分野別問題(解説つき)

助産師国家試験|分野別 問題インデックス

最終更新:2026年8月11日

助産師国家試験は7分野から出題されます。分野別に代表問題を掲載しています。全1000問をまとめて解くならトレーナーへ進んでください。

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基礎助産学全135問中 8問を掲載

問1
産科的真結合線(obstetric conjugate)の説明として正しいものはどれか。
  • 1恥骨結合上縁中央から岬角中央までの距離である
  • ✔岬角中央から恥骨結合後面の最突出部までの最短距離で、約11cmである
  • 3両側の坐骨棘間を結ぶ距離で、約10.5cmである
  • 4恥骨結合下縁から尾骨先端までの距離である
  • 5両側の上前腸骨棘間を結ぶ距離で、約23cmである
解説:産科的真結合線は骨盤入口部の前後径のうち最も短く、児頭下降の可否を左右する臨床上最重要の径線である。岬角中央から恥骨結合後面の最も突出した部位までの最短距離で、正常は約11cm。選択肢1は解剖学的真結合線(約11.5cm)、選択肢3は骨盤濶部の坐骨棘間距離(中在骨盤の狭窄評価に用いる)、選択肢4は骨盤出口部前後径、選択肢5は棘間径で外計測の項目。産科的真結合線は直接測定できないため、内診で対角結合線(岬角〜恥骨結合下縁、約12.5cm)を測り、そこから1.5〜2cmを差し引いて推定する。10cm未満で狭骨盤と判断する。
【誤答】「恥骨結合上縁〜岬角」は真結合線(解剖学的結合線、約11.5cm)。「恥骨結合下縁〜岬角」は対角結合線(約12.5cm、内診で測定可能)。「坐骨棘間」は峡部横径(約10.5cm)。「坐骨結節間」は出口部横径。
【比較整理】骨盤入口部の3つの前後径を区別する。①産科的真結合線=岬角中央〜恥骨結合後面の最突出部、約11cm、児頭通過に最も重要だが直接測定できない。②真結合線=岬角〜恥骨結合上縁、約11.5cm。③対角結合線=岬角〜恥骨結合下縁、約12.5cm、内診で測定可能。産科的真結合線は対角結合線から1.5〜2cmを引いて推定する。
【ひっかけ】「内診で測れるのは対角結合線だけ」「産科的真結合線が10cm未満で狭骨盤」の2点。通常の骨盤では中指を挿入しても岬角に届かないため、容易に触れれば狭小を疑う。
【実践】現在はX線骨盤計測より、超音波による児頭大横径・推定体重と、実際の分娩経過(試験分娩)を組み合わせてCPDを判断することが多い。
問2
Caldwell-Moloy分類において、日本人女性で最も頻度が高く分娩に適した骨盤型はどれか。
  • 1男性型(android type)
  • ✔女性型(gynecoid type)
  • 3類人猿型(anthropoid type)
  • 4扁平型(platypelloid type)
  • 5漏斗型(funnel type)
解説:Caldwell-Moloy分類は骨盤入口面の形態による分類で、女性型・男性型・類人猿型・扁平型の4型がある。女性型は入口面がほぼ円形で骨盤腔が広く、分娩に最も適した型で日本人女性の約半数を占める。男性型は入口面が三角形(楔状)で恥骨弓角が狭く、児頭の下降・内回旋が障害されやすく回旋異常や分娩停止を起こしやすい。類人猿型は前後径が横径より長い縦長型で、後方後頭位となりやすい。扁平型は前後径が短い横長型で、入口部での児頭嵌入が遅れやすい。漏斗型は選択肢としての分類名ではなく、骨盤出口が狭い狭骨盤の一形態を指す表現である。
問3
排卵を直接誘発する内分泌学的変化はどれか。
  • 1FSHの持続的上昇
  • ✔LHサージ
  • 3プロゲステロンの急激な低下
  • 4hCGの上昇
  • 5プロラクチンの上昇
解説:成熟卵胞から分泌されるエストラジオールが一定濃度(約200pg/mL)以上に達し、それが約48時間持続すると、視床下部・下垂体に対してポジティブフィードバックが働き、LHが急激に大量放出される。これをLHサージといい、その約36〜40時間後に排卵が起こる。排卵日予測に尿中LH検査が用いられるのはこのためである。FSHは卵胞の発育・成熟を促すが排卵の直接の引き金ではない。プロゲステロンは排卵後の黄体から分泌され、その低下は月経を招く。hCGは着床後に絨毛から産生されLH様作用をもつため、不妊治療では排卵誘発の目的で外因性に投与されるが、自然周期での生理的な引き金ではない。
問4
基礎体温が排卵後に高温相を示す機序として正しいものはどれか。
  • 1エストロゲンが視床下部の体温調節中枢を刺激する
  • ✔プロゲステロンが視床下部の体温調節中枢に作用し体温セットポイントを上昇させる
  • 3LHが甲状腺ホルモン分泌を促進する
  • 4黄体形成に伴い基礎代謝が低下する
  • 5子宮内膜の増殖により熱産生が増加する
解説:排卵後に形成される黄体から分泌されるプロゲステロンには体温上昇作用があり、視床下部の体温調節中枢に作用して体温のセットポイントを約0.3〜0.5℃引き上げる。このため基礎体温は二相性を示し、高温相の存在が排卵があったことの間接的証拠となる。高温相は通常12〜14日間持続し、妊娠が成立しなければ黄体退縮によりプロゲステロンが低下して体温が下がり月経が始まる。妊娠が成立すればhCGにより黄体が維持されるため高温相が3週間以上持続する。エストロゲンには体温上昇作用はなく、むしろ排卵直前に一過性の体温低下(陥落日)がみられることがある。
問5
受精が通常起こる部位はどこか。
  • 1卵巣表面
  • 2卵管采
  • ✔卵管膨大部
  • 4卵管峡部
  • 5子宮腔
解説:排卵された卵子は卵管采に捕捉され、卵管膨大部へ運ばれる。膣内に射精された精子は子宮頸管・子宮腔を経て卵管を上行し、卵管膨大部で卵子と出会って受精する。卵子の受精能は排卵後約24時間、精子の受精能は女性生殖器内で約48〜72時間である。受精卵は分割しながら4〜5日かけて卵管を下降し、桑実胚から胚盤胞となって子宮腔に到達、受精後6〜7日で子宮内膜に着床する。卵管の通過障害があると受精卵が卵管内にとどまり卵管妊娠(異所性妊娠の約95%)となる。異所性妊娠の中でも卵管膨大部妊娠が最多である。
問6
着床が完了する時期として正しいものはどれか。
  • 1受精後1〜2日
  • ✔受精後6〜7日ごろに開始し11〜12日で完了する
  • 3受精後14〜15日
  • 4受精後20〜21日
  • 5受精後28日
解説:受精卵は受精後4〜5日で胚盤胞となって子宮腔に達し、受精後6〜7日ごろに透明帯から脱出して子宮内膜に接着・侵入を開始する(着床開始)。栄養膜細胞が内膜に侵入して完全に埋没するのが受精後11〜12日ごろで、これをもって着床完了とする。着床の時期は最終月経初日から数えるとおよそ妊娠3週にあたる。着床開始とほぼ同時に合胞体栄養細胞からhCGの産生が始まるため、高感度の尿妊娠反応は次回月経予定日ごろ(妊娠4週)から陽性となる。着床時に少量の性器出血(着床出血)をみることがあり、月経と誤認されることがある。
【誤答】受精後2〜3日は卵管内、4〜5日で胚盤胞となり子宮腔へ到達、6〜7日で着床開始。着床完了は受精後約11〜12日である。
【比較整理】受精から着床までの時間軸=排卵→卵管膨大部で受精→受精後3〜4日で桑実胚→4〜5日で胚盤胞となり子宮腔へ→6〜7日で着床開始→11〜12日で完了。着床とほぼ同時にhCGの産生が始まり、尿妊娠反応が陽性となるのは妊娠4週ごろ(月経予定日前後)。
【ひっかけ】「着床の窓」=子宮内膜が胚を受け入れられる限られた期間で、排卵後およそ6〜10日。胚の発育段階と内膜の受容能のタイミングが一致することが妊娠成立の条件であり、生殖補助医療における胚移植のタイミング設定の根拠になる。
【実践】この時期は「全か無かの法則」の期間(受精〜妊娠3週末)にあたり、薬剤の影響は流産するか完全に修復されるかで奇形は残りにくい。妊娠4〜7週の絶対過敏期と区別して理解する。妊娠に気づく前の時期であることが、プレコンセプションケアの必要性の根拠になる。
問7
胎盤で産生されないホルモンはどれか。
  • 1ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)
  • 2ヒト胎盤性ラクトゲン(hPL)
  • 3エストリオール(E3)
  • 4プロゲステロン
  • ✔卵胞刺激ホルモン(FSH)
解説:胎盤は妊娠中の主要な内分泌器官であり、hCG、hPL、エストロゲン(特にエストリオール)、プロゲステロン、CRHなどを産生する。hCGは合胞体栄養細胞から分泌され妊娠8〜10週にピークとなり、黄体を維持してプロゲステロン分泌を保つ。hPLは母体の脂質を動員し糖の利用を抑制する抗インスリン作用をもち、妊娠糖尿病の発症に関与する。エストリオールは胎児副腎由来のDHEA-Sを前駆物質とするため胎児胎盤機能の指標となる。プロゲステロンは妊娠7〜9週以降、産生の主座が黄体から胎盤へ移行する(黄体胎盤移行期)。FSHは下垂体前葉から分泌されるホルモンであり、妊娠中はエストロゲン・プロゲステロンのネガティブフィードバックにより分泌が抑制される。
【誤答】hCG、hPL、エストロゲン、プロゲステロンはいずれも胎盤で産生される。産生されないのはオキシトシン(下垂体後葉)やプロラクチン(下垂体前葉)などの母体側ホルモン。
【比較整理】胎盤ホルモンを役割で整理する。①hCG=妊娠初期に黄体を維持しプロゲステロン分泌を継続させる(8〜10週でピーク。妊娠反応の指標。甲状腺刺激作用もあり悪阻と関連)。②hPL=抗インスリン作用と脂肪分解でグルコースを胎児へ回す(GDMの機序)。③プロゲステロン=子宮筋の弛緩、平滑筋弛緩(便秘・胃食道逆流・尿管拡張の原因)、体温上昇、呼吸中枢刺激。④エストロゲン=子宮の増大、乳腺の発育、凝固能亢進、色素沈着。
【ひっかけ】妊娠中に乳汁が出ない理由=胎盤由来のエストロゲン・プロゲステロンがプロラクチンの作用を抑制している。胎盤娩出でこれが消え分泌が始まる。
【実践】ホルモンの作用から妊娠中の生理的変化とマイナートラブルの多くが説明できる。丸暗記でなく因果で覚える。
問8
胎児循環において最も酸素飽和度が高い血管はどれか。
  • 1臍動脈
  • ✔臍静脈
  • 3肺動脈
  • 4下大静脈
  • 5上大静脈
解説:胎盤で母体血からガス交換を受けた動脈血は、1本の臍静脈を通って胎児に戻るため、臍静脈血の酸素飽和度が最も高い(約80%)。臍静脈血の約半分は静脈管(アランチウス管)を通って肝臓を迂回し下大静脈に流入、右心房に達すると卵円孔を通って左心房へ短絡し、左心室から上行大動脈を経て脳・心臓など重要臓器へ優先的に送られる。一方、上大静脈から戻った静脈血は右心室へ流れ、肺動脈へ出るが、肺血管抵抗が高いため大部分は動脈管(ボタロー管)を通って下行大動脈に流入する。臍動脈は2本あり、胎児からの静脈血を胎盤へ運ぶ。臍帯が2血管(単一臍動脈)の場合は先天奇形の合併に注意する。
【誤答】臍動脈は胎児から胎盤へ向かう静脈血で酸素飽和度が最も低い。下大静脈は臍静脈血と下半身の静脈血が混じる。肺静脈は胎児期には肺でガス交換していないため高くない。
【比較整理】胎児循環の流れを追う。胎盤で酸素化された血液→臍静脈(最も酸素飽和度が高い、約80%)→静脈管(一部は肝を経由)→下大静脈→右心房→卵円孔を通って左心房→左心室→大動脈→脳・心臓へ優先的に供給。上半身からの静脈血→上大静脈→右心房→右心室→肺動脈→動脈管→下行大動脈→臍動脈(2本)→胎盤。
【ひっかけ】「臍静脈は1本で動脈血、臍動脈は2本で静脈血」という逆転を確実に。臍帯の血管数の確認(単一臍動脈は奇形の合併に注意)につながる。
【実践】出生後の変化=臍静脈→肝円索、静脈管→静脈管索、臍動脈→臍動脈索(内側臍索)、卵円孔→卵円窩、動脈管→動脈管索。動脈管依存性心疾患で「動脈管を閉じさせない」管理の根拠になる。

