがオンラインメディカルコントロールの中核である。
問3
メディカルコントロール体制のうち、事後検証にあたるのはどれか。
  • 1医師への電話による指示要請
  • 2病院実習
  • 3出動前の資器材点検
  • 4活動プロトコールの作成
  • ✔救急活動記録票の医学的検証
解説:事後検証は救急活動記録票等をもとに医師が医学的観点から活動の適否を検証し、教育や再教育に還元する仕組みである。オンラインMCが指示・指導・助言、オフラインMCがプロトコール作成・事後検証・再教育・生涯教育を担う。
問4
救急救命士が業務上知り得た秘密を漏らした場合に問われるのはどれか。
  • ✔守秘義務違反
  • 2説明義務違反
  • 3名称独占違反
  • 4応召義務違反
  • 5業務独占違反
解説:救急救命士法第47条は守秘義務を定め、救急救命士でなくなった後も同様とされる。違反には罰則があり、親告罪である。なお救急救命士は名称独占かつ一部業務独占の資格である。
問5
三次救急医療機関の役割として正しいのはどれか。
  • 1外来で対応可能な軽症患者の初期診療
  • 2在宅療養支援
  • 3慢性期のリハビリテーション
  • 4入院を要する中等症患者の受入れ
  • ✔重篤救急患者の24時間受入れ
解説:初期(一次)救急は外来で対応可能な軽症、二次救急は入院・手術を要する中等症、三次救急(救命救急センター)は重篤な救急患者を24時間体制で受け入れる。高度救命救急センターは広範囲熱傷、指肢切断、急性中毒等の特殊疾病にも対応する。
問6
START法において最初に評価する項目はどれか。
  • 1出血の有無
  • 2脈拍
  • 3意識
  • ✔歩行の可否
  • 5呼吸
解説:START法ではまず「歩行可能か」を確認し、可能なら緑(軽症・待機的治療群)とする。次に呼吸(気道確保後の有無、30回/分を超えるか9回/分未満か)、循環(橈骨動脈触知またはCRT2秒)、意識(簡単な指示に応じるか)の順に評価する。
問7
一次トリアージで赤タグ(最優先治療群)に区分されるのはどれか。
  • 1自力歩行可能で前腕擦過傷がある
  • ✔呼吸数36回/分
  • 3四肢麻痺があるが呼吸数16回/分で橈骨動脈を良好に触知し指示にも従う
  • 4軽度の腰痛のみ
  • 5気道確保しても呼吸がない
解説:呼吸数が30回/分超または9回/分未満はカテゴリーI(赤)である。気道確保しても自発呼吸がない場合は黒(死亡群・0)となる。多数傷病者では「最大多数に最善」の原則により、救命可能性の高い傷病者を優先する。
問8
標準予防策(スタンダードプリコーション)の考え方として正しいのはどれか。
  • 1一度使用した手袋は消毒すれば再使用できる
  • ✔すべての患者の血液・体液・分泌物・排泄物・粘膜・損傷皮膚を感染の可能性があるものとして扱う
  • 3感染症と診断された患者のみに適用する
  • 4手袋を着用すれば手洗いは不要である
  • 5汗も感染性があるものとして扱う
解説:標準予防策はすべての人に適用し、血液・体液・分泌物・排泄物(汗を除く)・粘膜・損傷皮膚を感染性のあるものとして扱う。手袋を外した後も必ず手指衛生を行い、手袋は使い捨てとする。

症候・病態生理全123問中 8問を掲載

問1
循環血液量減少性ショックの初期にみられる所見はどれか。
  • 1呼吸数の減少
  • ✔毛細血管再充満時間の延長
  • 3徐脈
  • 4脈圧の増大
  • 5皮膚の紅潮と温感
