分野別問題(解説つき)

保健師国家試験|分野別 問題インデックス

最終更新:2026年8月11日

保健師国家試験は4分野から出題されます。分野別に代表問題を掲載しています。全1000問をまとめて解くならトレーナーへ進んでください。

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公衆衛生看護学全480問中 8問を掲載

問1
公衆衛生看護の対象の捉え方として最も適切なのはどれか。
  • ✔地域で生活するすべての人々
  • 2医療機関を受診した者
  • 3ハイリスク者に限定した集団
  • 4要介護認定を受けた者
  • 5疾病を有する個人のみ
解説:公衆衛生看護は健康レベルや年齢を問わず、地域で生活するすべての人々(個人・家族・集団・組織・地域)を対象とする。健康な人への予防的関与も含むため、疾病者やハイリスク者に限定されない。
問2
ポピュレーションアプローチの説明として正しいのはどれか。
  • 1リスクの高い個人を選び出して集中的に介入する
  • ✔集団全体のリスク分布を低い方向へ移動させる
  • 3治療を要する者に医療を提供する
  • 4罹患者の重症化を防ぐ三次予防である
  • 5費用対効果が常にハイリスクアプローチより低い
解説:ポピュレーションアプローチは集団全体に働きかけ、リスク分布全体を低いほうへシフトさせる方法。1はハイリスクアプローチの説明。予防医学のパラドックス(低リスク者が多いため集団全体の患者数はそこから多く発生する)が理論的根拠となる。
問3
一次予防に該当するのはどれか。
  • 1がん検診の受診勧奨
  • 2高血圧患者の服薬指導
  • ✔予防接種の実施
  • 4脳卒中後のリハビリテーション
  • 5糖尿病性腎症の透析導入
解説:一次予防は健康増進と特異的予防(予防接種、健康教育、環境整備など)。1は早期発見=二次予防、2と5は重症化予防、4は機能回復=三次予防にあたる。
問4
プライマリヘルスケアが提唱された宣言はどれか。
  • ✔アルマ・アタ宣言
  • 2オタワ憲章
  • 3バンコク憲章
  • 4リスボン宣言
  • 5ジャカルタ宣言
解説:プライマリヘルスケアは1978年のアルマ・アタ宣言で提唱された。オタワ憲章(1986年)はヘルスプロモーションを提唱した宣言であり、区別して覚える。
問5
ヘルスプロモーションの定義に含まれるのはどれか。
  • ✔人々が自らの健康をコントロールし改善できるようにするプロセス
  • 2感染症を根絶すること
  • 3保健師が住民を指導すること
  • 4医師が治療方針を決定すること
  • 5医療費を削減すること
解説:オタワ憲章はヘルスプロモーションを「人々が自らの健康とその決定要因をコントロールし、改善することができるようにするプロセス」と定義した。専門職による一方的指導ではなく住民の主体性が中核となる。
問6
健康の社会的決定要因(SDH)に含まれないのはどれか。
  • 1社会的つながり
  • 2雇用状況
  • 3居住環境
  • 4教育歴
  • ✔遺伝子多型
解説:SDHは人々が生まれ、育ち、働き、生活する環境などの社会経済的条件を指す。遺伝子多型は生物学的要因であり、社会的決定要因には含まれない。
問7
エンパワメントの考え方として適切なのはどれか。
  • 1住民の要望をすべて受け入れる
  • 2専門職が問題を代わりに解決する
  • ✔住民が自らの力に気づき主体的に行動できるよう支援する
  • 4行政が施策をトップダウンで決定する
  • 5問題のある住民を選別して指導する
解説:エンパワメントは、個人や集団が本来もつ力を発揮し、自らの生活や環境をコントロールできるようになる過程を支援する概念。代行や指導ではなく、力を引き出す支援が本質である。
問8
保健師の活動理念として最も重要でないのはどれか。
  • 1公平性の確保
  • ✔収益性の追求
  • 3住民との協働
  • 4予防的視点
  • 5継続的支援
解説:公衆衛生看護は公共性を基盤とし、予防、継続性、公平性、協働を理念とする。収益性の追求は理念に含まれない。