妊娠期全192問中 8問を掲載

問1
最終月経初日が2月10日であった女性について、Naegele概算法で算出した分娩予定日はどれか。月経周期は28日型で規則的である。
  • 111月10日
  • ✔11月17日
  • 312月10日
  • 412月17日
  • 510月17日
解説:Naegele概算法では、最終月経初日の月に9を加える(または3を引く)、日に7を加えることで分娩予定日を求める。本例では月は2+9=11月、日は10+7=17日となり、分娩予定日は11月17日である。この計算は最終月経初日を妊娠0週0日とし、満280日(40週0日)を予定日とする考え方に基づく。ただしNaegele法は月経周期28日型を前提としているため、周期が不規則な場合や排卵が遅れた場合には誤差が生じる。そのため現在は妊娠8〜11週の超音波検査による頭殿長(CRL)計測が最も正確とされ、CRLによる推定week数と最終月経による週数が一定以上ずれる場合は超音波所見に基づいて予定日を修正する。
【誤答】1「11月10日」は日に7を加えていない。3「12月10日」は月の計算が誤り。4「12月17日」は月が1つ多い。5「10月17日」は月が1つ少ない。
【比較整理】Naegele概算法=月に9を加える(または3を引く)/日に7を加える。2月10日→月2+9=11月、日10+7=17日→11月17日。日が月末を超える場合は当該月の日数を引いて翌月へ繰り越す。
【ひっかけ】この方法は月経周期28日型が前提。周期が長い人は排卵が遅れるため予定日は後ろにずれる。実際の日数計算(280日)と1日程度ずれることもある。
【実践】現在は妊娠8〜11週のCRL計測が最も正確とされ、最終月経による週数と一定以上(多くは7日以上)ずれる場合は超音波所見で予定日を修正する。正確な週数の確定は、FGRの診断、早産・過期の判断、検査の実施時期、誘発の時期など、その後のすべての管理の前提になる。
問2
正期産の定義として正しいものはどれか。
  • 1妊娠22週0日から36週6日
  • 2妊娠36週0日から40週6日
  • ✔妊娠37週0日から41週6日
  • 4妊娠38週0日から42週6日
  • 5妊娠40週0日から42週0日
解説:分娩時期は妊娠週数により、流産(妊娠22週未満)、早産(妊娠22週0日〜36週6日)、正期産(妊娠37週0日〜41週6日)、過期産(妊娠42週0日以降)に分類される。妊娠22週未満は児が母体外で生存できないとされる時期であり、母体保護法上の人工妊娠中絶の可能時期の境界とも一致する。早産はさらに超早産(28週未満)などに細分され、妊娠週数が小さいほど新生児予後は不良となる。過期妊娠では胎盤機能不全による胎児機能不全、羊水過少、巨大児、胎便吸引症候群のリスクが高まるため、多くの施設では妊娠41週前後で分娩誘発が検討される。なお早産の下限は国により定義が異なる(WHOは妊娠22週または出生体重500g)。
【誤答】1は早産の範囲、2・4・5は境界が誤り。正期産は妊娠37週0日〜41週6日。
【比較整理】週数の区分を一本の線で覚える。〈22週0日〉流産/早産の境界・中絶可能時期の上限・周産期死亡の起算点 →〈37週0日〉正期産の開始 →〈42週0日〉過期産。日数では22週=154日、37週=259日、40週=280日、42週=294日。
【ひっかけ】「早産の下限」は国により異なる(WHOは22週または出生体重500g)。また「late preterm(34〜36週)」は正期産に近いが、呼吸障害・低血糖・黄疸・哺乳障害のリスクが正期産児より高く、軽視できない群である。
【実践】週数は児の予後を左右する最重要因子。切迫早産で「1日でも週数を延ばす意義」を説明する根拠になる。逆に絨毛膜羊膜炎が成立すれば、週数にかかわらず娩出へ方針が転換する。
問3
経腟超音波検査で子宮内に胎嚢(GS)が確認できるようになる最も早い時期はどれか。
  • 1妊娠3週ごろ
  • ✔妊娠4週後半〜5週ごろ
  • 3妊娠8週ごろ
  • 4妊娠10週ごろ
  • 5妊娠12週ごろ
解説:経腟超音波検査では、妊娠4週後半〜5週ごろに子宮内に胎嚢(GS:gestational sac)が確認できる。続いて妊娠5〜6週で卵黄嚢、妊娠6週ごろに胎芽と心拍が確認され、心拍が確認された時点で臨床的に妊娠が確定する。妊娠8〜11週にはCRL(頭殿長)計測により妊娠週数を最も正確に推定できる。尿中hCG検査は妊娠4週(次回月経予定日)ごろから陽性となるが、これのみでは子宮内妊娠か異所性妊娠かを区別できない。hCG値が1000〜2000 IU/L以上あるにもかかわらず子宮内にGSが確認できない場合は、異所性妊娠を強く疑い精査が必要である。妊娠12週以降は経腹超音波が主となる。
問4
初産婦が胎動を自覚する(胎動初覚)のは一般に妊娠何週ごろか。
  • 1妊娠12〜14週
  • 2妊娠15〜17週
  • ✔妊娠18〜20週
  • 4妊娠24〜26週
  • 5妊娠28〜30週
解説:胎動そのものは妊娠7〜8週ごろから超音波で観察できるが、母体が自覚するのは初産婦で妊娠18〜20週ごろ、経産婦は経験があるため2週間ほど早く妊娠16〜18週ごろである。胎動自覚は胎児の生存を示す重要な所見であり、妊婦自身が行える胎児健康評価の手段として、胎動カウント(10回胎動を数えるのに要する時間を記録するcount ten法など)が指導される。胎動の減少・消失は胎児機能不全や子宮内胎児死亡の徴候となるため、「いつもと違って動きが少ない」と感じたら時間を問わず連絡するよう指導することが重要である。関連して、胎児心音はドプラで妊娠10〜12週ごろ、トラウベ杆状聴診器で妊娠18〜20週ごろから聴取可能となる。
【誤答】胎動初覚は初産婦で妊娠18〜20週、経産婦は経験があるため16〜18週とやや早い。超音波では7〜8週から胎動が観察できるが、母体の自覚とは別。
【比較整理】胎動の意義。①妊娠週数の目安(ただし予定日確定には使わない)、②胎児の元気さの指標(胎動カウント:一定時間に10回の胎動を感じるまでの時間を測るなど)、③胎動減少は胎児機能不全、母児間輸血症候群、子宮内胎児死亡の重要なサイン。
【ひっかけ】「胎動が減った」という母親の訴えは、数値に表れる前の最も鋭敏な情報の一つ。「気のせい」と流さず、NST・超音波で評価する。妊娠後期に胎動を感じない時間が続く、明らかに減ったと感じる場合は時間を問わず連絡するよう指導する。
【実践】胎動カウントを妊娠後期の保健指導に組み込む。方法は施設で統一し、母親が「いつもと違う」と気づけるよう、普段のパターンを把握しておくことを勧める。
問5
Leopold触診法の第1段法で確認する内容として正しいものはどれか。
  • ✔子宮底の高さと子宮底部にある胎児部分
  • 2胎背の位置と胎向
  • 3児頭の下降度
  • 4骨盤入口部への児頭の嵌入の程度
  • 5胎児心音の最良聴取部位
解説:Leopold触診法は4段階からなる腹壁触診法である。第1段法は検者が妊婦の側方に立ち、両手で子宮底を包むように触れて子宮底の高さと子宮底部にある胎児部分(頭部か殿部か)を確認し、胎位を推定する。第2段法は両手を子宮の左右側面に当て、胎背の位置と胎向(第1胎向=背が母体左側、第2胎向=背が母体右側)を確認する。第3段法は片手の母指と他の4指で恥骨結合上部の胎児下向部をつかみ、胎向部が頭か殿か、また可動性(浮動しているか)を確認する。第4段法は妊婦の足側を向き、両手を恥骨結合上部から骨盤入口部へ挿入して児頭の下降・嵌入の程度を確認する。触診前に排尿を促し、仰臥位低血圧症候群を避けるため膝を軽く曲げ、腹部の緊張をとることが重要である。
【誤答】第1段法は子宮底の高さと子宮底にある児の部分(頭か殿部か)を確認する。第2段法は児背の位置(胎向)、第3段法は先進部の性状と可動性、第4段法は先進部の下降度と嵌入。
【比較整理】Leopold触診法の4段法。①第1段=両手で子宮底を触れ、高さと児の部分を確認(頭は硬く球状で可動、殿部は軟らかく不整)。②第2段=両手を子宮の両側に当て、児背(平滑で抵抗がある)と四肢側(小部分が不規則に触れる)を確認→胎向。③第3段=片手の母指と他の4指で恥骨上の先進部をつかみ、性状と可動性を確認。④第4段=足側を向いて両手で先進部を骨盤入口へ向けて触れ、下降度・嵌入を確認。
【ひっかけ】第1〜3段は妊婦の頭側を向いて行い、第4段だけ足側を向く。
【実践】準備=排尿後、手を温める、膝を軽く曲げる、説明と同意、長時間の仰臥位を避ける。触診で胎位・胎向を推定してから胎児心音を聴取すると、最良聴取部位(頭位なら臍と腸骨棘の線上・児背側)が定まる。
問6
厚生労働省が示す妊婦健康診査の望ましい受診回数と間隔について、妊娠24週から35週の期間の受診間隔として適切なものはどれか。
  • 11週間に1回
  • ✔2週間に1回
  • 33週間に1回
  • 44週間に1回
  • 56週間に1回
解説:厚生労働省の「妊婦健康診査の望ましい基準」では、妊娠初期から妊娠23週までは4週間に1回、妊娠24週から35週までは2週間に1回、妊娠36週から分娩までは1週間に1回とされ、標準的な受診回数は計14回程度となる。市町村はこの14回分について公費負担(妊婦健康診査費用助成)を行っている。毎回の基本的な検査項目は、問診・診察、体重・血圧測定、尿検査(蛋白・糖)、子宮底長・腹囲測定、浮腫の確認、胎児心拍確認である。時期に応じた検査として、初期に血液型・血算・血糖・感染症検査(B型肝炎・C型肝炎・HIV・梅毒・風疹抗体・HTLV-1)、妊娠24〜28週ごろに血算・血糖再検、妊娠35〜37週にGBS(B群溶血性連鎖球菌)検査が行われる。
【誤答】標準的な受診回数は約14回。妊娠初期〜23週は4週に1回、24〜35週は2週に1回、36週〜分娩は1週に1回。
【比較整理】間隔の変化には理由がある=妊娠が進むほど妊娠高血圧症候群、胎児発育不全、早産といった異常の発生と進行が速くなるため、間隔を短くして変化を捉える。市町村はこの14回分について公費負担(受診券)を行う。
【ひっかけ】毎回の基本項目=問診・診察、血圧、体重、尿検査(蛋白・糖)、子宮底長・腹囲、浮腫、胎児心拍。時期別=初期に血液型・不規則抗体・血算・血糖・感染症(B型肝炎、C型肝炎、HIV、梅毒、風疹、HTLV-1)と子宮頸部細胞診、24〜28週に血算・血糖の再検、30週ごろまでにクラミジア、35〜37週にGBS。
【実践】受診が滞る背景には経済的困窮、言語の壁、制度を知らない、就労上の困難がある。未受診は飛び込み出産、母児のリスク、産後の孤立と結びつくため、「来なかった」ことを責めず、公費負担の説明と受診しやすい体制づくりで対応する。
問7
「妊娠中の体重増加指導の目安」(2021年、日本産科婦人科学会)において、妊娠前BMIが18.5以上25.0未満(普通体重)の女性に推奨される妊娠全期間の体重増加量はどれか。
  • 15〜7kg
  • 27〜10kg
  • ✔10〜13kg
  • 412〜15kg
  • 515〜20kg
解説:2021年に日本産科婦人科学会が示した「妊娠中の体重増加指導の目安」では、妊娠前BMI 18.5未満(低体重)で12〜15kg、18.5以上25.0未満(普通体重)で10〜13kg、25.0以上30.0未満(肥満1度)で7〜10kg、30.0以上(肥満2度以上)で個別対応(上限5kgが目安)とされている。これは以前の基準より全体に増加幅が大きく設定されており、日本で問題となっている低出生体重児の増加を背景に、過度な体重制限への戒めが込められている。同時に「あくまで目安であり、個人差を考慮したゆるやかな指導を心がける」との注記がある点も重要である。体重増加が不足すると低出生体重児・切迫早産のリスクが、過剰だと妊娠高血圧症候群・妊娠糖尿病・巨大児・帝王切開のリスクが高まる。
【誤答】1「5〜7kg」は肥満2度以上の個別対応に近い値。2「7〜10kg」は肥満1度(BMI25.0以上30.0未満)。4「12〜15kg」は低体重(BMI18.5未満)。5「15〜20kg」は該当区分なし。
【比較整理】2021年の目安を4区分で覚える。低体重(18.5未満)12〜15kg/普通体重(18.5以上25.0未満)10〜13kg/肥満1度(25.0以上30.0未満)7〜10kg/肥満2度以上(30.0以上)個別対応(上限5kg目安)。BMI25.0ちょうどは肥満1度に含まれる。
【ひっかけ】この目安は従来より増加幅が大きい。背景には日本の低出生体重児割合が約9%台と高いことがあり、過度な体重制限への戒めが込められている。「あくまで目安であり個人差を考慮したゆるやかな指導を」という注記も出題されうる。
【実践】体重増加の内訳(胎児3kg、胎盤0.5、羊水0.5、子宮1、乳房0.4、循環血液量1.2〜1.5、組織間液1.5〜2、脂肪2〜4kg)を説明できると、「太ること」ではないと納得が得られやすい。
問8
重症妊娠悪阻の管理において、Wernicke脳症の予防のために特に補充が必要なビタミンはどれか。
  • 1ビタミンA
  • ✔ビタミンB1(チアミン)
  • 3ビタミンB12
  • 4ビタミンC
  • 5ビタミンK
解説:妊娠悪阻では持続する嘔吐により経口摂取が困難となり、ビタミンB1(チアミン)欠乏が生じやすい。この状態でチアミンを含まないブドウ糖輸液を行うと、糖代謝によりチアミンがさらに消費され、Wernicke脳症(眼球運動障害・失調性歩行・意識障害の3徴)を発症する危険がある。したがって輸液の際は必ずビタミンB1を含む補正を行う。妊娠悪阻の診断の目安は、非妊時体重の5%以上の減少、尿ケトン体陽性、脱水・電解質異常(低ナトリウム血症、低カリウム血症)であり、これらがあれば入院での輸液管理を要する。看護としては、においの少ない冷たい食品を少量頻回に、起床時にすぐ食べられるものを枕元に、脱水予防の水分摂取といった具体的助言と、症状への共感的支援が重要である。多くは妊娠12〜16週ごろに軽快する。
【誤答】1・3・4・5のビタミンはいずれもWernicke脳症とは無関係。特にビタミンB12(3)と混同しやすいが、糖代謝で消費されるのはB1(チアミン)。
【比較整理】機序で覚える。嘔吐→経口摂取不能→チアミン枯渇→この状態でチアミンを含まないブドウ糖輸液→糖代謝でチアミンがさらに消費→Wernicke脳症(眼球運動障害・失調性歩行・意識障害の3徴)。後遺症としてKorsakoff症候群(記銘力障害、作話)を残しうる。
【ひっかけ】「輸液をすれば安心」ではなく「B1を入れない輸液がむしろ危険」という逆説が問われる。
【実践】妊娠悪阻の入院適応は、非妊時体重の5%以上の減少、尿ケトン体陽性、電解質異常(低Na、低K)。管理は①B1を含む輸液、②電解質補正(急激なNa補正は浸透圧性脱髄症候群に注意)、③体重・尿ケトン・in-outの評価、④制吐薬、⑤経口摂取の再開支援。鑑別として多胎・胞状奇胎(hCG高値)、甲状腺機能亢進も念頭に。