解説:出血性ショックでは代償性に末梢血管が収縮し、皮膚は蒼白・冷汗・湿潤となる。CRT(毛細血管再充満時間)は2秒を超えて延長し、頻脈、脈圧の狭小化がみられる。血圧低下は代償が破綻してから現れる遅い徴候である。
問2
血液分布異常性ショックに分類されるのはどれか。
  • 1緊張性気胸
  • 2心タンポナーデ
  • 3出血性ショック
  • ✔アナフィラキシーショック
  • 5心原性ショック
解説:血液分布異常性ショックにはアナフィラキシー、敗血症性、神経原性が含まれ、末梢血管抵抗の低下が本態で四肢は温かいことが多い(ウォームショック)。心タンポナーデと緊張性気胸は心外閉塞・拘束性ショックである。
問3
神経原性ショックの特徴として正しいのはどれか。
  • 1頻脈を伴う
  • 2出血が原因である
  • 3脈圧が狭小化する
  • 4四肢が冷たく湿潤である
  • ✔徐脈を伴い皮膚は温かい
解説:頸髄・上位胸髄損傷では交感神経遮断により末梢血管が拡張し、心臓交感神経(T1〜T4)も遮断されるため血圧低下にもかかわらず徐脈となる。皮膚は温かく乾燥しており、出血性ショックとの鑑別点となる。
問4
心タンポナーデでみられるベックの三徴に含まれないのはどれか。
  • ✔徐脈
  • 2血圧低下
  • 3頸静脈怒張
  • 4奇脈
  • 5心音減弱
解説:ベックの三徴は血圧低下・頸静脈怒張・心音減弱である。奇脈(吸気時に収縮期血圧が10mmHg以上低下)も特徴的所見だが三徴には含まれない。徐脈は三徴ではなく、通常は頻脈となる。
問5
JCS(Japan Coma Scale)でII-20に相当するのはどれか。
  • ✔大きな声または体を揺さぶることにより開眼する
  • 2痛み刺激を加えつつ呼びかけを繰り返すとかろうじて開眼する
  • 3痛み刺激に対し払いのける動作をする
  • 4普通の呼びかけで容易に開眼する
  • 5刺激をしても覚醒しない
解説:JCS II桁は刺激で覚醒する状態で、10:普通の呼びかけで開眼、20:大きな声または体を揺さぶることで開眼、30:痛み刺激と呼びかけの繰り返しでかろうじて開眼。払いのけ動作はIII-100、覚醒しないのはIII桁である。
問6
GCSで合計点が最低となる場合の点数はどれか。
  • 10点
  • 21点
  • ✔3点
  • 44点
  • 56点
解説:GCSは開眼(E1〜4)、言語(V1〜5)、運動(M1〜6)の合計で、最低3点・最高15点である。8点以下は重症で気道確保の適応とされる。挿管中はVを「T」と表記する。
問7
意識障害の原因検索で用いる「AIUEOTIPS」の“I”に該当するのはどれか。
  • 1低血糖
  • 2炎症・感染
  • 3中毒
  • ✔インスリン(血糖異常)
  • 5外傷
解説:AIUEOTIPSはA:アルコール/アシドーシス、I:インスリン(低血糖・高血糖)、U:尿毒症、E:内分泌・電解質・脳症、O:酸素欠乏・薬物過量、T:外傷・体温異常、I:感染症、P:精神疾患・ポルフィリア、S:脳卒中・けいれん・失神。意識障害では低血糖の見逃しを防ぐため血糖測定が重要である。
問8
気道の完全閉塞を示唆する所見はどれか。
  • ✔発声も咳もできず、両手で首をつかむ仕草をする
  • 2大きな咳嗽ができる
  • 3呼吸数が20回/分である
  • 4喘鳴を伴い会話ができる
  • 5チアノーゼがない
解説:チョークサイン(両手で首をつかむ)は完全気道閉塞の典型的サインで、発声・咳嗽・呼吸ができない。直ちに背部叩打法や腹部突き上げ法(ハイムリック法)を実施し、意識消失時はCPRを開始する。