疫学・保健統計学全170問中 8問を掲載

問1
罹患率の分母となるのはどれか。
  • ✔観察集団の人年(観察人数×観察期間)
  • 2観察開始時の全人口
  • 3死亡者数
  • 4有病者数
  • 5出生数
解説:罹患率=一定期間の新規発生数÷観察集団の観察人年。分母に観察期間を含む点が、ある一時点で測る有病率との違いである。
問2
有病率が上昇する要因はどれか。
  • 1罹患率の低下
  • 2治癒率の上昇
  • ✔罹病期間の延長
  • 4転出者の増加
  • 5致命率の上昇
解説:有病率≒罹患率×罹病期間。治療の進歩で死亡は減るが治癒しない疾患では罹病期間が延び、有病率は上昇する。
問3
コホート研究の特徴はどれか。
  • ✔罹患率を直接算出できる
  • 2短期間で結果が得られる
  • 3まれな疾患の研究に適する
  • 4費用が安い
  • 5思い出しバイアスが生じやすい
解説:コホート研究は曝露群・非曝露群を追跡するため罹患率と相対危険度を直接算出できる。まれな疾患には不向きで、時間と費用がかかる。
問4
症例対照研究で算出される指標はどれか。
  • 1相対危険度
  • 2有病率
  • 3寄与危険度
  • 4罹患率
  • ✔オッズ比
解説:症例対照研究では罹患率が算出できないため、相対危険度の近似としてオッズ比を用いる。まれな疾患ではオッズ比が相対危険度に近似する。
問5
相対危険度が2.0であることの解釈はどれか。
  • 1曝露により罹患が2人増える
  • 2因果関係が2倍強い
  • 3曝露群の2割が発症する
  • 4有病率が2%である
  • ✔曝露群の罹患リスクが非曝露群の2倍である
解説:相対危険度=曝露群の罹患率÷非曝露群の罹患率で、曝露と疾病の関連の強さを示す。増加分の絶対量を示すのは寄与危険度である。
問6
寄与危険割合が示すのはどれか。
  • 1致命率
  • 2集団全体の有病率
  • ✔曝露群の罹患のうち曝露に起因する割合
  • 4検査の感度
  • 5曝露率
解説:寄与危険割合=寄与危険度÷曝露群の罹患率。曝露群で発生した疾病のうち、その曝露を除去すれば防げた割合を示す。
問7
無作為化比較試験(RCT)の最大の利点はどれか。
  • 1倫理的問題が生じない
  • 2費用が安い
  • 3短期間で終わる
  • ✔既知・未知の交絡因子を均等化できる
  • 5対象者の脱落がない
解説:無作為割付により、既知だけでなく未知の交絡因子も両群に均等に分布することが期待でき、因果関係の推論において最も高いエビデンスレベルをもつ。
問8
交絡因子の条件として正しいのはどれか。
  • 1中間因子である
  • 2測定誤差の一種である
  • 3無作為化では制御できない
  • 4結果に影響しない
  • ✔曝露と関連し、かつ独立に疾病の危険因子である
解説:交絡因子は①曝露因子と関連し、②結果(疾病)の独立した危険因子であり、③曝露から結果に至る中間段階にない、という条件を満たす。