分娩期全136問中 8問を掲載

問1
分娩開始の定義として正しいものはどれか。
  • 1破水した時点
  • 2産痛を自覚した時点
  • ✔陣痛周期が10分以内、または1時間に6回の陣痛が規則的に起こるようになった時点
  • 4子宮口が全開大した時点
  • 5産徴(おしるし)がみられた時点
解説:分娩開始は、陣痛周期が10分以内となる、または1時間に6回の規則的な陣痛が起こった時点と定義される。産徴(おしるし)は分娩開始の前徴であり、頸管の熟化に伴う卵膜と脱落膜の剥離による少量の血性分泌物で、これのみでは分娩開始とはいえない。破水も分娩開始の指標ではなく、分娩開始前に破水した場合は前期破水(PROM)と呼ぶ。分娩の経過は3期に分けられ、第1期(開口期)は分娩開始から子宮口全開大まで、第2期(娩出期)は全開大から児娩出まで、第3期(後産期)は児娩出から胎盤娩出までである。さらに胎盤娩出後2時間を分娩第4期として、弛緩出血など異常出血の観察を要する重要な時期と位置づける。所要時間の目安は初産婦で12〜15時間、経産婦で6〜8時間である。
【誤答】1「破水した時点」は誤りで、分娩開始前の破水は前期破水。2「産痛を自覚した時点」も定義ではない。4「子宮口全開大」は第1期の終了時点。5「産徴」は分娩開始の前徴にすぎない。
【比較整理】分娩開始=陣痛周期10分以内、または1時間に6回の規則的な陣痛。ここを起点に、第1期(開口期)=全開大まで、第2期(娩出期)=児娩出まで、第3期(後産期)=胎盤娩出まで、第4期=胎盤娩出後2時間。所要時間は初産12〜15時間/経産6〜8時間。
【ひっかけ】陣痛周期=発作の開始から次の発作の開始まで。陣痛発作=収縮の持続時間(30〜70秒)。陣痛間欠=弛緩している時間。この3つの用語の区別も頻出。
【実践】陣痛間欠は胎盤循環が回復する時間である。だから過強陣痛(間欠の短縮)が胎児機能不全を招く。分娩開始の判断は入院・搬送のタイミングを左右するため、妊娠後期の保健指導で産徴・陣痛・破水の3つを区別して説明しておく。
問2
分娩第2期の初産婦における所要時間の目安として適切なものはどれか。
  • 110〜30分
  • ✔1〜2時間
  • 33〜4時間
  • 45〜6時間
  • 58時間以上
解説:分娩第2期(娩出期)の所要時間の目安は初産婦で1〜2時間、経産婦で30分〜1時間である。第1期は初産婦10〜12時間、経産婦4〜6時間、第3期は初産婦・経産婦とも15〜30分である。全所要時間は初産婦12〜15時間、経産婦6〜8時間とされる。これらを大きく逸脱する場合は分娩の異常を考える。分娩開始から30時間以上(初産婦)を遷延分娩といい、微弱陣痛、児頭骨盤不均衡、回旋異常、軟産道強靱などが原因となる。逆に分娩開始から3時間未満で児娩出に至るものを急速遂娩・墜落分娩(過強陣痛の結果)といい、頸管裂傷、子宮破裂、常位胎盤早期剥離、児の頭蓋内出血、新生児の低体温などの危険がある。分娩進行の評価にはパルトグラム(産科経過図)を用い、子宮口開大度と児頭下降度を経時的に記録する。
【誤答】初産婦の第2期は1〜2時間が目安(経産婦30分〜1時間)。3時間以上は遷延(硬膜外麻酔中は初産婦3時間・経産婦2時間を目安とする考えもある)。
【比較整理】所要時間の目安。〈初産婦〉第1期10〜12時間/第2期1〜2時間/第3期15〜30分/合計12〜15時間。〈経産婦〉第1期4〜6時間/第2期30分〜1時間/第3期15〜30分/合計6〜8時間。遷延分娩=初産30時間・経産15時間以上。急速遂娩=3時間未満。
【ひっかけ】第2期遷延(初産婦2時間超)に胎児機能不全が加われば急速遂娩の適応。ただし児頭の下降度と回旋が要件を満たすかを確認する。
【実践】第2期が長引く原因=微弱陣痛、回旋異常(後方後頭位)、児頭骨盤不均衡、硬膜外麻酔による努責感の減弱、産婦の疲労。対応は原因の評価、体位の工夫(四つ這いで回旋を促す)、努責のタイミングの支援、そして適応があれば器械分娩。
問3
分娩の第2回旋(内回旋)として正しいものはどれか。
  • 1児頭が骨盤入口部で屈位をとる
  • ✔児頭の矢状縫合が骨盤の縦径に一致するよう回旋する
  • 3児頭が娩出後に反屈して伸展する
  • 4児頭娩出後に胎向へ戻るように回旋する
  • 5肩甲が骨盤の前後径に一致するよう回旋する
解説:児頭の回旋は4段階からなる。第1回旋(屈位)は骨盤入口部で顎を胸に引きつけ、最小の周囲径である小斜径(約32cm)で骨盤を通過できるようにする屈曲運動である。第2回旋(内回旋)は骨盤濶部から峡部で、児頭の矢状縫合が骨盤の縦径(前後径)に一致するよう回旋し、後頭が恥骨結合側を向く(正常は前方後頭位)。第3回旋(反屈・伸展)は骨盤出口部で恥骨結合下縁を支点に児頭が反屈し、後頭・前頭・顔面の順に会陰から娩出される。第4回旋(外回旋)は児頭娩出後、肩甲が骨盤の前後径に一致するよう回旋するのに伴って児頭が元の胎向側へ回旋する運動である。第2回旋が不十分だと低在横定位、回旋の異常により後方後頭位(前方前頭位)となり、分娩遷延の原因となる。
【誤答】1「屈位」は第1回旋。3「反屈・伸展」は第3回旋。4「胎向へ戻る回旋」と5「肩甲の回旋」は第4回旋(外回旋)。
【比較整理】4つの回旋を順に。①第1回旋(屈位)=顎を胸に引き最小の小斜径周囲(約32cm)で通過、②第2回旋(内回旋)=矢状縫合が骨盤の前後径に一致し後頭が恥骨側へ、③第3回旋(反屈)=恥骨結合下縁を支点に後頭→前頭→顔面の順に娩出、④第4回旋(外回旋)=肩甲が前後径に一致するのに伴い児頭が元の胎向側へ。
【ひっかけ】第2回旋が不十分だと低在横定位、回旋異常で後方後頭位となり分娩が遷延する。後方後頭位は強い腰痛が特徴で、四つ這い位などで回旋を促す。
【実践】児頭の通過径は胎勢で決まる。屈位=小斜径周囲32cm、前頭位=前後径周囲35cm、額位=大斜径周囲38cm(経腟分娩ほぼ不可能)。だから会陰保護で反屈を制御することが、裂傷予防だけでなく最小径での通過という意味をもつ。
問4
Bishopスコアについて正しいものはどれか。
  • 1胎児の健康状態を評価する指標である
  • ✔子宮頸管の成熟度を評価し、9点以上で熟化と判断する
  • 35点以下で分娩誘発の成功率が高い
  • 4評価項目は子宮口開大度と展退度の2項目のみである
  • 5新生児の成熟度を評価する
解説:Bishopスコアは子宮頸管の熟化度を評価する指標で、①子宮口開大度、②頸管展退度(頸管の長さ)、③児頭下降度(Station)、④頸管の硬度、⑤子宮口の位置、の5項目を0〜2または0〜3点で評価し、13点満点で判定する。9点以上で頸管成熟と判断され、分娩誘発の成功率が高いとされる。逆に4点以下では誘発が奏功しにくく、頸管熟化処置(メトロイリンテル、ラミナリア、頸管熟化薬)が先行して行われる。児頭下降度はStation(ステーション)で表し、坐骨棘間線を0とし、そこより上方をマイナス(−1〜−5cm)、下方をプラス(+1〜+5cm)で表現する。Station 0は児頭が骨盤濶部に達し嵌入が完了した状態を意味する。分娩の三要素は娩出力(陣痛・腹圧)、産道(骨産道・軟産道)、娩出物(胎児と付属物)であり、これらの相互関係で分娩経過が決まる。
【誤答】Bishopスコアは頸管の熟化度(母体側)を評価するもので、胎児の状態や分娩進行の速さを直接示すものではない。13点満点で9点以上が成熟、4点以下は未熟。
【比較整理】5項目と配点。①子宮口開大度(0/1-2/3-4/5cm以上→0〜3点)、②頸管展退度(0-30/40-50/60-70/80%以上→0〜3点)、③児頭下降度Station(-3/-2/-1〜0/+1以上→0〜3点)、④頸管の硬度(硬/中/軟→0〜2点)、⑤子宮口の位置(後方/中央/前方→0〜2点)。
【ひっかけ】「9点以上で誘発の成功率が高い」「4点以下では頸管熟化処置を先行」。機械的頸管拡張法(メトロイリンテル等)と子宮収縮薬の同時併用は原則避ける。
【実践】分娩誘発の説明では、Bishopスコアが低い場合に「熟化処置→誘発」と段階を踏むこと、1日で終わらないこともあること、頸管が未熟なまま強引に進めるとリスクが高いことを妊婦に伝える。
問5
子宮収縮の最強点より遅れて心拍数の最下点が出現する一過性徐脈の名称と、主な原因の組み合わせとして正しいものはどれか。
  • 1早発一過性徐脈 ― 児頭圧迫
  • ✔遅発一過性徐脈 ― 子宮胎盤循環不全
  • 3変動一過性徐脈 ― 臍帯圧迫
  • 4遷延一過性徐脈 ― 母体発熱
  • 5早発一過性徐脈 ― 臍帯圧迫
解説:一過性徐脈は出現パターンにより分類される。早発一過性徐脈は子宮収縮に伴って開始し、収縮の最強点と徐脈の最下点がほぼ一致するもので、児頭圧迫による迷走神経反射が原因であり生理的で予後は良好である。遅発一過性徐脈は子宮収縮の開始より遅れて始まり、最下点が収縮の最強点より遅れて出現するもので、子宮胎盤循環不全による胎児低酸素症を示唆し、臨床的に最も重要な異常波形である。変動一過性徐脈は子宮収縮との時間的関係が一定せず、急速な下降と回復を示すもので、臍帯圧迫が原因である。遷延一過性徐脈は15bpm以上の心拍数低下が2分以上10分未満持続するものをいう。遅発一過性徐脈を認めた場合は、体位変換(左側臥位)、酸素投与、輸液、子宮収縮薬の中止・減量、内診による臍帯脱出の確認を行い、医師へ報告して急速遂娩の準備を進める。
【誤答】1・5「早発一過性徐脈」の原因は児頭圧迫(生理的、予後良好)。3「変動一過性徐脈」の原因は臍帯圧迫で正しいが、設問の波形の説明ではない。4「遷延一過性徐脈」は2分以上10分未満の徐脈で、母体発熱が原因という組み合わせも誤り。
【比較整理】4つの徐脈を「収縮との時間的関係」と「原因」で対にする。①早発=収縮の最強点と最下点が一致/児頭圧迫(迷走神経反射)/生理的、②遅発=最下点が収縮の最強点より遅れる/子宮胎盤循環不全/最も重要な異常、③変動=収縮との関係が一定せず急速に下降・回復/臍帯圧迫、④遷延=15bpm以上の低下が2分以上10分未満。
【ひっかけ】「遅れて」という言葉が遅発の定義そのもの。設問文の「最強点より遅れて最下点」を読み取れば即答できる。
【実践】遅発一過性徐脈を認めたら子宮内蘇生=①左側臥位、②酸素投与、③輸液、④子宮収縮薬の中止・減量、⑤内診で臍帯脱出の確認、⑥医師報告と急速遂娩の準備。細変動の減少を伴えば緊急性が一段上がる。
問6
胎児心拍数基線の正常範囲として正しいものはどれか。
  • 180〜100bpm
  • 2100〜120bpm
  • ✔110〜160bpm
  • 4140〜180bpm
  • 5160〜200bpm
解説:胎児心拍数基線の正常範囲は110〜160bpmである。160bpmを超える状態が10分以上続くものを頻脈といい、母体発熱・絨毛膜羊膜炎、胎児貧血、母体の薬剤(β刺激薬、アトロピン)、胎児頻脈性不整脈、低酸素の初期などが原因となる。110bpm未満が10分以上続くものを徐脈といい、高度の低酸素、母体低血圧、臍帯脱出、胎児心ブロックなどが原因となる。基線細変動は正常が6〜25bpmで、消失(検出不能)や高度減少は胎児のアシドーシス、中枢神経抑制(麻薬・硫酸マグネシウム)、胎児の睡眠周期を示唆する。特に基線細変動の消失に遅発一過性徐脈や高度変動一過性徐脈を伴う場合はレベル分類の高い(重症)波形であり、急速遂娩を検討する。判読は「基線・基線細変動・一過性頻脈・一過性徐脈」の4要素と子宮収縮の関係を必ず系統的に確認する。
【誤答】正常な基線は110〜160bpm。120〜160は旧基準。100〜110は徐脈、160以上は頻脈。
【比較整理】基線の異常と原因。〈頻脈(160以上)〉母体発熱・絨毛膜羊膜炎、母体の脱水や貧血、薬剤(β刺激薬=リトドリン)、胎児貧血、胎児不整脈(上室性頻拍)、初期の低酸素。〈徐脈(110未満)〉持続する低酸素、完全房室ブロック(抗SS-A抗体)、母体の低血圧・低体温、薬剤(β遮断薬)。
【ひっかけ】基線は「10分以上の記録で一過性変動と細変動を除いた平均」として読む。一過性の徐脈と基線の徐脈を混同しない。また基線が正常でも細変動が消失していれば危険。
【実践】判読は4要素(基線/細変動/一過性頻脈/一過性徐脈)+子宮収縮との関係を系統的に。「良好の指標」は一過性頻脈と正常な細変動、「最も危険」は細変動の消失+遅発一過性徐脈。
問7
破水後に臍帯脱出を認めた場合、助産師が直ちに行うべき対応として最も適切なものはどれか。
  • 1脱出した臍帯を腟内に押し戻し、清潔なガーゼで覆う
  • ✔産婦を骨盤高位(またはトレンデレンブルグ位・膝胸位)とし、児頭を用手的に挙上して臍帯圧迫を解除する
  • 3産婦を歩行させて自然な整復を促す
  • 4そのまま経過をみて次の陣痛を待つ
  • 5臍帯を牽引して血流を確認する
解説:臍帯脱出は破水に伴い臍帯が児頭より先進して腟内・外に脱出する産科救急であり、児頭と骨盤壁の間で臍帯が圧迫されて急速に胎児が低酸素・死亡に至る。対応は、①直ちに応援要請と医師への報告、②産婦を骨盤高位(トレンデレンブルグ位)または膝胸位とし、内診指で児頭を持ち上げて臍帯圧迫を解除し続ける、③酸素投与、静脈路確保、子宮収縮薬の中止、必要に応じて子宮収縮抑制薬、④緊急帝王切開の準備、である。児頭の用手挙上は手術室搬入・児娩出まで継続する。脱出した臍帯は乾燥と血管攣縮を防ぐため温めた生理食塩水で湿らせたガーゼで覆うが、腟内への還納は臍帯損傷の危険があり推奨されない。危険因子は骨盤位・横位、児頭高位での人工破膜、羊水過多、多胎、早産、低出生体重児である。
【誤答】1「腟内へ押し戻す」は臍帯損傷の危険があり推奨されない。3「歩行させる」5「臍帯を牽引」は極めて危険。4「経過観察」は児の死亡を招く。
【比較整理】対応の型を順に。①直ちに応援要請と医師報告、②骨盤高位(トレンデレンブルグ位)または膝胸位、③内診指で児頭を挙上し臍帯圧迫を解除(手術室搬入・児娩出まで継続)、④酸素投与・静脈路確保・子宮収縮薬の中止、⑤緊急帝王切開の準備。脱出した臍帯は温めた生食で湿らせたガーゼで覆う(乾燥と血管攣縮の予防)。
【ひっかけ】「還納」は選択肢として出やすいが誤り。また膀胱充満法(膀胱に生理食塩水を注入して児頭を挙上)が用いられることもある。
【実践】危険因子は骨盤位・横位、児頭高位での人工破膜、羊水過多、多胎、早産、低出生体重児。だから人工破膜の前には必ず児頭の下降を確認し、破膜直後には内診で臍帯の下降・脱出を確認する。この一手間が予防になる。
問8
破水の診断に用いられる検査として適切でないものはどれか。
  • 1腟内容液のBTB試験紙によるpH測定
  • 2インスリン様成長因子結合蛋白1型(IGFBP-1)検査
  • ✔癌胎児性フィブロネクチン検査
  • 4腟鏡診による羊水流出の確認
  • 5経腟超音波による羊水量の評価
解説:破水の診断は、腟鏡診で子宮口からの羊水流出を直接確認することが基本であり、これに補助検査を組み合わせる。羊水はpH 7.0〜8.5のアルカリ性であるため、酸性(pH 4.5〜6.0)の腟内容液がアルカリ性を示せば破水を疑う(BTB試験紙で青変)。ただし血液、精液、細菌性腟症、尿の混入で偽陽性となりうる。より特異度の高い検査として、羊水中に高濃度に存在するIGFBP-1やα-フェトプロテイン、PAMG-1を検出する迅速検査キットが用いられる。癌胎児性フィブロネクチンは絨毛膜と脱落膜の接合部破綻を反映する検査で、切迫早産のリスク評価に用いるものであり、破水そのものの診断には用いない。破水が確定したら、感染予防のため不必要な内診を避け、体温・脈拍・CRP・羊水混濁と悪臭の有無を観察し、絨毛膜羊膜炎の徴候に注意する。
【誤答】破水の診断に用いるのは、腟鏡診(後腟円蓋の羊水貯留と流出の確認)、BTB試験紙(羊水はアルカリ性pH7.0〜8.5、腟内容は酸性pH4.5〜5.5)、迅速検査キット(IGFBP-1、PAMG-1)、超音波での羊水量減少。内診による指診は感染を助長し、診断的価値も低いため適切でない。
【比較整理】各検査の特徴。①腟鏡診=基本。咳嗽や腹圧で流出を確認。②BTB試験紙=簡便だが、血液・精液・腟炎・尿でも偽陽性になる。③迅速検査キット=感度・特異度が高い。④羊歯状結晶(シダ状結晶)=乾燥させた腟分泌物の顕微鏡所見。
【ひっかけ】破水後は内診を最小限にし、入浴・タンポンは禁忌。破水からの時間を記録し、羊水の色(混濁)と量、臍帯脱出の有無、感染徴候を観察する。
【実践】「尿漏れか破水か分からない」という訴えは多い。羊水は無色透明〜白濁で特有のにおい、持続的に流出する。迷ったら来院して評価を受けるよう指導する。