疾病救急医学全196問中 8問を掲載

問1
急性心筋梗塞に特徴的な心電図変化はどれか。
  • 1P波の増高のみ
  • ✔ST上昇
  • 3T波の平低化のみ
  • 4QRS幅の短縮
  • 5PR間隔の短縮
解説:貫壁性心筋梗塞では責任冠動脈の支配領域に一致したST上昇がみられ、これをSTEMIという。時間経過とともに異常Q波の出現、T波の陰転化へと変化する。12誘導心電図の伝送により病院での再灌流療法までの時間短縮が図られる。
問2
急性心筋梗塞で下壁梗塞を示唆する誘導はどれか。
  • 1I、aVL
  • 2V1〜V4
  • ✔II、III、aVF
  • 4V5、V6
  • 5aVRのみ
解説:II・III・aVFは下壁誘導で、右冠動脈の閉塞による下壁梗塞を反映する。下壁梗塞では房室ブロックや徐脈、右室梗塞の合併がみられ、右室梗塞では前負荷依存性のため硝酸薬で著明な血圧低下をきたす危険がある。
問3
急性心不全(うっ血性心不全)で起坐呼吸を呈する理由はどれか。
  • 1坐位で酸素消費量が増えるため
  • 2坐位で心拍数が増加するため
  • 3臥位で気道が閉塞するため
  • 4臥位で静脈還流が減少するため
  • ✔坐位で肺うっ血が軽減するため
解説:臥位では下肢からの静脈還流が増加し肺うっ血が悪化するため、坐位・半坐位をとると呼吸が楽になる(起坐呼吸)。搬送時も本人が楽な坐位・半坐位を保つことが重要で、無理に仰臥位にしてはならない。
問4
心房細動の心電図所見として正しいのはどれか。
  • 1幅広いQRSが規則的に出現
  • 2P波が明瞭でRR間隔が一定
  • 3ST上昇を伴う
  • 4PR間隔が徐々に延長し脱落する
  • ✔P波を認めずRR間隔が不規則
解説:心房細動では洞調律のP波が消失し基線が細かく揺れ(f波)、心室応答は絶対性不整脈(RR間隔不同)となる。心内血栓形成から心原性脳塞栓症をきたす危険がある。PR間隔の漸次延長と脱落はウェンケバッハ型II度房室ブロックである。
問5
脳卒中病院前スケール(CPSSまたはシンシナティ)で評価する3項目はどれか。
  • ✔顔面下垂・上肢挙上・構音障害
  • 2瞳孔・血圧・呼吸
  • 3頭痛・嘔吐・めまい
  • 4意識・脈拍・体温
  • 5握力・視野・歩行
解説:CPSSは顔面のゆがみ、上肢の挙上保持(drift)、構音・言語障害の3項目を評価し、1項目でも異常なら脳卒中の可能性が高い。発症時刻(最終未発症時刻)の聴取が血栓溶解療法の適応判断に不可欠である。
問6
くも膜下出血に典型的な症状はどれか。
  • 1数日かけて徐々に増強する頭痛
  • 2飲酒後の拍動性頭痛
  • 3起床時のみの軽い頭痛
  • ✔突然発症の今までに経験したことのない激しい頭痛
  • 5肩こりに伴う頭痛
解説:くも膜下出血は突然発症の激烈な頭痛(雷鳴頭痛)が特徴で、嘔吐、意識障害、項部硬直を伴うことが多い。再出血を防ぐため刺激を避け、静穏な搬送を心がける。血圧上昇に注意し、脳外科的対応可能な施設を選定する。
問7
脳出血と脳梗塞の鑑別について正しいのはどれか。
  • 1脳出血は徐々に発症する
  • 2脳梗塞は必ず頭痛を伴う
  • 3病院前で確実に鑑別できる
  • 4脳出血は必ず片麻痺を伴う
  • ✔病院前では鑑別困難でCTなどの画像診断が必要である
解説:症候だけでは脳出血と脳梗塞の確実な鑑別はできず、CT等の画像診断が必須である。ただし発症様式、頭痛・嘔吐の有無、血圧、進行速度は参考になる。病院前では発症時刻の確定と迅速な適応施設への搬送が最重要である。