保健医療福祉行政論全170問中 8問を掲載

問1
地域保健法に基づき保健所を設置できないのはどれか。
  • 1指定都市
  • ✔町村
  • 3特別区
  • 4都道府県
  • 5中核市
解説:保健所は都道府県、指定都市、中核市、政令市、特別区が設置する。町村は保健所を設置できず、市町村保健センターを設置しうる。
問2
市町村保健センターの業務はどれか。
  • 1精神保健福祉センターの指導を行う
  • 2食品衛生の監視指導を行う
  • 3医療機関の立入検査を行う
  • ✔住民に身近な対人保健サービスを総合的に行う
  • 5広域的・専門的・技術的拠点として難病対策を行う
解説:市町村保健センターは健康相談、保健指導、健康診査など住民に身近な対人保健サービスの拠点。専門的・広域的業務や監視指導は保健所が担う。
問3
保健所の業務として法に規定されているのはどれか。
  • 1国民年金の給付
  • 2介護保険料の徴収
  • ✔人口動態統計その他地域保健に係る統計に関する事項
  • 4義務教育の実施
  • 5生活保護費の支給
解説:地域保健法第6条に保健所の事業14項目が列挙され、地域保健に関する思想の普及、人口動態統計、栄養改善、環境衛生、医事薬事、精神保健、難病、感染症などが含まれる。
問4
保健師の業務従事者届の提出先はどれか。
  • 1保健所長
  • 2日本看護協会
  • 3厚生労働大臣
  • 4市町村長
  • ✔都道府県知事
解説:保健師助産師看護師法により、業務に従事する者は2年ごとに12月31日現在の状況を翌年1月15日までに就業地の都道府県知事に届け出る。
問5
保健師の名称独占を定めているのはどれか。
  • 1医療法
  • 2労働安全衛生法
  • 3地域保健法
  • ✔保健師助産師看護師法
  • 5健康増進法
解説:保健師は保健師助産師看護師法により名称独占が定められている(業務独占ではない)。また保健指導を行う際の主治医・保健所長の指示に関する規定も同法にある。
問6
介護保険の第2号被保険者はどれか。
  • 120歳以上の全国民
  • 265歳以上の者
  • ✔40歳以上65歳未満の医療保険加入者
  • 4要介護認定を受けた者
  • 5生活保護受給者
解説:第1号被保険者は65歳以上、第2号被保険者は40歳以上65歳未満の医療保険加入者。第2号は特定疾病が原因の場合に限り給付を受けられる。
問7
要介護認定の一次判定を行うのはどれか。
  • 1市町村長
  • 2主治医
  • 3都道府県知事
  • 4介護認定審査会
  • ✔コンピュータによる判定
解説:認定調査結果をもとにコンピュータで一次判定を行い、主治医意見書と特記事項を加えて介護認定審査会が二次判定(最終判定)を行う。
問8
国民健康保険の保険者はどれか。
  • ✔都道府県および市町村
  • 2共済組合
  • 3全国健康保険協会
  • 4健康保険組合
  • 5国
解説:2018年度から国民健康保険は都道府県が財政運営の責任主体となり、市町村とともに保険者となっている。