産褥期全138問中 8問を掲載

問1
正常な子宮復古の経過として、子宮底が腹壁上から触知できなくなる時期はどれか。
  • 1産褥1〜2日
  • 2産褥3〜4日
  • 3産褥5〜6日
  • ✔産褥10日ごろ
  • 5産褥6週ごろ
解説:子宮底の高さは、分娩直後は臍下2〜3横指、その後子宮が硬く収縮して分娩後12時間ごろには臍高〜臍上1横指まで一時的に上昇し、以後1日約1〜2cm(1横指)ずつ下降する。産褥3日で臍下3横指、産褥5日で臍と恥骨結合の中央、産褥9〜10日ごろに恥骨結合上縁付近となり腹壁上から触知できなくなる。子宮が非妊時の大きさに戻る(子宮復古の完了)のは産褥6〜8週である。子宮復古を促す因子として、授乳(吸啜刺激によるオキシトシン分泌)、早期離床、排尿・排便の調整(膀胱・直腸の充満は子宮を圧迫し復古を妨げる)がある。復古不全の原因は胎盤・卵膜の遺残、子宮内感染、多胎・羊水過多による子宮筋の過伸展、子宮筋腫、膀胱充満などで、子宮底が高い・軟らかい、悪露の赤色期の遷延・量の増加、悪臭を伴う場合に疑う。
【誤答】1「産褥1〜2日」2「3〜4日」3「5〜6日」はいずれも早すぎる。5「6週」は子宮復古の完了時期(触知できなくなる時期ではない)。
【比較整理】子宮底の推移を数直線で。分娩直後=臍下2〜3横指→12時間後=臍高〜臍上1横指(一時的に上昇)→以後1日1〜2cm下降→産褥3日=臍下3横指→5日=臍と恥骨結合の中央→7日=恥骨結合上縁2〜3横指→9〜10日=触知不能→6〜8週=非妊時の大きさに復古。
【ひっかけ】分娩直後よりも12時間後のほうが子宮底が高いという「一時的上昇」が問われることがある。
【実践】復古を促す因子=授乳(吸啜→オキシトシン→子宮収縮)、早期離床、排尿・排便の調整。妨げる因子=胎盤・卵膜の遺残、子宮内感染、子宮筋の過伸展(多胎・羊水過多)、子宮筋腫、膀胱充満、長期臥床。「子宮底が高く軟らかい+赤色悪露の遷延」で復古不全を疑う。
問2
正常な悪露の色調変化として正しい順序はどれか。
  • 1白色 → 黄色 → 褐色 → 赤色
  • ✔赤色 → 褐色 → 黄色 → 白色
  • 3褐色 → 赤色 → 白色 → 黄色
  • 4黄色 → 白色 → 赤色 → 褐色
  • 5赤色 → 黄色 → 白色 → 褐色
解説:悪露は子宮内膜の創面からの分泌物で、色調は赤色悪露(産褥1〜3日、血液が主体)、褐色悪露(産褥4〜9日、血色素の変性による)、黄色悪露(産褥10日〜3週、白血球が主体)、白色悪露(産褥3〜6週、透明〜白色)と経過し、産褥4〜6週で消失する。量は産褥1〜2日が最も多く、以後漸減する。異常のサインは、①赤色悪露が1週間以上持続する、②いったん減少した悪露が再び増量する、③大きな凝血塊が混じる、④悪臭を伴う、⑤発熱や子宮の圧痛を伴う、である。これらは胎盤・卵膜遺残、子宮復古不全、子宮内感染を疑わせる所見であり、医師への報告が必要となる。褥婦への指導としては、悪露の観察方法、パッドのこまめな交換、前から後ろへ拭くこと、手洗いの励行など感染予防のセルフケアを伝える。
【誤答】1・3・4・5はいずれも順序が誤り。赤色→褐色→黄色→白色。
【比較整理】色調と時期をセットで。赤色(1〜3日、血液主体)→褐色(4〜9日、血色素の変性)→黄色(10日〜3週、白血球主体)→白色(3〜6週)→4〜6週で消失。量は1〜2日が最多で以後漸減。この変化は子宮内膜の修復過程と対応しており、胎盤剥離部以外は3週、剥離部は6週で修復される。
【ひっかけ】異常のサインを言えるか。①赤色悪露が1週間以上持続、②いったん減った悪露が再増加、③大きな凝血塊、④悪臭、⑤発熱や子宮の圧痛の合併。これらは遺残・復古不全・子宮内感染を示唆する。
【実践】退院指導では「悪露が急に増えた」「鮮血が出た」「悪臭がする」「38℃以上の発熱」を受診の目安として具体的に伝える。晩期産後出血(産褥12週まで)の最多原因は胎盤・卵膜の遺残である。
問3
乳汁の産生と射乳に関与するホルモンの組み合わせとして正しいものはどれか。
  • 1乳汁産生:オキシトシン ― 射乳:プロラクチン
  • ✔乳汁産生:プロラクチン ― 射乳:オキシトシン
  • 3乳汁産生:エストロゲン ― 射乳:プロゲステロン
  • 4乳汁産生:hCG ― 射乳:hPL
  • 5乳汁産生:プロゲステロン ― 射乳:プロラクチン
解説:乳汁産生を担うのは下垂体前葉から分泌されるプロラクチンで、乳腺腺房細胞に作用して乳汁を産生させる。射乳(乳汁の排出)を担うのは下垂体後葉から分泌されるオキシトシンで、乳腺の筋上皮細胞を収縮させて乳汁を乳管へ押し出す。いずれも児の吸啜刺激が求心性に視床下部へ伝わることで分泌が促進される(吸啜反射・射乳反射)。妊娠中は胎盤由来のエストロゲン・プロゲステロンがプロラクチンの作用を抑制しているため乳汁分泌は起こらないが、胎盤娩出によりこれらが急減することでプロラクチンが作用し、産褥2〜3日ごろから乳汁分泌が本格化する。オキシトシンは子宮収縮も促すため、授乳時に後陣痛が強まる。また母親の不安・疼痛・疲労はオキシトシン分泌を抑制するため、安楽な環境と精神的支援が乳汁分泌の維持に重要である。
【誤答】1は産生と射乳が逆。3「エストロゲン/プロゲステロン」は妊娠中はむしろ乳汁分泌を抑制している側。4「hCG/hPL」は妊娠中の胎盤ホルモン。5も誤り。
【比較整理】2つのホルモンを部位と作用で対にする。〈プロラクチン〉下垂体前葉/乳腺腺房細胞に作用して乳汁を産生/視床下部のドパミンにより持続的に抑制されており、吸啜刺激で抑制が解除される/夜間に分泌が高まる。〈オキシトシン〉下垂体後葉/筋上皮細胞を収縮させ射乳/同時に子宮も収縮させる(=後陣痛、子宮復古の促進)/ストレス・疼痛・不安で分泌が抑制される。
【ひっかけ】妊娠中に乳汁が出ない理由=胎盤由来のエストロゲン・プロゲステロンがプロラクチンの作用を抑制しているため。胎盤娩出でこれが急減し、産褥2〜3日から分泌が本格化する。
【実践】「分泌を増やすには」=頻回・効果的な排出(需要と供給)、夜間授乳、そして母親の休息・安心(オキシトシンはストレスで抑制される)。乳房マッサージより児の吸啜が最も有効という根拠がここにある。
問4
初乳の特徴として正しいものはどれか。
  • 1成乳に比べ乳糖と脂肪が多い
  • ✔分泌型IgAとラクトフェリンを多く含み、感染防御に働く
  • 3黄色みは黄疸の原因となるため飲ませない
  • 4分泌量が多く1回200mL程度である
  • 5成乳に比べ蛋白質が少ない
解説:初乳は分娩後およそ5日ごろまでに分泌される乳汁で、やや粘稠で黄色を帯びる。成乳に比べて蛋白質、ミネラル、脂溶性ビタミン(特にビタミンA・カロテン、黄色の由来)が多く、乳糖と脂肪は少ない。分泌型IgA、ラクトフェリン、リゾチーム、マクロファージ・リンパ球などの免疫成分を豊富に含み、新生児の腸管粘膜を覆って感染を防御する重要な役割をもつ。また緩下作用があり胎便の排泄を促すため、間接ビリルビンの腸肝循環を減らし黄疸を軽減する方向に働く。初乳の分泌量は1回数mL〜20mL程度と少ないが、新生児の胃容量(生後1日で5〜7mL程度)に見合っており、量が少ないことは異常ではない。この点を母親に伝え、頻回授乳(1日8回以上)を支援することが母乳育児確立の鍵となる。移行乳を経て産褥10日ごろから成乳となる。
【誤答】初乳は産後数日間(〜5日ごろ)に分泌され、黄色みを帯び粘稠で、分泌型IgA・ラクトフェリン・蛋白質・ミネラル・脂溶性ビタミンが多く、乳糖と脂肪は成乳より少ない。量は少ない(1回数mL〜)が新生児の胃容量に見合っている。「量が多い」「脂肪が多い」「乳糖が多い」は成乳の特徴。
【比較整理】初乳→移行乳(5〜10日)→成乳(10日〜)の変化。成乳では乳糖と脂肪が増えエネルギー密度が上がる。1回の授乳中も前乳(水分・乳糖が多い)→後乳(脂肪が多い)と変化する。
【ひっかけ】「初乳が少なくて足りないのでは」という母親の不安に対して、新生児の胃容量(出生直後5〜7mL)と初乳の量が見合っていること、免疫成分が濃縮されていることを説明できるかが問われる。
【実践】初乳の分泌型IgAは腸管粘膜を覆って感染を防ぐ。早産児では壊死性腸炎の予防にも重要で、少量でも搾乳して与える意義がある。
問5
WHO/UNICEFの「母乳育児がうまくいくための10のステップ」に沿った支援として適切でないものはどれか。
  • 1出生直後から母子の早期接触を促し、1時間以内に授乳を開始できるよう支援する
  • 2母子同室を実施する
  • 3児が欲しがるときに欲しがるだけ授乳する(自律授乳)
  • 4医学的適応がない限り母乳以外のものを与えない
  • ✔授乳間隔を3時間ごとに固定し時間を厳守させる