問8
けいれん重積状態の定義に最も近いのはどれか。
  • ✔けいれんが5分以上続く、または意識回復のないまま反復する
  • 2けいれんが1分以上続く
  • 31日に2回けいれんが起こる
  • 4初回のけいれん発作
  • 5発熱を伴うけいれん
解説:従来は30分以上とされたが、現在は5分以上持続、または意識が回復しないまま発作を反復する状態を重積として治療を開始する。高体温、低酸素、不可逆的脳障害をきたすため、気道確保と酸素投与を行い緊急搬送する。

外傷救急医学全137問中 8問を掲載

問1
ロード・アンド・ゴーの適応と判断される所見はどれか。
  • 1橈骨動脈が良好に触知でき意識清明
  • 2擦過傷が多発している
  • 3独歩可能な下腿打撲
  • 4前腕の単純骨折
  • ✔呼吸数が10回/分未満または30回/分以上
解説:生理学的評価で意識JCS 2桁以上、呼吸数10回/分未満または30回/分以上、SpO2 90%未満、収縮期血圧90mmHg未満、脈拍120回/分以上または50回/分未満などがあればロード・アンド・ゴーの適応。現場滞在時間10分以内を目標に、必要最小限の処置で搬送を開始する。
問2
外傷初期評価における観察の順序として正しいのはどれか。
  • 1A→B→C→D→E
  • 2D→A→B→C→E
  • ✔C→A→B→D→E(大出血がある場合はまず止血)
  • 4B→A→C→D→E
  • 5E→A→B→C→D
解説:原則はA(気道)→B(呼吸)→C(循環)→D(中枢神経)→E(脱衣・体温管理)だが、活動性外出血がある場合は先に止血を行う(MARCHやC-ABCの考え方)。全身観察の前に生命を脅かす病態を検出し即座に介入する。
問3
急性硬膜外血腫の典型的な経過はどれか。
  • 1必ず両側の瞳孔散大を伴う
  • 2受傷直後から昏睡が持続する
  • ✔意識清明期を経て意識障害が進行する
  • 4発症から数か月かけて頭痛が増強する
  • 5麻痺のみで意識障害はない
解説:急性硬膜外血腫は中硬膜動脈損傷が多く、側頭骨骨折を伴う。受傷直後の一過性意識障害の後に意識清明期(lucid interval)があり、血腫増大とともに再び意識障害が進行する。早期の血腫除去で予後良好となりうるため迅速な搬送が重要。
問4
頭部外傷で瞳孔不同(左瞳孔散大・対光反射消失)を認めた場合に疑うのはどれか。
  • 1眼球そのものの外傷は考えなくてよい
  • 2低血糖
  • 3脳幹梗塞のみ
  • ✔左側の頭蓋内血腫による鉤ヘルニア
  • 5右側の脊髄損傷
解説:テント切痕ヘルニア(鉤ヘルニア)では患側の動眼神経が圧迫され、同側の瞳孔散大・対光反射消失をきたす。多くは血腫と同側である。ただし直達外力による眼球外傷や既往の眼疾患でも瞳孔不同は生じるため併せて確認する。
問5
頸椎保護を要する傷病者の気道確保法として最も適切なのはどれか。
  • 1スニッフィングポジション
  • ✔下顎挙上法(用手的頸椎保護下)
  • 3頭部後屈あご先挙上法
  • 4側臥位にして自然呼吸に任せる
  • 5頸部を最大に伸展させる
解説:頸椎損傷が疑われる場合は頸椎の動きを最小限にする下顎挙上法(jaw thrust)を用い、用手的に頭部を正中中間位に保持する。頭部後屈は頸椎の過伸展をきたし脊髄損傷を悪化させる危険がある。
問6
バックボードによる全脊柱固定について正しいのはどれか。
  • 1嘔吐時も仰臥位のまま維持する