状況設定問題全180問中 8問を掲載

問1
【事例】Aさん(26歳、初産婦)。生後2週の児と2人で日中を過ごしている。新生児訪問で「母乳が足りているか不安。夜も眠れない」と涙ぐんだ。児の体重増加は1日30gで良好。このときの保健師の対応で最も適切なのはどれか。
  • 1混合栄養に変更するよう指導する
  • 2家族に育児を代わるよう指示する
  • ✔体重増加が良好であることを具体的に伝え、不安を受け止める
  • 4直ちに精神科受診を勧める
  • 5次回健診まで様子をみるよう伝える
解説:客観的データ(体重増加良好)を根拠に授乳が足りていることを具体的に伝えることは、母の不安軽減と自信につながる。同時に睡眠状況や気分の変化を継続的に確認し、産後うつの徴候があれば医療につなぐ。
問2
【事例】前問のAさん。訪問2週後の電話で「何をしても楽しくない、自分は母親失格だ」と話した。EPDSは14点であった。次に行うべき対応はどれか。
  • 1育児教室への参加を勧める
  • 2経過観察とする
  • 3再度2週間後に電話する
  • ✔希死念慮の有無を確認し、医療機関受診を調整する
  • 5家事支援サービスのみを紹介する
解説:EPDS 9点以上は要支援、加えて抑うつ気分と自責感が明らかであり、まず希死念慮と児への加害念慮を確認して緊急度を判断し、精神科等の医療につなぐ調整を行う。
問3
【事例】3歳児健康診査で、児は視線が合いにくく、名前を呼んでも振り向かない。母は「発達に問題はないと思う」と話す。保健師の対応で最も適切なのはどれか。
  • 1母の認識を修正するよう説明する
  • 2児童相談所へ通告する
  • ✔母の心配や日常の様子を聴きながら、発達相談の場を提案する
  • 4直ちに医療機関へ紹介状を書く
  • 5次回は就学時健診まで待つ
解説:保護者の受け止めと乖離がある場合、まず日常の困り感を丁寧に聴いて信頼関係を築き、無理のない形で発達相談や親子教室など次のステップを提案する。関係を損なうと支援が途切れる。
問4
【事例】1歳6か月児健診に未受診の家庭に電話したところ「忙しい」と繰り返し、児の声が聞こえない。過去に転居を繰り返している。保健師の対応で優先度が高いのはどれか。
  • 1次回3歳児健診を待つ
  • 2保育所に確認する
  • ✔家庭訪問を行い児の安全と養育状況を直接確認する
  • 4文書で再度受診勧奨する
  • 5母の就労状況を調べる
解説:未受診の繰り返し、転居歴、児の状況が確認できない点はリスク要因が重なっており、目視による安全確認(児に会う)が最優先となる。必要に応じて要対協で情報共有する。
問5
【事例】Bさん(82歳、女性、独居)。近隣から「最近ゴミが出せていない様子」と地域包括支援センターに連絡があった。訪問すると室内は乱雑で、同じ食材が多数放置されていた。本人は「困っていない」と話す。最初に行う対応はどれか。
  • ✔生活状況と認知機能・健康状態のアセスメントを行う
  • 2直ちに施設入所を調整する
  • 3介護保険の申請を代行する
  • 4近隣に見守りを依頼して終了する
  • 5家族に連絡して引き取りを依頼する
解説:本人が困り感を訴えなくても、生活状況の変化は認知機能低下や疾患のサインでありうる。まず包括的にアセスメントし、本人の意向を尊重しながら支援方針を検討する。
問6
【事例】前問のBさん。認知症が疑われ、金銭管理の困難も明らかになった。身寄りはない。活用を検討すべき制度はどれか。
  • ✔成年後見制度(市町村長申立て)
  • 2生活保護
  • 3高額療養費制度
  • 4障害年金
  • 5労災保険
解説:判断能力が不十分で親族による申立てが期待できない場合、市町村長申立てによる成年後見制度の活用が適切。日常的金銭管理のみなら日常生活自立支援事業も選択肢となる。
問7
【事例】Cさん(78歳、男性)は脳梗塞後の左片麻痺で在宅療養中。同居の妻(75歳)が「夜も何度も起こされて限界」と話す。保健師の対応で最も適切なのはどれか。
  • 1家族会への入会のみを勧める
  • 2Cさんの服薬を調整する
  • 3妻に頑張るよう励ます
  • 4施設入所を強く勧める
  • ✔介護支援専門員と連携し短期入所や訪問サービスの導入を検討する
解説:介護者の負担が限界に近い状態は虐待や共倒れのリスクとなる。レスパイトを含むサービス調整をケアマネジャーと連携して行い、介護者自身の健康支援も行う。
問8
【事例】Dさん(45歳、男性)は統合失調症で通院中。母から「最近服薬していない様子で、独り言が増えた」と保健所に相談があった。保健師の初期対応で適切なのはどれか。
  • 1直ちに措置入院の手続きをとる
  • 2警察に通報する
  • ✔母から生活状況を詳しく聴き、主治医と連携して対応を検討する
  • 4本人に電話で受診を強く指示する
  • 5訪問を控えて経過をみる
解説:まず情報を整理し、症状の程度、服薬中断の理由、自傷他害のおそれの有無を評価する。主治医や医療機関と連携しつつ、本人との関係づくりを図る。措置は要件を満たす場合に限られる。