解説:WHO/UNICEFの「母乳育児がうまくいくための10のステップ」(BFHI/赤ちゃんにやさしい病院運動)は、施設が母乳育児を支援するための基準である。主な内容は、母乳育児方針の文書化と周知、職員の教育、妊娠中からの説明、出生直後の早期母子接触と1時間以内の授乳開始、母親が授乳を継続できるための具体的支援(ポジショニングとラッチオン)、医学的適応のない人工乳・水・糖水を与えない、24時間の母子同室、児の欲求に応じた自律授乳、人工乳首やおしゃぶりを与えない、退院後の支援体制への紹介、である。授乳時刻を3時間ごとなどに固定する管理は自律授乳の原則に反し、乳汁分泌の確立を妨げるため適切でない。頻回授乳(1日8〜12回)は乳汁分泌を促進し、乳房緊満や乳腺炎の予防にもつながる。効果的な吸着(深い含ませ方)は乳頭亀裂の予防に不可欠である。
【誤答】「母乳育児がうまくいくための10のステップ」(WHO/UNICEF、2018年改訂)には、母乳育児の方針を文書化しスタッフに周知する、出生後できるだけ早く(1時間以内)母乳育児を開始する、医学的適応のない補足を避ける、母子同室、自律授乳(欲しがるときに欲しがるだけ)、退院後の支援、などが含まれる。「決まった時間に授乳する」「人工乳首・おしゃぶりを勧める」「母子を別室にする」は含まれない。
【比較整理】10のステップはBFH(赤ちゃんにやさしい病院)の認定要件。2018年改訂では「母乳代用品のマーケティングに関する国際規準(WHOコード)の遵守」がステップ1に組み込まれ、エビデンスに基づくアプローチが強調された。
【ひっかけ】「補足を一切しない」ではなく「医学的適応のない補足を避ける」。必要な補足は行う。また母親の選択(混合・人工栄養)を尊重することも前提。
【実践】施設の方針として掲げるだけでなく、個々の母親への具体的な支援(吸着の観察と修正、頻回授乳の意味の説明、不安への対応)に落とし込むことが本質。
問6
産褥熱の定義として正しいものはどれか。
  • 1分娩後24時間以内に38℃以上の発熱が1回でもあるもの
  • ✔分娩後24時間以降、産褥10日以内に2日間以上38℃以上の発熱が持続するもの
  • 3分娩後1か月以降に発熱するもの
  • 437.0℃以上の微熱が続くもの
  • 5乳房緊満に伴う一過性の発熱
解説:産褥熱は、分娩後24時間以降、産褥10日以内に2日間以上にわたり38℃以上の発熱が持続するものと定義される。分娩後24時間以内の発熱は分娩による脱水や疲労などによることが多いため除外される。原因の多くは子宮内感染(子宮内膜炎)で、ほかに創部感染(会陰切開創、帝王切開創)、乳腺炎、腎盂腎炎、血栓性静脈炎などが鑑別となる。危険因子は前期破水、長時間の分娩、頻回の内診、帝王切開、用手的胎盤剥離、胎盤遺残である。症状として発熱に加え、子宮の圧痛、悪露の悪臭・膿性化、子宮復古不全がみられる。対応は血液検査・培養検査、抗菌薬投与、遺残があれば子宮内容除去である。予防のためには清潔操作の徹底、不必要な内診の回避、褥婦への外陰部の清潔保持の指導が重要である。なお乳房緊満に伴う発熱(乳汁うっ滞熱)は通常24時間以内に軽快し、産褥熱とは区別される。
【誤答】産褥熱は、分娩後24時間以降、産褥10日以内に2日以上38℃以上の発熱が持続するものと定義される。
【比較整理】分娩後24時間以内の発熱は脱水や疲労によることが多く除外される。原因は部位ごとに系統的に鑑別する=①子宮内膜炎(子宮の圧痛、悪露の悪臭・膿性化、復古不全)、②創部感染(会陰縫合部、帝王切開創)、③乳腺炎(片側乳房の限局した発赤・硬結)、④尿路感染(頻尿、排尿痛、腰背部痛と叩打痛)、⑤静脈血栓塞栓症、⑥呼吸器感染症。
【ひっかけ】危険因子=前期破水、長時間の分娩、頻回の内診、帝王切開、用手的胎盤剥離、胎盤・卵膜の遺残。これらがあれば子宮内膜炎の可能性が高まる。
【実践】発熱を「産後だから」と流さない。部位の同定と全身状態の評価、必要な検査(血算、CRP、培養、超音波)につなげる。遺残があれば抗菌薬と並行して子宮内容除去が必要になる。授乳は多くの抗菌薬で継続できる。
問7
マタニティブルーズについて正しいものはどれか。
  • ✔産後3〜5日ごろをピークに出現し、多くは2週間以内に自然軽快する一過性の情緒不安定である
  • 2産後3か月以降に発症し、6か月以上持続する
  • 3抗うつ薬による治療が必須である
  • 4幻覚・妄想を主症状とする
  • 5経産婦にのみみられる
解説:マタニティブルーズは分娩後の急激なホルモン変動、疲労、育児への不安などを背景に、産後3〜5日ごろをピークに出現する一過性の情緒不安定である。涙もろさ、抑うつ気分、易刺激性、不安、集中困難などがみられ、褥婦の30〜50%が経験する。多くは特別な治療を要さず2週間以内に自然軽快するため、対応は休息の確保、傾聴と共感、正常な反応であることの保証、家族の理解と支援の促進が中心となる。ただし症状が2週間を超えて持続・増悪する場合は産後うつ病を疑い、専門的支援につなぐ必要がある。産後うつ病は産後数週〜数か月に発症し、有病率は約10〜15%で、スクリーニングにはEPDS(エジンバラ産後うつ病質問票、日本では9点以上が高リスク)が用いられる。さらに産褥精神病は産後2週間以内に幻覚・妄想・興奮を呈する緊急性の高い病態で、直ちに精神科医療につなぐ。
【誤答】2「産後3か月以降に発症し6か月以上持続」は産後うつ病に近い。3「抗うつ薬が必須」は誤り。4「幻覚・妄想が主症状」は産褥精神病。5「経産婦のみ」も誤り。
【比較整理】産後の精神的問題を3つ並べて区別する。〈マタニティブルーズ〉産後3〜5日がピーク、2週間以内に自然軽快、頻度30〜50%、涙もろさ・易刺激性・不安。治療は不要で休息と傾聴。〈産後うつ病〉産後数週〜数か月に発症、2週間以上持続、頻度10〜15%、EPDS 9点以上(日本)でスクリーニング、治療が必要。〈産褥精神病〉産後2週間以内に急激発症、幻覚・妄想・興奮・混乱、頻度0.1〜0.2%、精神科的緊急事態で入院が必要、双極性障害の既往が最大の危険因子。
【ひっかけ】「発症時期」「持続期間」「症状の質」の3点で振り分ける。マタニティブルーズは2週間以内に軽快することが定義に含まれる。
【実践】ブルーズであっても「よくあることだから」で終わらせず、産後2週間健診やEPDSにつなぐ仕組みで経過を見守る。第10項目(自傷念慮)の該当は総得点にかかわらず必ず確認する。
問8
産褥期の褥婦への指導内容として適切でないものはどれか。
  • 1完全母乳栄養であっても排卵が再開することがあるため、避妊について説明する
  • 2産後1か月健診までは長時間の外出や重労働を避けるよう説明する
  • 3骨盤底筋群の運動を産褥早期から段階的に行うよう指導する
  • ✔母乳育児中は月経が再開しないので避妊は不要と説明する
  • 5産後2週間・1か月健診の受診と、産後ケア事業などの支援制度を紹介する
解説:授乳中はプロラクチンの上昇により排卵が抑制されるが、その程度は個人差が大きく、完全母乳であっても産後早期に排卵が再開することがある。しかも最初の排卵は月経に先行して起こるため、「月経がまだだから妊娠しない」という理解は誤りであり、性生活再開時からの避妊が必要である。授乳婦の月経再開は平均で産後6か月前後、非授乳婦では産後6〜8週ごろである。避妊法としては、コンドーム、子宮内避妊具(産後6週以降が目安)、授乳中でも使用可能なプロゲスチン単剤製剤があり、エストロゲン含有の低用量ピルは乳汁分泌抑制と血栓リスクの観点から産後6か月以降が望ましいとされる。骨盤底筋体操は尿失禁・骨盤臓器脱の予防に有用で早期から指導する。また産後2週間・1か月健診はうつのスクリーニングと育児支援の重要な機会であり、産後ケア事業の紹介と併せて説明する。
【誤答】産褥期の指導では、休息の確保、悪露と子宮復古の観察、授乳、受診が必要な症状の説明が柱。過度な安静や活動制限、水分制限は適切でない。
【比較整理】伝えるべき内容=①休息の確保(家事より睡眠を優先してよい)、②悪露の正常な経過と異常のサイン、③授乳と乳房のケア、④会陰部・創部のケア、⑤便秘と痔核への対応(水分と食物繊維。水分制限は誤り)、⑥産褥体操(負荷の少ないものから段階的に)、⑦性生活の再開と避妊、⑧受診が必要な症状、⑨産後健診と地域の支援。
【ひっかけ】「安静にする」ことと「無理をしない」ことは違う。早期離床は静脈血栓塞栓症の予防に必要であり、過度な臥床はかえって危険である。
【実践】退院指導は情報量が多くなりがちで、疲労した褥婦には残りにくい。優先順位をつけ、文字情報を併用し、「迷ったら連絡してよい」と伝えて相談の敷居を下げることが実際的である。