  • 2四肢は固定しない方がよい
  • 3固定は緩いほど良い
  • ✔体幹→頭部の順に固定する
  • 5頭部→体幹の順に固定する
解説:体幹を先に固定し、最後に頭部を固定する。頭部を先に固定すると体幹のずれで頸椎に負荷がかかる。長時間の固定は褥瘡や呼吸抑制の原因となるため必要性を吟味する。嘔吐時はバックボードごと側方に傾け(ログロール)誤嚥を防ぐ。
問7
緊張性気胸に特徴的な所見はどれか。
  • 1血圧上昇と皮膚温上昇
  • 2両側の呼吸音消失のみ
  • 3患側の呼吸音増強・徐脈
  • ✔患側の呼吸音減弱・頸静脈怒張・気管の健側偏位
  • 5打診で濁音
解説:緊張性気胸は胸腔内圧上昇により静脈還流が阻害され閉塞性ショックとなる。患側の呼吸音減弱、鼓音、頸静脈怒張、気管の健側偏位、皮下気腫が所見。致死的であり医療機関到着前でも直ちに医師へ情報伝達し胸腔穿刺の準備を要する。
問8
フレイルチェストについて正しいのはどれか。
  • 11本の肋骨骨折で生じる
  • 2呼吸への影響は少ない
  • ✔連続する3本以上の肋骨がそれぞれ2か所以上骨折して生じる
  • 4吸気時に患部が膨隆する
  • 5固定は禁忌である
解説:連続する3本以上の肋骨がそれぞれ2か所以上骨折すると胸壁の一部が分離し、吸気時に陥凹、呼気時に膨隆する奇異呼吸を呈する。肺挫傷の合併が予後を左右する。酸素投与を行い、必要に応じ患側を下にするか用手固定を行う。

環境障害・中毒全86問中 8問を掲載

問1
熱中症III度(重症)を示唆する所見はどれか。
  • 1こむら返り
  • ✔意識障害・けいれん・肝腎機能障害
  • 3軽度の頭痛
  • 4めまい・立ちくらみ
  • 5大量の発汗
解説:I度は失神・こむら返り・大量発汗(現場対応可)、II度は頭痛・嘔吐・倦怠感(医療機関受診)、III度は意識障害・けいれん・高体温・肝腎機能障害・血液凝固異常(入院加療)。III度では速やかな全身冷却と搬送が必要である。
問2
重症熱中症の現場での冷却法として最も推奨されるのはどれか。
  • 1解熱薬の投与
  • 2衣服を着せて保温する
  • ✔水をかけ扇風機で送風するなど気化熱を利用した全身冷却
  • 4四肢のみを温める
  • 5冷却は病院到着まで行わない
解説:重症熱中症では発症から冷却開始までの時間が予後を規定する。水の散布と送風、氷嚢による頸部・腋窩・鼠径部の冷却など、搬送と並行して現場から積極的に開始する。解熱薬は無効で肝障害を助長する可能性がある。
問3
偶発性低体温症の傷病者への対応で正しいのはどれか。
  • ✔心室細動誘発を避けるため愛護的に扱う
  • 2低体温では心停止と判断したら蘇生を中止する
  • 3体位変換や刺激を積極的に行う
  • 4四肢から急速に加温する
  • 5脈拍は5秒以内で判定する
解説:低体温では心筋が過敏となり、粗暴な扱いで心室細動を誘発しうるため愛護的に取り扱う。脈拍・呼吸の確認は徐脈・徐呼吸のため通常より長く(30〜45秒程度)かける。復温するまで死亡判定はできず(Nobody is dead until warm and dead)、蘇生を継続する。
問4
溺水傷病者の蘇生について正しいのはどれか。
  • 1まず腹部を圧迫して水を吐かせる
  • 2胸骨圧迫のみで十分である
  • 3頸椎保護は常に不要である
  • ✔低酸素が主病態であり人工呼吸を含むCPRが重要である
  • 5水中では絶対に人工呼吸をしてはならない