新生児期全140問中 8問を掲載

問1
正常新生児のバイタルサインの基準値として正しい組み合わせはどれか。
  • 1呼吸数 20〜30回/分、心拍数 60〜80回/分
  • ✔呼吸数 40〜60回/分、心拍数 120〜160回/分
  • 3呼吸数 60〜80回/分、心拍数 80〜100回/分
  • 4呼吸数 12〜20回/分、心拍数 100〜120回/分
  • 5呼吸数 30〜40回/分、心拍数 180〜200回/分
解説:正常新生児のバイタルサインは、呼吸数40〜60回/分、心拍数120〜160回/分、腋窩体温36.5〜37.5℃、血圧は収縮期60〜80mmHg程度である。新生児の呼吸は腹式呼吸で、周期性呼吸(5〜10秒の呼吸休止を伴う不規則な呼吸)がみられるのは正常範囲である。ただし20秒以上の呼吸停止、または呼吸停止に徐脈やチアノーゼを伴う場合は無呼吸発作として異常である。呼吸障害の徴候として、多呼吸(60回/分以上)、陥没呼吸、鼻翼呼吸、呻吟、シーソー呼吸があり、これらはSilverman scoreで評価される。測定の順序は、児を刺激すると値が変動するため、呼吸→心拍(聴診)→体温の順で、安静時に行うのが原則である。また出生直後は環境温との差により低体温になりやすく、四つの熱喪失経路(伝導・対流・輻射・蒸散)を理解して保温に努める。
【誤答】1「呼吸20〜30、心拍60〜80」は成人に近い値。3「呼吸60〜80、心拍80〜100」4「呼吸12〜20、心拍100〜120」5「呼吸30〜40、心拍180〜200」もいずれも誤り。
【比較整理】正常値=呼吸40〜60回/分、心拍120〜160回/分、腋窩温36.5〜37.5℃、血圧は収縮期60〜80mmHg程度。新生児は腹式呼吸で、5〜10秒の呼吸休止を伴う周期性呼吸は生理的。
【ひっかけ】呼吸60回/分以上は多呼吸で異常。20秒以上の呼吸停止、または呼吸停止に徐脈やチアノーゼを伴うものは無呼吸発作として異常。周期性呼吸との区別が問われる。
【実践】測定は刺激により変動するため、呼吸→心拍(聴診)→体温の順で安静時に行う。啼泣中は正確に評価できない。呼吸障害の徴候(多呼吸、陥没呼吸、鼻翼呼吸、呻吟、シーソー呼吸、チアノーゼ)はSilverman scoreで評価する。数値だけでなく、活気・哺乳力・皮膚色と合わせて、経時的な変化として捉える。
問2
Apgarスコアの評価項目に含まれないものはどれか。
  • 1心拍数
  • 2呼吸
  • 3筋緊張
  • 4刺激に対する反応(反射)
  • ✔体温
解説:Apgarスコアは出生直後の新生児の状態を評価する指標で、①心拍数(Appearanceではない)、②呼吸、③筋緊張、④刺激に対する反応(反射)、⑤皮膚色の5項目を各0〜2点で採点し、10点満点で評価する。生後1分と5分に評価し、5分値が7点未満の場合は以後5分ごとに20分まで評価を続ける。判定は8〜10点が正常、4〜7点が軽度仮死(第1度仮死)、0〜3点が高度仮死(第2度仮死)である。体温は含まれない。留意点として、Apgarスコアは蘇生を開始する判断基準ではないことである。新生児蘇生法(NCPR)アルゴリズムでは、出生直後に「早産児か」「弱い呼吸・啼泣か」「筋緊張低下か」の3点を評価し、いずれかに該当すれば蘇生の初期処置へ進む。その後は心拍数と呼吸を指標に人工呼吸、SpO2モニタ、胸骨圧迫へと進む。Apgarスコアは蘇生と並行して評価・記録する事後的な指標である。
【誤答】1〜4はいずれもApgarスコアの項目。5「体温」が含まれない。
【比較整理】5項目=①心拍数、②呼吸、③筋緊張、④刺激に対する反応(反射)、⑤皮膚色。各0〜2点、10点満点。生後1分と5分に評価し、5分値が7点未満なら以後5分ごとに20分まで。判定は8〜10点正常、4〜7点軽度仮死(第1度)、0〜3点高度仮死(第2度)。
【ひっかけ】最重要は「Apgarスコアは蘇生開始の判断基準ではない」こと。NCPRでは出生直後に「早産児か」「弱い呼吸・啼泣か」「筋緊張低下か」の3点を評価して蘇生へ進む。Apgarは蘇生と並行して評価・記録する事後的な指標。
【実践】採点の練習をしておくと事例問題に強い。例:心拍130(2点)+呼吸が弱い(1点)+四肢やや屈曲(1点)+顔をしかめる(1点)+体幹ピンクで四肢チアノーゼ(1点)=6点(軽度仮死)。臍帯動脈血pH(7.20未満でアシドーシス、7.00未満で高度)と合わせて評価する。
問3
新生児の生理的体重減少について正しいものはどれか。
  • 1出生体重の15〜20%減少する
  • ✔生後3〜5日に最低となり、生後7〜10日ごろに出生体重に復する
  • 3生後1か月で最低となる
  • 4減少率にかかわらず異常とはいえない
  • 5減少がみられない場合は必ず異常である
解説:新生児は出生後、胎便・尿の排泄、不感蒸泄、哺乳量が少ないことなどにより一時的に体重が減少する。これを生理的体重減少といい、出生体重の5〜10%程度で、生後3〜5日に最低となり、その後増加に転じて生後7〜10日(遅くとも2週間)ごろに出生体重に復する。減少率が10%を超える場合は、哺乳量不足、脱水、感染症などを疑い、哺乳状況(授乳回数、吸着、排尿回数)、活気、皮膚の緊張、大泉門の陥凹などを評価する。特に母乳栄養児では哺乳量が把握しにくいため、授乳回数(1日8回以上)と排尿回数(生後4〜5日以降は1日6回以上)、便の性状変化(胎便→移行便→黄色便)を客観的指標として観察する。体重復帰後は1日25〜30g程度の増加が目安となる。哺乳不足を「母乳が足りない」と母親の自責につなげないよう、支持的な関わりが重要である。
【誤答】1「15〜20%減少」は過大。3「生後1か月で最低」4「減少率にかかわらず異常でない」5「減少がなければ必ず異常」はいずれも誤り。
【比較整理】生理的体重減少=出生体重の5〜10%、生後3〜5日に最低、生後7〜10日(遅くとも2週間)で出生体重に復する。以後は1日25〜30gの増加が目安。減少の原因は胎便・尿の排泄、不感蒸泄、哺乳量が少ないこと。
【ひっかけ】計算問題として出る。(出生体重−現在体重)÷出生体重×100。例:3000g→2760gなら240÷3000×100=8%。
【実践】10%を超える場合は哺乳量不足・脱水・感染症を疑う。母乳栄養では哺乳量を直接測れないため、客観的指標で評価する=排尿6回以上/日(生後4〜5日以降)、便の性状変化(胎便→移行便→黄色便)、授乳回数8回以上、授乳中の嚥下音、活気。母親を「母乳が足りない」と責めず、指標を一緒に確認して根拠をもって支援する。
問4
新生児の生理的黄疸と病的黄疸の鑑別として、病的黄疸を強く疑う所見はどれか。
  • 1生後2〜3日に出現し4〜5日にピークとなる
  • ✔生後24時間以内に肉眼的黄疸が出現する
  • 3生後7〜10日ごろに消退する
  • 4間接ビリルビン優位である
  • 5児に活気があり哺乳は良好である
解説:生理的黄疸は、胎児赤血球の寿命が短く破壊が多いこと、肝臓のグルクロン酸抱合能が未熟であること、腸肝循環が亢進していることにより生じる。通常は生後2〜3日に出現し、生後4〜5日にピーク(血清総ビリルビン12〜15mg/dL程度)となり、生後7〜10日ごろに消退する(早産児ではより遅い)。一方、①生後24時間以内に出現する早発黄疸、②血清総ビリルビンが月齢基準値を超える高度の上昇や1日5mg/dL以上の急激な上昇、③生後2週間以上持続する遷延性黄疸、④直接ビリルビン優位(2mg/dL以上)、⑤灰白色便・濃黄色尿の合併、は病的黄疸を疑う。早発黄疸の代表的原因は血液型不適合(ABO、Rh)による溶血、遷延性黄疸では胆道閉鎖症や甲状腺機能低下症を除外する。高度の間接ビリルビン血症は核黄疸(ビリルビン脳症)を招くため、光線療法や交換輸血の適応を基準に沿って判断する。
【誤答】1「生後2〜3日に出現し4〜5日にピーク」3「7〜10日で消退」4「間接ビリルビン優位」5「活気があり哺乳良好」はいずれも生理的黄疸の特徴。2「生後24時間以内の出現」が病的黄疸の所見。
【比較整理】病的黄疸を疑う5つの所見=①生後24時間以内の出現(早発黄疸)、②1日5mg/dL以上の急激な上昇、または基準値を超える高値、③生後2週間以上の遷延、④直接ビリルビン優位(2mg/dL以上)、⑤灰白色便・濃黄色尿の合併。
【ひっかけ】早発黄疸の代表的原因は血液型不適合(ABO:母O型・児A/B型、Rh:母陰性・児陽性)による溶血。遷延性黄疸では胆道閉鎖症(直接ビリルビン優位、灰白色便、生後60日以内の手術が予後を左右)と甲状腺機能低下症を除外する。
【実践】核黄疸(急性ビリルビン脳症)を起こすのはアルブミンと結合していない遊離の間接ビリルビン。したがって、アルブミンが低い(早産児)、アシドーシス、感染、低体温、低血糖があると同じ値でもリスクが高い。光線療法の適応は在胎週数・生後時間・体重別の基準で判断する。
問5
新生児へのビタミンK2シロップ投与の目的として正しいものはどれか。
  • 1生理的黄疸の予防
  • ✔新生児メレナ・乳児ビタミンK欠乏性出血症(頭蓋内出血)の予防
  • 3低血糖の予防
  • 4低体温の予防
  • 5低カルシウム血症の予防
解説:新生児は、①ビタミンKの胎盤通過性が低い、②腸内細菌叢が未熟でビタミンK産生が少ない、③母乳中のビタミンK含量が少ない、という理由からビタミンKが欠乏しやすい。欠乏するとビタミンK依存性凝固因子(第Ⅱ・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹ因子)が産生されず、生後数日の新生児メレナ(消化管出血)や、生後1〜2か月ごろの乳児ビタミンK欠乏性出血症(頭蓋内出血)を起こす。これを予防するため、ビタミンK2シロップを、従来は①出生後(哺乳確立時)、②生後1週または産科退院時、③生後1か月健診時の計3回投与する方法がとられてきた。近年は日本小児科学会の提言により、生後3か月まで週1回計13回投与する方法が推奨されている。人工乳にはビタミンKが添加されているため欠乏は起こりにくい。ほかに新生児期の重要な検査として、生後4〜6日に行う新生児マススクリーニング(先天性代謝異常等検査)、生後3日以降の新生児聴覚スクリーニング(自動ABR等)がある。
【誤答】1「生理的黄疸の予防」3「低血糖」4「低体温」5「低カルシウム血症」の予防はいずれも別の対応。
【比較整理】なぜ新生児はビタミンKが欠乏しやすいか。①胎盤通過性が低い、②腸内細菌叢が未熟で産生が少ない、③母乳中の含量が少ない。この3つ。欠乏すると凝固因子(第Ⅱ・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹ)が産生されず、新生児メレナ(生後数日の消化管出血)や乳児ビタミンK欠乏性出血症(生後1〜2か月の頭蓋内出血)を起こす。
【ひっかけ】投与スケジュールは変わってきている。従来は①出生後(哺乳確立時)、②生後1週または退院時、③1か月健診の計3回。近年は日本小児科学会の提言により生後3か月まで週1回計13回投与が推奨されている。
【実践】人工乳にはビタミンKが添加されているため欠乏は起こりにくい。完全母乳栄養児でリスクが高いという理解が重要。退院指導では投与スケジュールの継続を伝える。母子健康手帳の記録も確認する。
問6
新生児マススクリーニング(先天性代謝異常等検査)を実施する時期として適切なものはどれか。
  • 1出生直後(生後6時間以内)
  • ✔生後4〜6日
  • 3生後2週間
  • 4生後1か月
  • 5生後3か月
解説:新生児マススクリーニングは、早期発見・早期治療により知的障害などの重篤な症状を防げる先天性疾患を対象に、生後4〜6日に足底から採血してろ紙血で行う。この時期に行うのは、哺乳が確立してフェニルアラニンなどの代謝産物が診断可能な濃度まで上昇し、かつ発症前に治療を開始できるためである。対象疾患は、アミノ酸代謝異常(フェニルケトン尿症、メープルシロップ尿症、ホモシスチン尿症)、糖質代謝異常(ガラクトース血症)、内分泌疾患(先天性甲状腺機能低下症=クレチン症、先天性副腎過形成症)が基本で、現在はタンデムマス法の導入により有機酸代謝異常症、脂肪酸代謝異常症を含む20疾患以上が対象となっている。実施主体は都道府県・指定都市で、公費により実施される。助産師は保護者に検査の目的と、陽性であっても直ちに疾患確定ではなく精密検査が必要であることを丁寧に説明する。
【誤答】新生児マススクリーニングは生後4〜6日にろ紙血で実施し、フェニルケトン尿症などのアミノ酸代謝異常症、ガラクトース血症、先天性甲状腺機能低下症、先天性副腎過形成症などが対象。タンデムマス法により有機酸・脂肪酸代謝異常症も含まれる。
【比較整理】対象疾患の共通点は「早期発見・早期治療により重篤な症状(特に知的障害)を防げること」。従来の6疾患(フェニルケトン尿症、メープルシロップ尿症、ホモシスチン尿症、ガラクトース血症、先天性甲状腺機能低下症、先天性副腎過形成症)に、タンデムマス法の導入で20疾患以上が加わった。実施主体は都道府県・指定都市で公費により行われる。
【ひっかけ】先天性心疾患はパルスオキシメトリによるスクリーニング、難聴は新生児聴覚スクリーニングと、いずれも別の枠組みである。
【実践】保護者には、陽性でも直ちに疾患確定ではなく精密検査が必要であることを丁寧に説明する。哺乳が確立していない時期に採血すると偽陰性となる疾患があるため、実施時期と哺乳状況の確認も重要である。
問7
Moro反射が消失する時期として適切なものはどれか。
  • 1生後1か月ごろ
  • ✔生後4〜6か月ごろ
  • 3生後10〜12か月ごろ
  • 41歳6か月ごろ
  • 52歳ごろ
解説:Moro反射は、頭部を急に落下させるなどの刺激により両上肢を外転・伸展させたあと抱きつくように屈曲・内転させる反射で、出生時から認められ生後4〜6か月ごろに消失する。原始反射は脳幹・脊髄レベルの反射で、大脳皮質の成熟に伴い抑制されて消失する。主なものは、吸啜反射・探索(ルーティング)反射(生後4〜6か月で消失)、把握反射(手掌把握は生後4〜6か月、足底把握は生後9〜12か月で消失)、緊張性頸反射(生後4〜6か月で消失)、自動歩行(生後2か月ごろ消失)、Babinski反射(生後12〜24か月で消失)である。原始反射の左右差は分娩麻痺(Erb麻痺)や骨折を、消失時期を過ぎても残存する場合や新生児期に出現しない場合は中枢神経系の障害を疑う所見となる。関連する発達指標として、大泉門の閉鎖は1歳〜1歳6か月、小泉門の閉鎖は生後2〜3か月である。
【誤答】Moro反射は生後4〜6か月ごろに消失する。
【比較整理】原始反射の消失時期=Moro反射(4〜6か月)、把握反射(手掌は4〜6か月、足底は9〜10か月)、吸啜・探索反射(4〜6か月)、緊張性頸反射(4〜6か月)、Babinski反射(1〜2歳)、自動歩行(2〜3か月)、Galant反射(2〜3か月)。
【ひっかけ】臨床的に重要なのは「左右差」である。Moro反射の左右差は、鎖骨骨折、腕神経叢麻痺(Erb麻痺)、上腕骨骨折を示唆する。肩甲難産や器械分娩の後は必ず確認する。
【実践】原始反射の意義=①中枢神経系の機能の評価、②消失時期の遅れは中枢神経障害を、早すぎる消失や欠如は重篤な障害を示唆する、③左右差は分娩損傷を示唆する。新生児の全身観察では、原始反射は啼泣を招きやすいため最後に評価する(視診→聴診→触診→体位変換→啼泣を招く観察の順)。
問8
新生児が出生後に体温を喪失する4つの経路の組み合わせとして正しいものはどれか。
  • ✔伝導・対流・輻射・蒸散
  • 2吸収・排泄・分泌・拡散
  • 3浸透・濾過・拡散・能動輸送
  • 4燃焼・伝導・発汗・振戦
  • 5代謝・呼吸・循環・排尿
解説:新生児は体表面積が体重に比して大きく、皮下脂肪が薄く、体温調節機能が未熟なため急速に体温を失う。熱喪失の経路は、①伝導(冷たい体重計やベッドなどに直接触れる)、②対流(冷たい空気の流れ、エアコンの風)、③輻射(近くの冷たい壁や窓へ放射)、④蒸散(羊水や汗の気化)の4つである。出生直後は羊水で濡れているため蒸散による喪失が最も大きい。したがって、出生直後は温めたタオルで速やかに羊水を拭き取って濡れたタオルを取り除き、室温を適切に保ち(24〜26℃程度)、隙間風を避け、ラジアントウォーマーや保温器具を用い、処置台や体重計にはあらかじめ温めた布を敷く。低体温は低血糖、代謝性アシドーシス、呼吸障害、肺血管抵抗の上昇(新生児遷延性肺高血圧)を招くため、保温は出生直後のケアの最重要事項の一つである。
【誤答】2〜5はいずれも熱喪失の経路として成立しない。正しくは伝導・対流・輻射・蒸散。
【比較整理】4経路と対策を対にする。①伝導=冷たい体重計やベッドに接触→処置台に温めた布を敷く。②対流=冷たい空気の流れ→室温を保ち隙間風・エアコンの風を避ける。③輻射=近くの冷たい壁や窓へ放射→窓際を避ける、ラジアントウォーマー。④蒸散=羊水や汗の気化→出生直後に温めたタオルで速やかに拭き取り濡れたタオルを除く(直後は蒸散が最大)。
【ひっかけ】新生児が低体温になりやすい理由=体表面積が体重に比して大きい、皮下脂肪が薄い、ふるえによる熱産生ができず褐色脂肪の非ふるえ熱産生に依存する。早産児・SGA児は褐色脂肪が乏しくさらにリスクが高い。
【実践】低体温は「冷たい」だけの問題ではない。熱産生のために酸素とグルコースを消費し、低血糖・代謝性アシドーシス・呼吸障害の悪化・肺血管抵抗の上昇(新生児遷延性肺高血圧)という悪循環に入る。保温は代謝と循環を守る医学的介入である。

地域母子保健全115問中 8問を掲載

問1
母子健康手帳の交付主体として正しいものはどれか。
  • 1都道府県
  • ✔市町村
  • 3保健所
  • 4医療機関
  • 5日本産科婦人科学会
解説:母子保健法第15条により、妊娠した者は速やかに市町村長に妊娠の届出をしなければならず、同法第16条により、市町村は妊娠の届出をした者に対して母子健康手帳を交付しなければならないと定められている。母子健康手帳は妊娠・出産・育児に関する一貫した健康記録であり、妊婦健診・乳幼児健診の記録、予防接種の記録、保護者の記録欄、および妊娠・育児に関する情報提供のページから構成される。省令様式(全国共通部分)と任意様式(市町村独自部分)からなる。妊娠届出は母子保健サービスの入口となる重要な機会であり、この時点で保健師等が面接を行い(子育て世代包括支援センター/こども家庭センターの機能)、支援が必要な妊婦を早期に把握することが求められている。なお母子保健法に基づくその他の市町村の事業には、妊産婦・乳幼児の健康診査、保健指導、新生児訪問指導、低出生体重児の届出受理、未熟児養育医療、産後ケア事業がある。
【誤答】1「都道府県」3「保健所」4「医療機関」5「学会」はいずれも交付主体ではない。母子保健法第16条により市町村が交付する。
【比較整理】母子保健法の主要条文を番号で。第11条=新生児訪問指導、第12条=1歳6か月児健診・3歳児健診(義務)、第13条=その他の健診、第15条=妊娠の届出(速やかに市町村長へ)、第16条=母子健康手帳の交付、第18条=低出生体重児の届出(2500g未満、市町村へ)、第20条=未熟児養育医療(2000g以下等)、第17条の2=産後ケア事業(2019年改正で法定化、努力義務)。
【ひっかけ】児童福祉法に基づくものと区別する。乳児家庭全戸訪問事業(こんにちは赤ちゃん事業、生後4か月まで)、養育支援訪問事業、要保護児童対策地域協議会、特定妊婦の定義はいずれも児童福祉法。
【実践】妊娠届は母子保健サービスの入口。届出時の全数面接で支援が必要な妊婦を早期に把握する仕組みが広がっている。届出の遅れ自体がハイリスクのサインである。
問2
低出生体重児の届出について正しいものはどれか。
  • 1出生体重2000g未満の児について都道府県知事に届け出る
  • ✔出生体重2500g未満の児について市町村に届け出る
  • 3出生体重1500g未満の児について保健所長に届け出る
  • 4届出の義務はなく任意である
  • 5出生体重3000g未満の児について届け出る
解説:母子保健法第18条により、体重が2500g未満の乳児が出生したときは、保護者はその旨をその乳児の現在地の市町村に速やかに届け出なければならないと定められている。この届出により市町村は低出生体重児を把握し、新生児訪問指導や保健指導につなげる。関連して、母子保健法第20条に基づく未熟児養育医療は、出生体重2000g以下、または生活力が特に薄弱で医師が入院養育を必要と認めた児に対して、指定養育医療機関での入院医療費を公費負担する制度である(実施主体は市町村)。数値の混同に注意したい。低出生体重児は2500g未満、極低出生体重児は1500g未満、超低出生体重児は1000g未満と定義される。日本では低出生体重児の割合が約9.4%と先進国のなかで高く、若年・高年妊娠、多胎、喫煙、妊娠前のやせや妊娠中の体重増加抑制などが背景として指摘されている。
【誤答】1「2000g未満を都道府県知事へ」は体重も届出先も誤り。3「1500g未満を保健所長へ」4「届出は任意」5「3000g未満」もいずれも誤り。
【比較整理】数値と制度を対にする。①低出生体重児の届出=2500g未満、市町村へ速やかに(母子保健法第18条)。②未熟児養育医療=出生体重2000g以下、または生活力が特に薄弱で医師が入院養育を必要と認めた児(同法第20条、市町村が実施)。③体重による分類=低出生体重児2500g未満、極低出生体重児1500g未満、超低出生体重児1000g未満。④巨大児=4000g以上。
【ひっかけ】「2500g」(届出)と「2000g」(養育医療)を取り違えやすい。また在胎週数による分類(SGA/AFD/LGA)は別の軸で、「低出生体重児=早産児」ではない。
【実践】日本の低出生体重児の割合は約9%台と先進国で高い。背景に多胎の増加、高年妊娠、若年女性のやせ、妊娠中の体重増加抑制がある。これが2021年の体重増加の目安の緩和や、プレコンセプションケア推進の根拠になっている。
問3
母子保健法に基づき市町村が実施を義務づけられている乳幼児健康診査の対象年齢はどれか。
  • 13〜4か月児と1歳児
  • ✔1歳6か月児と3歳児
  • 36か月児と2歳児
  • 41歳児と5歳児
  • 53歳児と就学前児
解説:母子保健法第12条により、市町村は満1歳6か月を超え満2歳に達しない幼児(1歳6か月児健診)および満3歳を超え満4歳に達しない幼児(3歳児健診)に対して健康診査を行わなければならないと定められている。これらは法定健診であり実施が義務づけられている。一方、3〜4か月児健診や9〜10か月児健診は同法第13条に基づき「必要に応じて」市町村が行う健診であり、多くの市町村で実施されているが法律上の義務ではない。1歳6か月児健診では歩行・言語などの運動・精神発達、う蝕の予防、栄養状態、育児環境が、3歳児健診ではこれらに加えて視覚・聴覚検査、社会性の発達、尿検査が重視される。乳幼児健診は疾病・障害の早期発見の場であると同時に、育児支援と虐待の早期発見の重要な機会でもあるため、未受診者への働きかけ(アウトリーチ)が求められる。
問4
乳児家庭全戸訪問事業(こんにちは赤ちゃん事業)の根拠法として正しいものはどれか。
  • 1母子保健法
  • ✔児童福祉法
  • 3児童虐待の防止等に関する法律
  • 4地域保健法
  • 5健康増進法
解説:乳児家庭全戸訪問事業(こんにちは赤ちゃん事業)は児童福祉法第6条の3に規定される事業で、生後4か月を迎えるまでのすべての乳児のいる家庭を訪問し、子育ての不安や悩みを聞き、情報提供を行うとともに、支援が必要な家庭を把握して適切なサービスにつなげることを目的とする。実施主体は市町村で、訪問者は保健師・助産師・看護師のほか、研修を受けた保育士や愛育班員などの地域住民も担うことができる。これに対し、新生児訪問指導は母子保健法第11条に基づき、育児上必要があると認めるときに新生児(生後28日未満)を対象として医師・保健師・助産師等が行うものである。両者は根拠法・対象・訪問者が異なるため区別して整理する必要があるが、実務上は一体的に実施されることが多い。訪問により支援が必要と判断された家庭には、養育支援訪問事業(児童福祉法)による継続的支援が行われる。
問5
産後ケア事業について正しいものはどれか。
  • 1児童福祉法に規定される事業である
  • ✔2019年の母子保健法改正により法定化され、市町村の努力義務とされた
  • 3対象は産後6か月以内の母子に限られる
  • 4宿泊型のみが実施形態として認められている
  • 5医師のみが実施できる
解説:産後ケア事業は、2019年(令和元年)の母子保健法改正により第17条の2として法定化され、2021年4月から市町村の努力義務として実施されている。対象は産後1年以内の母子で、心身の不調や育児不安がある者、その他特に支援が必要と認められる者である。実施形態は、①宿泊型(ショートステイ)、②通所型(デイサービス)、③居宅訪問型(アウトリーチ)の3類型があり、助産師をはじめとする専門職が、母親の身体的回復と心理的安定を促す休養支援、授乳指導・乳房ケア、育児手技の指導、相談支援を行う。実施場所は病院・診療所・助産所のほか、産後ケアセンターなどが担う。核家族化や地域のつながりの希薄化により産後の孤立が問題となるなか、産後うつや虐待の予防に資する施策として位置づけられている。助産師の専門性が直接生かされる事業であり、頻出のテーマである。
【誤答】1「児童福祉法に規定」は誤りで母子保健法。3「産後6か月以内」は誤りで産後1年以内。4「宿泊型のみ」は誤りで3類型。5「医師のみが実施」も誤り。
【比較整理】産後ケア事業=2019年の母子保健法改正で第17条の2として法定化、2021年4月から市町村の努力義務。対象は産後1年以内の母子で、心身の不調や育児不安がある者など。3類型=①宿泊型(ショートステイ)、②通所型(デイサービス)、③居宅訪問型(アウトリーチ)。実施場所は病院・診療所・助産所・産後ケアセンター等。
【ひっかけ】「努力義務」であること、「産後1年以内」であること、「母子保健法」であることの3点が問われやすい。第2子以降でも利用でき、上の子の預け先の相談も含めて対応される。
【実践】助産師の専門性が直接発揮される事業。核家族化と地域のつながりの希薄化により産後の孤立が課題となるなか、産後うつと虐待の予防に資する施策として位置づけられている。退院指導で具体的に紹介し、可能なら手配まで行う。
問6
児童虐待を受けたと思われる児童を発見した場合の対応として正しいものはどれか。
  • 1確証が得られるまで通告してはならない
  • ✔速やかに市町村、都道府県の設置する福祉事務所または児童相談所に通告しなければならない
  • 3通告は守秘義務違反となるため慎重に避ける
  • 4保護者の同意を得てから通告する
  • 5通告義務は医師と教員のみに課せられている
解説:児童虐待の防止等に関する法律第6条は「児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに、これを市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所に通告しなければならない」と定めており、通告義務はすべての国民に課せられている。重要なのは「受けたと思われる」という文言で、確証がなくても疑いの段階で通告する義務があるという点である。また同条第3項により、この通告は刑法の秘密漏示罪その他の守秘義務に関する法律の規定に妨げられないと明記されており、通告が守秘義務違反となることはない。虐待の種類は身体的虐待、性的虐待、ネグレクト、心理的虐待(面前DVを含む)の4類型で、近年は心理的虐待の相談対応件数が最多である。周産期は虐待予防の重要な機会であり、望まない妊娠、若年妊娠、妊婦健診未受診、精神疾患、経済的困窮、DVなどの特定妊婦のリスク要因を把握し、要保護児童対策地域協議会などの多職種連携につなぐことが助産師の役割となる。
【誤答】1「確証が得られるまで通告してはならない」は誤りで、「受けたと思われる」段階で義務がある。3「通告は守秘義務違反」は誤りで、法律に明記されたとおり守秘義務に優先する。4「保護者の同意を得てから」は不要。5「医師と教員のみに義務」も誤りで全国民に課せられる。
【比較整理】児童虐待防止法第6条=「児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに、市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所に通告しなければならない」。同条第3項=この通告は刑法の秘密漏示罪その他の守秘義務に関する規定に妨げられない。
【ひっかけ】「受けたと思われる」という文言が核心。確証は不要であり、疑いの段階で通告する。通告先は3つ(市町村、福祉事務所、児童相談所)。
【実践】周産期は虐待予防の重要な機会。望まない妊娠、若年、健診未受診、精神疾患、経済的困窮、DV、支援者の不在といった特定妊婦のリスク要因を妊娠期から把握し、要保護児童対策地域協議会につなぐ。予防的支援の段階と、通告を要する段階を区別して判断する。
問7
周産期死亡の定義として正しいものはどれか。
  • 1妊娠満12週以後の死産と生後1年未満の死亡
  • ✔妊娠満22週以後の死産と生後1週未満の早期新生児死亡
  • 3出生後28日未満の死亡のみ
  • 4妊娠満28週以後の死産と生後4週未満の死亡
  • 5生後1年未満の死亡すべて
解説:周産期死亡とは、妊娠満22週以後の死産と生後1週未満(早期新生児期)の死亡を合わせたものをいう。周産期死亡率は「(妊娠満22週以後の死産数+早期新生児死亡数)÷(出生数+妊娠満22週以後の死産数)×1000」で算出され、分母が出生数ではなく「出産数」である点が重要である。日本の周産期死亡率は世界最低水準にある。関連する統計指標として、①乳児死亡率=生後1年未満の死亡数÷出生数×1000、②新生児死亡率=生後4週未満の死亡数÷出生数×1000、③早期新生児死亡率=生後1週未満、④死産率=死産数÷出産数×1000(自然死産と人工死産に分けられ、死産の定義は妊娠満12週以後)、⑤妊産婦死亡率=妊産婦死亡数÷出産数×10万、がある。分母(出生数か出産数か)と乗数(1000か10万か)の組み合わせが問われやすいので、表にして整理するとよい。
【誤答】1「12週以後の死産と1年未満の死亡」3「28日未満の死亡のみ」4「28週以後の死産と4週未満」5「1年未満の死亡すべて」はいずれも誤り。
【比較整理】周産期死亡=妊娠満22週以後の死産+早期新生児死亡(生後1週未満)。率は(22週以後の死産数+早期新生児死亡数)÷(出生数+22週以後の死産数)×1000。分母が「出産数」である点が要点。
【ひっかけ】分母と乗数の組み合わせが最頻出。〈分母が出生数〉乳児死亡率(1年未満)、新生児死亡率(4週未満)、早期新生児死亡率(1週未満)、いずれも×1000。〈分母が出産数〉周産期死亡率(×1000)、死産率(12週以後の死産、×1000)、妊産婦死亡率(×100000)。10万対は妊産婦死亡率のみ。
【実践】「死産」の定義は制度により起点が異なる。統計上の死産=12週以後(死産届は7日以内に市町村長へ)。周産期死亡に含まれる死産=22週以後。助産師の異常死産児の届出=妊娠4か月以上、24時間以内に警察へ。
問8
合計特殊出生率の定義として正しいものはどれか。
  • 11年間の出生数を総人口で除した値
  • ✔15〜49歳の女性の年齢別出生率を合計した値で、1人の女性が一生に産む子どもの数に相当する
  • 3出生数を女性人口で除した値
  • 41年間の出生数から死亡数を引いた値
  • 5再生産年齢の女性が産む女児の数
解説:合計特殊出生率(TFR)は、15〜49歳の女性の年齢別出生率を合計したもので、1人の女性がその年次の年齢別出生率で一生の間に産むと仮定した場合の子どもの数に相当する。人口置換水準(人口が長期的に増減しない水準)は約2.07とされるが、日本は1970年代半ば以降これを下回り続け、近年は1.3を下回る水準で推移している。関連指標として、①粗出生率(普通出生率)=出生数÷総人口×1000、②総再生産率=女児のみについて合計特殊出生率と同様に算出したもの、③純再生産率=総再生産率に女児の死亡を考慮したもの、がある。少子化の背景には、未婚化・晩婚化の進行、初婚年齢と第1子出生時年齢の上昇、経済的不安定、仕事と育児の両立困難などがあり、こども家庭庁の設置やこども未来戦略などの施策が講じられている。助産師にはプレコンセプションケアの担い手としての役割も期待されている。