解説:溺水の心停止は低酸素が主因のため、人工呼吸を含む心肺蘇生(可能なら人工呼吸から開始)が推奨される。肺内の水を除去する目的の体位ドレナージや腹部圧迫は誤嚥を招くため行わない。飛び込みなど受傷機転によっては頸椎保護を行う。
問5
一酸化炭素中毒の傷病者への対応として正しいのはどれか。
  • 1室内にとどまり経過観察する
  • ✔高濃度酸素を投与する
  • 3水を飲ませる
  • 4催吐を行う
  • 5SpO2が98%あれば酸素投与は不要
解説:パルスオキシメータはCO-Hbを酸素化Hbと区別できずSpO2は偽高値を示すため、値にかかわらずリザーバ付きマスクで高濃度酸素を投与する。COの半減期は空気呼吸で約4〜5時間、100%酸素で約1時間に短縮する。重症例では高気圧酸素治療を検討する。
問6
有機リン中毒でみられる所見はどれか。
  • 1呼気のアルコール臭
  • 2高血糖・多尿
  • 3瞳孔散大・皮膚乾燥
  • 4著明な頻脈のみ
  • ✔縮瞳・流涎・気道分泌物増加
解説:有機リン系殺虫剤はコリンエステラーゼを阻害しアセチルコリンが蓄積、ムスカリン様症状(縮瞳、流涎、発汗、気道分泌亢進、徐脈、下痢)とニコチン様症状(線維束攣縮、筋力低下)を呈する。二次汚染防止のため個人防護具の着用と除染が必須である。
問7
急性中毒の傷病者に対して救急救命士が現場で行うべきでない処置はどれか。
  • 1バイタルサインの継続的観察
  • 2原因物質と摂取量、摂取時刻の聴取
  • 3残った容器や薬袋の医療機関への持参
  • ✔石油製品や強酸・強アルカリ摂取例に対する催吐
  • 5気道確保と酸素投与
解説:石油製品は誤嚥性肺炎、強酸・強アルカリは再度の粘膜損傷を招くため催吐は禁忌である。原因物質・摂取量・時刻の把握と、容器や残薬の持参が治療方針決定に極めて有用。中毒110番の情報も活用する。
問8
アルコール(急性エタノール中毒)の傷病者で最も注意すべき合併症はどれか。
  • 1脱水のみ
  • 2皮膚炎
  • 3便秘
  • ✔嘔吐物による窒息・誤嚥
  • 5高血圧
解説:急性アルコール中毒では意識障害に嘔吐が加わり、気道閉塞や誤嚥性肺炎をきたす危険が高い。回復体位とし気道を確保する。また外傷や低血糖、頭蓋内病変が隠れている可能性があり、「酔っているだけ」と決めつけない。

心肺蘇生・特定行為全109問中 8問を掲載

問1
成人に対する胸骨圧迫の深さと速さとして正しいのはどれか。
  • ✔約5cm(6cmを超えない)・100〜120回/分
  • 2約7cm・140回/分
  • 3約3cm・80回/分
  • 4胸郭の1/2・60回/分
  • 5深さは問わず可能な限り速く
解説:成人では深さ約5cm(6cmを超えない)、速さ100〜120回/分。毎回の圧迫後は完全に胸壁を戻し(リコイル)、中断は10秒以内とする。小児は胸郭前後径の約1/3の深さを目安とする。
問2
高度な気道確保器具挿入後のCPRについて正しいのはどれか。
  • 130:2の比を維持する
  • 2圧迫は50回/分とする
  • ✔胸骨圧迫を絶え間なく行い、換気は約6秒に1回行う
  • 4換気は行わない
  • 5換気のたびに圧迫を中断する
解説:気管挿管や声門上気道デバイス挿入後は非同期で、胸骨圧迫は絶え間なく継続し、人工呼吸は約6秒に1回(10回/分)行う。過換気は胸腔内圧を上昇させ静脈還流と冠灌流を低下させるため避ける。
問3
AEDによる電気ショックの適応となる心電図波形はどれか。
  • 1心静止(asystole)
  • ✔心室細動(VF)