助産管理全144問中 8問を掲載

問1
助産所について、医療法に規定されている内容として正しいものはどれか。
  • 1入所施設は19人以下の妊婦・産婦・じょく婦を入所させることができる
  • ✔入所施設は9人以下の妊婦・産婦・じょく婦を入所させることができる
  • 3入所定員に制限はない
  • 4助産所の管理者は医師でなければならない
  • 5開設には厚生労働大臣の許可が必要である
解説:医療法第2条により、助産所は助産師が公衆または特定多数人のためその業務(病院・診療所において行うものを除く)を行う場所と定義され、妊婦・産婦・じょく婦を入所させる施設を有してはならない、ただし9人以下の入所施設を有することができると規定されている(10人以上を入院させる施設は病院となる)。開設については、助産師が開設する場合は開設後10日以内に都道府県知事(保健所を設置する市・特別区ではその長)への届出で足りるが、助産師以外の者が開設する場合は事前の許可が必要である。管理者は原則として助産師でなければならない(医療法第11条)。また医療法第19条第2項により、助産所の開設者は嘱託する医師および嘱託する病院・診療所(診療科名に産科または産婦人科を有し、かつ入院施設を有するもの)を定めておかなければならず、異常時の連携体制の確保が義務づけられている。
【誤答】1「19人以下」は診療所の基準。3「制限はない」4「管理者は医師」5「厚生労働大臣の許可」はいずれも誤り。
【比較整理】医療法上の定義を数字で。助産所=妊婦・産婦・じょく婦を入所させる施設を有してはならないが、9人以下の入所施設を有することができる。病院=20人以上の患者を入院させる施設。診療所=19人以下または入院設備を有しないもの。管理者は原則として助産師(第11条)。
【ひっかけ】開設の手続き。助産師が開設する場合は開設後10日以内に都道府県知事等へ届出(第8条)。助産師以外の者が開設する場合は事前の許可が必要(第7条)。休止・廃止・再開も10日以内の届出。
【実践】分娩を取り扱う助産所は、嘱託医師と嘱託医療機関(診療科名に産科または産婦人科を有し入院設備を有する病院・診療所)を定めておく義務がある(第19条2項)。加えて新生児の異常に対応する連携医療機関の確保も求められる。書面上の取り決めだけでなく、搬送基準の明文化と日ごろの訓練が実効性を左右する。
問2
助産師が助産所を開設した場合の届出について正しいものはどれか。
  • 1開設前に厚生労働大臣の許可を得る
  • ✔開設後10日以内に都道府県知事(保健所を設置する市等ではその長)に届け出る
  • 3開設後30日以内に市町村長に届け出る
  • 4届出は不要である
  • 5開設後1年以内に届け出ればよい
解説:医療法第8条により、臨床研修等修了医師・臨床研修等修了歯科医師・助産師が診療所または助産所を開設したときは、開設後10日以内に、その所在地の都道府県知事(保健所を設置する市または特別区にあってはその長)に届け出なければならないと規定されている。これは「届出」であり事前の許可を要しない。一方、それ以外の者(法人など)が開設する場合は、医療法第7条により事前に開設許可を受ける必要がある。また休止・廃止・再開したときも10日以内の届出が必要である。あわせて、保健師助産師看護師法第33条により、業務に従事する助産師は2年ごとに、12月31日現在の氏名・住所・業務従事状況等を、翌年1月15日までに就業地の都道府県知事に届け出なければならない(業務従事者届)。これらの届出先(都道府県知事か市町村長か)と期限は国家試験で頻出であるため、確実に整理しておきたい。
問3
助産所における分娩の取扱いについて、原則として適切なものはどれか。
  • 1骨盤位の経腟分娩を積極的に取り扱う
  • ✔正常な経過が予測される単胎頭位の妊産婦を対象とし、リスクがある場合は嘱託医療機関等と連携する
  • 3帝王切開の既往がある妊婦の分娩を制限なく取り扱う
  • 4双胎妊娠の分娩を取り扱う
  • 5妊娠41週を超えても搬送せず経過をみる
解説:助産師の業務は保健師助産師看護師法第38条により正常な経過に限られ、異常があると認めたときは医師の診療を求めさせる義務がある。したがって助産所(および院内助産)での分娩取扱いは、正常な経過が予測される単胎頭位・妊娠37〜41週の低リスク妊産婦が対象となる。日本助産師会の「助産業務ガイドライン」では、助産師が単独で扱える対象、医師との連携が必要な対象、医師の管理下で対応する対象が具体的に示されている。骨盤位・横位、多胎、既往帝王切開、前置胎盤、妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、常位胎盤早期剥離、重度の合併症、妊娠37週未満・42週以降などは医療機関での管理が必要となる。重要なのは、リスクを妊娠中から継続的に評価し、逸脱の兆しがあれば早期に連携・搬送を判断することであり、そのための嘱託医師・嘱託医療機関の確保、搬送基準の明文化、日ごろからの顔の見える関係づくりと訓練が助産管理の中核となる。
問4
総合周産期母子医療センターの要件として正しいものはどれか。
  • ✔母体・胎児集中治療管理室(MFICU)と新生児集中治療管理室(NICU)を備え、常時、母体・新生児の搬送を受け入れる体制を有する
  • 2一般診療所に併設され、正常分娩のみを扱う
  • 3小児科医の配置は不要である
  • 4助産所の一形態である
  • 5都道府県に1か所のみ設置が認められる
解説:周産期医療体制は、リスクに応じた階層的な連携により構築されている。総合周産期母子医療センターは、母体・胎児集中治療管理室(MFICU)6床以上と新生児集中治療管理室(NICU)9床以上を備え、産科・新生児科医が常時勤務し、母体搬送・新生児搬送を24時間体制で受け入れる中核施設で、都道府県が指定する。原則として三次医療圏(都道府県)に1か所以上設置されるが、複数設置されることも多い。地域周産期母子医療センターは、これに準じる医療を提供し、24時間体制で周産期の救急に対応できる施設で、二次医療圏を単位に整備される。これらを頂点に、一般の産科医療機関、助産所がネットワークを形成し、搬送調整には周産期医療情報システムが用いられる。助産師には、施設の機能を理解したうえで、母体搬送の適応を判断し、搬送前の情報整理と申し送り、家族への説明と不安への対応を行う役割がある。
問5
産科医療補償制度について正しいものはどれか。
  • 1すべての新生児の疾病を補償対象とする
  • ✔分娩に関連して発症した重度脳性麻痺の児と家族を経済的に補償し、原因分析と再発防止を行う制度である
  • 3医療機関の過失が認定された場合にのみ補償される
  • 4国が直接運営する公的保険制度である
  • 5加入は分娩を取り扱う病院のみで、助産所は加入できない
解説:産科医療補償制度は2009年に創設された民間の損害保険を活用した制度で、分娩に関連して発症した重度脳性麻痺の児とその家族に対する経済的補償と、事例の原因分析・再発防止の取組みによる産科医療の質の向上、そして紛争の防止・早期解決を目的とする。運営組織は日本医療機能評価機構である。最大の特徴は「無過失補償」であり、医療機関の過失の有無を問わず補償される点にある。加入するのは分娩機関(病院・診療所・助産所)であり、助産所も加入できる。補償対象は、所定の在胎週数・出生体重等の基準を満たして出生し、身体障害者手帳1・2級相当の重度脳性麻痺と診断された児で、先天性要因や新生児期の要因によるものは除外される。補償額は総額3000万円(一時金600万円+分割金2400万円)である。助産師は、妊娠中に制度の説明と登録手続きを行う役割を担う。
【誤答】1「すべての新生児の疾病を補償」は誤りで対象は限定される。3「過失が認定された場合のみ」は誤りで無過失補償。4「国が直接運営する公的保険」は誤りで民間の損害保険を活用し日本医療機能評価機構が運営。5「助産所は加入できない」も誤り。
【比較整理】制度の3つの目的=①分娩に関連して発症した重度脳性麻痺の児と家族への経済的補償、②原因分析と再発防止による産科医療の質の向上、③紛争の防止・早期解決。最大の特徴は無過失補償(医療機関の過失の有無を問わない)。補償額は総額3000万円(一時金600万円+分割金2400万円)。
【ひっかけ】加入するのは分娩機関(病院・診療所・助産所)であり、助産所も加入できる。補償対象は所定の在胎週数・出生体重等の基準を満たし、身体障害者手帳1・2級相当の重度脳性麻痺と診断された児で、先天性要因や新生児期の要因によるものは除外される。
【実践】助産師は妊娠中に制度を説明し登録手続きを行う。原因分析報告書は再発防止の提言として公表され、クリステレル胎児圧出法や分娩監視の課題が繰り返し指摘されている。
問6
インシデント(ヒヤリ・ハット)報告の目的として最も適切なものはどれか。
  • 1報告した個人の責任を追及し処分を決めるため
  • ✔事例を組織で共有・分析し、システムの改善によって再発を防止するため
  • 3患者へ賠償額を提示するため
  • 4職員の勤務評価に反映するため
  • 5報告件数を減らすことを目標とするため
解説:インシデント(ヒヤリ・ハット)報告は、患者に実害が生じなかった、あるいは軽微であった事例を組織的に収集し、要因を分析してシステム上の問題点を改善するための仕組みである。目的は個人の責任追及ではなく再発防止であり、報告しやすい風土(非懲罰的・公正な文化)の醸成が不可欠である。報告件数が多いことは組織の安全意識が高いことの表れとも解釈され、件数を減らすこと自体は目標ではない。医療安全の考え方の基本は、人は誰でも間違えるという前提に立ち、個人の注意力に依存せずシステムで防ぐことにある(Reasonのスイスチーズモデル、ヒューマンエラー対策)。産科領域では、新生児の取り違え防止、母体・新生児の急変対応、輸血・薬剤(特にオキシトシンなど子宮収縮薬)の管理、転倒・転落、母児同室中の児の窒息予防などが重点課題となる。定期的なシミュレーション訓練(産科危機的出血、新生児蘇生、肩甲難産)も重要な安全管理活動である。
問7
助産実践能力習熟段階(クリニカルラダー:CLoCMiP)レベルⅢの認証を受けた助産師の呼称はどれか。
  • 1専門助産師
  • 2認定助産師
  • ✔アドバンス助産師
  • 4指導助産師
  • 5認定看護師
解説:助産実践能力習熟段階(CLoCMiP:Clinical Ladder of Competencies for Midwifery Practice)は、日本助産実践能力推進協議会が策定した助産師のキャリア開発ラダーで、レベル新人からⅠ〜Ⅳの段階で助産実践能力を評価する。このうちレベルⅢは「助産師として自律してケアを提供できる」段階とされ、日本助産評価機構による第三者評価・認証を受けた助産師は「アドバンス助産師」と呼称される。認証には、必要な実践例数(分娩介助例数、妊婦・産婦・褥婦・新生児のケア例数)、必須研修(新生児蘇生法NCPR、母体救命、フィジカルアセスメント、周産期のメンタルヘルスなど)の修了、および評価票の提出が求められ、5年ごとの更新制である。院内助産・助産師外来の担い手として期待されている。なお混同しやすい資格として、日本看護協会の認定看護師・専門看護師(母性看護専門看護師)があり、これらは制度も認定機関も異なる。
問8
「院内助産」と「助産師外来」の説明として正しいものはどれか。
  • 1いずれも医師が主体となって妊産婦を管理する体制である
  • ✔院内助産は緊急時に医師の対応が可能な体制のもとで、助産師が主体となって妊娠から産褥期のケアを提供する体制であり、助産師外来は助産師が妊婦健診と保健指導を主体的に行う外来である
  • 3助産師外来では妊婦健診を行うことができない
  • 4院内助産は助産所と同義である
  • 5いずれも法律上の位置づけはなく実施が禁止されている
解説:院内助産は、緊急時に医師の対応が可能な医療機関において、助産師が妊産褥婦とその家族の意向を尊重しながら、妊娠期から産褥期まで一貫して主体的にケアを提供する体制をいう。助産師外来は、医療機関において助産師が妊婦健診や保健指導、相談を担当する外来である(保健指導のみを行うものも含む)。いずれも保健師助産師看護師法に定められた助産師の業務範囲(正常経過)の中で行われ、異常が疑われる場合は速やかに医師へ引き継ぐ。厚生労働省は「院内助産・助産師外来ガイドライン」を示し、産科医師の不足・偏在への対応、助産師の専門性の発揮、妊産婦の満足度向上、継続ケアの提供を目的として推進している。運用にあたっては、対象者の選定基準、医師との連携・相談の基準、緊急時対応の手順を明文化し、定期的にカンファレンスと評価を行うことが求められる。