  • 3I度房室ブロック
  • 4無脈性電気活動(PEA)
  • 5洞性徐脈
解説:電気ショックの適応は心室細動(VF)と無脈性心室頻拍(pulseless VT)である。心静止とPEAは非適応で、質の高いCPRの継続が最も重要となる。ショック後は直ちに胸骨圧迫を再開する。
問4
心停止に対するアドレナリン投与について正しいのはどれか。
  • 1救急救命士は医師の指示なく投与できる
  • 2経口投与でよい
  • 3VFに対しては禁忌である
  • 45分ごとに10mgを投与する
  • ✔初回投与量は成人で1mgである
解説:成人心停止ではアドレナリン1mgを3〜5分ごとに静脈内投与する。救急救命士による投与は心肺機能停止状態の傷病者に限られ、医師の具体的指示が必要である。VFでも除細動・CPRと並行して投与される。
問5
食道閉鎖式エアウェイ(コンビチューブ等)や声門上気道デバイスの利点はどれか。
  • 1気管挿管より確実な気道確保である
  • ✔喉頭鏡を用いず盲目的に挿入でき手技が比較的容易である
  • 3小児にも成人用がそのまま使える
  • 4確実に誤嚥を防止できる
  • 5胸骨圧迫を長時間中断できる
解説:声門上気道デバイスは喉頭展開を要さず短時間で挿入でき、CPR中断を最小化できる。ただし気管挿管に比べ誤嚥防止は不完全である。挿入後は必ず胸郭の上がり、呼吸音、EtCO2などで位置を確認する。
問6
気管挿管後のチューブ位置確認法として最も信頼性が高いのはどれか。
  • 1挿入長の目盛りのみ
  • ✔呼気終末二酸化炭素モニタ(波形表示のカプノグラフィ)
  • 3チューブの曇り
  • 4上腹部の視診のみ
  • 5胸郭の挙上のみ
解説:波形表示式カプノグラフィは持続的に気管内留置を確認でき、最も信頼性が高いとされる。5点聴診(心窩部、両側前胸部、両側側胸部)と併用する。食道挿管はEtCO2波形が得られないか急速に消失する。
問7
救急救命士が行う静脈路確保について正しいのはどれか。
  • 1中心静脈にも穿刺できる
  • 2動脈でもよい
  • 3医師の指示は不要である
  • 4輸液製剤は自由に選択できる
  • ✔原則として末梢静脈(上肢等)に留置針で行う
解説:救急救命士が行う静脈路確保は末梢静脈への留置針による穿刺で、輸液は乳酸リンゲル液等が用いられる。医師の具体的指示が必要であり、中心静脈穿刺は行えない。心肺機能停止前の傷病者への実施には追加講習の修了が必要である。
問8
心拍再開(ROSC)後の管理として適切なのはどれか。
  • ✔バイタルサインを継続監視し、12誘導心電図を含む再評価を行う
  • 2覚醒するまで搬送を待つ
  • 3過換気により脳血流を増やす
  • 4直ちに高濃度酸素で100%を目指す
  • 5再度の心停止に備え胸骨圧迫を継続する
解説:ROSC後は再心停止のリスクが高く、循環・呼吸の継続監視と12誘導心電図による原因検索が重要。過換気は脳血管を収縮させ脳血流を低下させるため避け、SpO2は94〜98%程度を目標に酸素を調節する。速やかに高度医療機関へ搬送する。

観察・処置全91問中 8問を掲載

問1
成人の正常な呼吸数(安静時)はどれか。
  • 14〜8回/分
  • ✔12〜20回/分
  • 325〜35回/分
  • 440〜50回/分
  • 560回/分以上
解説:成人の安静時呼吸数は12〜20回/分。小児は年齢が低いほど多く、乳児では30〜40回/分程度。呼吸数は急変の早期予測因子として重要で、10回/分未満や30回/分以上は重症を示唆する。
問2
血圧測定でマンシェットの幅が狭すぎる場合に生じる誤差はどれか。
  • ✔実際より高く測定される
  • 2脈拍のみ影響を受ける
  • 3実際より低く測定される
  • 4収縮期のみ低くなる
  • 5誤差は生じない
解説:マンシェット幅が狭すぎると、より高い圧をかけないと動脈が圧迫されないため実際より高値となる。逆に広すぎると低値となる。上腕周囲径の約40%の幅、上腕長の2/3を覆う長さが適切とされる。
問3
リザーバ付き酸素マスクで高濃度酸素を投与する際の最低流量はどれか。
  • 11L/分
  • 2流量は問わない
  • ✔6L/分以上(リザーバがしぼまない流量)
  • 43L/分
  • 50.5L/分
解説:リザーバ付きマスクは通常10〜15L/分で使用し、少なくとも吸気時にリザーババッグがしぼみきらない流量が必要である。流量不足では呼気の再吸入によりCO2貯留を招く。約60〜90%の吸入酸素濃度が得られる。
問4
鼻カニューレによる酸素投与について正しいのはどれか。
  • ✔会話や食事が可能で、1〜6L/分程度で用いる
  • 2口呼吸の傷病者に最も適する
  • 3加湿は絶対に不要である
  • 410L/分以上で使用するのが標準である
  • 5吸入酸素濃度は90%以上となる
解説:鼻カニューレは1〜6L/分で使用し、吸入酸素濃度は概ね24〜44%。装着感が良く会話・食事が可能な一方、高流量では鼻粘膜が乾燥する。高濃度が必要な場合はリザーバ付きマスクを選択する。
問5
パルスオキシメータの値が正確に測定できない状況はどれか。
  • 1室温が適切な屋内
  • 2安静時
  • 3成人男性
  • 4SpO2が98%のとき
  • ✔末梢循環不全・低体温・マニキュア装着
解説:パルスオキシメータは拍動する動脈血の吸光度を利用するため、末梢循環不全、低体温、ショック、体動、マニキュア、強い外光で測定困難となる。またCO中毒やメトヘモグロビン血症では偽高値を示す点に注意する。
問6
ショック傷病者の搬送体位として一般に推奨されるのはどれか。
  • 1立位
  • ✔仰臥位(必要に応じ下肢挙上)
  • 3坐位
  • 4半坐位(ファーラー位)
  • 5腹臥位
解説:循環血液量減少性ショックでは仰臥位とし、必要に応じて下肢を挙上する(ショック体位)。ただし頭部外傷、呼吸困難、心不全を伴う場合は適さない。低体温は凝固障害を招くため保温を必ず行う。
問7
意識障害があり自発呼吸のある傷病者を側臥位(回復体位)とする主な目的はどれか。
  • 1出血を止めるため
  • 2保温のため
  • 3血圧を上げるため
  • ✔舌根沈下と誤嚥を防ぐため
  • 5痛みを緩和するため
解説:回復体位では舌根沈下による気道閉塞と嘔吐物の誤嚥を防ぐことができる。ただし外傷が疑われる場合は脊柱保護を優先する。定期的に体位を変え、圧迫による循環障害を防ぐ配慮も必要である。
問8
バッグ・バルブ・マスクによる人工呼吸で送気量が不足する主な原因はどれか。
  • ✔マスクと顔面の密着不良や気道確保の不足
  • 2傷病者の体重が軽い
  • 3呼吸回数が少ない
  • 4酸素流量が多すぎる
  • 5バッグの容量が大きすぎる
解説:BVMでは片手でのEC法によるマスク保持が難しく、密着不良と気道確保不十分が送気量不足の主因となる。可能なら2人法(1人がマスク保持と気道確保、1人が送気)を行う。過大な送気は胃膨満と誤嚥を招くため胸が上がる程度にとどめる。